いよいよ全日本学生選手権(府立)を迎えた。この1年間、早大は府立で優勝することを目標にしてきた。だが準々決勝まで勝ち上がるも、関学大に敗れベスト8という厳しい結果に。有終の美を飾ることはできず、今季最終戦で悔し涙を流した。
1年間主将として部を率いた西野(左)
初戦は大阪市立大と対戦。3人まで終えて2勝1敗とリードし、中堅の西野誠士主将(社4=大阪・清風)が登場。相手は学生では珍しい四段保持者の強敵だ。先に面突きで一本を奪われたが、すぐさま面蹴りで取り返し引き分けの様相を見せる。しかし残り0秒になった瞬間、相手のひざ蹴りが西野の胴に決まり思わぬ黒星を喫した。だが参将の下島海(創理3=東京・巣鴨)、大将の沼沢祐典(教4=大阪・清風)が白星を挙げ、4勝2敗1分で2回戦を突破。続く3回戦は6勝1敗で難無く勝利し、迎えた準々決勝。対戦相手の関学大は「底辺レベルがすごく高いのでうちのチームが一番やりにくい相手」(神川紀信監督、平16商卒=広島学院)と、前々からポイントにしていた今大会のヤマ場であり、ここで勝利すれば優勝の可能性は格段と高くなる。絶対に負けられない早大は、先鋒の石田勝希副将(スポ3=大阪・初芝立命館)が幸先良く白星を奪取。流れをつかむかと思われた。だが「底力があった」(石田)となかなか次が続かない。参将までで1勝3敗1分と苦しい展開に。負ければ終わりの副将戦には下島が出場。ここで勝利し大将の西野に回したいところだったが、相手の猛攻を止め切れず2本先取され敗北。惜しくも早大の準々決勝敗退が決まった。だが最後は西野が一矢報い、2勝4敗1分で試合を終えた。選手たちは「今回は本当に優勝できるチームだったのでだいぶ士気も上がっていた」(猪又健一郎、創理4=東京・早実)、「絶対に総合力でも上だと思っていた」(田中健博、商2=東京・国分寺)と口々に語り、この幕切れに驚きと悔しさをあらわにした。
ラストイヤーは主力として活躍した猪又(左)
今大会をもって4年生は引退となる。来季は主力が多く抜け、スポーツ推薦者や経験者がほとんどいない早大は厳しい戦いを強いられるだろう。「拳法一筋で大学生活過ごさないと優勝できないと思うので、それなりの覚悟があって全国優勝を目指してほしい」(西野)。「悔しい思いをしたので締めるところは締めてしっかり頑張っていきたい」(石田)。主将の言葉をかみしめ、早大日本拳法部は来季への飛躍を誓う。
(記事 伊藤なつ実、写真 高橋千秋、中澤佑輔)
★初めての大舞台で勝利!
「まず出られたということがうれしい」(新井咲里、国教3=埼玉・不動岡)。女子部はことし新入生を2人迎え、団体戦出場が可能になった。昨季まで一人で女子部を支えてきた新井にとって今回出場できる喜びは人一倍大きい。1回戦では先鋒の新井が相手を組み倒し面突きで一本を奪い良い流れを作ると、中堅の吉村朱夏(基理1=東京・頌栄女学院)も勝利。2回戦へコマを進めた。相手は昨年度準優勝の同大。新井が引き分けに倒れると続く吉村、鈴木佑璃奈(文1=神奈川・湘南白百合学園)は完敗。白星を奪えず、2回戦敗退でベスト8に終わった。好成績を残すことはできなかったが、団体戦で初勝利を得たことは確実に今後の成長につながるだろう。
気迫のこもった戦いを見せる新井
※掲載が遅れ、申し訳ありませんでした。
結果
▽男子
ベスト8
2回戦 対大阪市立大 4勝2敗1分
○先鋒 土嶋悠太(創理4=東京・早実)
○次鋒 石田勝希副将(スポ3=大阪・初芝立命館)
●参鋒 田中健博(商2=東京・国分寺)
●中堅 西野誠士主将(社4=大阪・清風)
○参将 下島海(創理3=東京・巣鴨)
△副将 中山拓也(基理3=智弁和歌山)
○大将 沼沢祐典(教4=大阪・清風)
3回戦 対龍谷大 6勝1敗
○先鋒 土嶋
○次鋒 石田
○参鋒 猪又健一郎(創理4=東京・早実)
○中堅 西野
●参将 中山
○副将 下島
○大将 沼沢
準々決勝 対関学大 2勝4敗1分
○先鋒 石田
●次鋒 猪又
△参鋒 土嶋
●中堅 田中
●参将 沼沢
●副将 下島
○大将 西野
※シードのため1回戦は無し
▽女子
ベスト8
1回戦 対名古屋市立大B 2勝1敗
○先鋒 新井咲里(国教3=埼玉・不動岡)
○中堅 吉村朱夏(基理1=東京・頌栄女学院)
●大将 鈴木佑璃奈(文1=神奈川・湘南白百合学園)
2回戦 対同大 2敗1分
△先鋒 新井
●中堅 吉村
●大将 鈴木
コメント
神川紀信監督(平16商卒=広島学院)
――準々決勝敗退という結果についてはどうご覧になっていますか
ベスト4にずっと何年か連続で入っていて、ベスト4と8ではらいねんのためにも違ってくるのでなんとか死守したかったんですけど、正直ベスト8の時点で関西学院に当たるので厳しいとは思っていました。ある程度予想はできた結果かなと思います。
――関学大戦がポイントというのは前々から考えていたということですか
明治とか中央に比べて選手の個々のレベルが飛び抜けて強い人は一人ぐらいしかいないんですけど、底辺のレベルがすごく高いのでうちのチームが一番やりにくい相手でした。うちは相手の穴を突いていくので。関学は飛び抜けて強い選手は谷ぐらいしかいないんだけどみんなアベレージ以上なので、それだったらまだ明治とか中央のほうが良かったなという感じでした。関学が一番嫌だなとずっと思っていたけど抽選の時点で関学がきたのでこれはかなり厳しい戦いになるなとは思っていました。
――関学大戦には2、3回戦とはオーダーを大きく変えて臨みましたがその理由は何ですか
相手が2、3回戦は完全にわざと先鋒を空けてきて、明らかに偏ったオーダーを出してきたので、うちとの試合では先鋒に藤村を持ってくるだろうと思っていました。なので石田(勝希、スポ3=大阪・初芝立命館)にはだいぶ前から「お前は藤村とだぞ」と言っていました。正直、オーダーとしてはほぼ100%あたっていて誰に誰を当てるというところは当たっていたのですが、どこで誰に勝つかという読みが間違えていたのかなと思います。
――勝敗を分けたポイントはどういったところですか
大きく言うとワセダはまだ発展途上のチームで明治とか関大とか伝統強豪校に比べて勝ち続けるという文化が無いんです。勝ち続けるチームっていうのは勝ち慣れしないんですけど、うちは今シーズンずっと調子が良くて勝ち慣れしたところがあって、そこが伝統強豪校との差かなと思いました。強いところは勝っても勝ってもずっと勝ちを追い求め続けるから。うちはピークが東日本トーナメント(東日本大学選手権)の時だったなあと。薄々感じてはいたんですけど、急にこの2、3週間ぐらいでけが人が続出したり体調を崩す者が出ていたので、そこらへんをこれからどうやっていくかがポイントだと思います。
――4年生はこの大会を最後に引退となります
この4年生は非常に苦労した代で、1、2年生の頃はなかなか活躍できていませんでした。でも、3年4年で地道に力をつけてきたやつらだし、そういうのを振り返ってみると強い世代だったんですけど、この世代でベスト4を落とすとは正直思いませんでした。だけどこういうことがあるのが勝負だし、彼らみたいな選手がいてこのような負け方をするというのもワセダの歴史になって伝統のあるクラブになっていくのかなとも思っています。この4年生は僕が監督1年目の時からいる子たちなのですごくかわいかったし、絶対優勝させてあげたいなと思っていたので申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
――最後は負けが決まってしまった状態で試合に臨むことになってしまった西野誠士主将(社4=大阪・清風)にはどのような声を掛けられましたか
西野という選手は素晴らしく良い選手だったと思うのですが、1年生の頃からけがもあって伸び悩んでいた時期がありました。だから高校チャンピオンだった選手がワセダに入っていまいち結果を出せていないのってこれは俺のせいなんじゃないかとずっと思ったりもしました。でもその西野が3年生4年生で一生懸命頑張ってきて、その中でこういう結果になってしまって最後はなんて言ったかというと「すまんな、頼むぞ」と声を掛けました。
――そのお気持ちというのは
たぶん僕と西野二人にしかわからないことだと思いますね。その言葉をどう思うかというのは。
――来季に向けて一言お願いします
実は今シーズンで監督を退任しますので、これからは後任の監督が指揮をとられることになります。ですが、ワセダは初めてベスト4になってから5年間ずっとベスト4に入っていました。でもいつか落ちる時がきて、そこで落ちて終わったら伝統校のように継続的に強い組織にはなれません。でもここでベスト8に一回落ちてまた上がったら、これはずっと継続的に優勝を狙い続けられるチームになるということです。ワセダの歴史の中でも、まず一番最初にベスト4に入った5年前が大きなポイントだったと思うんですけど、落ちてらいねんまずはベスト4に入ろうということを目標に始められる。新しい監督が目標を定められると思うんですけど、そこで取り返すという経験をワセダの歴史の中に植え付けることが来季のチームの使命だと思います。
西野誠士主将(社4=大阪・清風)
――ベスト8という結果についてどう感じていますか
悔しいの一言です。
――2回戦は西野選手自身は敗れてしまいましたが、緊張はありましたか
そうですね。いままで拳法やってきて一番緊張しました。一番緊張して、きのうも全然寝られなかったんです。それで初戦でふがいないことをやって、その後「こんなんで引退を迎えてしまったらいままで練習してきたことが意味がない」と我に返れて、初戦負けましたけど、自分的には良いきっかけになりました。そのときは周りが勝ってくれたので周りに感謝しています。
――準々決勝の関学大戦では西野選手の試合の前に勝敗が決まってしまいました。ご自身の試合はどういった心境で迎えましたか
僕がする前に決まったので、終わってしまったなとまず思って、同時にこれは大学生活最後の試合になるなと思いました。大学生活最後の試合で僕の相手は高校のときの同期やったんですけど、それも縁を感じますし、ここは思いっきり自分の持っている力を出し切ってやろうと。大学生活最後の試合ですし、出せるものすべて出してやろうと思いました。
――主将としての1年間を振り返ってみていかがですか
やっぱり最終的に全日本ベスト8ですごい悔しいし、後輩にもっとこういう指導すればよかったというのもあるし、もうちょっとこんなことも後輩に教えられたなと。試合で同期とか部員が負ける姿を見て、「あのときもっとこう言っとけばよかった」とか思うシーンが何回もあって、それはすごい悔やまれます。実際ベスト8という結果で4年生が5人中4人レギュラーで出ていて、4人の中で(準々決勝で)勝ったのが僕だけで、3人は勝てていないので、ベスト8という結果でも仕方ないのかなと思います。でもベスト8という結果はすごい悔しいですけど、東日本はリーグ戦(東日本大学リーグ戦)もトーナメント(東日本大学選手権)も取ることができて、僕は後輩には感謝というか満足というか、良い後輩を持ったと思います。だからきょうの結果で、後輩に、もうちょっとこうしてほしかったとか愚痴とかそういうのは全く無いです。ただ僕は感謝しています。
――4年間を共にしてきた同期にはどういった思いがありますか
僕は1年生のときからこの大会にも出ていて、中学生から(日本拳法を)やっていたので試合に出る回数も多かったんですけど、佐藤(仁彦、教4=東京・大泉)は出ていませんが、沼沢(祐典、教4=大阪・清風)は3年の頃からレギュラーに安定してきて、猪又(健一郎、創理4=東京・早実)、土嶋(悠太、創理4=東京・早実)はレギュラーに安定しだしたのがことしだったので、最後1年間同期と一緒に団体戦を戦えて、すごい楽しかったですね。僕が1年生の頃からやっぱり団体戦は自分の同期が出て勝ちたいと思っていたので、それができてうれしく思います。
――最後に後輩にメッセージをお願いします
まずこの大会でベスト8という結果でシード権をなくしてしまったっていうことに関しては本当に申し訳ないと思っています。らいねん以降はことし主力だった4年生が抜けるし、スポーツ推薦もほとんどいないし、一般生が9割以上を占める部員で全国優勝を目指すというのはすごい困難なことだし、他の大学よりも優勝を目指すというのは難しいことになってきます。そのためには他の大学よりも頭を使って練習しなくてはいけないし、その上で量もこなさなくてはいけない。やらなくてはいけないことはいっぱいあるから、本当に優勝したいのであれば、他大学の学生と同じ練習量では絶対に勝てないし、心から優勝したいと思うのであれば、拳法一筋で大学生活過ごさないと優勝できないと思うので、それなりの覚悟があって全国優勝を目指してほしいと思います。
石田勝希副将(スポ3=大阪・初芝立命館)
――ベスト8という結果にはどのようなお気持ちですか
悔しいです。優勝を狙っていままでやってきたのでベスト8という結果は非常に悔しいです。
――準々決勝の関学大との試合を振り返っていかがですか
自分は先鋒で良い流れで来たのですが、むこうは経験者がたくさんいて底力があったのに対して、ワセダは応援とかも途切れてしまって悪い流れになってしまったので、そこは反省点かなと思います。
――やはり経験者の数で大きな差ができてしまうのですか
いえ、あまり無いです。でも関学大は推薦でたくさん取っているのでレベルの高い練習ができるのですが、ワセダはみんなで研究しながらやっていくのでそこで差が出たのかなとは感じました。
――今大会で引退となる4年生への思いはありますか
自分は1つ上の代には、ご飯に連れて行ってもらったりアドバイスしてもらったりと非常にお世話になったので、きょうで最後というのはとてもさみしいです。最後に「ありがとうございました」と一言言いたいです。
――副将として過ごしたこの1年間はどうでしたか
いままでは自分の事しか考えていなかったのですが、副将という立場になってチームの事を考える機会もあったので人間的成長もしたと思いますし、周りを見ることもできるようになったと思います。そこは良かったと思います。
――来季は主将となりますが、どのようなチームにしていきたいですか
雰囲気は今まで通りにしたいのですが、ことし悔しい思いをしたので締めるところは締めてしっかり頑張っていきたいと思います。
猪又健一郎(創理4=東京・早実)
――今回の結果についてどのように思われますか
今回は本当に優勝できるチームだったのでだいぶ士気も上がっていて、準々決勝の相手が関西学院大でかなりくじ運が悪いという話は前々からあったのですが、そこを倒せば優勝できると思っていました。まさか負けるというのをあまり考えていなかったので負けてしまって、僕のせいで負けたというのは傲慢(ごうまん)ですが責任は重いなと感じました。
――具体的な敗因は何ですか
僕は構えを相手がサウスポーならオーソドックスで、相手がオーソドックスならサウスポーでいつもやっているのですが、関学だったらオーソドックスの相手に当たるだろうと思ってサウスポーできょうも練習していたところ、いざ試合が始まってみたら全然知らないノーデータの選手でしかもサウスポーだったので、それがいまいち調子が上がらない要因だったかなと思います。あとはガツガツ来る選手に対して苦手意識があって、心の準備なくそのような相手だったのが、強いて言えば敗因です。
――今大会で引退となりますが、4年間を振り返っていかがですか
僕は2年生のときに一度靭帯(じんたい)を切って1年間ずっと何もできなくて、3年生の間も調子が悪くてつまらないなと思っていたのですが、4年生になってからようやくうまくいくようになってきてあとは勝つだけという感じでした。4年目が一番楽しかったのですが、1年生の頃から目標だった全国大会のメンバーに入って、自分が勝ってチームが勝つということに届かなくて力不足だったなと思います。/p>
――その中で最もつらかったことや良かったことは何ですか
つらかったのはやはりけがと3年生の時にずっと勝てなかったことですね。引き分けるような試合が多かったので、その時は本当に部活に行くのも憂鬱(ゆううつ)でした。高学年なのに勝てなくて恥ずかしいというか顔向けできないという思いがありました。あと良かったことは日本拳法をやっていて良かったと思える瞬間が何度かあってその時は本当に気持ちよかったです。
――後輩へのメッセージをお願いします
らいねんからは今の2年生が幹部になって仕切るのですが、まだ粗削りで欠点もたくさんある分長所もたくさんあってすごい見応えのある選手が多いですね。まだ完成されていないけど期待できます。これからもワセダが楽しみです。
土嶋悠太(創理4=東京・早実)
――試合を終えて、いまのお気持ちは
やっぱり優勝を狙っていたので悔しいです。関学っていうのは倒したら優勝できるような学校でヤマ場だと思っていたのでそこで負けたのはしょうがないですけど、勝ってそのまま優勝したかったっていうのがいまの正直な気持ちです。
――関学大戦、土嶋選手自身の試合は引き分けという結果でしたがそれはどう捉えていますか
前半で勝っておいてそのまま勢いを付けられればいいと思っていたので、先鋒の石田(勝希、スポ3=大阪・初芝立命館)が勝って次鋒の猪又(健一郎、創理4=東京・早実)は負けてしまいましたけどそこで僕が勝っていれば流れが作れたのではないかと思います。
――チーム全体の調子はいかがでしたか
やっぱり思い切りにかけていてみんな緊張していたんじゃないかなと思うんですけど、そういう精神的な調整っていうのもこれから大事になってくると思います。
――やはり最後の大会ということでプレッシャーもありましたか
そうですね。思っていたより緊張して足が動きませんでした。ひとつ心残りがあるとすれば最後の引き分けの試合を勝てれば良かったなと思います。
――きょうで引退を迎えますが、4年間を振り返ってどういうお気持ちですか
まだ終わった感じがしなくて、あした帰ってビデオ研究しそうなぐらいの気持ちなのでまた後からじわじわともう終わりなんだという実感が来るんじゃないかと思います。
――この4年間で成長した点は
最初は自分のことしか考えられなかったんですけど、4年生になってみんなを引っ張っていく立場になった時に、まだ自分のことしか考えられていないような下級生のことを気遣いできるようになったことが自分の中でも一番成長したところじゃないかなと思います。
――後輩に向けて一言お願いします
僕らの代は優勝を狙えたチームだったと思うんですけど、らいねんも同じ戦力かと言われたらそうではないと思うので、いま出ている人はもっと強くなってチームとしても底上げをしてもう一回優勝を狙えるチームになって府立で優勝してほしいなと思います。
沼沢祐典(教4=大阪・清風)
――準々決勝敗退となりましたがいまのお気持ちは
最終的に自分も負けた試合でチームも負けてしまったし、自分の勝ち負けで勝敗を分けたところもあったと思うので悔しいです。結局チームで勝とうと思っていたので後の方でぎりぎりのスコアで自分のところに回ってきたので気負ってしまいました。でも、無責任な言い方ですけど僕ももう引退なのでやり切ったという感じです。ただ引退試合で確実に悔しい思いは残してしまいましたね。
――「やり切った」と感じる一方で悔しさもあるということですか
やり切った感じもあるんですけど、結果はついてこなかったのでやはり悔しさはあります。
――関学大戦が引退試合となりましたが、その試合を振り返っていかがですか
チームの流れとしてもあまり関西の拳法についていけていなかった部分もあったので、良くない流れで自分のところに回ってきた時にどうにか試合の流れを変えられたと思います、まだ勝敗がわからない段階で僕のところに来たので。最低でも引き分けとかも考えたんですけど最後はアグレッシブに攻め過ぎてすかしたというか足をかけられた感じになってしまいました。引き分けでも実質負けみたいな感じで取りにいくしかなかったんですけどね。
――まず沼沢選手が一本取ったあとに相手に二本取り返されるかたちとなりました
結局代表選に持ち込まれても向こうの代表者は学生チャンピオンなので、それを考えたらきついなと思ったのでどうにか勝ちにいこうとして焦ってしまいましたね。一本取ってから足を使って取られないように工夫すれば良かったんですけど、足が止まってしまったのはもう一本取ろうという欲が出てしまったからです。
――2,3回戦と大将でしたが、準々決勝は参将としての出場でした
それは向こう側に裏をかくということで最初は大将というきついところで一旦僕が出て、そのあとに外すという意味で参将になったと思うんですよ。そこは意図を汲み取っていたし、監督ともそういう話をしていたので。1試合目は僕が勝たないと負けの試合で若干の気負いもあってしんどい試合になりましたけど、負ける相手ではなかったので勝てて良かったです。それを考えると、監督(神川紀信監督、平16商卒=広島学院)からすごく信頼をいただけていた結果ですかね。でも関学戦でそれを結果としてお返しできなかったのがすごく悔しいです。でも僕はそういうふうに自由に使っていただけるような便利屋タイプな感じで戦っていたので変更は特に気になりませんでした。
――4年間で成長したことは何ですか
4年間通して拳法的な成長はさることながら人間として成長したというか、こういうふうに取材の途中にちゃちゃ入れてくる仲良い仲間ができたっていうのが一番大きかったと思います。試合に出られるようになるまでも時間がかかったんですけど、先輩の技術を見ることもできたので技術的にも間違いなく進歩できる環境でした。ことしとかきょねんあたりは自分も上級生なので後輩にいろいろ指導できる立場になって、僕らは指導者があまりいなくて学生同士で教えあったりしていたので人を育てるようなこともできたりとか、1、2年の時よりはリーダーシップも取れるようになったのかなと思いますね。
――現役生活を終えて、いま思うことは何ですか
中学、高校から日本拳法をやってきて、学生拳法を10年やってきたんですけど、振り返ると青春時代がほぼ拳法という感じでした。最終的な有終の美は飾れなかったですけど、いろんな楽しい思いとかつらい練習とかをしてきて最後に残るのは結果もそうですけど、人の中に残るものというか、人とのつながりができたことが一番良かったと思います。強くなったとか強くならなかったとか勝ち負けとかも重要なんですけど、卒業した後でも付き合える人間ができたので、ただただ感謝ですね。あと親にも感謝しています。
下島海(創理3=東京・巣鴨)
――きょうの結果について一言お願いします
最後に自分が負けて勝負が決まってしまったので、それは悔しいです。
――関学大との試合を振り返っていかがですか
チーム全体で勝てるところは勝っていかなきゃいけなかったのですが、そこがうまくいかなくて残念な結果になってしまいました。来年は絶対負けないようにしたいです。
――主力として活躍したこの1年はどのような1年でしたか
団体戦は1年間通してまあまあ良かったのですが、個人戦ではあまり活躍できなかったので、らいねんは団体戦で府立に戻ってきて悔しさを晴らすだけでなく個人戦でもしっかり勝てるようもっと頑張っていきたいです。
――来季はラストシーズンとなりますが、抱負をお願いします
きょねんもことしも府立で悔しい思いをしたので、らいねんこそはリベンジして優勝したいです。
中山拓也(理3=智弁和歌山)
――ベスト8という結果についてはどう感じていますか
僕はきょうは1回も勝っていないので、実質力にはなれなかったので悔しいですね。最後の試合も出ることなく応援で見ていたのでやっぱり悔しいです。3年生になって試合に出られないというのは。
――初戦を振り返っていかがでしたか
最近の課題なんですけど足があまり動いていなくて、近い距離で打ち合うというのができていなかったです。先輩の声が聞こえていたので、2試合目とかはまだ、負けたんですけど、自分の動きだけ見たら1試合目より2試合目の方が良かったと思います。
――以前ひざをけがされていたとのことですが、状態はいかがでしたか
いまはもうほとんど完治していてまだちょっとリハビリ通えば終わりなんですけど、もう全然いまは違和感は無いです。
――3年生、幹部代としての1年間を振り返っていかがですか
正直、後期始まって合宿行った後の1ヶ月ぐらい入院で抜けていたので、最後の方は迷惑をかけてしまったなと思っています。試合の結果もことしは全然勝てていないので反省しています。らいねんは最上級生になるので、幹部ではないですけど、上級生として後輩を引っ張っていけるように頑張りたいと思います。
――今大会で引退される4年生にはどういった思いがありますか
4年生は部活ではもちろんなんですけど、オフの時とかでもよく遊んでもらったり、ご飯とかも連れて行ってもらって、やっぱり1個上の代は一番お世話になる代なので寂しいですね。皆さん働き出したら忙しくなって会う機会も少なくなると思うので。本当に寂しいという気持ちが一番です。
田中健博(商2=東京・国分寺)
――初めての府立出場となりましたが、緊張などはありましたか
緊張していつもは勝てるイメージを持って入場するんですけど、弱気な気持ちで入場してしまったのは、これから変えていきたいと思いました。
――初戦を振り返っていかがでしたか
当然勝てる相手だったと思うんですけど、自分の決め技の少なさと思い切りの無さであと一歩のところで結果は負けになってしまいました。
――準々決勝もあと一歩のところで勝利を逃してしまいました
すごい強いチームだったので、自分たちは。本来なら僕がちゃんと勝って次につなげるところでしたし、絶対に総合力でも上だと思っていたので、すごく残念ですね。
――ベスト8という結果についてはどう感じていますか
本来優勝しても全然おかしくない、むしろ全国で一番強いようなチームだったので、本当にこんなところで終わって悔しいです。自分も仕事をちゃんとできなかったので、らいねんは必ず戻ってきてしっかり勝ち切って全国優勝したいです。
――4年生はこれで引退となりますがどんな思いがありますか
あらゆるときに、部活以外でも、部活での技術的なことでも、何でも一から教わりましたし、一緒にいたのは2年なんですけど、本当に大好きな先輩だったので寂しいですね。
――らいねん幹部代となります。らいねんに向けて意気込みをお願いします
まずは僕が全国で通用する選手になることですね。ここから長期のオフになるので、やれることは全部やって、悔いの無いようにらいねん、さらいねん、あと2年間だけですけど悔いの無いように結果を残して過ごせるようにここから全力でいきたいと思います。
新井咲里(国教3=埼玉・不動岡)
――初めて出場された府立の感想はいかがですか
おととしは(部員が)一人しかいなくて出られなくてとても悔しい思いをしたので、まず出られたということがうれしいです。初めて女子の団体戦で1勝することができたのでこれをきっかけにしてこれからどんどん良いチームを作っていきたいと思います。
――初戦はご自身もチームも勝利されましたが、振り返ってみていかがですか
どうしても2回戦がとても強いチームだったので、「そこまでいこう、そこまでいこう」ってずっと話していて、確実に勝つことができたので、私にとってもチームにとってもプラスになったかなと思います。
――先ほどの話にもありましたが、女子部員が増えて団体戦に出られるようになったということに関してどう感じていますか
そもそも女子の競技人口が少ないので、もっともっと広めていかないといけないなと思っていますし、特に東日本は知名度が低いので、新歓とかでどんどん宣伝していって、女子もっと部員増やせたらいいなと、最低1年生3人ぐらい欲しいなと思います。
――らいねんに向けて意気込みをお願いします
らいねんの府立では優勝したいです。
吉村朱夏(基理1=東京・頌栄女学院)
――初めての大舞台に立った感想は
女子の団体戦はまだ2回目でしかも1年生なのですが、女子は部員が3人しかいなくて団体戦は絶対出るしかない状況でした。練習の成果を出すというか大会に出られるだけでうれしいので、力を出し切れたことが今大会では良かったところです。それと前回の団体戦では関東の大会だったんですけど負けてしまって、全日本の大会で1勝できたのですごくうれしかったです。
――団体戦では初勝利ということですか
そうですね。しかも新井咲里(国教3=埼玉・不動岡)さんはきょねんとかおととしは(全日本学生選手権の)団体戦に出られなかったので初めて出られて、初勝利ができたので良かったです。
――1回戦は吉村選手の勝利でチームの勝利が決まりました
私自身は2級なんですけど、名古屋の方は初段が2人と一級と二級の方が1人ずつで、普通2級の方は出さないので絶対相手は初段か1級の方に当たると思っていました。並んだ瞬間にわかるんですけど初段の方に当たったので結構びびっていました。でも先輩方の応援とかが聞こえて、いままで通りにやったらそのまま勝てたので自信につながりました。
――格上相手に勝利したということですか
そうですね。
――その要因は何だと思いますか
サウスポーっていうのもあると思うんですけど体格差もあって、咲理さんも二段で体格が小さい人には勝てたりもするんですけど、どうなんですかね。今回どうして勝てたのかはあまり自分でもわかってないです(笑)。そこはしっかりビデオ研究をして自分がどうして勝てたのかと、2回戦ではどうして負けてしまったのかを復習したいと思います。
――この1年間で成長した点や課題はありますか
とりあえず試合に結構出させていただけたので団体戦だとチームの流れをくんで戦わなければいけないし、練習と試合の違いとか対応の仕方を学べたことが成長した点だと思います。らいねんもたくさん試合に出られると思うのでそれを生かしていきたいです。私はまだ体力とかスピードが全然無いんですけど、ビデオ研究もありますし先輩方におっしゃっていただいたこともありますし課題が山積みなので、この冬はあと1週間終わるとオフに入ってしまうんですけど、オフ明けまでにいろいろ改善していきたいと思います。
――今後の目標を教えてください
男子の団体戦は7人とか5人ですけど、女子は3人なので2人でも試合が決まってしまうのでなるべく引き分けではなく勝ちを意識していけたらいいと思います。あとは、1年が2人と3年生で段と級の差が離れてしまっているんですけど、今回格上相手にでも勝てるというのがわかったので、そこで勝ってチームの流れを良くできるように頑張りたいです。
鈴木佑璃奈(文1=神奈川・湘南白百合学園)
――初めて府立はいかがでしたか
そうそうたるメンバーがそろっているなと思いました。対戦した大学はどちらもとても強かったです。
――ワセダの女子部が団体戦に出場する意義を教えてください
私はまだ1年生なので実感は湧かないのですが、3年の新井さん(咲里、国教3=埼玉・不動岡)が「初めて出られてとてもうれしかった」と言っていたので、私も頑張りたいなと思いました。
――まだ日本拳法を始めて半年くらいですが、どのような点が魅力ですか
実戦的だということが魅力的だと思います。あと自衛隊でも訓練に使われているようですし、形骸化していないという点も魅力だと思います。
――来季への課題をお願いします
まだ基本が固まっていないので基本の見直しをしてそれを身に付けること、あとは技のバリエーションを増やすことが課題だと思います。