【連載】ファイナル4直前特集『Break Through』 女子・第1回MF鳥羽麦穂×DF古閑彩華×DF中島千鶴

女子ラクロス

 3年ぶりの関東学生リーグ戦(リーグ戦)ファイナル4進出を果たした女子ラクロス部。チームの勝利を支えたのが、堅い守備で守り切り、時にはチャンスメークもする三人だ。MF鳥羽麦穂(スポ4=埼玉・市浦和)、DF古閑彩華(人4=熊本大付)、DF中島千鶴(教4=神奈川・横浜翠嵐)にファイナル4に向けての意気込みを伺った。

※この取材は10月19日に行われたものです。

「これまでのシーズンよりも自信がある」(中島)

和やかな雰囲気の中で行われました鳥羽(左)、古閑(中央)、中島

――リーグ戦全体を振り返ってみていかがですか

鳥羽 新シーズンが始まり私たちの代になってから、時期によって基礎技術だったり集中してやることを変えて、コーチとも話をしたりして。その点では基礎技術というのをすごく高められてきた代でした。それがリーグ戦でも大事なところで使えたと思っています。

古閑 去年は引き分けから始まって、けがが続いた中で3戦目でやっと勝てて。でも今回は4戦目の立大と戦うときに3連勝で迎えることができたというのが一番大きかったと思っています。結構相手にリードされた中でも自分たちは3連勝してきているという自信があって、そこまで焦らず試合が展開できたのかなと思っています。

中島 私は全試合を通して結構自信があったかなと思っています。初戦の成蹊大戦も、鬼門だった日体大戦にしても両方とも先制点を決められて。でもそういう状況にも関わらず、いい意味で余裕があるというか。ヘラヘラしているとまではいかないんですけど、余裕があったからこそ厳しい試合展開でも勝利することができたのかなと思っています。今シーズンはこれまでのシーズンよりも自信があるのかなと感じています。

徹底した守備で相手の攻撃を阻止する中島

――今シーズンは最上級生として臨んだわけですが、昨年とは何か違いはありましたか

古閑 メンバーとしては去年とあまり変わらないので、やっている感じはあまり変わらないんですけど、4年生として試合に出る中で判断に重みがあるなと感じました。

中島 私は去年のシーズンで一度も試合に出させてもらえなかったので、良くも悪くも全てが初めての体験をラストシーズンでやることになりました。でも楽しめているかもしれないですね、逆境を楽しんでいる感じで(笑)。

鳥羽 私は去年までは部分部分で試合に出させてもらうことが多くて。フルで使ってもらうことはあまりなかったんですけど、今年はフルで出ることができて、自信がついたかなと思います。後輩に頼られることがすごく多くなったので、その点では言動にも責任感が出てきたかなと思っています。

――一番印象に残っている試合は

一同 これ絶対聞かれると思った(笑)。

中島 私は立大戦かな。結果もそうなんですけど、(立大が)思ったより強くないなと思えましたね。下馬評では今年は立大がすごく強いみたいな感じでした。結果として敗れはしましたけど、大したことないという実感が沸いたので、一番大きな収穫が得られた試合だったのかなと思います。普通に勝てる試合だったかなと。

鳥羽 私は立大戦と思いきや、日体大戦ですね。強さどうこうではなく、2年連続で負けている相手で、しかも去年はその試合(日体大戦)に負けて引退が決まった因縁の相手だったので。私たちのチームには飛び抜けてうまい人はいないんですけど、向こうには日本代表の人も1人いて。そういう人の存在は怖いものがあったので、勝ち切れたのは大きかったかなと思っています。

古閑 私はどれもあまり変わらないんですけど、一番日体大戦が50分を長く感じられた試合だったなと思います。リードしていたし、ワセダが優勢だったけど負けているというか、みんな慎重に試合運びをしている感じだったので、そういう点では日体大戦が一番印象に残っています。

――リーグ戦で個人のプレーを振り返っていかがですか

古閑 良かったと思うときはワセダが攻められているときなのであまりないですけど、個人というよりもみんなで守ったときのほうが印象に残っている気がします。これ答えになってますか?(笑)

中島 あまり覚えてないですね…。

古閑 ディフェンスの記憶って基本消したいものなので(笑)。

――今シーズン、先制点を相手に決められる試合が多かった中でも焦らなかったのには何か要因はありますか

鳥羽 それが普段通りすぎて(笑)。決められてから集中し出すというか。あんまり良くないんですけどね(笑)。

中島 後半のワセダみたいな感じです(笑)。

――ことしのチームの雰囲気はやはり良いですか

古閑 チームの雰囲気が悪いのが好きな代はいないと思うんですけど、私たちの代はそういう(悪い)雰囲気を作らないようには気を付けていますね。

――5月の早慶戦では10年ぶりの勝利を収めましたが、そのことに関してはいかがですか

一同 懐かしい!

中島 自分が思うより周りから言われることのほうが多かったかもしれないですね。自分ではそこまで浸ることはなくて、うれしかったんですけど、周りの反響のほうがすごかった感じです。

――その瞬間はうれしかったけれども、すでに次のリーグ戦に向けて目を向けていた感じですか

一同 そうですね。

――5月の早慶戦にピークを持ってくる難しさというのはありましたか

鳥羽 基礎はたくさんやりましたね。あの時期に組織として完成させる目標があるのはワセダと慶大だけだと思いますね。他のチームはリーグ戦まで長い期間があるので中だるみしてしまうこともあると思うんですけど、その点でワセダはしっかりとしたヤマができて。毎年のことですけど、良かったですね。それがリーグ戦へのステップにはなったと思います。

古閑 多分大変だったとは思うんですけど、早く早慶戦をやりたいっていう気持ちが前に出て(笑)。

中島 早慶戦への想いが溢れすぎて電車の中で泣いてたよね(笑)。

鳥羽 私たちのチームはブログをやっていて。自分たちで盛り上げて自分たちで泣くみたいな(笑)。

「努力次第でみんな一緒にうまくなる」(古閑)

――ラクロスは大学から始められる選手が多いスポーツですが、始められたきっかけなどはありますか

古閑 私はずっと水泳をやっていて。個人競技は良い結果を残しても1人で喜んでいる感じがして、もっと周りの人と喜びたいなと思ってチーム競技を選びました。その中でもなぜラクロスなのかというと、みんな言うとは思うんですけど、初心者から始められるので。みんなが今までやってきたスポーツに飛び込むというよりも努力次第でみんな一緒にうまくなると思うので、いいなと思って始めました。でも高3のときからラクロスの存在は知っていました、それがワセダにあるとは知らなかったんですけど。あったら入りたいなと思っていた感じです。

中島 私は浪人していて人より一年多く勉強しているのに(他の人と)同じ大学生活を送りたくないと思っていたのが最初のきっかけですね。他の人より充実した大学生活を送ろうと思ったときに出てきた選択肢が体育会に入ることで、でもワセダの体育会は本当にすごい人ばかりなので初心者でも日本一を目指せるラクロス部に惹かれて入りました。

鳥羽 私はバレーボールをやっていたんですけど、スポーツ大好き、球技大好きといった感じで。チームプレーも好きで。でもバレーボールを続けるにはワセダは強いという先入観があったので他のことを始めようと思ったときに、高校の頃もし私立に行っていたらラクロスを始めようとしていたのを思い出して。それがきっかけですね、そこで先輩に勧誘してもらって見学に行ったらすぐ決めました。

――新歓には結構力を入れてらっしゃるんですか

鳥羽 新歓係なので頑張りましたね。私が3年生のときは40人入部を目標にして。

中島 でも前よりはメジャーになってきているよね。――部員は100人を超える大所帯だと思うのですがまとめる難しさなどはありますか

一同 主将が大変そうですね。

鳥羽 でも割と私たちの学年はみんなでやっていこうという感じなので、主将を助けきれているかは分からないんですけど、みんなで話し合ったりすることが多いです。

中島 わりと話すよね。何でもかんでもじゃないけど。心配事はすぐ話します。

――同期のつながりが強いんですね

一同 そうです。ちょっと恥ずかしいですね(笑)。

安定感の光るディフェンスでチームを支える古閑

――それぞれのチームの中のキャラというのは

鳥羽・古閑 なかじはご意見番かな。

鳥羽・中島 あやかは自由人(笑)。

中島 むぎはブレインみたいな感じ。脳みそみたいな。

鳥羽 それうれしい。

――それぞれどういった意味なのですか

鳥羽 なかじはごもっともなところを突くんですよ。普段のその人の行動とかも含めて。

古閑 人をよく見ているんですよね。人に興味があるの?(笑)

一同 爆笑

古閑 よく分析しているんですよね。みんなのことをよく見ている気がする。

中島 そうなのかな(笑)。

古閑 人と違うところを見てるよね。

中島 あんまり考えたことないな。

鳥羽 でもだからこそチーム内でメンバー落ちとか上がるとかあったときに、その人の状況を見てるのもなかじだよね。

中島 自分が去年ずっとボーダーにいたり、2年生の頃はBチームにいたこともあって自分自身、安定したエリートコースじゃないからこそ、そういう人たちは気になりますね。

中島 あやかは何やっても許されるよね。

鳥羽 キャラ許しというか。

中島 あやかがやってることを他の人がやったら怒られるというか。

鳥羽 いい位置だよね。

中島 でも人にも寛容だから。絶対怒らない。

鳥羽・中島 怒られても動じない(笑)。

――さりげなくイライラすることなどは

古閑 いや、ないですね(笑)。イライラしたらこっちが気分悪くなるじゃないですか。あんまりイラっとしないですね(笑)。

――プレーに関してもそうなんですか

古閑 プレーも…。

中島 イラっとさせる方だよね(笑)。ディフェンスだから。

古閑 たしかに身体で思い切り当たられたら多少はイラっとしますけどね(笑)。それぐらいです。

一同 爆笑

中島 むぎはとても視野が広いと思いますね。プレーの他に、学年でミーティングしているときも全体的に一番大事なことを言ってくれる感じです。

古閑 ずれている話を戻してくれるというか(笑)。

――学年のミーティングは長時間行うのですか

一同 長いですね。すぐ話題がずれてしまうので(笑)。

――オフの日はどのように過ごされていますか

鳥羽 何かしてる?

古閑・中島 バイトしかしてない。

鳥羽 オフは基本女ラクとは遊びませんね。

中島 高校の友達と遊んだりとか。

――普段の練習も朝練ですよね。練習後には何をされているんですか

一同 それもバイト…(笑)。

「最弱世代が歴史を変える」(鳥羽)

オフェンス、ディフェンスどちらもバランス良くこなす鳥羽

――ここからはファイナル4に向けての話をしていきます。ファイナル4に向けて二週間弱となりましたが、今の心境はいかがですか

一同 早慶戦みたいにやりたい(笑)。

鳥羽 また泣いちゃうかな電車の中で(笑)。

中島 ブログ読んで泣いちゃうかな(笑)。

鳥羽 楽しみとはみんな言っています。

中島 3年ぶりだけど、自分としてはそんな気がしないな。

鳥羽 自分たちが1年の時に、先輩の姿を見て。そのときはまだラクロスのことを全然分かっていなくて。

中島 ただの観客だったもんね。

鳥羽 だから、実際あんまりイメージが湧かない感じです。早慶戦は去年経験しているからあんな感じかなって思ってすごいわくわくしたんですけど、ファイナル4はあの場所に誰も立っていないと思うので全然イメージがつかないから、そんなにあんまりドキドキはしてないんですけど、負けたら終わりなので…。

中島 そう思うとやばいね。

鳥羽 そう思うとドキドキします。

中島 負けたら終わりというのが怖い。試合自体の重みは違えど一戦一戦大切なものだったから、負けたら後がないということが初めてで。これから先(ファイナル4以降)はずっとそうだけど、それが変な感じ。想像ができない。

古閑 東海大のファイナル4進出が6年ぶりで、私たちも(ファイナル4を)経験したことがなくて。お互いにバタつくんだろうなっていうのは想像していて、バタつかない試合にしようっていう風にはやっています。関東のファイナル4は一番鬼門というか、勝つのが難しいという話をコーチもしていました。

――おっしゃっていたように、ファイナル4の相手の東海大は二年連続日本一の明大を負かしての出場となりました。その東海大の印象はいかかですか

古閑 あれは明大が良くなかったんですよ。

鳥羽 まあね、全然ショット入ってなかったしね。

古閑 東海大は慶大に引き分けてファイナル4にきているんですけど、負けていたらファイナル4に進んでいたか分からなかったし、東海大がどうこうというよりも、自分たちが普通通りにできればファイナル4で勝てるんじゃないかという感じです。

中島 勢いにさえ乗せなければ。

古閑 きょうは勝てたけど、明日やったら負けているみたいな試合ばかりだと思うので、これから先はずっと、そのときの50分でどっちが力を出し切れるかというのが勝負になると思います。

――みなさんが考える、ファイナル4でのキーマンはどなたですか

鳥羽 ドローが取れればほー(AT山田美帆、社2=米国・サウスブランズウィック)じゃない?

古閑 ワセダはアタックの時間を長くすれば絶対勝てるので、ドローを取ってアタックにつなげられるかが一番重要になってくるかなって思います。(ドローを取って)そのままショットが決まればほーかなぁ。

――山田選手であったり、他にも下級生の選手も活躍していると思いますが、下級生の印象はいかがですか

鳥羽 波はあるんですけど、爆発できるときはしてくれるので、そこは頼れる後輩かなと思います。たぶんその子たちの波が安定してきたら、上級生になってもすごく活躍できると思うので。

中島 ここぞって時の集中力がすごくない?決めてって思うところで、ほーとかがめっちゃドロー取ってくれたり。めぐ(MF永廣めぐみ、スポ2=米国・ラファイエット)とかも絶対ショット決めるし。ここぞって時の爆発力がすごいなって感じます。

中島 ないね、うちらには。

鳥羽・古閑 ないね。全然ない(笑)。

――下級生とのコミュニケーションはいかかですか

鳥羽 仲いいって思ってるけど、向こうはどうだか…(笑)。

一同 (笑)。

鳥羽 ちょっと怖いけど、仲いいって思ってる(笑)。

――ファイナル4でのご自身のプレーの目標はありますか

鳥羽 なかじはクリアじゃない?

中島 私はクリアかな。ボールを奪って走ります。

鳥羽 なかじ走れーって(笑)。

古閑  ディフェンスかあ…。見てほしいときはダメじゃん。押されてるときじゃん。だからあんまり見なくていい(笑)。むぎ先言って(笑)。

鳥羽 私は、球さばきかな?ゲームメイクって書いといてください(笑)。

古閑 私は?

鳥羽 あやかは安定感かな。

中島 司令塔?

古閑 司令塔…? じゃあそうしとく(笑)。

中島 意思がなさすぎる(笑)。

――最後の質問になります、ファイナル4に向けて意気込みをお願いします

中島 自信をもって楽しくやりたい。

古閑 確かに。

中島 それができれば絶対勝てると思う。

古閑 楽しくやるのが一番だね。去年日体大に負けてるんですけど、去年のリーグ戦5戦で一番楽しかったので。なので、今自分がラクロスやっていて良かったなって思える試合にしたいです。

鳥羽 お、かっこいい(笑)。最後にいいとこ見せたね。

古閑 鳥羽さんいかが?

鳥羽 今まではこれまでワセダが(関東)ファイナル以上に上がれなかったということもあって、先輩の思いとかも返さなきゃいけないなとか思っていました。最近はそれよりも、自分たちが今まで辛かったこととか、そういうのを仕返し、やり返してやろうみたいな気持ちのほうが強くて。なんだっけ、みんな言ってるやつ、最弱世代が…

中島 歴史を変える。

鳥羽 そう、最弱世代が歴史を変える。そういうことをしてみんなで引退したいなって思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 後藤あやめ、岡田静穂、冨田千瑛)

おのおのの意気込み(?)を書いていただきました!

◆鳥羽麦穂(とば・むぎほ)(※写真左)

1995年(平7)1月11日生まれ。身長162センチ。B型。埼玉・市浦和高出身。スポーツ科学部4年。オフは温泉に行ってリフレッシュするという鳥羽選手。ご家族で出掛けることもあるそうです。リーグ戦ではショットを決めるシーンもありました。ファイナル4でも鳥羽選手の一本に期待したいです!

◆古閑彩華(こが・あやか)(※写真中央)

1995年(平7)1月1日生まれ。身長167センチ。A型。熊本大付高出身。人間科学部4年。映画好きの古閑選手ですが、一番後ろの席で一人で見たいというこだわりがあるそうです。どんな状況でもペースを乱さず、相手オフェンスを封じ込めます!

◆中島千鶴(なかじま・ちづる)(※写真右)

1994年(平6)1月17日生まれ。身長160センチ。神奈川・横浜翠嵐高出身。教育学部4年。陸上のタイソン・ゲイの大ファンという中島選手。長年の思いが伝わったのか、SNS上でやり取りをしたこともあるそうです。プレーでは冷静な判断力でチームを支え、相手を圧倒します!