第2回に迎えるのはMF斎藤励主将(創理4=東京・早大学院)、AT八重倉良太(政経4=東京・早実)、DF阿曽裕也(政経4=東京・早実)、G佐藤万祐(文4=千葉西)のチームの中心選手の4人。昨季まさかの敗戦に涙を飲んだ早大男子ラクロス部は、関東学生ラクロスリーグ戦(リーグ戦)でファイナル4進出、そしてその先に続く全日本選手権勝利を目指す。和やかな雰囲気で迎えてくださった4人にリーグ戦への思いを伺った。
※この取材は8月21日に行われたものです。
「自分たちの実力や立ち位置を知れました」(佐藤)
観客席を指さすDF阿曽
――左隣の人の他己紹介をお願いします
佐藤 彼は斎藤励です。主将兼佐藤万祐の運転手で、自分のドライバーをやってもらっています。
一同 (笑)
佐藤 チームの主将、そしてオフェンスの要でもあるので日本有数のクランプとトスでその名を轟かせています(笑)
斎藤 自分の左にいるのが今年度AT(アタック)リーダーを務めている八重倉良太です。スピードとアジリティを活かした一対一が持ち味で、結構大事な場面で点を取ってくれる男です。面白いところとか教えたいんですけど、ネタにすることもできないつまらない人間です(笑)
八重倉 僕の左隣にいるのは、今年DF(ディフェンダー)リーダーを務めている阿曽裕也です。阿曽君は二年生のころからAチームで活躍している選手なので、とてもディフェンスで頼りがいのあるプレイヤーです。普段は僕の運転手をしています(笑)
阿曽 一番右にいるのがG(ゴーリー)の佐藤万祐です。リーダーではないです(笑)。彼は早慶戦とかでも超人的なセーブを見せますが、一方でお茶目なパスも出したりして、ラクロス内外でチームのムードメーカー的存在です。
――六大戦を振り返っていかがですか
佐藤 初戦は自分ちょっと色々あって出場できなかったんですが、シーズン始まって初のちゃんとした試合だったので、自分たちの実力や立ち位置を知れました。無事優勝もできたのでいい経験になったなと思います。
斎藤 そうですね。佐藤も言ってたようにユニフォームを着て初めての試合だったので、あまりチームが完成していない、技術も高まっていない中で今年のコンセプトの攻めるラクロスをすることができて優勝したのは良い経験です。関東の中での自分たちの立ち位置も知ることができました。
八重倉 自分としては去年から六大戦にも出ていましたが、あまり勝てなくてチームの雰囲気が良くなかったので、今年は最初から勝っていい雰囲気を作れたらなと思っていたので優勝できて良かったです。
阿曽 結構みんなと思っていることは被っているんですけど、最後の優勝を決めた東大戦は部員全員や親たちも見に来てくれたので、その中で優勝できて勝っている姿を後輩たちに見せることができたのは良かったと思います。
――早慶定期戦(早慶戦)を振り返っていかがですか
阿曽 早慶戦はシーズン前半の総決算の試合かなと思っていたので、自分たちとしては絶対勝ちたいと臨んだ試合でした。結果は僅差で負けてしまいましたが、ディフェンスとしては半年間積み重ねたことができたと思います。それでもやはり慶大のディフェンスであったり、ライドに対して今年やろうとしているフルフィールドオフェンス(ディフェンスからオフェンスに一気に切り替えるカウンター戦術)の機会がなかなか作れなかったのは反省かなと思います。手ごたえもありつつ、後半戦への課題が出た試合かなと思います。
八重倉 早慶戦は内容よりも結果が求められる試合だと思うので、去年は勝っていたので今年も勝てたらなと思っていましたが、自分自身も大事な場面で全然決めきれずすごい緊張もしてしまったので、後悔が残っています。なのでリーグ戦ではこの敗戦をバネに頑張りたいと思っています。
斎藤 去年リーグ戦で武蔵大に負けた時これで4年生が引退という絶望感が結構あったんですけど、今年の早慶戦は負けてもまだ次があるというのは良かったです。それでも早慶戦は自分の中で悔しい思いが残っていて、リーグ戦でまた慶大と戦う機会があるので、リベンジできるよう頑張ります。
佐藤 早慶戦はまず自分としては四千人入るスタジアムでやるのが初めてだったので、楽しむことができました。それと負けたことは自分たちがまだまだ足りないなと感じていて、自分たちの立ち位置や足りないものを明確にしてリーグ戦前に負けといて良かったと思えるようにしたいです。
「半年間積み重ねたことができた」(阿曽)
――ここまでのチームの状態を100点満点で表すと何点ですか
一同 うわー難しいな(笑)
八重倉 じゃあ70点で!六大戦優勝できたのはすごく良かったですし、部内の雰囲気も上がったので加点かな。その後にコロナの感染とか色々あって思うような練習ができないことも結構あったのでそれはちょっとマイナスです。それでも合宿も無事終わり、リーグ戦に向けて上がって来ているので70点です。まだシーズンの途中なので100点はやっぱり全部優勝した時に付けたいです。
斎藤 自分は50点かなと思っています。良かった要素はやはり六大戦優勝。悪い要素としては早慶戦負けてしまったこととAチーム以外があまりいい成績を残せていないことです。主将としてやっぱり心の中にそれがあります。まあこれから次第だなと全然思っていますし、リーグ戦で負けたら0点だし、優勝することが出来たら本当に100点だなと思うので
佐藤 自分も50点かなと思っていて、主将と被ってしまうんですが、結局終わったときみんながどう思うかなので現時点ではAチームは六大戦優勝したけど早慶戦は負けてしまったし、Bもいまいち結果が出ていないのでシーズンが終わったときに全員で100点取れるようにチームを引っ張っていきたいです。
阿曽 本当に僕も50点だと思っていて、六大戦優勝以降があまり上手くいっていない印象なので、これからA、B、C、一年生の全チームが公式戦で勝てるよう頑張ります。
――現在のチーム、各ポジションの強みはどういった点だと思いますか
斎藤 全体の強みとしては今年のテーマである攻めるラクロスを、こちらがディフェンスをしているときでも得点を取るための動きを積極的にすることができています。さっき阿曽くんが言っていたフルフィールドオフェンスを駆使して、チーム全体として一試合通して攻め続ける意識が今年の強みかなと思います。
佐藤 ゴーリーとしては大前提としてチームのピンチを救うセーブ力というのは、まだまだですけどシーズン始めよりは格段に良くなっているのかなと思っています。それにプラスして攻撃につなげるためのディフェンスということで、7人目のDFとしてことをみんなで意見を出し合って毎日ゴーリーで動いているのでそういったことが強みかなと思います。
阿曽 ディフェンスは主将も言っていたように今年はフルフィールドオフェンスを掲げていて、その中で奪うディフェンスというのをやっています。ディフェンス全員が奪う意識が強いのが強みであり、例年以上にディフェンスから攻め上がる意識が強いと思うので、そこは今年の強みかなと思います。
八重倉 ATはDFと一緒で常に試合に出続けているので、さっきから言っているフルフィールドオフェンスでもATが主導してオフェンスをまとめているのでそういった支持する力やラクロスIQは成長してきているのかなと思います。
――このチームで一番楽しかったこと、面白かったことはありますか
佐藤 自分たちはコロナもあって、一緒に遊んだりとかはあまりできませんでした(苦笑)。なのでやっぱりこの間の早慶戦が一番楽しかったです。自分たちはコロナになる前の早慶戦を見た最後の世代だったので、親や友達、応援部もいる憧れの舞台で戦うことができて良かったです。
阿曽 自分は試合前に部員全員で円陣をする瞬間が最高です。
一同 そこかよ!(笑)
八重倉 僕は六大戦に優勝して、関東の代表として関西に遠征できたことが割と楽しかったです。いつもと違う環境でプレーできたことはもちろん楽しかったですし、引退したOBので方々が見に来てくださったのが思い出深いです。
斎藤 自分も阿曽くんと少し被ってしまいますが、自分は勝った試合の後が好きです。観客席に挨拶をして、部員や保護者、応援部の皆さんと一緒に紺碧の空を歌う瞬間が、ラクロスをしていて良かったなと思います。他にも移動中の車とかでここで言えないようなくだらない話をしているのも楽しいです(笑)。
――現在のチームの各ポジションごとの状態や雰囲気を教えてください
斎藤 MF(ミディー)は去年から出ていたメンバーが何人かいるので、自分を含めてそのメンバーが今年から出ているメンバーを引っ張りながら成長しています。最近はけが人が多いのは大変かなと感じてます。
佐藤 Gは下級生主体なので風通しはすごくいいです。上級生下級生関係なくお互い思っていることを意見交換できて、仲良くやれています。
八重倉 ATはAチームは去年から出ている四年生が多いので、すごく息があってきているなと感じてます。
阿曽 DFはオフェンス陣とは逆に今年からAチームの試合に出る人が多かったので、最初は相手にやられたりもしましたが徐々に良くなってきました。雰囲気という面ではめちゃくちゃ仲がいいので、緩くなりすぎないように気をつけています。
「100点はやっぱり全部優勝した時に付けたいです」(八重倉)
ボールを運ぶAT八重倉
――続いて個人への質問に移ります。まず斎藤選手です。早慶戦からはチームとしてどのような練習を行なってきていますか
斎藤 早慶戦後から特に練習のメニューを変えたとかはないですが、みんなめちゃくちゃ悔しい気持ちが残っていて練習量が増えているのはあります。土日の午前午後二部練の練習量自体を増やそうという取り組みを行っています。
――主将として現在のチームの調子はどのように見ていますか
斎藤 早慶戦後その前まで上手くいっていたものが少し崩れてしまい、チーム状態があまり良くなかったです。今はリーグ戦に向けて少しづつチーム全体の調子が上がってきているのは感じてます。開幕戦をチームの調子が100%で迎えるのは少し難しいですが、リーグ戦に勝つ中で状態を上げていけたらなと思います。
――現在チーム全体としてはどういった課題がありますか
斎藤 ひとつはコロナの影響もあって、プレーできる人数が少ないことですね。他には今Aチームにいるメンバーや去年からいたメンバー以外の突き上げが少ないかなと思っています。もちろんそのメンバーが悪い訳ではなく、自分たちの育成環境などもまだ物足りないかなと思っています。
――MF陣は現在どのような課題がありますか
斎藤 前の質問と被ってしまうところもありますが、やはり固定して出ているメンバー以外の台頭が課題かなと思います。ずっと出ているメンバーがいる分、試合経験を積めないので成長しづらいかなと思っています。
――続いて八重倉選手です。AT陣は現在どのような課題がありますか
八重倉 ATは攻撃を専門にやっているポジションなので、いざという時はディフェンスを一人で抜き切って、振り切る力が必要かなと思います。なのでみんなが運んでくれたボールをしっかり決め切る力と一人で完結する力がもう少し欲しいかなと思います。
――どの様に改善していく感じでしょうか
八重倉 まずしっかり決め切ることについては、ATだけではなくチーム全体で厳しくミスに対する声かけをしています。一人で決め切る力については、やはり一対一の対人メニューを多く取り入れているので、そこでのバリエーションを増やすことが今やっていることになってます。
――今年度のオフェンス陣の仕上がりについてどう感じていますか
八重倉 先程の斎藤と被りますが、活躍しているメンバーがほとんど去年から出ているので、今年から加わったメンバーの活躍の機会を自分たちとしても提供したいと思っています。どこからでも、誰からでも点が取れるチームにしたいです。
――続いて阿曽選手です。DF陣は現在どのような課題がありますか
阿曽 最近はオフェンスをなぎ倒すような激しさが足りていないかなという課題が出ています。ディフェンス全員で野性味を出していきたいです。
――――どのように修正をしていきたいですか
阿曽 こればかりは積極的に行くしかないので、アグレッシブにどんどん攻めて、もしできていなかったら周りがそれを指摘したり、ミーティングで確認するなどはやっています。
――今年度のディフェンス陣の仕上がりについてどう感じていますか
阿曽 60点くらいかなと思います。ある程度の水準までは来ていると思いますが、今年の目標の全日本選手権を見据えた時にまだ全然上を目指せるなと感じています。
――続いて佐藤選手です。G陣はどのような課題がありますか
佐藤 やっぱりは他のみんなも言っているように下級生の突き上げが欲しいですね。Gはシュートを受ければ受けるだけうまくなるのでしょうがない部分もあるとは思いますが、物足りないなと感じています。チーム全体で競争しなければいけませんし、Gの失点は負けに直結するのでそこは意識しなきゃなと思います。
――下級生にはどのようなアドバイスをしていますか
佐藤 アドバイスというか一緒に考えること大事にしています。夏合宿の時は、全員の目標を確認しあったり、嶋田監督(平7年卒=神奈川・桐光学園)や上條コーチ(令3年法卒=東京・早大学院)と考えを合わせながら目的意識を持ってしっかり練習しています。
「チームを勝たせられるようにプレーしたいです」(斎藤)
シュートを放つMF斎藤
――続いてリーグ戦への質問に移ります。皆さんのリーグ戦への思いをお願いします
佐藤 自分はちょっと負傷してしまって、ちょっとだけ出遅れてしまいます。その期間はやはり自分が試合に出れないので、潟田(泰成、商4=富山・片山学園)とか他のGが自分の代わりに出てもらい、自分は成長した状態で復帰できるように頑張ります。怪我前よりいい状態にできるように、しっかりリハビリしていきたいです。期待しといてください(笑)
八重倉 ただただ楽しみですね。自分たちはコロナもあって、ちゃんとした何試合もあるリーグ戦をやったことがなかったので、とりあえず5試合は絶対できることがうれしいです。それに加えて去年の先輩たちの思いも背負っているので、恩返しとして絶対に勝利を届けたいです。
阿曽 自分ももちろん楽しみなのと、去年と一昨年の借りを返したいという思いがあります。去年負けた武蔵大戦は自分のパフォーマンスも良くなかったので、個人としてもチームとして絶対優勝したいです。
斎藤 さっきシーズンの点数に答えましたが、リーグ戦に勝つか負けるかで自分たちの今年1年間、そしてラクロスをやってきた4年間がどうだったか。その価値が決まってしまうので、結果で価値を示すためにかける思いは強いです。個人としてもしっかりチームを勝たせられるようにプレーしたいです。
――リーグ戦でキーマンとなる選手はいますか
阿曽 やっぱりDF田中進士(商2=神奈川・桐蔭学園)…かと思いきや、DMF江本達彦(政経4=東京・早実)にします(笑)。彼も去年から試合には出ていて、彼が点を取ったりすることで、チームがかなり波に乗ると思うので、ディフェンス面でもオフェンス面でも期待しています。
八重倉 僕はOMF筒井大雅(創理3=埼玉・早大本庄)に期待しています。理由としてはさっきから何回も話題に出ている去年出ていなかったメンバーからの突き上げで、彼は今年から一緒に出ていて、魅力的な選手です。とてもポテンシャルが高いですが、いまいち発揮しきれていないので、リーグ戦では活躍して自分たちを助けてくれるのではと期待しています。筒井君、裏切らないでください(笑)
斎藤 自分はAT栗原大喜(法4=東京・早大学院)が注目選手です。栗原とは高校時代から同じ部活をしていて、大学でも4年間一緒にやってきました。普段はおちゃらけていてふわふわした奴ですが、試合中は負けず嫌いで頼れるプレイヤーなので、意外とあるガッツでチームを救ってくれると信じています。
佐藤 自分はG潟田かなと思います。今年のAチームは自分と潟田の2人で戦ってきて、自分が出ていない期間でもさらに成長しているようなと感じますし、潟田の出来がチームを左右すると思うので頑張ってほしいです。
――リーグ戦ではどのような姿を見せたいですか
阿曽 ディフェンス全体としては毎試合相手オフェンスを圧倒して、ボールを奪いまくる姿を後輩や応援してくれる方々に見せたいです。自分個人としてもそういったプレーの激しさを見せれたらなと思います。
八重倉 ATは去年スタメンだった選手が出ている訳でなく、今年はガラッと変わったメンバーが出るので去年いた先輩たちに自分たちの成長した姿を得点力で示したいです。
斎藤 自分も試合に勝つことや点を決めることで、家族、先輩、コーチ陣、そして応援部の彼女(笑)にしっかりと感謝の気持ちを伝えられるように頑張りたいです。
佐藤 自分はGの立場にこだわってきたので、そのスタイルを曲げずに見せることで、周りにいい影響を与えて突き進んで行きたいです。
――最後にリーグ戦に向けた意気込みを一言お願いします
阿曽 優勝します!
八重倉 得点王になります!
佐藤 1点も決められません!
斎藤 攻めます!
――ありがとうございました!
(取材・編集 田部井駿平 写真 )
※掲載遅くなり、申し訳ありません。
色紙には今年のチームスローガンのPUMPの文字が!…ん?
◆佐藤万祐(さとう・ばんゆ)(※写真左)
千葉西高校出身。文学部4年。好きな食べ物はカレーと野菜スープの佐藤選手。最近はカレー作りにハマっているそうで、取材当日も野菜カレーを持ってきていました!
◆斎藤励(さいとう・れい)(※写真中央左)
東京・早大学院高校出身。創造理工学部4年。その筋肉とベビーフェイスでチームでは愛されキャラの斎藤選手。弟のように思っている部員も多数いるそうです!
◆八重倉良太(やえくら・りょうた)(※写真中央右)
東京・早実高校出身。政治経済学部4年。チームでは雰囲気を上げ、バイト先では豚を揚げている八重倉選手。阿曽選手とは小5からの付き合いで、試合前はよく一緒にサウナに行くそうです!
◆阿曽裕也(あそ・ゆうや)(※写真右)
東京・早実高校出身。政治経済学部4年。部内では競馬好きで知られるギャンブラーの阿曽選手。馬と女の子でも馬を選ぶ筋金入り。オフの日は下北沢の古着屋と各地のオムライス屋を巡っているそうです!