全国の舞台で強敵に屈す 収穫と課題を得る大会に

日本拳法

 全国大学選抜選手権が行われた。男子は初戦で桃山学院大を圧倒すると、2回戦で東日本のライバル・中大と対戦。橋口翔平(人3=鹿児島中央)や押村星舟(政経4=東京・芝)が善戦するなど健闘を見せるも、1ー3で敗れた。女子では井上晴未(政経2=神奈川・山手学院)が東日本学生女子チームとして出場。2試合を戦って1勝1敗で大会を終えた。

 3分間3本勝負(2本先取)で行われ、男子は1大学5人の団体戦となる。早大は初戦で桃山学院大と対戦した。早大の先陣を切ったのは橋口。三段を相手に勝利をつかみチームに勢いをもたらすと、次鋒・西村世潤主将(文構4=大阪・桃山学院)も勝利でつなぐ。中堅・押村はカウンターから胴に蹴りを決めるなど、充実の内容で3連勝とし、副将・河口陽(教4=新潟第一)も快勝。大将・金田空大(教3=大阪・明星)は先に一本を許す展開となるも、その後は実力を見せつけ5戦全勝で初戦を突破した。

 2回戦の相手は強豪・中大。先鋒・河口は序盤から攻め込まれる場面が目立つも、相手の攻撃を軽快なステップでいなしていく。リズムをつかんだかに見えたが、カウンターを浴びて一本を献上。そこからは相手のペースで試合が進み初戦を落とした。次鋒・押村は相手と間合いを取りながら隙をうかがう展開に。開始1分15秒まで0ー0の展開が続くが、面を狙って距離をつめたところを相手に投げられ一本を与えてしまう。それでも素早い攻撃を連続で繰り出すと、突きが決まり1-1に。しかし、またしても距離をつめたところを投げられてしまい、面に突きを許して敗戦を喫した。中堅・橋口は面に突きを決め幸先よく一本を先取すると、試合時間はこのまま残り10秒に。1-0で試合終了かと思われたが、後がない相手に対して受けに回り土壇場で一本を奪われてしまう。勝利目前で悔しい引き分けとなった。これ以上負けられない早大は、副将・金田が序盤から力強い突きで攻めるも、胴に鋭い突きを決められる。さらに連続で胴に突きが入り、開始40秒で敗戦となった。一矢報いたい早大の大将は西村主将。相手を抱え込むかたちで近距離戦に持ち込むと、そこから膝蹴りを相手の胴に決めて一本を先取。その後は膠着(こうちゃく)した展開が続くも、同じ展開から膝蹴りを決めて勝利を収めた。この結果、男子は1-3で敗戦。悔しい2回戦敗退となった。

突きで一本を取った押村

大将戦で勝利した西村主将

 東日本学生女子チームとして出場した井上は、初戦で中部日本学生女子チームと対戦。副将として臨んだ試合は開始早々面に蹴りを決められ、後がない状況に。それでも井上は突きを面に決め、すかさず一本を取り返す。さらに相手の投げ技をこらえると、最後は体勢を崩した相手に馬乗りになって勝負あり。終始落ち着いた試合運びを見せ、見事に逆転勝利を収めた。続く相手は西日本学生女子チーム。次鋒・井上は距離をつめて投げ技を駆使する相手に苦しい展開となる。投げ技から倒されて面に突きを許し、0-2で敗れた。

相手の隙をうかがう井上

 全国の舞台で収穫と課題を得た今大会。西村主将が「やってきたことが間違ってはいなかった」と振り返るように、押村や橋口が中大を相手に奮闘するなど、強豪と互角に渡り合える地力を持つことを示して見せた。女子では井上が2年生ながらその実力を発揮。ポテンシャルを秘める早大のさらなる成長を期待したい。

鋭い突きで一本を狙う河口

攻撃を仕掛ける橋口

積極的な攻めを見せる金田

(記事 矢彦沢壮真 写真 星野有哉、矢彦沢壮真)

結果

▽男子団体戦

1回戦

対桃山学院大学 5勝

〇先鋒 橋口翔平

〇次鋒 西村世潤主将

〇中堅 押村星舟

〇副将 河口陽

〇大将 金田空大

 

2回戦

対中央大学 1勝3敗1分

●先鋒 河口陽

●次鋒 押村星舟

△中堅 橋口翔平

●副将 金田空大

〇大将 西村世潤主将

 

▽全国ブロック対抗女子学生団体戦

対中部日本学生女子チーム

〇副将 井上晴未

対西日本学生女子チーム

●次鋒 井上晴未

コメント

西村世潤主将(文構4=大阪・桃山学院)

――チームとして今大会を振り返っていかがでしたか

 試合内容に関しましては、前回の東日本リーグ(東日本大学リーグ戦)と比較して練習の成果っていうのは着実に見られるなと感じたんですけども、試合後に関してチームのマインドが「これでいいだろう」っていう空気が感じられました。そういった部分は結果として負けているってことがあるので、敗北に対しての悔しさを持ってほしいと主将として感じました。 後期に向けて、全部やりきって、負けたとしても悔しいと思えるチームにしたいなと感じる試合になりました。

――初戦の桃山学院大戦を振り返っていかがでしたか

 先鋒の3年生の橋口が関西の三段相手に勝利を収めてくれました。先鋒でそういった空気を作れたっていうのが僕の試合の流れにすごく大きく影響していたので、僕自身の勝利というよりは、先に戦ってくれた後輩の橋口に感謝したいです。

――2回戦では東日本のライバルである中大との対戦でした

 リーグと比較して前拳であったり、コートワークっていうのは着実に実力向上が見られるなと感じましたが、結果として3対1で敗北しているっていうのは、依然大きな差があるなと感じました。その差なんですけども、もう少し論理的思考を増していくことによって、実力差っていうのはまだまだ埋めていくことができるなと思いました。

――個人としては大将戦で勝利しました。個人として試合を振り返っていかがでしたか

 相手が中央大学の主将で4年、スポーツ推薦という相手でした。僕自身一般生としてここまでやってきた状況で、4年生のスポーツ推薦の相手に一矢報いることができたっていうのは、4年間の自分の成果の1つではないのかなと感じました。

――今大会で得られた収穫はいかがですか

 1番大きかった収穫は、やってきたことが間違ってはいなかったなと感じたことですね。ジャブとコートワークっていうのを意識していたんですけど、そういったものに力をつぎ込んでいって、実力向上を感じました。相手との差が縮まっているのを感じていたので、このまま継続していくことは間違いではないのかなと思いました。

――チームとして、個人として今後への意気込みをお願いします

 部訓として、今年度は「オールアウト」っていうのを掲げています。全て出し尽くすっていうのを決めていまして、引退試合の府立(全日本学生選手権)を終えた時に 後悔が残らないようなチーム作り、チーム全員が後悔を感じないチーム作りをしたいなと思っています。個人に関しましては、本当に単純で、主将として団体戦で勝ち続けないといけないっていう使命があります。その責任を重く受け止めて日々の稽古に精進していくとしか言えないですね。

井上晴未(政経2=神奈川・山手学院)

――逆転勝利を収めた1試合目を振り返っていかがですか

 勝ったには勝ったのですが、正直相手の方が技術的には上だったと思います。自分の改善点みたいのを見つけられてよかったかなという感じです。

――格上相手の戦いとなった2試合目を振り返っていかがですか

 正直勝てると思ったので、めちゃくちゃ悔しいです。組みの方で自分の課題が大きいなと思ったんで、夏で頑張りたいと思います。

――今大会で得られた収穫を教えてください

 西日本とか中部(の選手と)と戦ってボコボコにされましたが、改善点を克服したら勝てると思えましたし、そういう改善点をたくさん見つけられて、夏の間にやるべきことがわかってよかったです。

――改善点というのは具体的にどういったところでしょうか

 まず組みが弱いことです。また、体幹はそこそこ強いのかなって思ったいたのですが、崩された時にやっぱり耐えの部分がちょっと弱かったと。あと1回戦は相手と同時に拳を出した時に。不十分だったのですが、相手の方に一本の旗が上がっていたので、自分の拳をもっと早くできるなと思いました。

――今後に向けての意気込みをお願いします

 秋は全国大会が多いので、個人でもその時にいい結果を残せるように、夏の間に強化したいと思います。