早稲田アリーナ内に新設された拳法場にて、伝統の早慶定期戦が開催された。早大は昨年の段階で11連覇中であり、その連勝を伸ばすべく期待のかかる試合であった。両校の応援部も駆けつけ盛り上がりが最高潮の中、副将の小田修一郎(スポ4=大阪・関大高)の押さえ込みが決まったところで勝利が確定、早慶戦12連覇を達成した。また団体戦の前に個人戦である早慶新人戦も行われ、髙橋真央(人1=東京・工学院大付)と矢原寛人(人1=熊本・宇土)が出場したが、こちらは慶大の選手に敗れ、2人とも優勝には手が届かなかった。
新人戦では矢原と髙橋の早大対決がみられた
開会式の後、先に行われたのは新人戦。早大からは2人、慶大からは1人が出場し、総当たり戦となった。第1試合は髙橋と矢原の早大対決。いつもは味方同士の2人であるために、お互いの手の内を知り尽くしているからこその激しい試合が繰り広げられた。激しい試合が繰り広げられた。開始15秒で先に一本を奪ったのは矢原。髙橋の面に突きが入りこれが有効打突となる。なおもお互いに攻め合っていたが、再び矢原の突きが髙橋の胴に入りこれが一本となる。かくして早大対決は矢原の勝利を収めた。続いて矢原と目片(慶大1年)の対戦。試合開始直後に相手の蹴りが矢原の胴に入り一本を取られてしまう。その後押さえ込むも得点につながらない場面が続き、試合時間が少なくなってきた。残り19秒の場面で、今度は矢原の突きが相手に入り一本を獲得。そのまま試合時間の2分が経過、試合は先に一本を先取すれば勝利となる延長戦にもつれ込む。しばらく互いに出方を伺っていたものの、再び胴蹴りを食らってしまい矢原は敗れた。最後は髙橋と目片の勝負。髙橋が得意とする蹴りがさく裂するも、なかなか決定打とならないまま試合は進む。先制こそ許したものの面蹴りで一本を奪い返した。しかし、二本目は先取されてしまい敗退。これにより新人戦は2勝を収めた目片の優勝で幕を閉じた。
続いて本戦の団体戦。早大からは3、4年生と杉井政樹(スポ1=大阪・関大高)という実力者ぞろいの陣を敷いた。先鋒の毛利公名士(商3=東京・つばさ総合)が危なげなく勝利すると、次鋒戦に出場したのは森川晋平(スポ3=奈良・青翔)。相手を押さえ込むことに成功するも一本とはならず、試合が動かぬまま時間が過ぎる。そして残り16秒の場面で、森川の蹴りが相手の胴に入り一本を奪取。残り時間が少なくなるにつれ相手の猛攻を受けたが一本を守り切り2勝目をあげた。しかし参鋒、中堅と連敗したことにより試合は振り出しに戻ってしまう。参将として出場したのは杉井。持ち味の機敏な動きで攻め続け、試合開始から55秒で面突きを決める。さらに残り時間35秒となった時、再び突きが決まり二本目を獲得。3勝目を挙げた再び早大がリードに立った。続いて副将は小田。格上の相手だったが果敢に挑んでいく。残り43秒の時に相手を押さえ込み、面突きで一本を得る。12連覇まであと一本。会場のボルテージが高まっている中、再び小田が相手を押さえ込み、そのまま胴を突いて一本。その瞬間、早大側からは歓喜の声が響き渡った。そして迎えた大将戦、「勝負は決まっていても自分は絶対勝たないといけない存在」と語った主将、小坂怜亜(教4=大阪・関西福祉科学大高)。その言葉通り、試合開始23秒後に相手の面を突いて一本を取ると、そのまま逃げ切り勝利。5勝2敗と快勝で早慶戦は幕を閉じた。
小田の押さえ込みは今大会の決勝点となった
12連覇を達成したことは、集大成であり最大の目標である府立に向けて早大日本拳法部に大きな自信を与えただろう。しかしその府立まで3週間を切った今、安心している暇はない。このチームで昨年の一回戦敗退という雪辱を果たすため、どこまで細部を詰めていけるだろうか。早慶戦に勝利した今の勢いに任せ、ことし1年を笑顔で飾るべく最後の戦いが、まもなく始まろうとしている。
(記事、写真 鈴木隆太郎)
※掲載が遅れてしまい大変申し訳ございません。
結果
▽新人戦
髙橋真央(人1=東京・工学院大付) 0勝2敗
矢原寛人(人1=熊本・宇土) 1勝1敗
▽団体戦
先鋒 〇毛利公名士(商3=東京・つばさ総合)
次鋒 〇森川晋平(スポ3=奈良・青翔)
参鋒 ●田部井達也(スポ4=東京・日大二)
中堅 ●田中照将(商3=東京・麻布学園)
参将 〇杉井政樹(スポ1=大阪・関大高)
副将 〇小田修一郎(スポ4=大阪・関大高)
大将 〇小坂怜亜(教4=大阪・関西福祉科学大高)
コメント
小坂怜亜(教4=大阪・関西福祉科学大高)
――早慶戦12連覇おめでとうございます
ありがとうございます。
――きょうは5勝2敗と昨年に比べて危なげなく勝利を収めました
昨年は僅差でしたし、確実に点を取ってくれていた小川(友太朗、平30商卒=広島・基町)さんと森(裕紀、平30政経卒=早稲田渋谷シンガポール)さんの2人が抜けたのでどうなるかと思っていました。ですが相手を想定しながら練習をしていて、みんなその通りに動けていたので作戦通りだと思います。
――小坂選手の前で勝利は決まっていましたがいかがでしたか
決まっていたとしても自分は絶対に試合に勝たなければいけない存在なので、いつも通りのプレッシャーと楽しさがありました。緊張はそこまでなかったですね。
――新人戦をご覧になっていかがですか
出場した2人からすれば実際に勝てる相手ではあったと思います。ですが、二本同じ判定で一本を決められ負けてしまうなどの詰めの甘さが出ていたので、まだまだ練習する意味があるように感じます。
――府立大会に向けて一言お願いします
今の時点から新たに力をつけるというのはほぼ無理だと思うので、いかに戦うかという作戦を立てることが大事になると思っています。部員のみんなでどう戦っていくかを考えて試合に挑もうと思います。