関東学生ラクロスリーグ選手権 FINAL
11月3日 駒沢オリンピック公園第二球技場
Team | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
早稲田大学 | 2 | 2 | 2 | 0 | 6 |
明治大学 | 2 | 1 | 1 | 1 | 5 |
得点者
1Q
西川佳、脇田萌衣
2Q
西川佳、水野文萌
3Q
横幕円香2
4Q
なし
2週間前に行われたFINAL4に勝利し、創部史上初めて全日本大学選手権の出場権を手にした『柏原組』。関東ナンバーワンの称号を目指して、明大とのFINALに臨んだ。いきなり2点を先制されるも、第1Q(クオーター)のうちに追いつくと、中盤はテンポ良く得点を重ね、2点のリードで最終Qを迎える。終盤は不要なターンオーバーも相次ぎ、1点差に迫られたが、最後はG星井萌子(スポ2=東京・駒場)の好プレーでゲームセット。6-5で勝利し、初の関東制覇を成し遂げた。
ボールを運ぶAT横幕
序盤は両校ともに仕掛ける展開となった。最初のドローを制した早大は、AT水野文萌(創理3=埼玉・早大本庄)が1on1からショットを放つも、ゴーリーセーブに阻まれる。パスミスから明大にボールが渡ると、ランクリアから正確なパスで一気にゴール前まで運ばれ、シュートを許したが、インザクリースとなり先制点とはならなかった。その後も早大は決め切れない時間が続く。MF脇田萌衣(教4=東京・白百合学園)らが積極的に1on1を仕掛けるも、明大の固いディフェンスに対してなすすべなし。相手のマンダウンのチャンスも生かしきれず、ゴール前にボールを運ぶことすら困難な時間が続いた。ようやく得たシュートチャンスも枠外となり、チェイスで攻撃権を渡すと、明大は速攻を仕掛ける。早大DF陣も戻りきれないスピードで攻めこむと、あっという間にG柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)と1対1に持ち込まれ、10分に先制を許した。13分にも、ディフェンスの逆を突かれて2点目を献上。『柏原組』はいきなり厳しいスタートを強いられた。しかしその1分後、AT西川佳(文構4=東京・東洋英和女学院)がゴール裏から正面に回り込みシュートを決める。また1Q終了間際には、MF脇田萌衣(教4=東京・白百合学園)が1on1から一気に加速し、勢いのままにシュートを収め、すぐさま試合を振り出しに戻した。
第2Q開始1分、ゴール裏でボールをもらった明大の選手が、フィジカルを生かしゴリ押しでシュートを決め、再び追いかける展開に。Q序盤はなかなかドローを奪えず、ディフェンスセットの時間が続いた。早大のファールにより、相手にフリーシュートを与えるが、ここはG柏原主将がセーブ。直後にも明大のゴール前への効果的なパスにより、大ピンチを迎えたが、ここも好セーブで乗り切った。ディフェンスからどうにか勢いをつけたい『柏原組』。Q開始から攻撃権を得ることができていなかったが、開始7分、DF久野陽菜乃(スポ2=奈良・西大和学園)がグラボを拾いターンオーバーに漕ぎ着けた。AT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)のランクリアでゴール前まで持ち込むと、再びゴール裏でボールを受けたのはAT西川。右サイドから回り込んで放ったシュートがゴールネットを揺らす。1点目を彷彿とさせるショットで、再び同点に持ち込んだ。次のプレーでも攻撃権を得た早大は、MF神谷彩乃(文構2=神奈川・桐蔭学園)を中心とする攻撃を展開。すると10分、AT水野が得意のダッチからディフェンスをかわし、シュートを決めた。この試合初めてリードを奪った早大。その後は互いに決め切れず、4-3で試合を折り返した。
シュートを放つAT西川
迎えた後半、先にドローを制したのは明大。正面からワンバウンドシュートを試みるが、ここもG柏原主将のセーブで乗り切る。その後は両校共にパスミスが相次ぎ、ターンオーバーを繰り返した。試合が再び動いたのは5分、敵陣でボールを受けたAT横幕が、ランクリアからゴール前まで一人でボールを運び、体勢の整っていなかった明大ディフェンスの穴を突いてシュートを決めた。その後は相手オフェンスをDF山田麻由(商3=東京・国立)、DF戸上沙耶佳(スポ4=埼玉・市浦和)らのマンディフェンスで耐え凌ぐと、12分、再びAT横幕の左サイドからのショットで得点。この日最大の3点差をつけた。突き放したい早大だったが、終了1分前、ゴール前に陣取った明大選手へのパスが通り、1点を返される。2点差で最終第4Qに突入した。
2点のリードはあるものの、「早稲田は後半の流れが悪くなってしまうことが多い」(DF山田)ということもあり、全く油断ならない状態で迎えた第4Q。ドローを制した勢いのまま、MF田中美亜(スポ4=東京・国立)が放ったシュートを相手の好セーブに阻まれると、パスミスからターンオーバーに。すると4分、早大の2人がかりのディフェンスを突破し、上からのシュートを決められてしまう。これでついに点差は1点に。するとここでゴーリーがG柏原主将からG星井萌子(スポ2=東京・駒場)にバトンタッチ。2年生の長身ゴーリーが、絶対に失点の許されない重要な局面を任された。試合時間は残り11分。守りに入るには早い時間であり、突き放す得点が欲しい『柏原組』だったが、なかなか攻撃のチャンスを得ることができない。相手のミスに助けられる場面もあったが、そこで得たチャンスを生かしきれず、均衡状態が続いた。相手の再三のミスでようやく攻撃権を手にした早大だったが、第3Qまでの勢いある攻撃とは反対に、自陣でのボール回しを繰り返す。次第に明大のライドが激しくなり、押される展開が続いた。ようやく敵陣まで運び、相手のファールでフリーシュートを得たが、ここも相手のセーブに阻まれる。攻撃権はそのまま早大であったが、ここに来ても早大は自陣にボールを戻し、消極的な攻撃を続けた。どことなく悪い流れの中、残り3分、チェックによりボールを奪われてしまう。明大はまず追いつくのが絶対条件であり、ミスが許されないという状況の中で、まさかのパスミス。早大にとってはあまりにもラッキーな形で再び攻撃権を手にした。残り時間は3分。早大は守りに入らず、積極的にゴールを狙うが、チェイスを取られて再び相手に攻撃権を渡してしまう。すぐにゴール前に運び込まれ、いつ点を決められてもおかしくない絶体絶命のピンチであったが、最終盤、ゴールから大きく飛び出していたG星井が相手のパスをカット。そのままパス回しで敵陣に運び、試合終了。6-5で大熱戦を制した。
試合後、抱き合い喜ぶ選手たち
リーグ戦予選ではあと一歩のところで勝ち越しを許した相手に対し、今試合では逃げ切り勝利を果たした『柏原組』。前節に続きまたも創部史上初となる関東王者に輝いた。前回対戦では、クリアでのミスから勝ち越し点を献上しており、今試合の終盤でもそういった展開が見受けられそうになる場面もあったが、全員の献身的なディフェンスで乗り切ったことは、大きな成長だと言って良いだろう。次戦からはついに全国の舞台に足を踏み入れる。初戦の相手は東北大。東北学生リーグ戦では全チームに対し10点以上の差をつけて圧勝しており、まさに敵なしといった状態だ。そんな相手に対しても「やることは変わらない」(G柏原主将)とブレる様子は一切見せない。早大女子ラクロス部の新たな歴史を切り拓いた『柏原組』は、これからどんな景色を我々に見せてくれるだろうか。
(記事 長屋咲希 写真 廣野一眞、髙岡紗也、田中瑠花)
試合後インタビュー
G柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)
――関東を制覇した今のお気持ちはいかがですか
実感がないのですが、めちゃめちゃ嬉しいです。ただただ純粋に嬉しいです。
――前回の明大戦から今回に向けて対策したことを教えてください
前回は最後のクリアの部分でやられたので、しっかりクリアをつなぐということだったり、ディフェンスやアタックはちゃんとできていたので、そこの精度を上げることを意識してやりました。
――ゴーリーセーブが多かったですがご自身のプレーを振り返っていかがですか
最初は緊張していて全然ハマらなかったのですが、ディフェンスがしっかり流してくれたりとか、連携してできたので、だんだん緊張もほぐれて良くなったかなと思います。
――第4Qの途中でゴーリーが星井選手に変わりました。あの時の心境を教えてください
頼れる後輩なので、自信を持って行ってきてほしいと思っていましたし、絶対に止めてくれると信じてました。
――試合終了の瞬間のことは覚えていますか
嬉しすぎて何が何だか分からなかったのですが、本当に(関東一を)達成できたのだという思いと、やはり学生日本一をこのまま達成したいなという気持ちになりました。
――全国大会出場校に何か印象はありますか
やることは変わらないかなと思っていて。相手がどうであれ、自分たちが強ければ勝てると思うので、全力で勝ち切るためにチームとして成長していくということをこれからも意識してやっていきたいと思います。
――最後に今後に向けて意気込みをお願いします
明治もここから成長してくると思いますが、早稲田もしっかり成長して、絶対に学生王者になりますので今後も応援よろしくお願いします。
AT西川佳(文構4=東京・東洋英和女学院)
――関東を制覇した今のお気持ちはいかがですか
嬉しいということしかないです。FINAL4決めた時よりは実感もあって、学生王者に向けたスタートラインにいい形で乗ることができて嬉しい気持ちでいっぱいです。
――前回の明大戦から今回に向けて対策したことを教えてください
オフェンス面で言うと、前回の対戦では明治のライドが手強くて、オフェンスセットに運ぶためのクリアに時間がかかり、体力も削られて上手くオフェンスセットに回せないということがありました。なので、クリアのところでどう運ぶかというところは注力してやっていました。
――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか
前回の明治戦、FINAL4の中央戦では、個人的に不甲斐ない結果しか残せていませんでした。なので明治に対するリベンジというよりは、自分の成長した姿を相手に見せようという意味でも、自分の得意な裏1on1で決めることができてよかったです。
――今回の試合で課題は見つかりましたか
今日は強くない選手を選んで1on1をかけていた部分がありました。そこは全国で戦うにあたって、強いディフェンスの選手との対峙にも勝ち切らないといけなくなるので、まず個人技術の向上と、周りとの連携をもう少しやっていけたらいいなと思います。
――最後に全国大会初戦に向けて意気込みをお願いします
初めての舞台で、東北大学さんもどんなチームなのか全くわからないのですが、自分らしく、早稲田らしく、熱い試合にしたいと思います。
DF山田麻由(商3=東京・国立)
――関東制覇した今のお気持ちはいかがですか
絶対勝ちたいと思って試合に入りました。明大にリベンジすることもですが、やはり早稲田がまだ成し遂げたことがない関東制覇を目指していたので、嬉しいです。
――前回の明大戦から今回に向けて対策したことを教えてください
前回相手にやられてしまったところが明確だったので、しっかり修正して今回もやられないようにとはディフェンス陣で話しました。
――今日のディフェンスを振り返っていかがですか
やりたいことがしっかりできました。相手のやりたいことはやらせないということができたので、今日のディフェンスはすごく良かったと思います。
――終盤でライドの展開になったときの心境を教えてください
正直相手にボールを取られたくなくて、ライドになった瞬間はやばいかなと思いました。でも残り時間も少なかったですし、ここ絶対守れば勝てるって思ったので、最後もう1回気を引き締めて頑張ろうと考えていました。
――全国出場に向けての課題は見つかりましたか
今回第3Qはよかったですが、やはり第4Qであまり得点取れなかったり守れなかったりしてしまって。早稲田は後半の流れが悪くなってしまうことが多いので、そこは改善して、最初の力のエンジンを最後まで出し続けられたらもっと良くなるかなと思います。
――最後に全国への意気込みをお願いします
悪いところはしっかり修正して、いいところは継続して、12月15日の学生の決勝に向けて、しっかり頑張っていきたいなと思います。