【連載】ファイナル4直前特集『Blaze Up』 最終回 MF青木俊汰×AT秋山拓哉主将×MF後藤功輝副将

男子ラクロス

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)を4勝1敗のAブロック1位で突破した早大。部員数の多い早大ラクロス部には各学年を統率する学年キャプテンが存在し、チームの結束を高めている。今回の対談では、学年キャプテンであるAT秋山拓哉主将(スポ4=兵庫・豊岡)、MF後藤功輝副将(政経3=東京・早実)、MF青木俊汰(法2=東京・早大学院)の3人にスポットを当てた。各学年についての話題を織り交ぜながら今シーズンの戦いぶりを振り返り、今後への意気込みを伺った。

※この取材は10月18日に行われたものです。

学年キャプテン同士の対談となりました

「ラクロスの能力を向上させるうえで最高なチーム」(青木俊)

――まずはリーグ戦の振り返りから始めたいと思います。リーグ戦5試合を終えてみての感想をそれぞれ聞かせていただけますか

青木俊 初戦の開幕戦がケイオー相手ということで、そこが1番のポイントと捉えていて、そこをいいかたちで勝つことができたからいい流れに乗ることができたと思っています。最後(明大戦)は負けてしまったんですけど、全体を通して見ればいい流れでワセダの強さをある程度他のチームに見せつけることができたかなというイメージを持っています。

後藤 やっぱりみんな最初のケイオー戦に照準を合わせていたと思います。そこでしっかり勝ち切って、その後もしっかりとワセダの試合ができたことは良かったかなと思っています。メイジ戦は負けてしまったんですけど、それ以外の試合は苦しい展開もありながらも普段通りのプレーができたことは良かったと思います。

秋山 去年の11月にチームが始動してから、早慶戦(早慶定期戦)とか五月祭(東京大学五月祭招待試合)はあったんですけど、リーグ戦まで大きな試合がなかったので、僕としてはチームを進める方向性に結構不安がありました。でもリーグ戦が始まって、開幕戦やその後のリーグ戦の戦い方を見ていても、方向性が間違ってはいないかなという自信が少しついたかなと感じています。この道がチームの進むべき道であって、より高いレベルでやっていけば『日本一』に到達できるんじゃないかという希望が見えたので少しほっとしたリーグ戦でした。後藤も言っていたんですけど、最後に負けてしまったことは課題でして、そこはその試合の後に十分下級生にも話をして、下級生の中でも分かっていると思うので、あの試合をらいねん以降につなげてくれたらそれはそれでいいかなと思っています。

MFとして積極的に守備もこなす青木俊

――5月の早慶戦で引き分けた相手が開幕戦の相手と知った時はどのように思いましたか

青木俊 自分にとっては初めてのリーグ戦だったので、ケイオーが相手と聞いた時は正直「いきなりか…」と思いました。でも最初に1番強いと思われているケイオーを倒せば周りからのワセダを見る目も変わりますし、自分たちもいい練習ができるようになると考えていたので、ケイオーに勝つことを目標に早慶戦から練習できたことは今に生きているのかなと思います。今振り返ってみれば、チームがその後勝ち進んでいくためには初戦がケイオーだったことはすごく良かったかなと思います。

後藤 自分は5月の早慶戦で後半あまり出ていなくて悔しい思いをしたので、(相手が慶大に)決まった時は開幕戦でリベンジしたいとすごく思いました。初戦でケイオーにしっかり勝ち切れたことでチームとしてもいい波ができたし、(関東)ファイナルでまた対戦できる可能性があることはすごくうれしく思っています。

秋山 4年目の5月の早慶戦は、僕が想像していたよりも重みがあって。どのスポーツもそうですけど、4年生最後の早慶戦の重みやその舞台の素晴らしさとかが分かってきて、でも5月はそこに対する僕の準備不足を感じました。開幕戦の相手が宿敵・ケイオーに決まって自分自身としてもチームとしてもいい目標ができましたし、もっと高めていかないと勝てないようなライバルが1戦目に当たってくれたことでそこに向けて全力で取り組む日々を送れました。練習もたくさんしましたし、しんどかったですけど、その分試合が終わった後の喜びとかは格別だったので、開幕戦はまたこのうれしい思いをしたいなと感じられる試合でした。

――今振り返ってみて、5月の早慶戦で引き分けだったことに関してはどのように感じていらっしゃいますか

後藤 自分はめちゃくちゃ悔しかったですね。万全の状態で臨んで最後もしっかり試合に出られていれば勝てたんじゃないかっていう後悔もあったので、自分は結果として引き分けて良かったとは思えなかったですね。

秋山 やっぱり悔しかったですね。けど、特に僕の学年がそうなんですけど、あそこで勝っていたら図に乗ると言いますか、勘違いする部員が多いと思うので、そう考えると負けなくて良かったなと。負けたらダメージも大きいですし、僕らの代は早慶戦で勝てなかった代というのが一生付いて回るので、その点に関しては負けなくて良かったけど悔しいし、今の話を聞いて隣の2人がらいねん、その次の年と頑張る糧にしてくれればいいかなというふうには思います。

――次に、後藤選手と青木選手にお伺いします。リーグ戦最終戦の明大戦では4年生がほとんど出場せず、結果的に敗戦となりました。明大戦を通して感じたことや意識が変わった点はございますか

青木俊 ずっと試合に出させてもらっている中で、チームとしては結果も残していたので、自分のプレーがチームの中に溶け込めているなという印象は結構持っていたんですけど、明大戦を通して自分の力の足りなさを感じました。ワセダの中でもそうですし、他大と比べてみても打開する力が足りないことを痛感したので、自分の能力をもっと積極的に出して行くということを練習からやっていかないと、らいねん以降自分が引っ張っていく立場になった時につらくなってくるのかなと感じられた試合でした。負けて申し訳ないという気持ちと悔しい気持ちはあるんですけど、そのことに気が付けたことは自分にとってはすごくありがたい試合になったかなと思います。

後藤 試合には去年からずっと出させていただいていて試合慣れは結構しているという自負はあったんですけど、いざ4年生がいなくなった時には「自分がやらないと」と焦ってしまったり、どこかで4年生に頼り切っていたところがあったので、いつも通りのプレーができずに終わってしまいました。もちろん4年生の存在は大きいんですけど、今シーズン中も自分がチームの中心選手になれるようにもっと頑張らないといけないなと、あの試合で改めて感じました。

――秋山選手は明大戦を振り返ってどのように感じていらっしゃいますか

秋山 下級生が普段通りのプレーをできなかったり、下級生がゲームをつくれなかったという反省が出るのはやっぱり上級生任せの部分があったのかなと。最上級生である4年生がもっと練習で厳しくやったり、しっかり練習をやり切る姿を見せていれば下級生はそれに付いてくると思いますし、同じ思いで練習していたらワセダとして誰が出ても同じ結果になるし同じプレーができるはずだと気付きました。僕としては下級生にのびのびやってもらいたくてプレーのミスに対しては怒りたくないと思っていて。僕が下級生の時もそうだったんですけど、上からいろいろと言われることがいいことだとは僕は思わないのであまり言わないようにしていたんですけど、僕のやり方もまだまだ工夫が必要だなと。シーズン終盤にきましたけど、まだまだ僕自身も下級生に対する接し方や話し方も変えていかなければいけないのかなという気付きができた試合でした。

――続いてはことしのチームのことに関して質問させていただきます。ことしのAチームの雰囲気や特徴について教えていただけますか

青木俊 自分はことし初めてAチームでやらせてもらっているんですけど、すごくのびのびとやらせてもらっているなという印象があって。自分がいいプレーをしたら褒めてもらえるし、悪いプレーをしてもどこが悪いかを具体的にいろいろな人からアドバイスをもらえる環境にあるので、自分がラクロスの能力を向上させるうえで最高なチームだなと思います。

後藤 自分が2年生の時は点を取る以外の時は結構怒られていてあまりのびのびはできなくて。でもことし秋山さんは上級生や中心の選手がミスをした時にどれだけ厳しくできるかという方に重点を置いているのかなと感じていて、後輩に対してはすごく自由にやらせて、いいところをしっかり伸ばせるような雰囲気だと思います。

秋山 プレーに関して言えば、オフェンス・ディフェンス問わずことしは結構アグレッシブなラクロスができるようになりつつあるのかなという印象があります。ボールを奪うだけではなくて、そこからのオフェンスができることもそうですし、オフェンス単体で見てもどんな相手でも10点以上が取れるような攻撃力があって、引かずにどんどん前に相手を押し切れるようなチームかなと感じています。雰囲気の点で言いますと、4年生の直井(DF直井祐太郎、人4=埼玉・栄東)とか林(MF林祐希、人4=奈良・智辯学園)、阿部(MF阿部翼、スポ4=東京・小山台)、野呂(MF野呂太郎、教4=神奈川大付)とかがそうなんですけど、4年生の規律の甘い部分が毎年よりもあるのかなという印象が正直ありますね。

――別の対談で、4年生は秋山選手が先生的なポジションにいて、みんな秋山先生の言うことに従っているという話をお聞きしたのですが…

後藤 あ~。

秋山 え、どうなの?

後藤 一言一言が先生みたいで重みがある感じですね。

――秋山選手は結構熱く語られるタイプなのですか

後藤 そうですね。

秋山 普段は静かなんですよ(笑)。普段はそうなんですけど、そうなる(熱く語る)くらいAチームの4年生の選手がひどいので。いまだにポケットに手を入れたまま集合しますし、ごみは拾わなくて、突っ込まれるようなところがたくさんありますし。そんな選手がいざ最後土壇場で1人で踏ん張らなければいけないってなった時に踏ん張れないと思うので、まだ2カ月ありますからたくさん言っていこうと思っています(笑)。

――同期の指導も行っているのですね(笑)

秋山 そうですね(笑)。4年生はチームの鏡と言いますか、外から見て1番映るのは4年生なので。その4年生がきっちりしていて、その姿を後輩たちが見てまねをしようと思えば、その姿が伝統になると思います。やっぱり4年生の存在が1番チームにとって大事だと思うので、同期も含めてそういう(先生の)ような接し方になってしまっているのかなと思います。

――後藤選手と青木選手から見たことしの4年生の印象はいかがですか

 

青木俊 普段からたくさん話し掛けてもらえるので、いい意味で2個上の先輩って感じではないなと思っています。ラクロスだけではなくて普段話す時も話しやすいし、何でも話せるような雰囲気でいるので、4年生の存在は自分にとってはすごく大きいなと思っています。

後藤 自分の1個上の先輩はすごく話し掛けやすいです。ささいなことでも「ここのプレーはどうでしたか」って聞きやすくて、プレーのフィードバックを聞けたり、こうしたいという主張もすごく言いやすくて。去年の4年生もいろいろと教えてもらえたんですけど、2個上の先輩ということで緊張してしまってなかなか自分の主張ができなかったり聞きたいフィードバックがもらえなかったと感じているので、結構自分では反省していて。ことしはいろいろなことを教えてくれたり、自分がこうしたいと思うプレーをさせてもらっています。4年生は接しやすくて、とてもいい雰囲気で練習できていると思います。

秋山 練習中になあなあな雰囲気になることはないです。下級生の意識がすごく高くて、『日本一』を獲るぞという思いを持ってチームを押してくれていますし、僕たちに意見を言ってくれるということは下級生自身の強い思いがあると思うので、僕としてはそれがありがたいです。彼らの中にも絶対に『日本一』を獲るという気迫を練習中から見せる選手も出てきましたので、雰囲気としては悪くないかなと思っています。

――逆に3年生と2年生はどのようなカラーがありますか

後藤 3年生は1個上に比べたらおとなしくて、真面目な方だと思います。1個上はAチームに入っている実力のある選手が楽しい雰囲気の人たちが多くてたまにおちゃらけるところもあるんですけど、それに比べたら今Aチームにいる3年生はおとなしいなという感じです。

――2年生はいかがですか

青木俊 個性的な人が多いと言うか。いい意味でも悪い意味でも我が強くて、今まで同期と新人戦とかを戦ってきた時には意見を言う人がすごく多かったです。今は先輩たちに意見をぶつけていろいろなものを吸収しながら、その人たちが試合に出るってなった時に今よりも正確な意見を言えるようになったらいいなと思いますし、自分は2年生の個性が強いことはすごく好きなので、それを伸ばせるような環境づくりをこれから自分がやっていければいいなと思います。

――秋山選手にお伺いしたいのですが、ことしのスローガンが『CHANGE』に決まった経緯を教えていただけますか

秋山 新体制になって学年でミーティングをした時に1人1個案を持ち出して、それをバーッと書き出してどれがいいかをみんなで絞っていって、自分たちにぴったりだと思って決めました。僕たちの代が入部してから3年間は関東のファイナル4やファイナルで負けることが続いていて、そろそろ僕たちも変わらなくちゃいけないなと思っている中で、『CHANGE』というスローガンがいいんじゃないかと。いろいろなことに取り組みやすい言葉ですし、今はBチームやCチームの選手も含めて「これをやってみたい」とか「これを変えてみたい」と思った時に「じゃあやってみよう」という雰囲気ができていると感じます。そういう変化をした分結果を出さなくてはいけないですけど、いいスローガンだと僕は思っています。

――4年生の人数が多いですから絞るのも大変だったのではないですか

秋山 めちゃくちゃ時間がかかりました。スローガンを決めるだけで2日くらいかかったんじゃないですかね。コーチにも早く練習しろって言われましたし(笑)、僕たちも早く練習したかったんですけど、ことしを象徴するような言葉になると思うので、大事に決めるべきだと思ってやっていました。

――3年生も人数が多いですし、らいねんも大変そうですね…

後藤 もう1回『CHANGE』でいいかなって…。

秋山 そこはことしの結果次第じゃないですかね。ことし『日本一』が獲れなかったらまた『CHANGE』になるかもしれないですし、いい結果が出せたらそれに上乗せしていく感じのものになるかもしれないですし。楽しみですね。

――今シーズン、自分自身で『CHANGE』したことはありますか

秋山 頭を使ってラクロスをしてこなかったので、戦術とかがメインになるんですけど、頭を使わずにただボールを持った時の動きだけを考えていて、その時にどう頑張るかということしか今までは正直考えられなくて。でもことしは荻原さん(荻原史暁Aチームオフェンスコーチ、平20スポ卒)にコーチとして入っていただいて、最初の方は全然通用しなくて、試合にも出られない中で練習の中で気付くきっかけがあったので、それを機に変われたというか。プレースタイルが自分がボールを持っていない時にどう動くのかをしっかり考えられるようになったので、まだまだ十分じゃないなとビデオを見て思いますけど、そこはプレーヤーとしてはそこが変わったのかなと思います。だから点も取れるようになったのかなと思います。

――青木選手はことしMFになられましたね

青木俊 ATの時はロングとの1on1で崩せるような力はあまりなかったので、オフボールマンの動きとか立ち位置をうまく取りながら、誰かが崩してくれたところをしっかり決めることを意識してやっていました。でもMFになってからは、相手を崩すことがMFの1番の仕事だと思っているので、マッチアップした目の前の人をどうすれば崩せるかをすごく考えるようになって。海外ラクロスの動画をよく観るようになったり、まだ完璧にはできていないですけど、いろいろな引き出しの中でディフェンスのかたちを見て自分がどうすればいいのかを普段の練習からすごく考えるようになったので、相手のディフェンスを崩すことを常に意識してプレーするようになったことは前と変わった点かなと思います。

――後藤選手はいかがですか

後藤 去年よりもシーズンに懸ける思いが強くなりましたね。部活が終わった後も壁当てやウエイトをしたり夜にシュート練をしたり、ラクロスに割く時間は去年と比べて格段に増えたかなと思います。

「チームの状況を考えられる人」に(後藤)

守備でも攻撃でも活躍を見せる後藤

――続いては他己紹介をしていただきたいと思います。まずは青木選手の印象を教えてください

後藤 俊汰は人の懐に入るのがうまいと言いますか。先輩に気に入られやすいなと(笑)。プレーもそんな感じで、自分でガツガツ行くよりも自分とか池田さん(MF池田侑大郎、商4=東京・早実)とかのMFのセットで相手を崩したところに俊汰が入ってきてゴール前でシュートという感じです。器用ですね、菊地(AT菊地智貴、政経3=東京・早大学院)みたいな感じです(笑)。

秋山 人の気持ちを結構考えていると思いますね。後藤と侑大郎(池田)のMFのセットが合っていない時もボソッと「秋山さん、今こういう状況なんですけど」って言ってくるので。かと言って僕が何かをできるわけではないですけど、気配り目配りができる人なんじゃないかと思います。いいキャプテンシーがあるんじゃないかと。あとはちょっと線が細いですね。後藤とかと比べたらご飯を食べる量も少ないですし。体は小さくてもいいけど強くないといけないと思うので、頑張ってたくさんご飯を食べてほしいかなと思います。

――次に後藤選手の印象をお願いします

青木俊 ポジションが一緒になって、ほとんど毎回一緒にプレーさせてもらっているんですけど、一緒にやっていてもいつもすごいなって思いますね。プレーしている時は一緒にプレーしているのに雲の上の存在みたいな感じなんですけど、練習が終わったりするとすごく話しやすいし、今クロスを編んでもらっているので、自分のプレーは功輝さんの手に託されています(笑)。プレー中は怖いなって思う時もあるんですけど、一緒にご飯に連れて行ってもらったりしていますし、自分が言うのもなんですけど、仲はいいと思います(笑)。

――と言われていますが…

後藤 そうですね、仲いいですよ。

秋山 ここの二人はすごく仲いいんですよね…。

後藤 いや、秋山さんとも仲良くさせてもらっていますよ(笑)!

――では秋山選手から見た後藤選手の印象はいかがですか

秋山 さっき自分でも言っていましたけど、ラクロスに割く時間が他の選手とは違うなと。それがグラウンドでのプレーに出ていますよね。そこは尊敬するところですし、いいことだと思います。だからこそU22日本代表に入ったりと結果を残せているのであって、すごく頼もしい後輩ですね。あとは、たまに大事な要件の時に返信が遅い時があります…。

後藤 え、マジですか。

秋山 シーズン序盤はそうだったね(笑)。

後藤 気を付けます(笑)。

秋山 でもいい子ですね。ラクロスに真摯(しんし)に取り組んでいますし、ラクロス以外のこととの切り替えがしっかりできているので、黒瀬(DF黒瀬聡志、政経4=東京・錦城)とかの4年生に見習ってほしいです(笑)。

後藤 でも返信で言ったら、こいつ(青木)もめっちゃ遅いですよ。

秋山 確かに俊汰も遅いわ。

青木俊 勉強が忙しいので…。

秋山 でも田口(MF田口一希、法4=東京・早大学院)とか菊地もそうですけど、学院(早大学院)野球部出身の人は特にそこの両立をうまいことやっていると思いますね。

――内部出身の選手が多くなりましたよね

後藤 そうですね、僕も内部ですし。

秋山 僕だけ違うんですよね。うらやましいです。僕早実に行きたかったですもん。学力が全然追い付いていなかったので受けられなかったですけど(笑)。

――関東の大学に来ることは早い段階で決めていたのですか

秋山 そうですね、僕はワセダのスポ科に行きたかったので。当時そんなに強い思いを持って勉強していたかと言われたらそうでもないですけど(笑)、ワセダに入りたいと思っていました。僕ワセダ愛は結構強いと思いますよ(笑)。

後藤 秋山さんが一生懸命受験勉強しているのを想像したら結構面白いですね(笑)。

秋山 なんでだよ(笑)。僕浪人しているんですけど、めちゃくちゃ勉強しましたよ。みんなにはスポ科一般はあんまりすごくないって言われるんですけど、僕一応人科も受かっているので…(笑)。

一同 (笑)。

秋山 「結局とこキャンやん」って言われるんですけど、僕も本気を出せば本キャンのどこかの学部に受かったんじゃないかなって思っています(笑)。

後藤 学院にどうやって入った?

青木俊 面接と書類です。

秋山 高校から?

青木俊 そうです。受験してないです(笑)。

秋山 マジか…(笑)。

後藤 僕も受験してないです(笑)。もともとバスケをやっていて、バスケの推薦で高校から早実に入ったので、俊汰と同じで面接と書類で入りました。

秋山 受験していなくても、付属とか系属に入るのは大変そうだけどね。

後藤 模試とか受けたことないです…(笑)。

青木俊 え、本当ですか(笑)。

秋山 僕は田舎出身なので、高校と大学が一緒になっている学校が周りになくて、付属とか考えたことなかったですね。

後藤 僕も大学のことはそんなに考えたことなかったんですけど、高校に入る時はバスケの強豪校に行くか、系属校に行くか考えましたね。

――結局のところ、今はラクロスをやられていますね

後藤 そうなんですよね。大学ではバスケを続けるつもりはなかったので、ラクロスを始めました。

――話が大分逸れてしまいましたが、最後にお二人から見た秋山選手の印象を教えてください

後藤 ことし周りには結構厳しいんですけど、普段は優しく接してもらっていて、後輩の僕が言うのもなんですけど、仲良くさせてもらっています。あとはメイジ戦で秋山さんの偉大さをすごく感じましたね。メイジ戦で下級生主体になった時にチームがどういう状況なのかを把握して自分が引っ張ろうと思っていたんですけど、自分のプレーに集中しすぎてしまってなかなかそれができなくて。秋山さんはどんな試合でも自分のプレーにも集中しつつ、チームの状況をしっかり考えられる人なんだなとすごく感じて、あのメイジ戦を通してすごい人だなと実感しました。

青木俊 自分は秋山さんに怒られた記憶はほとんどなくて。自分が困っている時にはアドバイスをもらえたり、功輝さんと侑大郎さん(池田)がバチバチしている時には…。

――先ほどから何度か後藤選手と池田選手の話が出てきていますが…

後藤 六大戦(東京六大学交流戦)の頃は意見がぶつかることもありましたけど、五月祭・早慶戦あたりからはそれもなくなって。今では仲良く楽しくやらせてもらっています(笑)。侑大郎さんが1番言いやすい存在というか、怒っても受け止めてくれるので、自分の意見を強く言うことができるんですよね。今は侑大郎さんと同じセットで良かったなと思っています。

――青木選手はそのような場面で気を遣うところもあったのですね

青木俊 気を遣うと言うか、チームとしてよりよくしていくためにはどうしたらいいかなという判断を自分では考えられないから、とりあえず秋山さんのところに行くみたいな。そうしたら何か答えが出てくるかもしれないので。

秋山 そういうのは放っておいたらいいんですよ。二人(後藤、池田)とも自分の意見を言える人間ですし、侑大郎のプレーも独特なので、そもそも合わせられるはずがないんですよ(笑)。

後藤 そういう意見のぶつかり合いはシーズン当初はありましたね。味方なんですけど、侑大郎さんのプレーが読めなくてぶつかることもありましたけど、今はもう慣れたので大丈夫だと思います(笑)。

――ラクロスのこと以外で家などでよくすることや息抜き、ハマっていることは何かございますか

秋山 僕は上井草のワセダクラブ(接骨院)に行かないとダメですね。

――他のラクロス部員の方も結構行かれていますよね

秋山 ことしに入ってからですね。阿部とか野呂とか林は自分の体のケアを1つもしていなかったので、最初は強制的に連れて行って、少しずつ行くようになってきたかなと思います。僕は試合の前と後には絶対に行って、診てもらうのがルーティーンですね。あと僕『サザエさん』が好きなんですよ。

後藤 言うと思ってました(笑)。

秋山 別にどのキャラクターが好きというわけではないんですけど、観ていて平和だなって思えるのでいつも観ています(笑)。

後藤 僕は朝起きて部活に行って、昼寝ができる時は昼寝をして、そのまま寝ちゃう時もありますし、起きられたら壁当てとウエイトをして…みたいな生活になっちゃっていますね(笑)。あと最近『Netflix』に加入しまして、ケータイで動画を観る時間は増えたかなと思います。

――今は何を観ているのですか

後藤 今は『GRIMM』っていうアメリカのドラマを観ていて、シーズン5まであるんですけど、めちゃくちゃ面白いです(笑)。グリム童話に出てくる怪物が見える人間がいてっていう話です。英語の勉強もしつつ観ています(笑)。

――鈴木潤一選手(AT、教4=東京・城北)も最近『Netflix』に加入されたようです

後藤 あ、そうなんですか。

秋山 潤一はかっこいい人とかおしゃれなことをしている人のまねばっかりするので、良くないですね(笑)。

――青木選手はいかがですか

青木俊 家では寝転がりながらテレビを観るのが大好きで、いかにその時間を長く早く取れるかを考えています(笑)。やることも全部前倒して済ませて、そのあとは家にこもってずっとテレビを観ていますね。完全にインドアです。

秋山 それもいいね(笑)。

「『日本一』が見えてきた」(秋山)

主将としてチームを引っ張る秋山

――ここからは今後に向けての質問をさせていただきます。次戦が関東ファイナル4になりますが、相手が中大に決まった時はどう思われましたか

青木俊 結局予選はどことやっても自分たちのラクロスができなかったら悔しい試合になるし、できたら良い展開で持っていけるんだということがリーグ戦通して分かりました。初めは東大か一橋大と当たるという予想だったんですけど、向こう(中大)も勝ち上がってきているからには勢いがあると思うので、ファイナル4でしっかりワセダのラクロスをして、圧倒できるように強い気持ちを持って今練習しています。特に中大が来たからというよりは、自分たちのラクロスを出せるようにという思いでいます。

後藤 全く同じですね。ことしのチームだったら、ワセダのラクロスをすればどこが来ても絶対に勝てると思っています。中大だから特に何かをするというわけではなく、どこが来ても勝つ気持ちで頑張りたいと思います。

秋山 中大のコーチがワセダのOBということもあってワセダのコーチの方としても負けられないという意地があると思います。僕はことしのコーチ体制に勝てる大学・チームはないと思っていて、こんなに指導してくださってこんなに面倒見てくださる方たちはいないと思いますし、僕たちが勝つことによってそのことが証明されると思っています。もちろん自分のためにも頑張りますけど、コーチのためにも負けられない一戦になるかなとは思いました。

――ファイナル4、ファイナル、そして全国と戦っていくにあたって、自分以外にワセダのキーマンを挙げるとしたら誰を挙げますか

後藤 キーマンになるかなと思うのは、やっぱり高橋洋太さん(DF、創理4=埼玉・県川越)ですね。黒瀬さん、丸山さん(DF丸山将史、政経4=東京・早大学院)とディフェンスのツートップがいる中でその他のディフェンスの選手が狙われるのは分かり切ったことなので、洋太さんとか2年生の中島(DF中島大介、社2=東京・早実)であったりがどれだけ頑張れるかが大事かなと思います。

秋山 僕はキーマンだと思っている人がすごく多いんですよね…。キーマンというか期待しているのは、たくさんいるんですけど、阿部、林、野呂、直井、内藤(MF内藤壮志、政経4=埼玉・早大本庄)、鈴木潤一。この6人は特にAチームの中でも僕がいろんなことを注意してきた人たちで、ラクロスに対する取り組み方とか最後までやり切ることとか、上級生としてあるべき行動とかを1番言ってきて。まだ直らないんですけどね(笑)。その6人が最後に一人1本でもいいから魅せてくれたらめちゃくちゃうれしいですね。潤一は活躍していますけど他5人はまだまだ活躍できる選手なので、残り(ファイナル4から全日本選手権決勝まで)あと6試合で魅せてほしいです。主将という観点からチームを見ると、Bチームのキャプテンの峰岸(MF峰岸桂基、人4=群馬・高崎)とCチームのキャプテン玉井(DF玉井隆大、政経4=東京・巣鴨)もキーマンですね。B、Cチームの方が先にシーズンが終わるんですけど、僕一人では日本一のチームになるためにBやCの選手まで巻き込んでいく機会も少ないので、僕よりもBとかCの選手に近いその二人が最後の2カ月でチームが同じ方向を向けるようなことを言ってくれたら、ワセダの『日本一』という結果につながっていくのかなと思っています。

青木俊 侑大郎さん(池田)は結構キーマンじゃないですかね。侑大郎さんが良いプレーをしている時は得点につながりますし、攻めすぎてミスをしてしまって悪い方向に行ってしまうと攻撃の時に点が取れなくなると思います。侑大郎さんはいつも「おお!」と沸くような点の取り方をしてくれるので、同じセットというのもありますけど、点を取ることに関して言えば侑大郎さんがどれだけ点に絡めて点を取れるかというのは1つのキーポイントかなと思います。

――ご自身はどんなところでチームに貢献していきたいですか

青木俊 リーグ戦の予選では1点しか点が取れなかったので、得点に絡むような動きをしていきたいです。あと自分は今そんなに爆発的にディフェンスを崩せるプレーをしたり、ものすごく速いショットを打つという感じではないので、1番期待されていることはミスをしないでチームが良いオフェンス・ディフェンスをできるようにしていくことだと思っています。当たり前のことを当たり前にするということをまず前提に考えて、そこから自分が練習で頑張っている持ち味を出せるように、ブロック戦より積極的にゴールを狙っていく姿勢を見せていけたら結果はついてくると思います。

後藤 ファイナル、ファイナル4と大きな試合が続くんですけど、普段通りのプレーが大舞台でしっかり発揮できればいいかなと思いますね。自分が行かなきゃと焦ったり、逆に消極的になってしまったりという感じにはならずにいつものプレーができたら最高かなと思っています。あとは、早慶戦以降の試合はなかなか思うように体が動かなかったんですけど、ファイナル4、ファイナルは万全のコンディションで臨めるので、今まで悔しかった分を発揮できるようにできればいいかなと思います。

秋山 正直ことしの8月くらいから僕の中では『日本一』が見えてきて。『日本一』を獲れるのかという不安があった中で、みんなの頑張りが結果や力につながっているところを見て、達成できるんじゃないかと思うようになりました。最後にみんなが気持ち良く試合に挑めるように、12月17日の全日(全日本選手権)決勝の時にAチームだけではなくて、応援するB・Cチームや1年生の選手も強い闘争心を持てるような雰囲気をつくるために言葉を掛けていきたいと思っています。あと、今FALCONSは全日を9連覇していて絶対王者と言われているので、どの大学も結構FALCONS相手に引いてしまっているような印象があります。FALCONSを倒して全日で優勝するために、僕が先陣を切ることでチームが一歩前に出られるように、シュートを決める以外のところでも気迫あふれるプレーでチームを鼓舞できたらいいかなと思います。

――では最後に、今後に向けた意気込みをお願いします

青木俊 まずはもっとゴールを取れるように自分は何をすればいいのかを考えて練習して試合で結果を残すことだと思っています。1年弱4年生と一緒にやらせてもらってたくさんのことを教わって、それを全部発揮するのはなかなか難しいかもしれないですけど、このチームだったら日本一になれると信じて一生懸命やっているので、少しでもチームの力になって『日本一』になれるように、日々の練習から頑張ってやっていきたいと思います。

後藤 いつも秋山さんに言われているんですけど、一つ一つのプレーを、練習から全日の決勝で披露できるくらいの気迫を持って臨んでいきたいと思います。

秋山 後輩たちが力を貸してくれていて、4年生になってみんなが書く『巧より強たれ』(4年生が書くブログ)を読んだり、学年でのミーティングをした時に自分は同期が嫌いじゃないなと思っていて…。あまり言葉に表すことはないんですけどやっぱり同期が好きなので、その同期と一緒に最後12月17日にFALCONSに勝ってワセダとして20年ぶりの全日本選手権優勝を果たせるように、残り2カ月しかないんですけど、一日一日、後藤も言いましたけど『日本一』に値するような行動をみんなが取れるような働きかけをしていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小川由梨香、石塚ひなの)

お好きな言葉を書いていただきました!

◆青木俊汰(あおき・しゅんた)(※写真左)

1997(平9)年6月17日生まれ。165センチ、63キロ。東京・早大学院高出身。法学部2年。長期オフには福岡に旅行に行きたいという青木選手。ラーメンやもつ鍋などのグルメを楽しみたいそうです。試合では相手ディフェンスを切り崩し、果敢にゴールを狙います!

◆秋山拓哉(あきやま・たくや)(※写真中央)

1994(平6)年10月28日生まれ。181センチ、75キロ。兵庫・豊岡高出身。スポーツ科学部4年。ワセダ愛と共に地元愛も強いと語る秋山選手。早スポの記事には出身校が載るため、地元の高校の名前が多くの人に認知させるようになったことを喜んでくださいました…!主将の一撃で、チームを日本一へと導きます!

◆後藤功輝(ごとう・こうき)(※写真右)

1996(平8)年5月24日生まれ。175センチ、75キロ。東京・早実高出身。政治経済学部3年。オフにどこに行きたいかと尋ねたところ、温泉に行きたいと話していた後藤選手。温泉で疲れを癒してリラックスするのが好きだそうです。徐々にコンディションも上がってきているとのことで、今後の試合でのさらなる活躍に注目です!