頂点の座には届かず悔しい敗戦

日本拳法

 今季の大一番・全日本学生選手権(府立)を3週間後に控えたこの季節。例年同様、下級生による新人戦(東日本大学新人戦)、および上級生の個人戦(東日本総合選手権)が同時開幕した。まさかの2回戦敗退を喫した昨年の新人戦。あれから1年、ことしこそはライバル・中大を抑えての準決勝進出を目指したワセダであったが、やはりあと一歩及ばず、悔やみきれない結果に終わった。一方の個人戦は4年生の小枝が準決勝敗退。ワセダから優勝者を輩出することはかなわなかった。

 新人戦の試合方式は5人制対試合、2分間の2本勝負。ワセダは初戦、副将戦こそ引き分けに終わったものの、そのほか4試合は難なく勝ち星を挙げて順調に2回戦へと駒を進めた。中大との対決、まず先陣を切ったのは3級保持者の小川友太朗(商1=広島・基町)。格上相手にうまく技をかわし、一本も取らせずに2分間を終えるとチームの雰囲気は大きく盛り上がる。その後も良い流れが期待されるが、次鋒戦、中堅戦ではいまいち調子が上がらず。すんなりと相手に流れを受け渡してしまう。しかしここで黒星を喫すればワセダの負けが確定という副将戦。森裕紀(政経1=早稲田渋谷シンガポール)が勢いよく膝や胴を攻めにかかり、見事2本を取りきる。なんとか勝敗の左右する大将戦へとタスキをつなげた。「あいつが『勝ちます』と言って勝ってくれたので、うれしかった」(橋本周平、社2=大阪・清風)。このつなぎとめられた思いを勝利という形へ変え、目指す準決勝へとつなげたいところ。すべては橋本に託された。しかし足りなかったのはわずかな思い切り。積極的に攻撃を仕掛けたものの、なかなか一本に結びつかずに引き分けに終わった。一勝二敗二引き分けで、ことしも昨年と同じく2回戦敗退。チームは皆、やりきれない表情を浮かべた。

肩を落とす大将・橋本

 同日に行われた東日本総合選手権には6名が出場。軽量、中量、重量の3つの級に分かれ、それぞれが頂点の座を目指した。しかし、年齢の垣根を越え強豪が顔をそろえる今大会では、次々と惜しくも敗退し、気づけば残るのは小枝信介(社4=埼玉・西武文理)のみ。小枝も「清水直人さん(第一普通科連隊)との戦いを突破することを目標にした」と語るよう、二回戦目に最大のヤマ場を迎えた。面突きで先行するも、一瞬の隙を突かれ倒され胴突きを入れられる。再び振り出しに戻され、こう着状態が続いた。しかし残り10秒となった、その瞬間、手を掴み合った状態から小枝が足を大きく振り上げ面に一撃。最後まであきらめない心で試合を制した。その後勢いに乗った小枝は準決勝まで進出。長田吉弘(第34普通科連隊)と激突すると、序盤は互いに技を繰り出し、どちらも受け手に回ることはない。ラスト52秒と戦いが終盤に近付く中、小枝が胴蹴り一本。会場に快音が響いた。このままこの一本を守りたいところだったが、そのあとすぐに相手に倒され一本を許し時間無制限の延長戦へ突入。延長戦では意地と意地のぶつかり合いで技を決めさせず。しかし、刻々と過ぎる時間に小枝の息が上がり始める。小枝が仕掛けようと足を振り上げた瞬間、その足を掴んで倒され、胴に長田の強烈な突きが入った。審判が勢いよく赤旗を振り上げる。小枝の準決勝敗退が決まった瞬間だった。

惜しくも準決勝敗退となった小枝

 延長戦にもつれただけに悔しい敗戦となったが、4強に名を連ねた学生は小枝ただ一人。「悔しさもあるが自分よりも体格の良い人を倒して準決勝に臨めたのは自信が付いた」と収穫も大きい。今大会で一回り成長を遂げた小枝はすでに次の大会を見据えていた。次戦に控えるのは、4年生が最後の大会となる府立。最後に有終の美を飾るため、ラストスパートを掛けワセダ拳士は鍛錬を重ねていく。

(記事 寺脇知佳、三佐川唯 写真 三佐川唯)

※掲載が遅くなり申し訳ありません。

結果

▽東日本大学新人戦

2回戦敗退



1回戦 対立大 4勝1分

○先鋒 三橋由吾(文2=北海道・札幌北)

○次鋒 小川友太郎(商1=広島・基町)

○中堅 森裕紀(政経1=早稲田渋谷シンガポール)

△副将 斎藤龍之介(法2=埼玉・早大本庄)

○大将 橋本周平(社2=大阪・清風)



2回戦 対中大 1勝2敗2分

△先鋒 小川

●次鋒 茂木蔵人(社1=東京・早実)

●中堅 三橋

○副将 森

△大将 橋本

▽東日本選手権

軽量級

2回戦敗退

高橋世駿(社3=東京・早稲田)

大栄卓磨(文構3=上智福岡)



中量級

2回戦敗退

三橋啓吾(スポ4=千葉・成田)

森和将(社3=神奈川・東邦大東邦)



重量級

1回戦敗退

中楯寛人(社3=神奈川・逗子開成)



3位

小枝信介(社4=西武文理)

コメント

小枝信介(社4=埼玉・西武文理)

――3位という結果に関して率直な気持ちをお願いします

もともとは2回戦の清水選手との試合で勝つことを目標にしてやっていたのでそこは勝ちきることができてよかったです。最終戦は結果だけ見れば悪くありませんが、内容としては自分のバテと精神面にかなり限界が近づいてしまってあと一歩のところで取りきれませんでした。満足してはいないですね。

――準々決勝を振り返って

最後の10秒くらいにタックルが決まって、手応えは感じていました。延長戦でも落ち着いて組めれば勝てるかなと思ったので予想通りうまく、相手を倒してまた蹴りを決めることができました。

――準決勝はいかがですか

準決勝は以前戦ったことがある相手で、イメージもしっかりできていました。しかし相手の体格がかなり大きかったこともあって途中から圧倒されてしまいました。結局延長戦でも自分の体力切れという面が響いて負けてしまったのでかなり反省するべき点は大きいです。

――相手もかなり疲れている印象がありました

はい、相手もかなり肩で息をしていて、足も動いていなかったので、機会を逃さず自分で攻めようとはしていたんですけど、自分も体力切れが迫っていて最後は体格に押し負けてしまいました。

――府立までに調整したい点は

基礎的なトレーニングですね。走り込みだったり体力的な部分を残された時間はあと少しですが補完したいです。また完全に組みと立ち技を分離して仕掛けていたので、府立までに自分の得意の組技に持っていけるような立ち技を集中して練習していきたいです。

――目標である清水選手を倒したことはいかがですか

そうですね、やはりあれだけ体格の良い選手を倒せたということには自分自身の成長が感じられましたし、自分の組技とパワーが多少は通用するということが自信になりました。

――最後に府立への意気込みをお願いします

本当に本当に最後の大会となるので、部員と一致団結して目標である優勝を取れたらなと思います。

橋本周平(社2=大阪・清風)

――新人戦(東日本大学新人戦)に向けての意気込みは

きょうの大会は2回戦で中大と当たることがわかっていたので、中大に勝って準決勝まで駒を進めようというのがチームの意気込みで、誰がきても勝とうというのが大将としての意気込みでした。

――チームをまとめるにあたって意識したことは

声かけですね。緊張していないかだとか、のまれないような声かけを意識していました。

――この大会に向けて特に練習してきたことは

うちは取る力が弱いので試合稽古を多くして、とにかくひとつ自分の得意分野をつくろう、という気持ちで練習してきました。

――中大戦の流れは

最初は1年生の小川友太朗(商1=広島・基町)が中大の中村をおさえて良い流れができましたね。森裕紀(政経1=早稲田渋谷シンガポール)もよくやってくれたと思います。自分につなぐためにはどうしても勝たなければならないので、それでもあいつが、「勝ちます」と言って勝ってくれたので、嬉しかったです。

――ご自身の試合を振り返って

攻め続けていても思い切って勝負できなかったですし、取られるんじゃないかと恐れるあまり出たとこ勝負になってしまったのが敗因ですね。大きな相手とどう戦っていくかが課題です。

――収穫点は

1年生がすごい伸び伸びと試合をしていました。ことしはダメだったんですけどこの試合を糧にらいねんの新人戦ではちゃんと引っ張っていけるんじゃないかと思います。

――府立(全日本学生選手権)に向けて

今回の負けを糧に、次は勝たなきゃいけない部分でしっかり勝とうと思います。