東海王者を相手に粘り勝ちで決勝進出/全日本大学選手権 準決勝

女子ラクロス
全日本大学選手権 準決勝 11月23日 東京・大井ホッケー競技場サブピッチ
 
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q
早大
南山大
▽得点者
水野3、脇田、星川、西川、神谷
 

 初めての全日本大学選手権で東北大を倒し、そこから中5日で南山大との準決勝に臨んだ早大。第1Q(クオーター)から得点を重ねリードするも、南山大の粘りに屈して3度追いつかれる展開に。それでもAT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)の決勝ゴールなどで引き離して勝利を収め、決勝進出を決めた。

 早大は試合開始のドローを取ると、相手陣内に攻め入る。最後はゴール脇から抜け出した水野が、相手ゴーリーの意表をつくバウンドシュートを放ち先制。最初のプレーで得点を挙げ、幸先の良いスタートを見せた。しかし、打倒関東を掲げる南山大も負けじと早大に攻め入る。すると11分に同点ゴールを許して振り出しに。勝ち越したい早大は、12分にMF神谷彩乃(文構2=神奈川・桐蔭学園)がゴール前で水野からパスを受け、素早いシュートでネットを揺らすと、その直後には水野が1on1から再びシュートを決め3-1とした。だが第1Q終了間際、クリアの際にファールを取られて数的不利となると、南山大に追加点を献上して、リードは1点に縮まり第2Qへと突入した。

シュートを放つ神谷

 なかなか試合の流れを引き寄せられない早大は、第2Q2分に攻撃を止められずまたも同点に追いつかれる。ボールを保持して攻め上がる早大オフェンスだが、粘り強い相手守備陣に阻まれて突破口をつかめない。しばらく膠着(こうちゃく)状態が続く中、試合が動いたのは第2Q11分。自陣で相手のパスミスを逃さず、水野がものにすると快速を飛ばして相手ゴール前へ。まだ守備陣形が整っていない南山大に対して、数的有利の状況をつくり最後はAT星川陽恵(スポ4=埼玉・浦和一女)が落ち着いて決めゴール。我慢の時間を乗り越えて待望の勝ち越し点を挙げた。13分には西川がゴール脇から絶妙な角度でシュートを放つと、ボールはゴールへ吸い込まれ点差を広げる得点となった。

シュートを放つ水野

 後半も何度も追加点を狙いゴール前へ攻め上がる早大だが、固いディフェンスと相手ゴーリーの好セーブに阻まれて突破できない時間が続く。そんな中で守備陣は相手オフェンスの突入を食い止め、必死に早大のゴールを守り続けた。第3Qは終わってみれば両者無得点で5-3と、依然早大が2点のリードを保ったまま、最終第4Qが幕を開けた。

 決勝進出が近づく最終Qだが、ここで南山大の反撃に遭う。第4Q3分に追撃ゴールを許すと、その1分後にも自陣を突破され同点ゴールを決められてしまう。残り10分を前にして、試合はみたび同点に。相手の流れに押されるかたちとなった早大はタイムアウトを取り、立て直しを図る。「ここから早稲田の強みを発揮するところだ」(G柏原陽菜乃主将、創理4=東京・大妻多摩)と勝利に向けて自分たちのラクロスをすることを意識して試合再開に臨んだ。勢いを増す相手の攻撃を凌いで迎えた第4Q11分。自陣からボールをクリアすると水野が右上から1on1を仕掛ける。「絶対に決まると思ったショットだった」と鋭く振り抜いたシュートはゴールネットを揺らした。この日3点目となるゴールは値千金の決勝点。互いに譲らぬ激闘に終止符を打った。均衡を破った早大は流れに乗り、12分には脇田がファールを受けフリーシュートの機会を得る。全員が祈りを込めて見つめたシュートは相手ゴーリーの脇をつき大きな追加点となった。そのまま試合終了を迎え7-5で早大が勝利。苦戦を強いられた中、執念を見せ準決勝を突破した。

フリーシュートからゴールを決めた脇田

 1回戦から中5日と間隔が短く、狙っていた試合運びではなかったかもしれないが最後は意地で接戦をものにした。どんな状況でも自分たちのラクロスができることが今年の強みだ。準決勝を突破し、目標に掲げていた「学生日本一」まであと一つ。躍進を続ける『柏原組』は、決勝でも変わらずに早大のラクロスで頂点を目指す。

(記事 廣野一眞、写真 飯田諒、髙岡紗也、石澤直幸)

 

コメント

G柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)

――試合を終えて今の感想をお願いします

 勝ててうれしいというのはありますが、私たちの中では圧勝したかったという思いがあるので納得いかない気持ちもあるというかモヤモヤの残る試合でした。

――1週間という短い期間の中でどのような準備をしてきましたか

 この2試合(1回戦、準決勝)は早稲田がやりたいことをやる試合にしたいなと思っていたので、相手に合わせてやるというよりは早稲田のやりたいことを体現していきたいという話をしてました。特別に変えたこととかはありませんが、自分たちで(流れを)つくるところが難しかったです。

――前半の入りはいかがでしたか

 早稲田はリーグ戦(関東学生リーグ戦)では1Qが強くて勝てた部分があったのですが、(今日は)相手にセーブされたりとかして自分たちの流れをつかめなかったというところで、みんなに不安や焦りもあったと思います。

――第4Qで同点に追いつかれてタイムアウトを取りましたが、どのようなことを話し合いましたか

 自分たちの力を出し切れていない部分があったので、「ここからが早稲田の強みを発揮するところだ」という風に伝えて、気持ちを強くやっていこうという話をしました。

――受け身になってしまったりとかはなかったですか

 特になかったです。勝つつもりでやっていこうという話をしました。

――次戦の決勝戦に向けてどういった感じで調整していきますか

 相手は関西学院大か明大かというところで、どちらも強くていいチームだと思うので、今日みたいな流れだと負けてしまう部分があると思うので、自分たちの試合の流れのつかみ方であったり、細かい戦術の修正であったりするところを徹底的にやっていきたいなと思います。

 

AT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)

――試合を終えた今の感想をお願いします

 まずは勝てて良かったです。でも自分たちの考えていた試合とはかけ離れていて、私たちの原因ということもありますが初めて全国大会に出るという緊張とか、不安とか仕方ない面も多いなと思うので、3週間でしっかり改善して(決勝に)挑みたいなと思います。

――先制点も決めてましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 自分が点を取って勝たせたいという気持ちがあったので、初めからギアを上げてチームのスイッチになれるようなプレーをしようと思ってました。

――第4Qでは厳しい流れの中、ゴールを決めましたがどのような気持ちで決めましたか

 もう絶対ここで決めるしかないという気持ちで、みんなも自分が1on1をかけるという共通認識があったと思うので、そういう責任とかも感じながら思いっきり1on1をかけて、絶対決まると思ったショットでした。

――決勝ではどういったプレーをしたいですか

 一番大きいのは絶対にチームで勝って学生王者になるという目標を達成させるというところが大きいです。自分のプレーにフォーカスすると、自分の強みは1on1だったりグラボとかチームの基盤となるところにあると思うので、しっかりと自分の役割を果たしたいです。練習でやってこなかったことは試合でできないと思うので、3週間で自分の体調とかコンディションを上げて仕上げていきたいなと思っています。

――オフェンス全体ではどのような改善をしていきますか

 1on1をかける人とノンボールマンのコミュニケーションがまだ足りないのと連携が取れていないので、しっかりカチャッと歯車を組み合わせてみんながもっとやりやすいオフェンスをつくっていきたいなと思います。