第4回に迎えるのはMF五十嵐杏子(文2=神奈川・相模原)、MF水野文萌(創理2=埼玉・早大本庄)の2人。ともに2年生ながらチームの柱に成長しつつある。あすなろカップ(新人戦)、早慶戦を経験した2人に当時の心境や、初めて臨むリーグ戦への抱負を伺った。
※この取材は6月22日に行われたものです。
(大学の)4年間を無駄にしてはいけない(五十嵐)
対談に臨む2選手
――お互いに他己紹介をお願いします
水野 彼女の名前は五十嵐杏子です。誰もが欲張りたいところで欲張らずに、周りを見ながら冷静にプレーできるところが一番の魅力です。うまいプレーを当たり前にこなしながら、周りを見て落ち着いたプレーでどんな人とも協調できるところがすごいと思います。プレー以外では、私たち34期(2年生)の学年キャプテンとして先輩やコーチからも頼られる存在です。2年生の中で一番チームに貢献していると思っています。しっかりしてそうに見えて、少し隙もあるのですが、それを学年のみんなで補いつつ学年をいい方向に導いてくれる存在です。
五十嵐 彼女の名前は水野文萌で、誰もが認めるスーパールーキーという感じです。ラクロスはもちろんうまいですが、その裏ではしっかりと努力やラクロスへの情熱があり、そこの面に関しても尊敬しています。ラクロス以外の面では、末っ子キャラで放っておけない部分も多い変わり者なのですが、そのギャップが彼女の魅力でもあり、学年からもチームからも愛される理由かなと思います。
――第一印象と今の印象を教えてください
五十嵐 文萌(水野)の方が先に入部していて最初、自主練で基本の技であるクレイドルを教えてもらったのですが、その時は多分猫を被っていて(笑)すごい真面目で、本当に仲良くなれるのかなと思うくらいのタイプでした。今でも、真面目に自主練をするのは変わらないですが、ど真面目というわけでもなく堅苦しい感じもないです。素を出してきたという感じです。
水野 神奈川県から来た茶髪のヤンキーみたいな(笑)お姉さんでした。外見は本当にそうでした(笑)。あとはなんかいじられキャラなんだなと思いました。でもラクロスのセンスは抜群だという印象がありました。今もいじられキャラは変わらないですね(笑)。リーダーなのにいじられてる異質なリーダーみたいな感じがあります。印象も第一印象と大きくは変わらずに、落ち着いたお姉さんです。
――ラクロス部に入った経緯を教えてください
五十嵐 小中高とずっとバスケットボールをやってきて、大学ではサークルとかで軽く続けようとしてました。最初はラクロスはあまり考えていなかったのですが、サークルを見てる中でこの4年間を無駄にしてはいけないなと思って。その時にたまたまラクロス部を見つけてすぐに体験会に行ったら、雰囲気が本当に求めているものだったので、その日に入部を決めました。
水野 私は大学でバリバリに動くことは求めていなくて普通の大学生活を思い浮かべていました。ですが4年間打ち込めることがないと大学生活を送っている意味がないなと、ふと思って。そんな時にラクロス部にいる高校の先輩から、「ラクロス部はどう?」とLINEが来て、とりあえずグラウンドに行ってみました。その時に「ここに自分が入るんだな」と思って、そこからラクロス部に入らない自分が想像できなかったので入りました。
――MFになった理由はありますか
五十嵐 私たちの学年は最初から全員MFからスタートして、徐々にアタックの方が向いている人はATになり、ディフェンスに向いている人はDFになっていくかたちでした。その中で、そういう機会がなく今もMFでやっています。
――2年生(34期)はどういう学年ですか
五十嵐 まず仲が良くて、冬のオフ期間にみんなで旅行に行ったりしました。仲の良さはありつつも、みんなどこかではライバル視し合っていると思います。
水野 しっかりとみんながラクロス部のことを考えて日々ラクロスに取り組んでいることが、この学年の一番の魅力です。あと他の学年には自主練の量は負けないと思います。
――自主練には自分から行っているのですか
五十嵐 負けたくないから来てます(笑)。
水野 そう、自主練に来るのも負けたくない(笑)。
自分なりの道をつくれるように(水野)
――1年生が入部してきて先輩の立場にもなりましたがいかがですか
五十嵐 昨年はサマー(ステージ)、ウインター(ステージ)しか考えずに過ごして、チームのことも考えずに学年と自分のことしか考えていなかったです。今年の1年生は、私たちの学年の2倍くらいの人数がいてその中でもラクロスに対する熱意に差があったりするので、全てを教えることの難しさはすごい感じてます。
水野 あまり1年生と関わる機会がまだないので、先輩になった実感はまだ全然ないです。(これから)一緒のチームになっていくことを意識しながら、接しようと今思いました。
――今年の5月に行われたあすなろカップを振り返っていただけますか
五十嵐 サマー(ステージ)、ウインター(ステージ)で合同チームを組んだ法大とではなく、日本女子大と組むことになって練習時間がない中で一つのチームになっていかなければならないし、結果も求めなければいけないし、その先には早慶戦も控えてる中でだったので、サマー、ウインターとは別の難しさがある大会だったと改めて思いました。結果としては目標にしていた優勝を果たせなかったので、やはり悔しさもあるし、個人としてもチームとしても弱さが見えた大会だったなと思います。
あすなろカップの日大戦でフリーシュートに臨む五十嵐
水野 先輩と一緒にやる時は、先輩が導いてくださるので、ルートに従って自分は歩いていけばいいですが、自分たちだけになった時はその道標がなく、自分たちでつくっていかなければいけないです。その立場にもうすぐなるんだと、心の中で思いながらやった大会でした。自分がしっかりと引っ張る意識はあったのですが、うまくいかなかったなと思います。自分には引っ張っていく経験もなく、どうやればいいかも分からなかったので今後、先輩の姿から学んで自分なりの道をつくれるようになりたいと思った大会でした。一人一人は強いし勝ちたいという意思はあったのですが、まとまった時にその意識が合わさるけど大きくならなかったと思ったので、34期一人一人の意識が合わさったらもっともっと大きい力が発揮できるチームになっていけたらと思います。
――初めて出場された早慶戦はいかがでしたか
五十嵐 出場時間も短くて何もせずに終わってしまったという印象があります。今シーズン始まってから、早慶戦に出ることを目標にやってきたはずなのに、いざ出たら何もできなくてミスをして終わったという印象です。観客がたくさんいる景色とか、応援とか聞こえてくるというのはすごい貴重で、何もできなかったというのをこの先、リーグ戦や来年の早慶戦にちゃんとつなげなきゃと強く思いました。
水野 もっと緊張してる自分を想像してましたが、全然緊張しなかったです。早慶戦が楽しみで待ち遠しい気持ちのまま試合に入れたので、気持ちの面ではいい状態でした。ただいざやってみると、今シーズンは練習時間が長くて、ラクロスに割いている時間も長かったはずなのに、前半はミスに怯えて思い通りにプレーできずチームも点差をつけられて、甘くないなという印象でした。結局1点差というスコアでしたが、ラクロスも甘くはないんだと思いました。一つでも自分やチームに対して自信がなければ、ああいう大舞台で全部の力を出すことができないのかなと思いました。
早慶戦でボールを運ぶ水野
――あすなろカップ、早慶戦と続いた時期はいかがでしたか
五十嵐 メンタル的にもそうですが、あの頃は週6日で練習してこの学年はオフの日も自主練に使ってしまうので、結局週7日でラクロスやっていました。終わってから母にも「あの頃すごい疲れてたよね」って言われることがあってその頃はあまり気づかなかったのですが、結構疲弊してたと思います。
水野 一つのことに対して気持ちが大きすぎると逆に自分には合わないんだなと思って。あすなろは「ミスしてはいけないし得点を決めないといけない」と勝手に自分で背負ってるものがあったのですが、どうしたいこうしたいという欲よりは、自分ができることを一生懸命やればいいのではないかと思えた期間でした。
――初めてのリーグ戦について何か意識されていますか
水野 いつも通りにできることを積み重ねれば勝ちにつながるので、そのことを意識して大きいところや、遠いところを見るのではなく、しっかり目の前のことを踏んでリーグ戦を戦えたらと思っています。
五十嵐 毎日のメニューのところにリーグ戦まであと何練習であと何試合練習試合があってみたいなのが書かれていて、徐々にその数字が小さくなっていくのを見ながら「あ、始まるな」と思いました。リーグ戦に向けて、一番は早慶戦のプレーを繰り返してはいけないというのが大きいです。まだ2年生でもあるから、チームを勝たせるとか大きいことは言わずに、文萌が言ったようにできること、小さいことの積み重ねを試合の中でできたらいいかなと思います。
――ご自身のプレーの特徴はどのようなところですか
五十嵐 他己紹介で言ってくれた、協調という部分では味方のプレーを理解して、どういう動きをしそうだからこう動こうとか考えてプレーできるのは長所かなと思います。でもそのレベルがまだ低いので、そこはもっとあげていかなければいけないです。文萌みたいにブレーカーのプレーはできないので、1on1の強さやゴーリーと1対1になった時のショット精度など、得点に直接つながるプレーはもっとレベルを高めていかないとダメだなと思います。
水野 自分が頑張りたいなと思っていて、同時に今(力が)伸びているなと感じるのが、グラボ(グラウンドボール)とドローの時の奪取率です。そこは自分でも頑張りたいですし、負けたくない部分です。前よりはグラボの(クロスの)角度も良くなってきたと思うので、どんどんチームが攻撃できる時間を増やしていけたらと思います。あとは真正面で戦っても勝てない相手に対して、攻める工夫を考えていくのと同時に1on1の精度も上げていきたいと思います。
先輩たちと一緒に勝ちたい(五十嵐)
ワンプレーに集中する(水野)
――リーグ戦は4年生と一緒に戦う最後の舞台ですが、いかがですか
水野 (4年生は)私には持ってない統率力とか引っ張る力が圧倒的だなと思います。練習で求められることも多いですが、それをしっかりと言ってくれる先輩は貴重な存在だと思うので、それに応えたいなと思ってます。先輩と勝利を収めたいという気持ちは徐々に強くなってきました。
五十嵐 昨年は1年生としてチームが割と完成された状態で入ったのですが、今年は1月の始動から今までずっと先輩たちと一緒にプレーさせていただいて、思い入れもあります。統率の仕方とか練習では、下級生を巻き込んで勝つんだというものを感じました。私もその力になりたいですし、先輩たちと一緒に勝ちたいと思います。
――最後にリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
五十嵐 六大戦、早慶戦が終わって「公式戦になると何もできないんだな」というのが大きくて、同期の文萌が活躍しているのも見て「自分ってダメだな」と思ってしまうことが多かったです。リーグ戦では、できる最低限のことをやって、自分が納得いくプレーをしたいです。
水野 どんな試合の局面でも、欲を出さずワンプレーに集中して、自分の実力を全て出し切る試合にしたいです。できればたくさん勝っていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 廣野一眞 写真 飯田諒、廣野一眞)
リーグ戦に向けて意気込みを書いていただきました!
◆MF五十嵐杏子(いがらし・きょうこ)(※写真左)
2003(平15)年12月8日生まれ。神奈川・相模原高出身。文学部2年。毎日、神奈川の自宅から1時間40分かけて東伏見まで通っているという五十嵐選手。行き帰りの電車の時間をもっと効率良く使いたいと考えているそうです!
◆MF水野文萌(みずの・あやめ)
2003(平15)年10月10日生まれ。埼玉・早大本庄高出身。創造理工学部2年。ラクロスをやる時は雨が降っていた方が好きだという水野選手。その理由を尋ねてみると「雨だとみんなの調子が悪くなるから」とのことでした!