大会3日目を迎えた全日本選手権。前日とはうって変わって穏やかな風が吹くなか、早大は4クルーが出艇した。女子舵手付きクォドルプルは危なげない漕ぎであすの決勝に万全の体制で臨む。一方、女子ダブルスカルと男子舵手つきフォアは一歩及ばず順位決定戦(順決)へ。決勝進出へ向け、背水の陣で挑んだ男子エイトはまさかの敗者復活戦敗退。4年生クルー最後の勇姿となった。
余力を残してゴールした女子クォド
第1レースには、きのう敗者復活戦で勝ち上がった女子ダブルスカルが登場。「自分たちのスピードに集中して漕ぐ」(佐藤紫生乃、スポ1=宮城・塩釜)と決めて臨んだこのレースであったが、スタートで少し遅れをとると、その差を埋めることができず3着でフィニッシュ。佐藤は「実力不足というか、一本一本の力強さの違いを感じた」と振り返った。あすの順決に切り替えて、自分たちの納得いく漕ぎに期待したい。続けてコースに現れたのは全体1位で予選を通過した女子舵手付きクォドルプル。先行逃げ切りがセオリーのこのクルー。明治安田生命、そして明大と強豪が肩を並べるなか、スタート500メートルで後続に5秒近くの差をつけることに成功。レースプラン通り、得意のスタートで相手を引き離し、余裕を持って準決勝を終えた。コックスの大泉環(文構4=埼玉・大宮)は、「周りを見ながら自分たちのレースを展開できた」と語る。「優勝以外ありえないので、初めのうちにけりをつけて、あとはコースレコードを狙う」と榊原春奈(スポ2=愛知・旭ヶ丘)が意気込むように、決勝は他艇ではなく自分たちとの戦いになるだろう。2年ぶりの全日本制覇、そしてインカレとの2冠へ――。女王の貫禄あるレースが楽しみだ。
敗退が決まって肩を落とす男子エイト
男子舵手付きフォアは大会前の練習試合で一度敗れているという東大との一騎打ち。「最初からみんなで飛ばして行こう」(長山文哉、基理4=東京・早大学院)という狙い通り、スタートでリードするものの第2クオーターで東大にさされる。中盤に入り龍谷大と2位3位争いを繰り広げる展開となるが、意地で見せ東大に続く2着でゴールした。長山は「やろうと言ったところはまとまってできたので良かった」と評価する。あすの順決は1位を目指すのみだ。きのうの大敗から一夜明け、敗者復活戦に臨んだ男子エイト。スタートで頭一つ抜けた明治安田生命についていく一方で、中盤から徐々に後続に差をつめられる。ここで食い下がり3位争いをしたいところであったが、課題の第3、4クオーターで苦戦し地力で勝る中大や一橋大に及ばず。惜しくも4着となり、第84回大会以来7年ぶり(※第88回大会は不出場)に最終日を前に姿を消した。4年生クルーにとっては学生最後のレースとなった。
各種目で地力の差が浮き彫りになったきょうのレース。しかし、あすは泣いても笑ってもラストレースだ。決勝戦に向かうのは男子舵手付きペアと女子舵手なしペア、そして女子舵手つきクォドルプル。順位決定戦に臨むのは男子舵手つきフォアと女子ダブルスカルである。それぞれの決意を船に乗せ、出艇する早大クルー。今季の集大成となるその姿を、しっかりと見届けたい。
(記事 高橋真耶、写真 加藤千暁)
※掲載が遅れ、申し訳ありませんでした。
結果
▽女子ダブルスカル(S:佐藤紫、B:望月)…2着【順位決定進出】
▽女子舵手付きクォドルプル
(C:大泉、S:大石、3:榊原、2:山根、B:土屋)…1着【決勝進出】
▽男子舵手付きフォア
(C:藤川、S:江原、3:長山、2:佐藤琢、B:小林)…2着【決勝進出】
▽男子エイト(C:高橋、S:長田、7:新藤、6:竹内、5:是澤、4:山下、3:青松、2:鈴木、B:和田)…4着
コメント
▽女子舵手付きクォドルプル
コックス:大泉環(文構4=埼玉・大宮)
――レースを振り返っていかがですか
準決勝なので、まずは決勝に上がることを目標にしていました。その点では、決勝に上がることもできましたし、いい感覚で準決勝を終えられたことはとてもよかったと思います。
――スタートで差をつけることを課題としていました
スタートから250メートル地点で1艇身近く出ることができました。かなりスタートはうまく定まってきたかなという感じです。
――自分たちのリズムでレースできたという感じでしょうか
予選は100パーセントの力を出しきっていましたが、きょうは決勝に標準を合わせて力をいかに温存していけるかがポイントでした。最初の750メートルまでは、プラン通り全力で行って、そこからは頭ひとつ前に出て、周りを見ながら自分たちのレースを展開できました。
――どんなコールをしていったのでしょうか
きょうは落ち着いて漕げたレースでした。競ってくると周りに抜かされないようにとか、いまここで勝負をかけようとか、対外的なところに意識がいってしまいます。でもきょうは、エントリーが入っていなかったらもう少し入れていこうだとか、自分たちの技術に対するコールを丁寧に丁寧にかけていくことを意識しました。
――あしたに向けての仕上がりは順調ですね
想像以上に、きょうはいいイメージを持ったまま2000メートルを終えられました。本当にあしたにつながるレースになったかなと思います。
――修正点はありますか
いまのところ目立った課題はないですが、予選のときにもあったように、焦ってくるときの癖があります。エントリーが深く入って、ファイナルにかけて抜けてきてしまって、水中を押してる距離が短いというのが全日本のクォドのクルーの弱点だと思います。それでダメになってきてしまって、艇速が落ちるというのがセオリーだと思うので、決勝で気にするべきところはそこかなと思います。
――あしたは、学生最後のレースになります。意気込みをお願いします
4年間最後のレースになります。わたしは全日本でまだ勝ったこともないので初めての経験になります。なので、いまできることをしっかりやって”必勝”です!
▽男子舵手付きフォア
3番:長山文哉(基理4=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返って
最初からみんなで飛ばして行こうって言っていて、それができたんですが最後力が及ばなかったなと。やれることはやったので後悔はないです。
――レース展開は
狙いとおり最初の500メートルは出ることができました。でもそこに自力の差があって、第2クオーターであっさり抜かれてしまいました。
――第3、4クオーターはどうでしたか
僕は前に合わして漕ぐことに集中していて気づかなかったんですけど、龍谷大学に1回さされていたみたいですね。3位になるとファイナルBにも出れないという状況でした。あくまで1位の東大を追っかけて抜かそうとしていたんですが、さされてしまっていてはあしたのレースがなかったので、ひとまずあすにつなげられたかなと。
――クルーの雰囲気は
しっかりみんな集中できていました。やろうと言ったところはまとまってできたので良かったと思います。
――4年生も二人乗っているクルーですが
そうですね。自分も佐藤(琢、創理4=東京・早大学院)も3年半まじめにボートやってきたので、やすやすと負ける気はなかったんですが、他の東大なども同じようにやってきたわけです。どっちも意地があったのは確かです。
――あすは最終レースです
最後はファイナルBですが、1位でしっかり締めたいですね。みんなで最後丸くおさめて終わりたいです