3年ぶりに宿敵・日体大を下す!

女子ラクロス
前半 後半
早大
日体大
▽得点者
鳥羽、平野響、畑田、大山、中川、滋野、原、永廣

 「日体大に勝てるかどうかがファイナル4に進めるかを左右する」(AT小谷英里主将、国教4=東京・大妻多摩)。関東学生リーグ戦(リーグ戦)第2節は昨年、一昨年と同リーグで敗れてファイナル4進出を逃すこととなった因縁の相手、日体大との一戦となった。3年ぶりのファイナル4進出のためにも絶対に負けられない試合であったが、前半を4-3で折り返すと後半にさらにリードを広げて8-5で勝利。これまで苦汁をなめていた相手に雪辱を果たした。

 試合は序盤から両者がせめぎ合う。開始2分に先制点を決められるが、その2分後にMF鳥羽麦穂(スポ4=埼玉・市浦和)のゴールですぐさま追い付き、MF平野響子(スポ4=茨城・土浦二)、MF畑田奈美(スポ4=東京・法政女)が追加点。しかし日体大も負けじと15分、17分に立て続けにゴールを決めて同点に。拮抗(きっこう)した展開の中、早大は相手のファールで得たフリーシュートのチャンスを決め切れない。それでも前半終了間際に平野響からパスを受けたAT大山咲里桜(人3=東京・国学院)のゴールで勝ち越し、1点リードで前半を終えた。

山田はドローから度々チャンスメーク

 後半開始のドローは、この日ドローが絶好調のAT山田美帆(社2=米国・サウスブランズウィック)が取り、そのままショットまで持っていく。そのまま早大ペースで進むかと思えば、日体大も自陣から駆け上がって早大ゴールに迫る。リードを広げたい早大と、同点に追い付きたい日体大。次の1点が流れを左右する場面でゴールを決めたのは早大だった。AT中川真菜(スポ3=大阪・茨木)がゴール裏から正面に放ったショットが決まり、チームを勢いづける。ディフェンス陣もDF細見千明副将(文構3=千葉・昭和学院秀英)がナイスカットを見せるなど安定感を見せた。早大はその後も日体大の徹底したマンツーマンディフェンスに対してパスと、自分で切り込んでのディフェンスの突破をうまく使い分けて攻め込み、フリーシュートなどで確実に得点を重ねていく。終了間際にはMF永廣めぐみ(スポ2=米国・ラファイエット)がとどめの一撃を突き刺し、8-5で日体大を撃破した。

2戦連続で得点を決めた中川

 宿敵を下し、リーグ戦2連勝を飾った早大。しかし、「丁寧故に消極的なところもあった」と川上順久女子部ヘッドコーチ(平10理工卒=東京・早大学院)が語るように、確実性を重視したためパスに走り、ショットを打てなかった場面も見られた。丁寧に試合を運ぶところと積極的に攻めるところの切り替えが強豪校との対戦、さらにはファイナル4進出に向けて重要になってくるだろう。次戦は青学大戦、その次は立大戦とどちらも油断できない相手との対戦。「気持ちを切らさずに最後まで走り続けたい」(中川)。さらなるレベルアップを遂げ、次戦は序盤から相手を圧倒していきたい。

(記事 小川由梨香、写真 後藤あやめ、高橋豪)

コメント

川上順久女子部ヘッドコーチ(平10理工卒=東京・早大学院)

――ここ2年リーグ戦で敗れている日体大との対戦となりましたが、どのような試合にしたいとお考えでしたか

2年連続で負けているとはいえ、ことしの日体大はそこまで戦力がそろっていなかったので、圧倒して勝ちたいと考えていました。ただやはり2年連続で負けている相手ということで、きょねん(日体大戦に)出ていた今の4年生を中心に出して必要以上に丁寧にやってしまったことが、逆に苦しい試合運びになってしまったのかなと考えています。

――もう少し点差を広げられた可能性があったということでしょうか

そうですね。もう少し差を広げられたかなと感じている部分もあるんですけど、自分たちが丁寧故に消極的なところもあって、なかなか点数という結果には結びつかなかったかなと思います。

――丁寧というのは、ミスなくプレーするということでしょうか

そうですね。ミスがないように、敵が近かったらパスをちょっと我慢するといった部分で我慢しすぎて普段通りやれないところもあったかなと思います。

――先制点は日体大でしたが、追い付いた後は終始早大がリードするといった流れでした。試合展開についてはどうお考えですか

最初に点を取られることはありましたが、(相手が)そこまで爆発力のある攻め方をしていたわけではないので、慌てずに、これだったら勝てるかなと思いながら落ち着いて見ていることができました。

――選手の皆さんはことしこそ勝つぞと燃えていたわけではなく、落ち着いていらっしゃったのでしょうか

そうですね。口で言っていることとフィールドに出た時とでギャップはあろうかと思いますが、どこかでみんな勝てるのではないかという気持ちは持っていたのではないかと思います。ただここ2年苦杯をなめている相手ということで丁寧にやるということとのバランスの整理がし切れなかった部分もあるのかなと思います。

――前回の成蹊大との試合ではドローがあまり取れていない印象でしたが、きょうのドローについては

きょうは成蹊大戦で出していなかった2年生(AT山田美帆、社2=米国・サウスブランズウィック)をドローで起用して、相手との相性も良かったのか結構ハマって結果を出してくれたので、そこは収穫だったかなと思います。

――日体大に勝利したことでファイナル4進出にも大きく近づいたのかと思いますが

そうですね。2試合連続で勝てたのは良かったかなと思うんですけど、自分たちの前に試合をしていた立大と青学大も結構良い試合をしていたので、気の抜けない試合が続くかなと感じています。

――きょう見つかった課題については

パスキャッチミスが少しあったので、どんな試合の中でも基本基礎をきちんとできるようにチームをもう一度一からつくり直していきたいと思います。

――次戦・青学大戦に向けての意気込みを聞かせてください

日体大戦に続いてきょねん良い思いをしていない相手との対戦なので、次は最初から思いっきりプレーをして点数を重ねて相手を圧倒していきたいと思います。

AT小谷英里主将(国教4=東京・大妻多摩)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨まれましたか

いつも通りのことをやろうという感じで、勝たなきゃとあまり気を張り詰めずにやっていこうと思っていました。

――実際に試合を終えてみての感想を聞かせていただけますか

本来もう少し点差をつけて圧勝したかった試合だったので、自分たちとしては課題の残る、自分たちのいつも通りのことができない部分が出てきてしまった試合だったと思います。

――きょうのプレーの中で、もう少しやれたかなと感じた点はありますか

もっと自分たちがぐいぐい行くというワセダらしさ、泥臭さといったところに対してきれいにやろうとしてしまった部分はあります。

――1-1に追い付いた後は早大のリードが続きましたが、リードした展開だとやはり追いかける展開の時と比べてメンタル面で違いが出てきますか

そうですね。ビハインドでいるよりもリードでいる方が余裕を持ってプレーできるんですけど、自分たちは3点差をつけることを練習の時から大事にしているので、3点差がついた時にはやっと自分たちらしさが出てきたかなと思いました。

――前後半で何か変えた点はありましたか

後半の方が前半よりも自分たちがいつも通りやっていることをやるということが徹底できていたかなと思っています。

――ご自身がプレーしていて、ことしの日体大はきょねんまでと違うなと感じた点はありましたか

毎年日体大はゾーンを組んできたんですけど、ことしはマンツーマンということで、逆にワセダとしては得意なマンツーでできたという点でことしは相性良く戦えたかなという印象です。

――日体大戦はチームとしてもかなり重要視されてきたと思いますが、きょう勝利できたことはチームにとっても大きいですよね

日体大に勝てるかどうかがファイナル4に進めるかを左右すると思っていたので、きょうのこの1戦は非常に大事にしていました。

――次戦は昨年リーグ戦で引き分けた青学大との試合となりますが、どのようなプレーを展開していきたいですか

青学大に対してだからというよりは、いつも通りのワセダのプレーをしていくことを大前提にやっていきたいと思っています。

――最後に次戦への意気込みをお願い致します

青学大には昨年引き分けた悔しい気持ちもあるんですけど、いつも通りということをキーワードに次もやっていきたいと思います。

MF鳥羽麦穂(スポ4=埼玉・市浦和)

――きょうは2年連続敗北している日体大が相手でしたが、どのような意気込みで臨みましたか

きょねん、おととしと負け続けていた相手でしたが、ことしは早慶戦に勝ったこともあったので良い雰囲気で迎えられました。このままリーグ戦でも全勝でいけたらいいなという気持ちで臨みました。

――前半は競り合う展開になりました

課題である入りがまだつかめていないところがあるので、それはこれからも引き続き課題になると思います。

――先制点を奪われた後、鳥羽選手が1点を返しました

私自身ゲームメイクを中心にやろうと思っているのですが、4年生という立場もあって、自分でいけるところは自分で決めにいこうと攻めていきました。

――決めたときのお気持ちは

私はあまり得点するキャラではないというのもあって、うれしかったです。

――前半は1点リードした状況で終えることができました

実力差がないチームとやったときにそのような展開になると重要になってくると思うので、これからも点数を見ながらしっかりやれたらいいなと思います。

――後半は勢いに乗って好機を多くつくることができたと思いますが

前半大事にしすぎたところもあったので、ハーフタイムにもっと前に前にいこうとなりました。でも、もっといけたところもあったと思います。

――前半は慎重にいったのでしょうか

そうですね。ワセダは守りに入ってしまいがちなので、これからのリーグ戦でもっともっと率先してファイナル4に向けてやっていきたいです。

――次戦の青学大戦に向けて

きょねん初戦で当たって微妙な試合をしてしまったので、ロースコアゲームにされてしまう危険もあると思いますが、得点力を掲げてやれたらいいなと思います。

AT中川真菜(スポ3=大阪・茨木)

――きょねん敗れている日体大が相手でしたがどのような試合にしようと臨みましたか

コーチからも言われていたのですが、自分たちのプレーをすれば勝てると思っていたので、普段通りのプレーをすることを心がけていました。

――中川選手が出場したのはどのタイミングでしたか

前半の途中、3-3のドローの時点でした。

――前半の1点を争う展開のときチームの雰囲気は

もう少し点差が離れると思っていたので焦りはあったと思うのですが、みんなで声を掛け合いながら何をすべきか明確に指示し合って、なんとか自分たちのプレーを取り戻せたのではないかと思います。

――中川選手は後半、両チームを通じて初の得点でしたが、あのゴールを振り返って

チームでスカウティングなどをしていて、どの選手のところで行きたいかを考えていたので、ボールを持ったときに私はここで行こうと決めていたので、点も取れてチームも勢いづいたと思うので良かったです。

――後半最初の5分は両チームの膠着(こうちゃく)状態が続いていましたが何を意識していましたか

やはり自分たちのプレーをすることを一番に考えて、あとは自分が行くんだという気持ちを一人一人が忘れずに攻めていました。

――そして終盤での攻めのプレーが印象的でした

自分でやるんだということをATやMFを中心にチームで言ってきたので、その気持ちを切らさなかったことがあのプレーにつながったのではないかと思います。

――勝利が決まった瞬間のお気持ちは

うれしさもあり、雪辱を晴らせたという気持ちもあり、ほっとしたというのもあります。

――この試合で見つかった課題を挙げるとするならば

勝ちはしたのですが、コーチにも言われたのですが課題の多く残る試合になったと思います。やはり自分たちのプレーが思うようにできない時間が多く、今後の試合ではそれが続くと厳しくなってくると思うので、その課題を潰していけたらいいなと思います。

――ご自身のリーグ戦での目標は

ATとして得点するのはもちろんだと思いますし、自分のプレーでチームに勢いをつけられたらいいと思います。

――今後もファイナル4進出に向け厳しい戦いが続きます。次戦への意気込みをお願いします

一戦一戦大事に、上を目指して気持ちを切らさずに最後まで走り続けたいと思います。