【連載】府立大会直前特集『万理一空』第2回 小坂怜亜×田部井達也

日本拳法

 第2回目にお話をうかがったのは、3年生のお2人。小坂怜亜(教3=大阪・関西福祉科学大高)、田部井達也(スポ3=東京・日大二)。同期で選手なのはこの2名だけ、他の学年とは少し違う、強い結びつきを感じました。

※この取材は11月9日に行われたものです。

「もう3年生なんだって感慨深くなりました」(小坂)

――お互いの他己紹介をお願いします

田部井 小坂は元気があって明るいので部の雰囲気を良くしてくれています。ムードメーカー的な存在ですね。

小坂 田部井は冷静な判断で、僕か迷った時に適切な助言をしてくれる…

――田部井さん笑ってますが…

小坂 (笑)

田部井 したっけ、俺?(笑)

小坂 こういう所あるんですけど、でも空気が読めて必要な時に適切な判断ができる奴です。

――田部井さんに伺います。日本拳法自体は関東で馴染みのない競技だと思いますが、なぜ始められたのですか

田部井 僕は元々少林寺拳法をやってて、目の前にブースがあったので寄ってみたっていうのと、その後の新歓の雰囲気が良くて入りました。

――小坂さんは、いつごろ日本拳法と出会われたのでしょうか

小坂 僕はそもそも自己推薦入試なので高校の時の日本拳法の成績を使って入学したんですけど、実は4歳からやっていたんです。元々体がそんなに大きく無かったので、親が「もし何かあったときに対処できるように」っていう理由で始めさせたらしいです。

――気づいたらやってた…みたいな感じですか

小坂 そうですね(笑)その頃の歳だったら選択権あんまり無かったと思うんで。

――なぜワセダの自己推薦入試を受けようと思われたのですか

小坂 高校の全国大会の時に、高校でも成績を残していたのでワセダのコーチの方に声をかけて頂いたんです。でも自分の頭のレベル的に早稲田に行けると思っていなかったので、これで早稲田に行けるならいいお話だなと思って受験することにしました。

――普段の練習では3年生がメニューを考えているとうかがいましたが、今年度メニューを作るにあたり意識したことはありますか

小坂 盛り下がらないようにっていうのは意識しています。盛り下がるっていうのは元気とか覇気なんですけど、下がりそうになったら声を出して盛り上げていく、みたいな。

――今年度から取り入れてみた練習はありますか

田部井 今年からウェイトトレーニングを取り入れています。関西の大学生と比べて体が小さいと話していたので、フィジカル面とかスタミナ面で強化しようとしていて。戸山キャンパスに行くようになりました。

――今季ここまでの試合を振り返ってみていかがですか

小坂 昨年よりも選抜大会(全日本学生選抜選手権大会)の順位が良かったりしているのでいいんじゃないかなと。組み合わせが良かったからと言う人もいるのですけど、自分としてはそこも実力だと思ってます。ウェイトトレーニングを始めたことで、力というか足腰の強さが出てくると思うのでこれからの部分もあります。

――ことし1年間の戦いで印象に残っている試合はありますか

田部井 僕は春の(東日本リーグ戦)国士舘大との対戦ですね。団体戦で出ていたんですけど、それまで大事なところで勝てなくて。あの試合で勝てたってことは自分の中で印象的です。

――夏の期間はどのような練習をされていましたか

田部井 それこそ、今みたいに試合が続く期間にはウェイトとかをする時間が取りにくいので重点的にやっていました。結構ガッチリめのメニューを組んでいたので、試合が多いこの時期とは内容が違いました。

――夏に合宿をされたと伺ったのですが、印象に残っているメニューはありますか

田部井 僕実は合宿前にゼミの都合で海外にいて…途中から参加してたんです。普通は夏期間の練習をしてから合宿なんですけど、いきなり合宿だったのでどの練習もキツかったです。

小坂 合宿…田部井がいなかったので、精神的にちょっとキツかったです。

田部井 すみません(笑)

小坂 まぁでもキツかったというよりは寂しかったというのもあります。同期の選手は貴重なので。(笑)あとは三人抜きをしなきゃいけない試合形式の稽古があって、それは上級生からやっていくんですけど。でもしんどかったっていうのもあるんですけど、その順番が当たり前のことなんですけど去年より早くなっててもう3年生なんだって感慨深くなりました。

――合宿中日にオフがあったと伺いましたが、何をしていらっしゃいましたか

田部井 最終日にバーベキューをするんですけど、そこが部員全員ではしゃぐ時というか楽しみにしてたんじゃないかなと思います。

小坂 僕もそうですね。そもそも合宿所の周りが田舎すぎて何も無いっていうような状態だったので、やることが無かったです。

――今期お二人から見て、チームの雰囲気というのはどのように変わって来ましたか

小坂 だいぶ良くなって来たんじゃないかと思います。そのさっき言ってたメニューにウェイトとかを入れようって言ってたのも田部井とか後輩とかだったので。その練習メニューを組み立てるのも全員の意見を取り入れてっていう風に変えたんですけど、目的とか目指す場所を一つにできた事でチームワークとか雰囲気とかも良くなったんじゃないかと思います。

田部井 試合が近くなると試合形式の稽古でもみんなで空気を盛り上げていく、(試合に)出ている人も出ていない人も同じように声を出すことで、勝つことに対する意識を一つにできるので良くなってるんじゃないかと思います。

日常

早大拳法部にとって欠かせないポイントゲッターである小坂

――試合前の験担ぎはありますか

小坂 僕は親が試合ごとに来てくれるので、東京観光したりしてリフレッシュしています。でも試合の直前に意識することは無いです。

田部井 僕は電車で音楽聞くくらいですね。ワンオク(ONE OK ROCK)とか好きなんで。

――今マイブームはありますか

田部井 後輩とは結構サウナと水風呂…17号館にサウナあるんですけどよく使ってます。

小坂 田部井どこ行ったんやろな…って思ってたら大体サウナにいますね。(笑)

「一試合でも多く一緒に戦いたい」(田部井)

普段の穏やかな姿から想像出来ないような攻勢をみせる田部井

――今の4年生の方々はお二人にとってはどんな代ですか

小坂 僕はここに入学が決まってからずっと春合宿くらいから参加させてもらってたんですけど、その時からよくしていただいていて。特に矢野さん(矢野慶、教4=東京・早実)は学部が同じこともあって授業の事を教えてもらったり部活以外の事でも面倒を見ていただいてたので頼もしいお兄ちゃん達って感じです。

田部井 僕も結構同期が少ない代なのでご飯とかもたくさん連れて行っていただきましたし、試合でも頼りがいがあって、プライベートでもお世話になったりと感謝しなければいけない事ばっかりですね。

――昨年の府立大会を振り返ってみるとどんな大会でしたか

小坂 関西学院大学に負けた時、自分も負けていたのでそのせいで去年の主将の橋本さん(橋本周平、H30社卒)に代表戦へ出てもらうことになってしまっていたので、自分の力が出せなかったという点では後悔の残る大会でした。迷惑かけたな、とかもっと力出せたはずなのにとか、そんなネガティブな気持ちでした。

田部井 僕は関学戦の前の青山学院大戦で引き分けてしまって、それが理由の一つで関学戦には出られなかったのでベスト4を決める試合に出られなかったことが悔しかったです。

――府立へ向けて意識していることはありますか

小坂 練習の時から、試合の時にどんな動きをするのか意識するように言ってます。練習は若干キツいみたいな感じで、後は相手の動きを頭で考えてどう戦えばいいのか、どう動けばいいのかを実践できるようにしています。

――府立大会で初戦から厳しい戦いになりそうです

小坂 そうですね、早慶戦と似た展開になることが予想されます。なのでビデオで研究したり、今のうちに全力でできることをしてます。試合になれば全員がやれることをやるだけなので、その前の準備をしっかりと。

――田部井さんはいかがですか

田部井 思うようにできない練習もあるんですけど最近はサウスポーで練習をしていて。普通にやったら勝てないので、得意な技に絞って練習したり、勝つための戦い方を意識するようになりました。

――今回の府立大会はどのような大会だと意識していますか

小坂 挑戦って感じです。たぶん僕は失うものは何も無いと思っているので。上を目指すだけのチャレンジの大会です。

田部井 同じくです。

――では府立大会への意気込みをお願いします

田部井 4年生が引退されてしまうんですけど、一試合でも多く一緒に戦いたいです。

小坂 先輩に迷惑をかけないように、絶対に勝つ。これを実現できるようにあと少し頑張っていきます。

(取材・編集 柴田侑佳)

府立への意気込みを書いていただきました

◆小坂怜亜(こさか・れいあ)(※写真右)大阪・関西福祉科学大高出身。教育学部3年。寝る前にはYouTubeをよく見るそう。2人で色紙に書く言葉を考える時は真剣そのもの。組み技はあまりしないとおっしゃっていましたが、今はそこを強化されているそう。府立大会での活躍を期待しています。

◆田部井達也(たべい・たつや)(※写真左)東京・日大二高出身。スポーツ科学部3年。対談ではどんなことを質問しても積極的に答えて下さいました。サッカーのゲームにハマっているそう。怪我を完治させて万全の状態で試合に出場されるのを楽しみにしています!