延長戦にもつれ込む激戦の末に敗北。慶大への雪辱を誓う

男子ラクロス
1Q 2Q 3Q 4Q 延長
早大
慶大
▽得点者
井原2、栗原、佐藤幹

 真夏の日差しが照りつける灼熱(しゃくねつ)のグラウンドで第30回ラクロス早慶定期戦が開催された。3年ぶりの有観客試合となりスタジアムにも多くの観客が詰め寄せた試合は前半から両チーム一歩も引かない接戦となり、同点のままサドンデスの延長戦に突入した。早大は勝ち越しのチャンスもあったが、慶大に決勝ゴールを決められ勝利をつかみとることが出来なかった。

 第1Qは両軍による点の取り合いが展開された。フェイスオフから激しいボールの取り合いが起きると、3分にMF井原優太(商4=東京・早大学院)がミドルレンジからゴールを決め先制点を挙げる。6分に慶大に1点を返されるも、8分にはMF齋藤励主将(創理4=東京・早大学院)からのパスにAT栗原大喜(法4=東京・早大学院)が合わせ追加点を挙げる。その直後に再び慶大に追いつかれるも、早大もすぐさまMF佐藤幹太(法4=埼玉・早大本庄)のスタンシューで勝ち越して、第1Qを終えた。第2Qに入ると試合は一転して、両軍の攻守による膠着(こうちゃく)した展開が続く。DF阿曽裕也(政経4=東京・早実)のゴール前でのパスカットやG佐藤万祐(文4=千葉西)が幾度もスーパーセーブを見せるなど、慶大の猛攻をしのぎ続ける。しかし10分には慶大のカウンターをライドすることが出来ず、攻め込まれ同点となってしまう。2Qの終盤にはAT八重倉良太(政経4=東京・早実)のゴール前でのショットが飛び出すも、相手ゴーリーの好セーブによって勝ち越せず第2Qを終えた。

得点を挙げて喜ぶ選手たち

 後半の立ち上がり、早大は慶大の反則によりマンアップとなる。相手の人数が1人少ない間に得点したかった早大だが、ショットを決めきれ ず、マンアップの時間は終わってしまう。その後慶大に何度も自陣まで攻め込まれるも、G佐藤万祐の好セーブやDF田中進士(商2=神奈川・桐蔭学園)の好守備などもあり、ゴールを何とか守り切る。しかし第3Q終盤に慶大のカウンターをまたしてもライドすることが出来ず失点し、3-4でこの試合初めて慶大にリードを許してしまう。第4Qに入ると追加点が欲しい両校のオフェンスに激しさが増す。5分にはAT栗原からのパスに、MF井原が合わせ同点弾を挙げる。勢いそのままに早大は何度も敵陣まで攻め込むも得点にならず、4-4のまま延長戦に突入した。ラクロスの延長戦はサドンビクトリーといい、4分間で最初に得点を挙げた方が勝利となる。まず早大が相手陣内に攻め込むも、AT八重倉のショットが慶大ゴーリーによって防がれる。慶大にボールが渡り、早大は中盤でボールを奪いAT栗原とAT八重倉がシュートを放つもゴールネットを揺らすことが出来ない。慶大のオフェンスとなり、一度はシュートをしのぐも、慶大の巧みなパス回しによって一瞬の隙をつかれ、放たれたショットはゴールに突き刺さる劇的な決勝ゴールとなった。

決勝打を決められてうなだれる選手たち

 劇的なゴールにより、ライバルとの死闘に敗れた早大。序盤こそチームが目指している攻めるラクロスを体現したオフェンスが展開されたものの、試合が進むにつれて攻めあぐねる場面が増えた。試合後選手たちは悔しそうな表情を浮かべながら、グラウンドに立ち尽くした。MF斎藤主将は「特別出来なかった訳ではなく、自分たちの実力不足」と語る。ディフェンス面では収穫もあった。G佐藤が試合全体を通して好セーブを連発し、チームのピンチを幾度も救った。2年生のDF田中が存在感を放つなどチーム力の底上げも見えた。今回の敗戦を受けて、発展途上にあるチームは関東大学ラクロスリーグ戦、そして日本一に向けてこれからの成長に期待したい。

(記事 田部井駿平 写真 谷口花、山田彩愛、山本泰新)

コメント

MF斎藤励主将(創理4=東京・早大学院))

――今日の試合を振り返っていかがですか

 決めるべきシュートを決められず、負けた試合でした。だからといって特別できなかった訳ではなく、自分たちの実力不足だなと思っています。

――前回は引き分けだった早慶戦ですが、今回はどのような気持ちで臨みました

 早慶戦なので絶対に勝つという意識で臨みました。絶対に緊迫した試合になると分かっていたので、その中でどれだけ普段通りのプレーが出来るかをみんなに意識しようと話していました。

――逆転された時はどのような気持ちでしたか

 その時はまだ時間があったので、取り返せるという雰囲気はチームにありました。

――終盤逆転のチャンスもありましたが

 そこで決め切れなかったのが敗因だと思っています。

――リーグ戦に向けた意気込みをお願いします

 絶対に負けないので、応援していただけると嬉しいです。

MF井原優太(商4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 試合の最初は自分たちの考えていた攻撃が出来ていたのですが、試合中盤から相手が修正してきたのに自分たちが対応できなかったと感じました。

――ご自身が得点された場面を振り返ってください

 今日は絶対に複数得点決めると臨んだので、イメージ通りの得点になって良かったです。また試合終盤のゴールは自分が同点にするという強い気持ちを持ってピッチに立っていたので、それを得点という形で表現できて良かったです。

――1Qは立て続けに得点しましたが、慶大への対策などはあったのでしょうか

 そうですね。今シーズンは攻めるオフェンスを掲げていて、試合の入りに自分たちがどれだけ強度を上げて攻められるかを鍵にしています。それが上手くいったのが1Qで得点が量産できた要因かなと思います。

――4Q終盤惜しい場面が多くありましたが

 暑さなどもあって自分たちが焦ってしまったり、オフェンスとしてどうやって点を取るのかという共通認識の詰めの甘さが出たのかなと思いました。それが今後のリーグ戦への課題かなと思います。

――リーグ戦に向けた意気込みをお願いします

 リーグ戦でもまた慶大と試合があるので、そこでは絶対勝ちたいです。それと自分も得点という形でチームに貢献したいと思います。

G佐藤万祐(文4=千葉西)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 力負けで言葉が出てこないですが、自分たちの弱いところが出たのかなと思いました。

――ディフェンス全体で意識したことはありますか

 昨年全国で優勝した慶大は技術もあるので、守りに入るのではなく自分たちから攻めてボールを奪って攻撃につなげることを意識しました。

――ご自身もナイスセーブが何度もありましたが

 練習してきたことは出せたのですが、それ以上に今日は5失点してしまいました。通用するところが分かったのと、今日出た課題を詰めていきたいです。

――ゴーリーとしてチームを引っ張っているように感じましたが、意識しているところはありますか

 堂々としていることを意識しています。自分の横をボールが通ると失点してしまうので、試合前から堂々としていることで周りに安心感を与えられるかなと思っています。

――ディフェンス陣は終盤まで粘りましたが、延長でサヨナラの失点を食らい、どう感じましたか

 頭が真っ白になりました。自分たちの甘さが出たのかなと。3年前や昨年もサドンビクトリーで優勝したので、どこかで勝てるという気持ちがあり、そこで慶大に競り負けたのかなと思いました。

――リーグ戦に向けた意気込みをお願いします

 今日のような結果では駄目だと思うので、リーグ戦は全部無失点くらいの気持ちで課題を突きつめていきたいです。良い機会だったと思えるように今日から頑張っていきたいです。