5月の東日本大学リーグ戦で優勝し、この東日本大学選手権でも優勝を狙うワセダ。 男子はライバルである明大、中大を倒し、初優勝。圧倒的な実力が際立った。一方女子は立大に敗れ準優勝、形は惜しくも予選で敗退した。
「絶対準決勝を勝ち上がる」(沼沢祐典、教4=大阪・清風)という目標を掲げ挑んだ今大会。言葉通り2回戦までは危なげなく勝ち進み、迎えた準決勝。決勝の常連、明大との対決。先鋒西野誠士主将(社4=大阪・清風)が開始早々膝蹴りで一本取られるも、そこから胴蹴りを決めて逆転。勝利をつかみ、流れに乗ったワセダは参鋒田中健博(商2=東京・国分寺)まで3連勝。中堅石田勝希(スポ3=大阪・初芝立命館)は相手と駆け引きをしながら静かな試合を進め、残り2秒で得意の蹴りをお見舞いし、一本。決勝進出を決め、結果、目標の準決勝を5-2の勝利で終えた。
得意の蹴りで一本を取る石田(左)
初めて決勝へと駒を進めたワセダ。大会6連覇中の中大が相手となったこの決勝戦は、先鋒西野による開始19秒での速攻勝利から幕を開けた。そのまま勢いに乗るかと思われたが、次鋒石田が引き分け、参鋒土嶋悠太(創理4=東京・早実)が辛勝、中堅田中が敗れ、なかなか試合を決めきれない。そのような状況で、参将として登場した4年生の沼沢が意地をみせる。「準決勝で負けていたので、いいところを見せないと駄目だなと思っていました」と、引き分けかと思わせた勝負を残り9秒の胴突きで決着。思い切った姿勢が勝利を引き寄せた。会場も一気にワセダムードとなり、続く2人も2連勝。この結果、今大会初めての優勝を手にすることになった。
4年生の意地を見せた沼沢(左)
「引き分けが少なく、一人一人が確実に一本を取ったこと」(西野)が圧勝の要因となった今大会だったが、それは夏合宿や大阪遠征での練習のたまものだ。これから本格的に大会シーズンを迎える。夏の努力はワセダをどこまで強くさせたのか。今回の優勝をスタートダッシュにして、この秋を突き進んでほしい。
(記事 松本理沙、写真 伊藤なつ実)
初優勝を手にし、笑顔を見せる部員たち
結果
▽男子
優勝
1回戦 対関東学院大 7勝
○先鋒 西野誠士(社4=大阪・清風)
○次鋒 土嶋悠太(創理4=東京・早実)
○参鋒 田中健博(商2=東京・国分寺)
○中堅 石田勝希(スポ3=大阪・初芝立命館)
○参将 下島海(創理3=東京・巣鴨)
○副将 沼沢祐典(教4=大阪・清風)
○大将 猪又健一郎(創理4=東京・早実)
2回戦 対立正大 6勝1分
○先鋒 西野
○次鋒 下島
○参鋒 小枝信介(社2=埼玉・西武文理)
○中堅 沼沢
○参将 猪又
○副将 田中
△大将 石田
準決勝 対明大 5勝2敗
○先鋒 西野
○次鋒 土嶋
○参鋒 田中
○中堅 石田
○参将 下島
●副将 沼沢
●大将 猪又
決勝 対中大 5勝1敗1分
○先鋒 西野
△次鋒 石田
○参鋒 土嶋
●中堅 田中
○参将 沼沢
○副将 下島
○大将 猪又
※最優秀選手賞 西野
▽女子
準優勝
対立大 2敗1分
●先鋒 鈴木佑璃奈(文1=神奈川・湘南白百合学園)
△中堅 吉村朱夏(基理1=東京・頌栄女学院)
●大将 新井咲里(国教3=埼玉・不動岡)
※敢闘賞 吉村
▽一人形
松田道明(基理3=東京・早実) 予選敗退
▽二人形
猪又・下島組 予選敗退
コメント
西野誠士主将(社4=大阪・清風)
――初めての優勝ですが、お気持ちはいかがですか
春の東日本大学リーグ戦で優勝して秋のこの東日本大学選手権もしっかりととれて、団体戦は2つ優勝したのでそこはもう本当に良かったです。
――圧勝だったように感じたのですが、特に中大と明大への対策は何かしてきましたか
日頃から相手選手をイメージしてやることは一人一人に言っているんですけど、きょうはみんな引き分けが少なくきちんと一本をとれたことが圧勝できた理由だと思います。合宿や大阪遠征で結構練習した成果が出たので良かったです。
――久しぶりの団体戦ということで、部の中で統一していた意識などはありますか
みんな一人一人が勝ちにいく意識を持って積極的にということが一つと、4年生は団体戦がこれを入れてあと2回しか無くて、人生で団体戦をやるのはあと2回だからしっかり悔いの無いように、負けてもいいから思いっきりやり抜こうと同期には言っていました。
――後輩には団体戦の重みをどのように伝えていますか
日頃から言っているのは、団体戦は個人の戦いではないのでみんなで戦うということ。レギュラーメンバーだけでなく、応援する側も部員全員で一丸となって優勝をとりにいこうと言っています。
――個人のことについてお聞きしますが、9月の全・総合選手権に比べてレベルアップした点はありますか
気持ちですかね。技術的に大幅にアップしたことはあまり無いと思うんですけど、気持ちの方で格下であろうが格上であろうが常に油断をせず、ぶつかっていくというチャレンジ精神を忘れずに挑もうと思っていました。
――2週間後に控えている全日本学生個人選手権への意気込みをお願いします
狙うは優勝です。
沼沢祐典(教4=大阪・清風)
――優勝おめでとうございます。この結果についていかがですか
春のリーグ戦(東日本大学リーグ戦)でも勝っていて、東日本(大学選手権)の優勝争いは明治、中央、ワセダの3校に絞られるので、3位は実質最下位だと思っていました。なのでまずは絶対準決勝を勝ち上がるっていうことだけ考えてやっていたので、そこを勝った勢いで優勝したって感じです。
――優勝の要因は何ですか
僕らは夏合宿とかでも相手選手とかのデータをしっかり取って、どういう戦い方をするかを分析していたので、みんな落ち着いて戦えたと思います。
――決勝は手ごわい相手に逆転勝ちでしたが、その試合についてはいかがですか
最後のラスト十何秒かで、僕もいったん引き分けかなと思ったんですけど、思い切って踏み込んだら一本取れました。きょねんやことしの前期も引き分けが多くて、ここでガツンと思いっ切りいこうかなと。きょうは準決勝で負けていたので、いいところを見せないと駄目だなと思っていました。思い切っていって取れて良かったと思います。
――準決勝で敗戦した直後に決勝戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
1、2回戦からきょうはあまり調子が良くないなとか思いながら、準決勝を迎えちゃったので悪い流れだったんですけど、そこを決勝では切り替えてできました。決勝では僕が貢献して勝ちたいと思っていたのですが、結局僕の力では準決勝に貢献できてなくて。でも何とか気持ち切り替えていけて良かったです。
――今大会は団体戦で優勝しましたが、次は個人戦(全日本学生個人選手権)の大会が控えています。意気込みをお願いします
あまり個人で勝てるようなタイプではないんですけど。結構僕はいろいろな相手の情報とかしっかり見てから戦う感じなので、誰と当たるか分かっていたら戦い方とかいろいろ考えられるんですけど、ちょっと個人戦だとなかなかそこまでは回らないんです。でも、個人ではパッとした成績残してないので全国個人はベスト16以内に入りたいですね。そこで、全国相手にワセダになかなかの選手いますよ、くらいに見せたいです。
――その後にある団体戦(全日本学生選手権)に向けてはいかがですか
最近の関東勢は中央、明治、ワセダが1、2、3位を取り合っている状況になっています。例年は明治、中央に勝てなくて、悔しい思いをしていたんですけど、ことしは2回ずつ勝っていて、すごくいいイメージを持って戦えると思うので、ことしの団体は自分自身もすごく期待しています。だから、最後の大会ですし気を緩めずにやっていきたいですね。