社会人や高校生も参加する全日本選手権。4年生にとって早大漕艇部での集大成となる大会だ。初日のきょう、戸田ボートコースには強い逆風が吹いた。決していいコンディションとは言えない中、早大は女子舵手付きクォドルプルが社会人の強豪チームを破って予選通過。しかし出場した他の種目では強風を前に理想の漕ぎを見せることができず、あすの敗者復活戦に臨むこととなった。
圧巻の漕ぎをみせた女子舵手付きクォドルプル
きょう最初に登場したのは女子ダブルスカル。スタートで先頭のクルーに後れをとると、望月みづほ(スポ3=埼玉・大宮)が「焦りが出てしまった」と語るように、徐々にリードを広げられてしまう。組全体で2着に入ることができたものの、最終的に1着の仙台大学に約10秒差をつけられる悔しい結果となった。女子舵手付きクォドルプルは、8月の全日本大学選手権で女子シングルスカル3連覇を果たした大石綾美女子部主将(スポ4=愛知・猿投農林)を含むメンバーでの出場。序盤から明治安田生命と競り合う緊迫したレース展開が続いたが、なんとか逃げ切り、全体1位のタイムでゴールした。しかし大石主将は、逆風のなかでのレースを「風が強すぎて私たちもバタバタしてしまった」と振り返る。強豪を撃破してもなお、満足することはない。
苦しもがく男子舵手付きフォア
一方の男子は、舵手なしフォアと舵手付きフォアに登場。舵手なしフォアは、序盤からリズムをつかみきれず、他のチームとの差を縮めることができないまま4着でフィニッシュ。杉山史門(スポ4=静岡・沼津東)はレース後、逆風に対応できなかったことに対し「自分たちの目指していたリズムとはちょっと違うリズムになってしまった」と悔しさをにじませた。最後の登場となった舵手付きフォアは、インカレからシートを変更しての出場。しかしスタートで失敗し、「崩すことを恐れてしまって、大きく大胆に漕ぐことができなかった」(佐藤琢、創理4=東京・早大学院)と本来のパフォーマンスを出せず3着という結果に。終始悪い流れをクルー全員で変えることができなかった。
ラフコンディションへの対応という課題が浮き彫りになった大会初日。ここから勝ち進んでいくためには、いかなる状況においても力を出し切ることが求められる。不安はあるものの、舵手つきフォアに出場した江原大二郎(商3=埼玉・早大本庄)は「下を向いていられない」とあすの敗者復活戦への意欲を見せた。最終日、レースに全力でぶつかる早大の姿が見られることを期待したい。
(記事 土屋佳織 写真 新田祐介、廣瀬元宣)
※掲載が遅れ、申し訳ありませんでした。
結果
▽女子ダブルスカル(S:佐藤紫、B:望月)…2着
▽女子舵手付きクォドルプル
(C:大泉、S:大石、3:榊原、2:山根、B:土屋)…1着【準決勝進出】
▽男子舵手なしフォア(S:白濱、3:小坂、2:出町、B:杉山)…4着
▽男子舵手付きフォア…(C:藤川、S:江原、3:長山、2:佐藤琢、B:小林)…3着
コメント
▽女子舵手付きクォドルプル
ストローク:大石綾美女子部主将(スポ4=愛知・猿投農林)
――今日のレースはいかがでしたか
スタートして、はやく私たちが出て差をつけたいなとイメージしていたんですけど、実際はやっぱりスタートしてすぐは意外と出れたなっていうのがあるんですけど、ちょっとこう、私たちも焦ってしまったかなというのがあるので、本当にそこは改善点だと思いますね。
――先行して逃げ切るレースプランだったということですか
そうですね、はい。相手を見て漕ぎたいなっていうのはあったので。
――レース終盤、明治安田生命が追い上げてきましたが
ぱっと出て、相手を見て漕ぎたいなっていうのはあったんですけど、どのクオーターでも競って競って、むこうが攻めてきたらこっちももう一回攻め返してっていう感じでやって。まあレース的には辛かったんですけど、本当に一人ひとりがそれに対応できて、体も動けていたので、そこは良かったかなと思います。
――全体1位の記録での予選通過となりましたが
1番なので、そこは少しホッとしたなっていう気持ちはあるんですけど、ちょっとやっぱり風が強すぎて私たちもバタバタしてしまって、本当に全力を出し切れずに終わっちゃったかなっていうのはあるので、本当にそこは改善点だなっていうのは思います。
――逆風への対応についてレース前に話し合われましたか
やっぱり風が強くてオールが舞ってしまうので、そこはしっかりキャッチをしていこう、キャッチで水を掴んでいこうっていうのは話していました。
――見つかった課題はありますか
やはりもっとスタートで差をつけたいなっていうのと、あとはもういかに自分たちのリズムで自分たちのレースができるかっていうところをまた準決勝でもう一回やっていきたいと思います。
――準決勝にむけて意気込みをお願いします
準決勝はもう本当にいい2000にして、しっかり決勝に繋げられるようなレースにしたいです。
▽男子舵手付きフォア
2番:佐藤琢(創理4=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返って
負けました。今まで狙いとしてやってきたことを、しっかりとレースでやれば勝てるところをできなかったから負けました。それだけです。ラフコン(ラフコンディション)に左右されて、ミスオールしないようにと思っていたら小さくまとまってしまって、今までやってきたことが体現できなかったです。それに尽きると思います。
――レース後かなり悔しがっていたと思いますが
またラフコンに左右されてしまったというか。きょうもラフコンだから気を付けてやっていきましょうとやっていたのに、できなかったのが悔しかったです。今までしっかりやってきているという自信はあって、それで負けたので悔しいです。
――できなかった原因ははっきりしていますか
水面が落ち着いていない中、無難に漕ごうと小さくまとまってしまって、力を出し切れず、ボートを正しく速く進ませるための動きができなかったです。崩すことを恐れてしまって、大きく大胆に漕ぐことができなかったです。
――インカレ後、ポジションを変えられたと聞きましたが
まず自分がストロークで、今目指す漕ぎに合わなくて、クビになって今の並びになりました。そしてインカレ直前、バタバタしている船を安定させようとして自分がバウになって、はまったといえばはまったんですけど、4人のベストタイムを出す並びではないなと。一番重い人が一番後ろになっていると船が進まないので、まず自分がどこに行くかという話になりました。それでストロークはだめで、2番になって、江原大二郎がストロークになりました。彼は頑張り屋さんで、辛くても逃げないうえに、インカレとは違ういい風を吹き込んでくれるかなという希望でこの並び順にしました。それはすごいはまって、タイムも出てて、自信を持って全日本に臨める形になりました。だからこの並びは良かったなと思います。
――インカレとは違ってコックスが乗っていますが、変わったことはありますか
当たり前ですが種目が違うというのと、一人乗ることでパワーがかなり必要になってきます。あのなしフォアのクルーは、自分が乗っていることもあってパワータイプといえばパワータイプなので、つき艇の方が漕ぎやすく感じました。かつ、なしフォアは全日本で社会人がたくさん出てくるので、上位を狙うのであればつきフォアでいいのではないかということになりました。それでコックスを乗せることになって、コックスが1年生の藤川くんで。1年生なので、ボートを初めて3、4か月で、右も左も分からない子を全日本にいきなり乗せるということは前例がないと思います。僕自身、人を育てたいというのがあったので、それができるのは光栄で、賛成でした。やる気のある状態で臨むことができました。