10年ぶりの勝利!長年の雪辱を果たす

女子ラクロス
前半 後半
早大
慶大
▽得点者
原2、畑田2、大山、平野響、小谷

 ことしも早慶定期戦(早慶戦)の季節がやってきた。9連敗が続いていたワセダがことしの勝利に懸ける思いは強い。前半は互いに譲らぬ点の取り合いで、拮抗(きっこう)した戦いが続く。しかし後半、得点を重ね慶大を引き離すと、流れをつかんだワセダは果敢に攻め続け、見事7-4で勝利。10年ぶりの白星という快挙にワセダスタンドは歓喜に包まれる。伝統の一戦に、新たな歴史を刻んだ。

 前半開始5分、ボールを奪われ慶大に先制点を許すも、直後に慶大のファウルからチャンスを得てMF原ひかり(人3=東京・成蹊)が力強いフリーシュートを決める。その後も乱れぬパス回しでボールをつなげ、原、AT大山咲里桜(人3=東京・国学院)やMF畑田奈美(スポ4=東京・法政女)らが相手ディフェンスを振り切り得点を挙げるが、慶大もすかさず点を取り返す。序盤からシーソーゲームの展開が続き、4-4の同点で前半を折り返した。

この日2得点の原。ワセダのオフェンスの先陣を切った

 「このまま落ち着いてやっていこう」(大山)とハーフタイムで話しあい、迎えた後半戦。開始直後、慶大のシュートをG小川みお(スポ4=東京純心女)がセーブし、固い守りを見せた。そして開始7分、慶大のラインアウトからワセダがオフェンスに回るとMF平野響子(スポ4=茨城・土浦二)が左からゴール正面へ走りシュートを決める。ここからワセダは勢いが止まらない。さらに2分後、平野からパスを受けた畑田が素早いシュートでゴール。パスを落としてもグラボを取ってカバーし合い、相手の得点を許さず、ワセダのペースを保った。そして残り9分、ゴール右斜め前からディフェンスを突破したAT小谷英里主将(国教4=東京・大妻多摩)が走り込み、得点を重ねる。迫りくる慶大の攻めに対し最後までゴールを守り抜き、7-4で試合終了。ワセダが勝利を収めた。

得点を決めた畑田に駆け寄る選手たち。畑田はMVPを獲得する活躍を見せた

 こんかいの勝利は10年分の悔しさを晴らしてくれた。シーズンが始まってからずっと掲げて、やっとつかんだこの勝利はチームにとって大きな意味を持つものである。小谷主将が「とにかくうれしい」と話すように、力を発揮した選手たちはみな喜びの表情を浮かべた。しかし戦いはまだまだ終わらない。ラクロス部の掲げる最終目標は『日本一』。「ここをスタートラインとしてまた一から頑張っていく」(原)と語るように、頂点を目指しチーム全員でこれからも走り続けていく。

(記事 大石藍、写真 高橋弘樹、後藤あやめ)

閉会式後の集合写真

コメント

AT 小谷英里主将(国教4=東京・大妻多摩)

――早慶戦勝利おめでとうございます

ありがとうございます。

――今の心境はいかがですか

とにかくうれしいです。勝利という形でいろいろな人に感謝の気持ちを体現できたので良かったです。

――試合前のチームの雰囲気、自身のメンタル面はどうでしたか

チームとしては今までやってきたことを出すだけということで試合前のミーティングでもいつも通りというふうに話していて、そう臨めたので良かったと思います 。自分のメンタル面は、あまり緊張はしていなかったのですが実際試合に入ってみると緊張していたのかなとやってみて感じました。でもお互いのミスであったりをチームで修正することができて、チームの緊張感がいい方向に働いたと思います。

――試合序盤はシーソーゲームの展開でした

毎年早慶戦は前半で大差をつけられることが多かったので、取られた分取り返すという粘りのプレーができていたのは良かったです。点を取られても慌てず、予測して動けていたので良かったです。

――後半は3得点、無失点でした

前半から後半にかけて集中し直しました。特に大きな変化はなかったですが前半も、後半もいつも通りのプレーができていました。後半は自分たちの体力であったりそういった部分で相手より動けていた部分があるので得点を重ねることができました。

――7得点目を決めたご自身のプレーについては

2点勝っている状況で無理に攻めるというというよりは、自分たちのボールをなくさないことを心がけていましたが、あの場面で1点取ることができたのは、ケイオー側にメンタル的なダメージを与えることができたので良かったです。

――きょう全体の試合を振り返ってどうですか

日々練習してきたことを出すことができました。六大戦(東京六大学交流戦)でやろうとしてできなかったことが今回は100%出せたのでよかったです。課題もまだまだありますがそれは良かったです。

――逆にきょう見つかった課題は

ドローを絶対取ろうと思っていたのですが、ドローは相手に取られたことが多かったので、最初の入りを取りきるのが今後の課題かなと思います。

――夏に控えるリーグ戦(関東学生リーグ戦)に向けて意気込みをお願いします

今年は練習を積み重ねてきた中で、自分たちが成長してきたという実感があるので、始動して4ヶ月で感じた成長をまた夏につなげて、また成長できたなと思えるように夏の初戦をむかえたいと思います。

MF平野響子(スポ4=茨城・土浦二)

――10年ぶりの勝利となりましたが、いまのお気持ちを教えてください

もう最高にうれしいです!

――慶大には六大戦で引き分け、その前の練習試合では勝利をしていましたが、きょうの試合は自信はありましたか

はい。きょうは自信はありました。自分たちがやってきたことを出せたら絶対に勝てると思っていたので、全然緊張もなく試合に臨むことができました。

――自分たちがやってきたことを実際出し切ることはできましたか

最初の方はなかなかディフェンスの連動ができなくて、失点を重ねてしまいました。そういうのもありましたが、そこでもしっかり点を重ねて、後半につなげることができたのはすごく良かったのかなと思っています。

――その成果を出すことができたのは、チームのコミュニケーション面など何か要因はありますか

春合宿から一つの戦術を繰り返しずっとやってきて、それが六大戦でもきょうの試合でも出せたので、良かったと思います。全員がお互いに言い合えるようなかたちだったので、良い雰囲気できょうを迎えられたのが一番だったのかなと思います。

――ご自身でも得点を決められました

きょうは最初と最後は私でいくという戦術だったので、最初は決めることはできなかったのですが、いつも通り緊張なく、自分のプレーができたのが良かったのかなと思います。

――夏のシーズンまで時間が空きますが、どのような点を強化していきたいですか

個人的には中盤のつなぎなどがあまりできていないので、そこを修正していきたいです。全体では組織で戦うというのを重点的にやってきたのですが、もう一回個人の基礎技術に立ち返って、『日本一』という目標に向かえるように頑張っていきたいです。

――今季はラストシーズンでもあると思いますが、意気込みをお願いします。

いろんな人が支えてくれているのがきょうも分かりましたし、その人たちに結果で恩返しできるように、いままでできなかった分しっかりやっていきたいなと思います。

MF畑田奈美(スポ4=神奈川・法政女)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半から最初の頭の出だしが課題というか、後半に伸びるチームなので、前半で勢いを失うとペースを握られてしまうので怖いかなというのはチームで話していて。試合の入りから頑張っていこうという話があって、それを多分できていたので、こういう結果で終われたかなと思っています。

――2得点を決められましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

正直わたしは早慶戦に出られるか出られないか、スタメンでもないし、出場できるかわからないというメンバーの一人だったのですが、その中でやっぱり与えられたチャンスを活かすことができたのは、大きかったと思います。

――MVPを受賞されたときのお気持ちは

いや、もうびっくりです。まさか自分が獲るなんて、って感じだったのできのうとかそんなこと全く考えてなかったし、やっぱりいままでやってきたことが確実に実ってこういう結果になったのかなと思います。

――慶大のプレーについてどのような印象を持ちましたか

ケイオーは、私が入部当初、4年前くらいから上手いというか、技術が高い、おしゃれな感じだしと思っていて、負け続けたところもあるんですけど、かなわない相手ってどこかで思ってしまう部分もいままでありました。そういう印象があります。

――きょうの試合の課題と収穫はありますか

課題はやっぱりグラウンドボールとか基本基礎のところ。きょうは結果としてこういう結果で終われたけど、リーグ戦だと分からないので、やっぱり相手に隙を与えない基本基礎を身につけるべきだなとチーム全体で思いました。

――今後の目標をお願いします

目標はやっぱり日本一、リーグ戦が始まるのでそこに向けてやっていきたいです。ケイオーもそうなんですけど、メイジだったりとかもっと強い相手もたくさんいるので、そういう相手に当たったときに、攻めて自分の力を最大限に発揮できるように、自分自身も、チームとしても取り組んでいきたいと思っています。

MF原ひかり(人3=東京・成蹊)

――この試合への意気込みは

9連敗していたということで、さすがに二桁連続敗北は阻止したいと思い、オフ明けの1月・2月頃から長い間準備をしてきたので。強い思いが勝利につながってよかったです。

――本日の試合全体を振り返っていかかですか

今までやってきたことがそのままできて、想定していたことなどもその通りできたのですごく良かったと思います。

――前半と後半の間でチームで話されたことなどありましたか

全体的に前半は競っていて、もともと攻めどころなどを決めてプレーしていたのでそこを中心に後半もやっていこうと言っていたので、崩せたのは良かったと思います。

――ご自身のプレーとしては2得点されていますが、得点されたときの状況を振り返っていかがですか

フリーシュートと1対1でのショットだったのですが、いつもならあまりショット率が良くなく、外してしまっていたところを冷静になって決めることができていたのできょうはとても冴えていたと思います。

――今後に向けて意気込みをお聞かせください

これからリーグ戦が始まって、最終的な目標は学生日本一なので、ここをスタートラインとしてまた一から頑張っていこうと思います。

AT大山咲里桜(人3=東京・国学院)

――10年ぶりの早慶戦勝利となりました。今のお気持ちを聞かせていただけますか

すっごくうれしいです。

――試合後のあいさつのときに少し涙ぐんでいる様子が見られました

今まで先輩たちがしてきた悔しい気持ちを晴らそうという思いでした。

――東京六大学交流戦(六大戦)で対戦したときは引き分けでしたが、慶大のプレーで前回と違う部分はありましたか

ケイオーは本番に強いチームで、組織の動きが以前よりもうまくなっていると感じました。

――一方できょうのワセダのプレーはいかがでしたか

今まで練習でしてきたことをそのまま出せたかなと思っていて。やるべきことを全て出せたのでこの結果がついてきたと思います。

――前半は点を取りあう拮抗(きっこう)した展開でしたが、その中で3点目を決められました。ご自身の得点シーンを振り返っていただけますか

(ワセダが)2点を取るまでは決まった型があったんですけど、2点取った後は自分の好きに攻めて良いという流れがあったので、他の人に頼るのではなく自分で点を取りに行こうという気でやっていました。

――後半はワセダペースで得点を重ねていきましたが、前半と変えた部分やハーフタイムで何か話をされたりはしましたか

このまま落ち着いてやっていこうという話がありました。

――戦術面で変えられたところはありますか

もともと(ワセダは)一人が仕掛けるというのが決まっていて、それがばれてきていたので他の人でやっていこう、思いっきり気持ち良くプレーしていこうという話はありました。

――7-4までリードを広げたとき、勝利を確信した部分はありましたか

ちょっとはありました(笑)。始まる前から「ことしはいける」と思っていて。それで7-4まで点差がついて、これはいけるかなと思いました。

――見事に10年ぶりの勝利を勝ち取りましたが、ことしのチームの強みとは

やるべきことを練習からやっていっているのと、基礎の当たり前のレベルを上げていって、基礎力を高めているところ。あとは個人個人の力が強いところだと思います。

――きょうはパスがすごく良く通っていた印象でした

みんな思いっきりできていたので、ミスも少なくできたと思います。

――きょうは完全に自分たちの力を出し切れたということですね

そうですね。

――早慶戦を終えて、Aチームの次の戦いはリーグ戦(関東学生リーグ戦)になると思いますが、それに向けてどのようなことをすればチームはもっと強くなれると思いますか

1on1とかの個人の基礎の力を今よりももっと高めること。あとは練習でやっていることを本番で出し切る力がつけば勝てると思います。

――ご自身の今後の目標や意気込みを聞かせていただけますか

リーグ戦にスタメンで出て、チームに必要とされる選手になって、私はATなので点を取ることにこだわっていきたいと思います。