2チームで予選突破ならず、早大αは決勝トーナメントへ

男子ラクロス

 小雨が降り、肌寒い天気の中、ルーキーたちが入部後初の公式戦に挑んだ。この大会は1年生の4カ月間の練習の成果を実践する舞台となる。早大からはα、βの2チームが出場。早大βは上智大αとの初戦を勝利で飾るが、次戦の東農大・東海大合同チームとの試合は終了間際に追い付かれ、得失点差で決勝トーナメント進出を逃した。一方の早大αは初戦で強敵の日体大に勝利を収める。しかし、続く千葉大βとの試合では苦戦を強いられ、引き分けに終わる。その後の日体大との試合に勝利した千葉大βと勝ち点、得失点差、総得点で並んでしまうが、抽選の結果、早大αが決勝トーナメントへの切符を手に入れた。

 最初に登場したのは早大β。初戦の上智大戦は前半5分にMF片所樹哉(社1=東京・三鷹中教校)が左サイドからゴール前に侵入し、先制点を決めると、後半も着実に追加点を奪い3‐0で勝利をつかむ。その後の東農大・東海大合同チームとの試合では、早い時間帯に2点を先取されるが、チーム一丸となって諦めずに攻め続け、後半4分に片所のこの日2点目となるゴールで逆転に成功する。しかし、試合終了間際に相手にボールをカットされ、失点を喫し、3‐3で引き分け。得失点差で決勝トーナメント進出とはならなかった。

今大会2得点を決めた片所

 続いて登場したのは早大α。1試合目の日体大戦は幸先良く2点先取するも、立て続けに得点を許し、同点で前半を折り返す。後半2分にMF小野弘晴(商1=東京・早大学院)がゴール裏から正面に持ち込んで得点を奪い、逆転に成功。しかし、その直後相手にフリーシュートが与えられてしまう。ここで、このピンチをG佐藤真(商1=東京・早大学院)が阻止。すると、勢いに乗った早大αは1点を追加し、4‐2で勝利した。2試合目の千葉大β戦は、「思っていた以上に千葉大βが強いチームで、そこで少し焦りの気持ちが出てしまった」とAT片山浩平(スポ1=長野・上田西)が振り返るように、予想以上に苦戦してしまい点差を広げることができず、2‐2の引き分け。その後、千葉大βが日体大を4‐2で下したため、決勝トーナメント進出は抽選に委ねられたが、早大αは運も味方して決勝トーナメント進出を決めた。

好セーブでチームのピンチを救った佐藤

 「僕たちは新人戦全てで優勝するグランドスラムを目標に掲げている」(DF茅野城大αチームキャプテン、教1=東京・早実)。今回の予選では、α・βの両チームとも拮抗(きっこう)した展開の試合を勝ち切ることができなかった。試合終盤の詰めの甘さにより予選敗退に終わった早大βは、日頃から一つ一つのプレーにこだわるべきであろう。一方、見事予選を通過したが、思わぬ苦戦を強いられた早大αは、決勝トーナメントを勝ち進むためには、一戦一戦全力で臨むことが求められる。初めての公式戦での経験は、きっとルーキーたちの成長の糧になるだろう。早大βの思いを胸に、早大αはサマーステージ優勝に向けて走り続ける。

(記事 石井尚紀、写真 小川由梨香)

結果

▽予選Hブロック(早大β)

1試合目

○3-0 上智大α(得点者:片所、小林義、下山田)

2試合目

△3-3 東農大・東海大合同チーム(得点者:井上、多木、片所)

▽予選Jブロック(早大α)

1試合目

○4-2 日体大(得点者:片山、竹内、小野弘、木崎)

2試合目

△2-2 千葉大β(得点者:片山、池上)

コメント

妻鹿宏紀学生コーチ(人4=東京・青山学院)

――決勝トーナメント進出を決めた今の率直な気持ちはいかがですか

素直にうれしいですが、ふがいない試合を応援してくださる方々に見せてしまったので、残り1週間敵を圧倒して優勝できるように詰めていきたいと思います。

――4-2で勝利した日体大戦を振り返っていかがですか

1番の強敵で日体大に合わせて練習もしてきたので、その努力が実って良かったです。

――千葉大β戦は引き分けに終わりました

日体大に勝ったことで選手が浮き足立ってしまい、そこを抑えられなかった自分のミスでもありますし、チーム全体をまとめられないふがいなさを感じた試合でした。

――千葉大β戦での2失点はいずれもファールを取られてからでした

審判の判断はスポーツにおいて絶対なので、そういった細かいプレーにも気を配るよう選手に教えていきたいです。

――予選を通じて出てきた具体的な課題は何ですか

選手一人一人が今しないといけないことや現状をしっかり把握しなければならないと思います。普段から一球を大事にしろと言ってるんですけど、そこが徹底できていなかったので、そこを強化したいです。またチーム全体、組織でしっかり戦いたいです。

――決勝トーナメントに向けて意気込みをお願いします

ここまできたら優勝しかないので、どんなに泥臭い試合でも相手を圧倒していきたいと思います。

眞下恭明学生コーチ(政経4=東京・青山)

――大会を終えた今の率直な気持ちを聞かせていただけますか

βの選手も部活外の時間で自主練もして、健気にやっていたんですけど、そのチームを勝たせられなかったのは自分の責任でもありますし、その中でも最後の詰めの甘さで負けてしまった部分があって。一球一球にこだわるという部分を普段の練習から徹底させていれば結果も変わっていたと思います。

――勝利した上智大α戦を振り返っていかがですか

相手が強い選手が来るだろうと思って恐れていたんですけど、点を最初に取れていい流れで試合を進められたので、良かったと思います。

――2試合目はビハインドで折り返しました

ハーフタイムに最後まで詰めの甘さを出すなという話をしました。最後まで一球にこだわろうという話をしました。

――この試合、終了間際に追い付かれ予選敗退が決まってしまいました

ワセダは代々このサマーステージで良い成績を収めてきて、例年βも決勝トーナメントに進出して爪痕を残してきたんですけど、ことしは予選敗退が決まって自分自身責任を感じています。また1年生がここで負けてしまったのは今後リーグ戦(関東学生リーグ戦)やαの試合にも影響してくるので、今後βの選手にはαで活躍してもらうような土台を自分が構築していきたいです。

――この大会に向けて強化してきたことを具体的に教えていただけますか

ワセダの伝統として個の力、自分で打開して点を取りに行くというのをやっていたんですけど、それに加えて最後のパスなどの技術を強化していました。個の力と複数人の力を組み合わせて得点を奪うというのをやっていました。

――ウィンターステージに向けて意気込みをお願いします

ウィンターはフルフィールドで、また1チームになるので、チーム内での争いも激しくなると思います。また、当然他の大学も実力をつけてくるので、ワセダも負けずに頑張りたいと思います。

DF茅野城大αチームキャプテン(教1=東京・早実)

――今回のサマーステージは初の公式戦でしたが、どのような意気込みで試合に臨まれましたか

僕たちは新人戦全てで優勝するグランドスラムを目標に掲げているので、まずこのサマーステージで優勝しなければならず、そのためにこの予選は必ず勝ち上がらなければならなかったので、優勝を見据えて試合に臨みました。

――1試合目の日体大戦では強敵相手に見事勝利しました

日体大は強いチームなので、グラボ(グラウンドボール)の寄りとかチェイスに行くところといった基礎の部分を徹底しました。そこで勝たないと試合にも勝てないと思っていたので、基礎の部分で勝ちに行きました。

――基礎の部分を徹底できたことが勝因とも言えるのでしょうか

そうですね。細かなミスはありましたけど、グラボも結構取れましたし、ディフェンスでチェックアップをしたりといった点は良かったと思います。

――2試合目の千葉大β戦は2ー2での引き分けとなりました

1試合目の日体大戦がヤマ場だと考えていたので、それを越えて少し浮き足立っていた部分があって、気が緩んでしまっていたのかなと。試合前にも気を引き締めるように言ったんですけど、それでも心のどこかで甘えがあって、それが同点という結果になってしまったのだと思います。

――ゲームキャプテンとして、きょうの試合で感じたチームの課題としてはどのようなことが挙げられますか

きょうはシュート精度が悪かったです。点を取らないと始まらないので、シュート精度を極めていく必要があると思います。あとはメンタル面に関して、押され始めると気持ちが落ちてしまう部分があるので、負けている時、押されている時こそ気持ちを上げていくことは課題だと思います。

――きょうのご自身のプレーについては振り返っていかがですか

僕はDFで、体を当てる、ハードフィットをすることに関しては1回も相手に抜かれたくなかったので、そこを意識してやりました。ファールを取られてしまった時もありましたが、強く当たっていくことはできたと思います。

――最後に決勝トーナメントへの意気込みをお願い致します

(サマーステージ)優勝に向けてこの4カ月間努力してきたので、その成果がしっかりと出せるように頑張っていきたいと思います。

AT片山浩平(スポ1=長野・上田西)

――早大ラクロス部員としての初の大会に向けてどう意気込んでいましたか

自分たちは練習試合で結構負けていて弱いと言われている世代だったので何としても見返すんだという気持ちで挑みました。

――その中で予選を1勝1分で終えた今の気持ちをお願いします

予想以上に厳しい戦いになりました。最後の詰めの甘さだったり日頃の練習でも生まれていた隙を相手に狙われたので、まだまだ実力不足だと思いました。

――日体大戦で先制点を決めた場面を振り返ってください

先制点はどうしても欲しかったので、パスを相手の裏に抜けて決められたのは最初の流れとしては良かったと思います。

――結果は4-2で勝利できたわけですが前半のうちに2点を追い付かれてしまいました

あれは自分の完全なミスで相手に点を取られてしまったので。ゴーリーには感謝しています。

――続けて2-2の引き分けで終わった千葉大β戦を振り返ってください

日体大の方が力があると踏んでいたのですが思っていた以上に千葉大βが強いチームで、そこで少し焦りの気持ちが出てしまったのが、同点に追い付かれてしまった要因だと思います。

――片山選手は千葉大β戦でも先制点を決めました。その場面を振り返ってください

やはりチームに流れを持って行きたかったので最初からガツガツ行きました。

――抽選によって進出が決まった決勝トーナメントへの意気込みをお願いします

予選では実力不足を痛感させられましたし、神様が与えてくれたふがいない勝利でした。なので、このもらったチャンスをしっかり生かして優勝できるチームにしていきたいです。

G佐藤真(商1=東京・早大学院)

――今大会が初めての公式戦でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

自分たちのαは先輩方のαと比べて負けるシーンが練習試合でも多く、自分たちの中で弱い世代といった感じで挑みました。その中で日体大は強いという話を先輩方も言っており、自分たちも日体大に勝ち切れるかが大事だなという話をしていたので、勝つことができてすごくうれしいです。

――1試合目の日体大戦を振り返っていかがですか

自分の中では最初のセーブができるかどうかが試合の中でモチベーションになると思っていたので、セーブをできたことが大きかったと思いますし、チームにも勢いをつけることができたと思います。

――その中でフリーシュートを止められたと思います

自分は結構フリーシュートは飛び出して止めるかたちを多くやっていましたが、日体大の選手はそれを知っていたのか、パスという選択肢でやってきて、最初の時点でやられたなと思いましたが、諦めないでゴールを守ろうと思っていたことがあのセーブにつながったと思います。

――2試合目の千葉大βとの試合を振り返っていかがですか

日体大戦は大きなヤマ場になるということをαの中で話していて、日体大に勝ったことで心の緩みが出てしまって、普通に勝てる相手であった千葉大βに引き分けてしまったのは自分たちの課題かなと思います。

――今大会はご自身の好守が目立っていました

残念ながら負けてしまったβの仲間を含め、ベンチの仲間の人たちが応援してくれて、先輩方も応援に来てくださって、その応援のおかげで自分はやりやすい環境にあったのかなと思います。

――最後に決勝トーナメントへの意気込みをお願いします

抽選で決勝トーナメントに進めたことは冷静にうれしいですが、抽選という運ゲーといった感じで進まず、自分たちの力でちゃんと2連勝して勝ち進みたかったというのが本音なのです。勝てたのはすごくうれしいですが、決勝トーナメントは強敵ばかりだと思うので、その中で自分も含め、チームのパフォーマンスをどんどん上げて、優勝を目指して頑張りたいです。

MF小林義直βチームキャプテン(商1=東京・早大学院)

――今大会が初めての公式戦でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

初めての試合ということで、皆最初は結構緊張していましたが、自分は緊張しつつもしっかり楽しんで、チームの皆に楽しんで自分たちのラクロスをしようということをなるべく心掛けて言うようにしていました。

――初戦の上智大α戦を振り返っていかがですか

上智大α戦は、自分たちの一番最初の公式戦で、どうなるかなと思っていましたが、片所くん(MF片所樹哉、社1=東京・三鷹中教校)が得点を最初に決めてくれたり、自分も練習していたかたちでのきれいな得点を決めれたので、自分としては良い試合ができたなと思っています。

――練習していたかたちで得点をできたとおっしゃっていましたが、日頃から得点への意識はありましたか

自分はもともと下のレベルの選手だったので、サマーにも出られるのかどうか分からなかったのですが、自主練とかで得点の練習を日頃よりも心掛けて行ったのが得点に結びついたのかなと思います。

――次戦の東農大・東海大合同チームとの試合を振り返っていかがですか

2試合目は、1試合目に勝って、チーム全体が良い流れだったので、勝てるかなというおごりや気の緩みが多少見受けられました。それで(相手に)最初に得点を決められた際に浮き足立ってしまったのが自分も目に見えて、追い付いて逆転して良いかたちで逃げ切ろうという作戦だったのですが、詰めの甘さや日頃の練習での甘さが最後の最後に出てしまい予選敗退になってしまったかなと思います。

――今大会の1勝1分けという結果について率直な気持ちをお願いします

東海大は自分たちと同期の女子部の方も負けて、予選敗退になったチームだったのでしっかりとそこに勝って、自分たちは決勝に進みたいと思っていて、自分の中でも勝ちたいなという気持ちもありました。しかし、それで変に空回りしてしまった部分があって、点を決められた後とかチームがピンチの状態でも、自分がゲームキャプテンとしてサイドラインやフィールドの中で、皆を鼓舞することができなかったのが、ゲームキャプテンとして心残りです。

――最後に今大会での経験を今後どのように生かしていきたいですか

悔しい負け方を最初に味わうことになったので、引きずると思いますが、この悔しさを忘れずにバネにして、ウィンター(ステージ)やあすなろ(カップ)に向けて頑張って、その後の上級生のレベルのリーグで活躍できるような選手に自分もチームもなっていきたいなと思います。

MF片所樹哉(社1=東京・三鷹中教校)

――初の公式戦であるこのサマーステージにどのような意気込みで臨まれましたか

ワセダの中でもαとβに分かれていて、その中で自分がβになったということは自分がチームの中でも下手だということは分かっていて、その中でも自分が点を取ってチームを勝たせることができるようにすることが自分の役割と思って試合に臨みました。

――1試合目の上智大α戦ではご自身が先制点を決め、チームも3ー0で勝利しました

自分としてもチームとしても初めての公式戦なので、ガチガチなところもあったんですけど、自分たちがやってきたことを信じて、自分たちがやってきたことを出せれば勝てると分かっていました。そのためにまずは先制点が大事だと思い、先制点を狙って行きました。

――2試合目は3ー3で引き分けに終わりました

2点先制されて、普通だったら前半の早い段階で0ー2で諦めてしまっていたかもしれないんですけど、自分たちがやってきたことを信じていたので、絶対に逆転できると思っていました。実際にその後2点取って同点になったのも行けると自信を持っていたから点を取って逆転することができたと思います。でもその後に失点してしまってラスト1分くらいで追い付かれてしまったことはチーム全体で詰めが甘かったなと思っています。これが自分たちの実力だとしっかり受け止めて、サマー(ステージ)が終わってこれからウィンター(ステージ)、あすなろ(カップ)に向けていろいろなチームに配属されると思うので、そこでまた頑張って行きたいと思います。

――2試合が終わった後、コーチからチーム全体に対してはどのような言葉が掛けられましたか

自分も思ったようにツメが甘かったということと、この日の悔しさを忘れずにラクロスに励んで行くように、この日を一生忘れないようにと言われました。

――今大会を通してご自身が今後伸ばして行きたいと感じた点はありますか

βになってから自分が点を取るしかないと強く思い続けてきたので、これからいろいろなチームに配属される中でも個の力を磨いていろいろなチームで頑張りたいと思います。