劇的な逆転を許し、ファイナル４へ望みをつなげず

　前節の明大戦で関東学生ラクロスリーグ戦（リーグ戦）初黒星を喫し、ファイナル４進出に向けてもう負けられない早大は、ここまでリーグ戦２勝２敗の青学大と対戦した。序盤から青学大の速い攻撃に苦戦して早大らしい守りができず、２Ｑ（クオーター）で４点ビハインドの苦しい展開になる。第３、４Ｑで５点を返し逆転をするも、終了間際に連続失点で劇的な逆転を許して敗戦。目標のファイナル４進出への道が閉ざされた。

応援席に向けあいさつをする一同

　前半は相手の縦の速い攻撃に苦しめられた。最初のドローは早大が取り、相手陣に攻め込むも得点できずディフェンスセットに入る。そこから相手に攻め込まれ、ゴール前でフリーになっていた選手にボールが渡り、先制点を許した。その直後のドローも早大が獲得する。相手の反則で獲得したフリーシュートをＭＦ高野莉子（政経４＝東京・早実）が決め、すぐに追いついた。しかし、その後も相手の１点目と同様にゴール前のフリーの選手に決められるという、普段あまり見られない失点を連続。１Ｑでいきなりタイムアウトを使う苦しい展開になった。タイムアウト後は、ＡＴ拝原花歩（政経３＝東京・早実）、ＭＦ脇田萌衣（教２＝東京・白百合学園）が得点をして振り出しに戻した。第２Ｑも早大らしいプレーができなかった。攻守共にミスが目立ち、青学大はその隙を逃さなかった。ＭＦ櫻井あか里（商４＝東京・早実）のゴールで１点は取るも、大量５点を与えてしまい、４点ビハインドで第２Ｑを終えた。

チームを鼓舞する木村

　「描いていたシナリオではなく少し焦りというか困惑はあったが、ハーフの折り返しの時にチームでここは自分たちから全員で奪いにいくしかないという気持ちをそろえて３Ｑに挑めた」とＧ山本芙結主将（スポ４＝静岡）が言うように、ハーフタイム明けの第３Ｑは早大のペースに変わる。相手のディフェンスがマンツーマンからゾーンに変わったところをＭＦ木村彩乃副将（法４＝東京・早実）が見逃さずファールをもらい、フリーシュートを決めて１点を返す。攻守共に前がかりで積極的に動き、相手ゴールを脅かした。なかなか得点に結びつかない時間もあったが、中盤にＭＦ川崎ひかる（法４＝東京・立川国際中教校）、終盤にはＡＴ松本彩雨（商４＝兵庫・鳴尾）が得点し、１点差まで迫って３Ｑが終了した。そのままの勢いでいきたい第４Ｑは激しい攻防が続く。早大はフリーシュートを何度か獲得するも決めきれず、守備では山本の好セーブで点を与えない。そうした状況の中、ＤＦ陣の好守からボールを奪い速い攻撃を仕掛ける。最後にＡＴ上野美桜（国教３＝東京・立川国際中教校）が決め、同点に追いついた。さらに、相手の攻撃を抑えてチャンスを作ると、松本が今日２点目となるゴールを決めついに逆転。劇的な逆転勝利かと思われた。しかし、次のプレーで失点を許し同点になった。残り時間が少ない中で早大に攻撃する時間を与えたくない相手は、後方でボールを保持を続ける。それに対し、早大は前線の積極的なライドで相手のパスミスを誘った。しかし、そのままつないでゴールを狙いたかったがミスでボールをロスト。守備の陣形が整っていない早大に対し相手はブレイクを仕掛け、残り時間数秒で劇的な逆転ゴールを決められた。ファイナル４進出に向けて望みをつなぐことができなかった。

逆転を許し崩れ落ちる一同

　終盤に粘りを見せ４点差をひっくり返すも、最後に踏ん張り切れなかった早大。木村が「早稲田の強みだなと思うが、あれができるなら最初からやっておくべきだった」と言うように、序盤のミスや失点を防ぐことができればこのような展開にもなっていなかったのかもしれない。ファイナル４への道は途絶えたがリーグ戦はまだ続く。松本が「この大好きなチームでできる２試合は一試合一試合、一瞬一瞬を大切にしたい」と語るように、山本組は残りの２試合でも早大らしいラクロスを貫き通し、勝利に向けて突き進んでいく。

（記事　田中駿祐、写真　梶谷里桜、田中駿祐）

コメント

Ｇ山本芙結主将（スポ４＝静岡）

――今の率直な気持ちをお聞かせください

　正直まとまらないというか、悔しいは悔しいですが劇的な負け方すぎて実感がないです。

――今日の試合を振り返っていかがですか

　序盤から相手にリードされる形というのは本来私たちが描いていたシナリオではなかったので、少し焦りというか困惑はありましたが、ハーフの折り返しの時にチームでここは自分たちから全員で奪いにいくしかないという気持ちをそろえて３Ｑに挑めました。結果３Ｑでは３－０でいい流れで４Ｑにつなげることができたので、悪いシーンだけではなかったと思います。ただ、最後の相手の点を取りに来る気持ちにこっちが負けていたのかなと思います。

――相手の速い攻撃に対してどのような対策をして臨みましたか

　青学は上に２枚下に４枚という形で上下に分かれるようなセットプレーをしてくるというのはスカウティングで分かっていました。そこに対して上の強い２人に対しての下４枚の連携を練習でも強化してきたのですが、序盤は連動しすぎてズレができてしまって最後に得点をねじ込まれてしまうというところがあったので、若干スピードに合わせきれなかったのかなというのはあります。

――リーグ戦を通じて終盤粘りを見せる場面が多かったと思います。その点はどのように思いますか

　追い上げができる理由は二つあると思っています。一つは今年のＡＴ陣のショット決定率に対してのチーム全体の信頼度が高くて、つなげば絶対に点を取ってくれると思わせてくれるようなＡＴ陣がそろっているので、諦めることなく前のめりで戦えていて、それが逆転などにつながってくるのかなと思います。もう一つはファイナル４という目標をチーム始動した時から全員に言ってきて、チームを引っ張る立場の４年生だけではなく、２，３年生含めサポートしてくれる全員がファイナル４を見据えて勝ち切るということに執着できるというところが、後半に強みを出せる理由なのかなと思います。

――残りの２試合はどのような試合にしたいですか

　ファイナル４は厳しくなってしまったとはいえ、応援してくださる方々の心を動かすような、原動力になるような試合をするというのは貫き通すところなので、一戦一戦全てを懸けて勝ち切るというところはこだわっていきます。

ＭＦ木村彩乃副将（法４＝東京・早実）

――今の率直な気持ちをお聞かせください

　いろいろな気持ちが入り混じっていますが、一番はずっと目標としていたファイナル４への道が閉ざされてしまったのでそこはシンプルに悔しいなという気持ちと、ここから立て直していくのが４年生の自分の役目だと思うので、そこはしっかりと気持ちを切り替えていかないとなという二つです。

――今日の試合全体を振り返っていかがですか

　最初から青学さんにすごい押された展開で、自分たちがしたかった試合展開を最初にされるというところからのスタートだったのが一番の敗因なのかなと思います

――ご自身の得点を振り返っていかがですか

　確か青学がマンツーマンからゾーンディフェンスに切り替えたタイミングだったので、そこでリズムを崩しながらファールをもらうということはずっと頭にあったので、そこでしっかり崩せてフリーシュートで決められたというのは振り返ってよかったかなと思います。

――リーグ戦を通じて攻撃面で終盤の粘り強さがありましたが、その点はどのように感じていますか

　早稲田の強みだなと思いますし、あれができるなら最初からやっておくべきだったというのはリーグ戦を振り返って思うところでもあります。エンジンのかかり方が悪く捉えると遅いかなというところもあるので、強みではありますがチームとして修正をかけていかなければいけないのかなという気持ちもあります。

――残りの２試合はどのような試合にしたいですか

　明日ミーティングをして今後の方針とかどういう気持ちでというのはやっていくつもりですが、個人としては今までやってきたことをしっかりと証明する２試合にしたいなと思いますし、しっかり勝ちにこだわって最後まで早稲田のラクロスで戦い切りたいなと思います。

ＡＴ松本彩雨（商４＝兵庫・鳴尾）

――試合が終わって、今の率直な気持ちを聞かせてください

　まだ気持ちの整理がついていませんが、ここでくよくよしていてもよくないと思うので、すぐ次の中央大学戦に向けて気持ちを切り替えて闘志を燃やしていこうと思っています。

――今日の試合全体を振り返っていかがですか

　前半で自分達のラクロスができなかったことがあとで大きく響いてきたのかなと思っています。第３、４Ｑで巻き返すことはできましたが、最後１点差で力及ばず、前半の点差が結果として苦しかったゲームでした。

――一時逆転となるゴールを決めるなど２得点の活躍でしたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

　雨が降っていて最初指のところでボールがあまりついていないと感じていましたが、積極的にボールを触っていくと、味方からいい形でボールが回ってきて自分で決めることができました。自分が決めてやる、という強い気持ちでプレーしました。

――リーグ戦を通じて攻撃面で終盤の粘り強さがありましたが、その点はどのように感じていますか

　ベンチも一体となって常に前を向いてまだ大丈夫だという雰囲気を作ってくださっていて、選手の中でも学習院大学戦など最後まで粘って勝つという試合からその経験を重ねることができました。今回も最後まで諦めてなかったのですが、私たちの流れに完全に持っていくことができなかったのがいつもと違うところでした。

――残り２試合はどのような試合にしたいですか

　私たちの目標のファイナル４は厳しくなってしまいましたが、この大好きなチームでできる２試合は一試合一試合、一瞬一瞬を大切にしたいです。個人としてはアタックとして点を取って責任をしっかり果たすこと、チームとしてはあと２試合適当にこなすのではなく、さらにチーム力を上げて、この敗戦で修正するところや課題がたくさん見つかったのでそこを修正して最後まで全力でやりたいと思います。