まだ夏の余韻が残る暑さのこの日、REDBATSの一員となって5ヶ月ほど経ったルーキー達にとって初めての公式戦が行われた。早大からは早大αと早大βが出場。両チームとも2連勝で予選を突破すると、決勝トーナメント一回戦では早大αと早大βの同校対決となる。同校対決は激しい盛り上がりの中、一進一退の攻防が続くものの、一枚上手だった早大αが勝利し、準々決勝へ駒を進めた。続く慶大戦も緊迫した展開になるが、後半に集中力を見せた早大αが上智大との準決勝へ。この準決勝を大差で勝利し、早大αは新人戦サマーステージ二連覇に向けて、東大αとの決勝に臨んだ。前半は両チームの好プレーによりスコアレスで折り返すも、後半に入ると、フリーシュートから得たチャンスで先制するとともに早大の得点力が爆発し、早大が2年連続新人戦サマーステージ優勝を果たした。
この日最初に登場したのは早大β。初戦ということもあり、緊張からかなかなか得点が奪えず、国士舘大に1–0というロースコアで勝利した。続く東大β戦は先程とは異なり順調に得点を重ね、4–1で快勝。決勝トーナメント進出を決め、早大αの結果を待つ。一方、早大αの初戦は日大・駒大合同チームとの一戦。まだ固さが見られたものの、3−2で逃げ切った。2試合目は慶應義塾高戦であったが、力の差を見せつけ、4−1で圧勝。早大βの選手達が見守る中、早大αも決勝トーナメント進出を決め、3試合目にして同校対決が実現する。
迎えた決勝トーナメント1回戦、早大αと早大βにとっては互いに負けられない一戦。多くの上級生が応援に駆けつけ、ピッチには大きな歓声が響き渡る。早大αのMF齋藤励(創理1=東京・早大学院)が得点を決めるとすぐさま早大βのMF織田弘樹(商1=東京・新宿)の得点で追いつき、両者一歩も譲らない展開に。早大αの1点リードで折り返した後半も激しい攻防が続くものの、早大αが得点を重ね、同校対決は4–2で早大αに軍配が上がった。惜しくも敗れた早大βは、早大αに優勝を託す。
同校対決が実現した
同校対決を制した早大αの準々決勝の相手は慶大。コーチや選手らが口々に山場だったと表現するこの慶大戦は、試合開始直後、早大αMF宮野幹洋学年キャプテン(基理1=埼玉・早大本庄)のゴールを合図に点の取り合いとなる。慶大に2点を返されるが、前の試合に引き続きDF阿曽裕也(政経1=東京・早実)のフリーシュートからのゴールなどですかさず早大αも2点を追加し、前半を3–3で折り返す。後半に入っても両者は激しくぶつかり合い、得点が取れない時間が続いた。しかし、粘り強いディフェンスや「段々と自分の気持ちを高めて集中して止めることができました」と振り返るG佐藤万祐(文1=千葉・西)のナイスセーブも飛び出し、試合は次第に早稲田のペースに。早大αは2連続得点で慶大を突き離し、5―3で一年生の早慶戦に白星を飾った。続く準決勝の相手は上智大。早大は接戦を制した勢いそのままに異なる5人がゴールを決め、5–1で勝利する。
この日6試合目となる決勝は東大αと対戦した。緊張した空気の中でフィジカルの強い東大α相手に、試合は決勝戦にふさわしく手に汗を握る展開に。何度もゴールを脅かされるが、その度ゴーリーの佐藤がセーブしピンチを免れる。試合が硬直したまま、0–0で運命の後半戦を迎えると、後半2分、この日何度も見られたフリーシュートから阿曽のゴールという形で先制に成功。その流れに乗りMF成澤颯(スポ1=東京・東海大高輪)が追加点をあげると、東大αに1点返されるものの、もう一度阿曽がこの試合2本目、この日5本目となるゴールを決め、見事、早大αは新人戦サマーステージ二連覇を成し遂げた。
チームをけん引した宮野学年キャプテン
「一人が強いワンマンチームではなく、一人一人の個の力が強い選手が多い」(松田慎次学生コーチ、スポ4=兵庫・尼崎市立尼崎)というコメントとこの日の得点者が11人という事実を見ると、彼らに実力があることは一目瞭然である。宮野学年キャプテンが優勝について「正直嬉しいのは勿論なんですけど、ホッとしたという気持ちの方が大きいかなと思っています」と話すように、実力がある分、彼らにかかった二連覇へのプレッシャーは大きかったに違いない。しかし、一日に6試合というハードスケジュールをやりきったことや独特な雰囲気の同校対決と早慶戦を経験したことは、彼らを一回りも二回りも強くしたはずだ。力のある彼らが冬までにどのような成長を遂げるのか、ルーキー達のさらなる躍進に今から目が離せない。
(記事 内海日和、写真 石井尚紀、中島和哉)
表彰式後の集合写真。選手たちは笑顔で撮影に応じてくれた
結果
▽予選Jブロック
○早大β1ー0国士舘大
○早大β4-1東大
▽予選Iブロック
○早大α3-2日大・駒大合同チーム
○早大α4-1慶高
▽決勝トーナメント
1回戦
○4-2 早大β
2回戦
○5-3 慶大
▽準決勝
○5-1 上智大
▽決勝
○3-1 東大α
コメント
松田慎次学生コーチ(スポ4=兵庫・尼崎市立尼崎)
――優勝おめでとうございます
シンプルに嬉しいです。今日の試合は6試合連続だったので、トラブルが多くて、ケガをした選手が出たり、足がつって最後氏が動かないような選手がいた中で、チーム全体で勝ち切れたのは、チームとして成長が見られたなと思っています。
――予選から接戦が続きました
予選はとにかく前半にリードして、6連戦の長丁場になるのは分かってたので、試合の入りを大事にしようと言っていて、入りが上手くいった試合もあったんですけど、後半に気の緩みが出てしまった試合もあったので、そこは危なかったなと思います。
――決勝トーナメントに進出しましたが、一番の山場だった試合はどこだと感じていますか
慶応戦ですね。Aチームがリーグ戦で負けた相手で、1年生の試合ですけど、1年生が代表して、早稲田を背負って戦った試合だったと思うので、その試合を勝ち切れたのはよかったなと思います。
――順調に勝ち上がり迎えた決勝でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
一戦一戦、先を見ずに、目の前の試合を精一杯戦ってできたかなと思います。社会人コーチの小菅さん(小菅英祐新人担当コーチ・2016年卒)がスカウティング資料をまとめてくださって、その資料を一戦一戦確認しながら戦うことができたので、チームとしてやりたいことを組織的に戦えたかなと思います。
――このチームの強みはどのようなところだと感じていますか
チーム全員が上手いところですね。一人が強いワンマンチームではなく、一人一人の個の力が強い選手が多いので、そういう選手層の厚さがチームの売りじゃないかなって思います
――サマーをいい結果で終えました。ウィンターに向けてどのようなチームにしていきたいですか
スタンスとしては、チームの組織力を生かすというのは継続して、一人一人を伸ばす。並大抵の選手ではなくて、自分の長所を伸ばして、それを全体的にマネジメントしていけたらなと思います。コーチは僕だけではないので、コーチ陣4人でウィンターに向けて、サマーに続いて連覇できるように頑張りたいです。
MF宮野幹洋学年キャプテン(基理1=埼玉・早大本庄)
――優勝おめでとうございます
正直嬉しいのは勿論なんですけど、ホッとしたという気持ちの方が大きいかなと思っています。
――6連戦でした。苦しいスケジュールでしたがチームの雰囲気いかがでしたか
日程が決まって、6連戦だと初めて聞いたときは、きついなという雰囲気はあったんですけど、試合が近づくにつれて、やるしかないという気持ちにもなっていたので、6連戦できてよかったと思っています。
――初陣でしたが、きょうに向けてどのような準備をしてきましたか
練習を全力でやるのは勿論なんですけど、一緒にプレーする上での作戦について、話し合いをしてて、それを実行できたのはすごい嬉しいですし、一人一人が自主練も頑張ってきたと思うので、そういったところだと思います。
――慶大戦、苦しい展開でした。意識していたことはありましたか
慶大戦は山場だと意識していたので、本当に勝つ気で挑んで、最後まで攻めるという気持ちで挑んだので、勝ちという結果で終われて良かったです。
――迎えた決勝
ようやく決勝戦まで来たと。決勝戦にふさわしい相手だと思っていて、0−0で前半が終わって、焦りは少しあったと思うんですけど、ここまで来たら優勝しかないという気持ちで、みんなで力を合わせて、先輩方や他のチームの方々の応援もありましたし、絶対に勝つぞという気持ちでいました。
――このチームの強みは何だと感じていますか
僕自身、学年キャプテンに就いて、なかなかキャプテンらしいことができなかったんですけど、他の部員一人一人が自主的に練習に参加したり、盛り上げたりということができていて、僕としても本当に助かっていたので、そういうところだと思います。
――サマーを最高の結果で終えました。ウィンターに向けてどのようなチーム作りをしていきたいですか
サマーでやったミニゲームとはまた別で、コートも広くなりますし、人数も増えるので、ちょっと違ったスポーツだと感じる時もあると思うんですけど、サマー優勝したことを自信に持って、これから先輩たちのチームに混じって頑張っていきたいですし、またコーチ陣も指導してくださると思うので、そういうのを真剣に聞きながら、去年今井組がウィンター優勝できなかったので、そのリベンジをしたいと思います。
DF阿曽裕也(政経1=東京・早実)
――今の率直なお気持ちをお願いします
去年も優勝をしていて、今年入部してから優勝を目標にしてきたので、ほっとしています。
――早大αでの練習は長期間行われていましたか
そうですね。6月あたりから別れて、7月に入ってからはメンバーを固定してやってきました。
――今回のチームでのご自身の役割はどのようにお考えでしたか
DFだったんですけど、フリーシュートは担当していて、5本全部決めることができて良かったです。
――フリーシュート担当に選ばれたのは、シュート精度が高かったからでしょうか
そうですね。あとは体が強かったからです。
――きょうは予選もあり、1日で多くの試合をこなされました
準決勝は出ていないんですけど、だいぶ疲れがありました。6試合というハンデがあった中で勝てたので、余計うれしかったです。
――印象に残っているのはどの試合でしょうか
準々決勝の慶応戦です。一番強くて、つらかったです。
――決勝では2本のフリーシュートを決められて、優勝を引き寄せました
0-0のときは決めないとやばいなと思っていたんですけど、自信はあったので決めることができて良かったです。
――MVPを受賞されました。受賞理由はどのような点だと思われますか
チーム内で得点王だからかなと思います。あとはDFとして守備に貢献できたと思います。
――今後は先輩方とプレーされますが、年内の目標はありますか
今年中にBチームで経験を積みたいと思います。
――DFで憧れの先輩はいらっしゃいますか
3年生の平塚さん(DF平塚弘喜、政経3=東京・早大学院)や奈須さん(DF奈須由樹、文3=東京・早実)がすごくうまいので、参考にしています。
――サマーステージ優勝校として臨むウィンターステージへの意気込みをお願いします
去年はサマーで優勝して、ウィンターでは決勝で負けているので、ウィンターでも優勝したいと思います。
G佐藤万祐(文1・千葉=西 )
――今の気持ちを聞かせてください
自分達はサマー(ステージ)の前の朝霞カップという小さいカップ戦があったのですが、それに予選敗退してしまって、先輩たちにも弱いんじゃないかと言われていることもあったので、かなり不安でした。でも、サマーという目標としていた大会で優勝できてすごく安心した気持ちです。
――緊張しましたか?
緊張はめちゃめちゃしました(笑)
――今日の試合では慶大戦、東大戦を始めとしてたくさんスーパーセーブがあったと思うのですが
けっこう練習から阿曽(DF阿曽裕也、政経1・東京=早実)と連携をとる練習はしていて、本番では声も聞こえなかったのですが、最後に阿曽がコースをきってくれて、自分の止めやすい状態でやらせてくれたので、あとは自分が集中して止めるだけでした。全て周りのみんなのおかげかなと思います。
――印象に残ってる試合はありますか?
慶應(大学戦)ですね。早慶戦ということで他の試合とは一味違うという気持ちもあって、自分達も慶應対策で1ヶ月間練習していたので、慶應だけには負けたくないと思っていました。その中でかなり守備の時間が長くて、自分もかなりセーブする機会が多かったのですが、そこで一本一本止めることで段々と自分の気持ちを高めて集中して止めることができました。また、結果としてオフェンスの選手たちが決めてくれて、信じてよかったなと思いました。
――目指したいゴーリー像について教えてください
やはり勝本さん(G勝本勇人、社4=東京・早大学院)を始めとして全ての先輩方が偉大なので、練習の合間にわざわざ自分に教えに来てくださるなど、そういうプレー以外の所でも、後輩に対する姿勢だとか、ラクロスに対する姿勢をこれからも見習っていきたいです。
――ウインターステージへ向けてどのように成長していきたいか教えてください
先ほどのミーティングでも言われたのですが、これからは全チームが打倒早稲田ということでウインターに向けて練習すると思うのですが、追われる立場というのはチャレンジャーより難しいとも思います。そこでチームから信頼されて、任せてもらえるような守護神になれるように成長していきたいです。