宿敵に敗れ、今季初タイトルを逃す

女子ラクロス
前半 後半
早大
慶大
▽得点者
柿本2、曲道2、畑田

 夏の本格的なシーズンに向けての前哨戦となる東京六大学交流戦(六大戦)。先日行われた明大との準決勝は延長の末サドンビクトリーで下し、決勝の戦いに駒を進めた。優勝をかけたこの日の相手は宿敵・慶大。前半は、両者譲らずのシーソーゲームで折り返す。しかし後半、早大のミスを突くカウンターなどで一気に5連続失点を喫すと、その後も追い付くことはできず、最終スコア5-7で惜敗。準優勝で幕を閉じた。

 前半は、均衡した戦いが続く。開始7分、ゴール前でのファールを生かし、AT曲道楓(スポ3=東京・国分寺)が先制点を挙げるが、慶大にすぐさま同点に追い付かれる。その後も早大がボールを支配するものの、なかなか追加点の奪えないこう着した状態が続く。すると17分、曲道からのパスをMF畑田奈美(スポ2=東京・法政女子)がゴール右上にショットを沈める。続けてAT柿本菜実(スポ4=東京電機大)がゴーリーの足元にバウンドさせての技ありシュート。その差を2点に広げる。前半終了間際、早大のミスを相手ATにつかれ1点を失い、3-2と僅差で前半を折り返す 。

この日、先制点を決めたAT曲道

 突き放しにかかりたい後半。開始直後、ゴール裏からのパスを柿本がこの試合2得点目となるループ気味のショットを決め、追加点を挙げた。しかし、「ミスが続いた後に自分たちで立て直す能力が足りない」(前垣梓、政経4=神奈川・カリタス女子)と、中央突破から慶大に得点を奪われ、そのまま続けて5失点を喫し、逆転を許した。終了間際には、曲道がゴーリーの正面から冷静にショットを叩き込むなど一矢報いるも、反撃とはならず試合終了。今季初のタイトルを手にすることはできなかった。

相手を置き去りにし、ゴールへ向かうAT柿本

 「そこまで圧倒的な力の差を感じたわけではない」(前垣)と言うように、前半は一進一退の戦いであった。それだけに、後半で連続失点を浴びた後、立て直せなかった点が課題に挙げられる。まずは来月に控えている伝統の一戦、早慶戦。「必ず勝ち切らなければならない戦い」(鳴澤眞寿美主将、社4=福島・富岡)と、きょう見つかった課題も含め1カ月しっかりと調整し、8年ぶりの勝利をつかみとりたい。

(記事 久保田有紀、写真 八木瑛莉佳)

コメント

川上順久女子部ヘッドコーチ(平10理工卒=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半は調子良くやっていたのですが、ミスが多くなってしまいました。六大戦とはいえ、慶大に負けたことは非常に悔しいです。

――前半の攻めはどのようなことを意識していましたか

積極的にゴールに向かうということを意識してやっていました。

――一方、守備面では中央突破からの失点が多くなってしまいましたね

そこは今後の課題だなと思います。前に入って、しっかり勢いを止めようと指示は出したのですが、修正しきれず、後半も立て続けにされてしまいました。改善しなきゃいけないなと課題がはっきり見えた試合でした。

――後半は守備の時間が多くなりましたね。タイムアウトではどのような指示を出されましたか

守備では先ほど言った中央突破への対応と攻撃面ではゴール裏でボールを回すと点が入っていたので、しっかり回そうと話しました。ですが、その前でイージーミスをしてしまい、指示したことがあまりできなかったかなと思います。

――前半はドローを取ることができていましたが、後半には少なくなったように感じましたが、いかがですか

それはこちらの対応力がなかったです。相手が工夫してきたことに対して、もう一工夫がし切れなかった、対応の遅れだと思います。外で見ていると分からないのですが、中の駆け引きがまだまだ足りないのかなと思います。

――次は2年生のあすなろカップになりますが、どのように戦っていきたいですか

きょうも2年生が何人か出ていましたが、2年生とはいえ、ワセダの自覚を持って戦ってほしいです。学年大会で優勝できなければ、4年生になっても優勝できないと思うので、日本一を目指し、本気でやっていきたいです。

――きょうは慶大に敗戦してしまいましたが、来月の早慶定期戦に向けて意気込みをお願いします

きょうは戦術をそこまで重視せず、フラットにやっていた部分がありました。早慶定期戦はお互いの良いところの潰し合いになってくると思うので、しっかり戦術を組んで臨みたいです。男子部とは違って、現在7連敗中なので、それをストップさせて歴史を変えていきたいです。

MF鳴澤眞寿美主将(社4=福島・富岡)

――主将として試合をご覧になっての感想は

早慶戦というのはワセダにとってもケイオーにとっても特別な試合であって、その中で勝ちきれなかったということは自分が試合においてどんな立場にあっても悔しくて、やりきれない思いでいっぱいです。

――前半は良いかたちで進みましたが、後半に失点がかさんでしまいました。どういったところが問題に挙げられますか

ルーズボールというどちらのチームもボールを保持しておらず、グラウンドに落ちている状態で、どちらが先にボールを取るのかというところで相手に取られてしまうことが多かったです。なのでミスした後にどのようにして仲間と、そして自分がミスに対してケアしていくのかという部分に差を感じて、流れを持っていかれてしまったのかなと思います。

――きょうはサブメンバーで臨まれた試合でしたが、そんな選手の皆さんの動きについての印象は

私はことしは誰が出ても勝てるチームづくりを目指していて、その中でベストコンデションではあったのですが、何かあったときに自分で立て直すことができる選手というのがもっと増えなければいけないなと思います。調子はみんな良かったと思うんですけど、立て直しの部分でもっと一人一人が考えてプレーしなければならないと感じました。

――その他試合を通して得た収穫点は

ルーズボールとドローをどれだけ取れるのかというところで勝率は変わるのだなということが分かったことと、自分たちも前半など点を取るべきところでは点を取れていたということです。ちゃんとやることをやれば勝てるはずなので、それを50分間やり通さなければいけないですね。

――一大会を終えてチームの状態をどのように捉えていますか

決勝まで来れたことはことしのチームが始まってからの目標でもあったので良かったですが、チームづくりという点ではまだまだ甘いなと感じました。この結果も試合に出ているメンバーの力不足ではなく、チーム全体の力不足として私は捉えているので、いまはもう一度一からやり直したいなという思いです。

――新入生も応援に加わっていましたが、いまのチームの雰囲気は

入部はまだなんですが、たくさんの一年生が来てくれていて、体育会の中でも一番盛り上がる部活になるんじゃないかなと思うので、その盛り上がりが成績に現れていってほしいですし、自分がそれをリードしてそこに反映できるような人間になっていくべきだなと思います。

――次戦は来月の早慶定期戦です。個人としてとチームとしての目標、意気込みをお願いします

同じこの場(=日吉陸上競技場)で早慶戦がありますが、私にとってはこの特別な舞台は最後となります。特別ではなくても必ず勝ち切らなければならない戦いです。そこで私が点を取らなければいけないとか、私が守らなければいけないという気持ちももちろんありますが、どれだけ仲間の個性を引き出して、生かして全員で勝ちにいけるかというところに私の役割があると思います。必ずチームを勝たせられる必要不可欠な存在になって、その力を5月18日の15時10分まで磨き続けたいです。全体としては今度勝てば8年ぶりの早慶戦勝利になるので、そのためにシーズンインから厳しいことも言ってきたので、しっかり勝って歴史を変えたいと思います。

DF前垣梓(政経4=東京・カリタス女子)

――きょうのゲームプランを教えてください

早慶定期戦の前哨戦ということで、細かいことどうこうよりも勝ち切ること。主力じゃないメンバーの中で勝ち切らないとその差は埋まらないと思っているので勝ち切ろうと思いました。

――試合を振り返って

前半はドローが取れたのもあって自分たちのペースでできる。結構シーソーゲームではあったのですが、いい流れを自分たちで持って行きながら前半を終えられたので前半は良かったかなと思うのですが、後半にミスが続いた後に自分たちで立て直す能力が足りない。一個一個なプレーというよりも、悪いプレーが続いた後の立て直す力が足りないなと痛感した試合でした。

――カウンターでの失点も見られましたが、守備の面で改善したいところはありましたか

チェックアップ。真ん中でダウンボールが起きた時に、下でのチェックアップが遅れてしまったりだとか。アタックセットの部分で斜めの一番出しやすいところにすぐ裁かれ、そこからつながれてしまったので、ライドの準備と予測と動きが足りなかったかなと思います。

――ケイオーとは早慶定期戦も控えていますが、印象は

そこまで圧倒的な力の差を感じたわけではないです。何回も練習試合を組んでいてその中で戦っていたという所もあるので。いまは主力はでていないので別々のチームだとしてもそこまで差は感じていないので、ちょっとの差だと思います。

――本格的なシーズンに向けて詰めていきたいところはありますか

勝ち切る力。場馴れしていないのもあるのかもしれませんが、そこで今回の試合がいいきっかけになれば。自分たちがリーグ戦に出たとしても、しっかり勝ち切る力は必要だと思っていて。後半だったり、ミスが続いた後の切り替えを、強めていかなければならない。リーグ戦でもA頼みのBとなってしまうので、そこの意識の差。自分たちでどう直すかというところをしていきたいです。

――これからの意気込みを

私個人がBチームのリーダーとしてやっているのでAとBの差を埋めるのが自分の使命だと思っているので、そこの部分。自分のプレーの向上もそうですが、しっかり下から底上げして、全員でワセダとして勝ち切る力を付けていきたいかなと思います。

AT柿本菜実(スポ4=東京電機大)

――この試合を振り返っていかがですか

悔しいということが一番です。勝てたなという気持ちが強いので。しかも早慶定期戦1カ月前の早慶戦ということで、主力がいないメンバーで勝って、いい気持ちで託すつもりだったので…。そのためにも勝ちたかったです。

――この試合にどのようなテーマを持って臨みましたか

絶対に勝ち切ろうということはもちろん、いままではAチームとBチームが(練習を)別々にやっていて、その中でもそれぞれが課題を持ってやってきました。そこで個の力では絶対負けないようにしようというテーマで、相手を一枚は抜こうと思ってやったのですが、できたりできなかったりという感じです。

――ご自身のアタック面についての振り返りをお願いします

ショットをあと2本くらい決められるシーンがあったので、そこを決められれば流れが変わったのかなと思うので、そこが自分は悔しいです。あと、要所で目標を持ってゴールに向かう姿勢ということは見せられたので、そこはよかったと思います。

――後半、流れの中でショットを決めたシーンを振り返ってみていかがですか

ゴール裏からのプレーだったのですが、春陽(MF江里口、教4=東京・お茶の水女大附)がいいパスを裏から出してくれて、がら空きでした。でもあまり格好良くなかったのでそこはちょっと(笑)。

――レギュラー定着のためにどのようなところをアピールしていきたいですか

やっぱり個の力という部分で、自分はドローとかグラウンドボールを拾うことが得意だと思っているので、そこをどんどんチームにアピールしていきたいと思います。あとはスピードかなと思っています。

――ラストイヤーに懸ける思いを教えてください

リーグ戦に向けてフィールドに立ちたいということでいまは準備しているのですが、そこにただ立つだけではなくて、4年生としてしっかり信頼を勝ち得て、活躍できるプレーヤーになりたいです。また、プレー面もそうですし、生活面でも信頼される4年生になりたいと思います。