【連載】『Achieve~日本一を達成せよ~』 第1回 DF矢野博副将×DF洞良太×G新町隼人

男子ラクロス

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)Bブロックを1位通過し、今季もファイナル4へ駒を進めた早大。この先も勝ち抜くには華やかなオフェンス陣もさることながら、体を張って守り抜くディフェンス陣の活躍も不可欠だ。今回は抜群の安定感を誇る守護神G新町隼人(法4=東京・早大学院)、度重なるケガから復帰し躍動をみせるDF洞良太(人4=神奈川・南)、3年生ながら副将としてチームをけん引するDF矢野博(商3=神奈川・逗子開成)の3人に、ここまでの振り返りや来る大一番への意気込みを伺った。

※この取材は10月14日に行われたものです。

「まだ完成はしていない」(新町)

和気あいあいとした対談となった(左から矢野、洞、新町)

――今年のチームの特徴はどのようなところだと思いますか

新町 ディフェンス面で言うと安定感があるかなと思います。昨年と比べてこちらからディフェンスで仕掛けていくわけではないのですが、どのチームに対しても安定して守れている、よね?

 あとは、昨年から出ている選手が少ない中、みんな新しいことに挑戦していこうという気があるチームだと思いますね。

矢野 若い選手が出る機会も多いのも特徴かなと思います。

――リーグ戦5試合を終えた感想を聞かせてください

新町 僕は結構運が良かったなと思っています。ディフェンス時間が長くなった時は失点しやすいのですが、オフェンスが時間をコントロールしてくれたときはディフェンスもいい感じに勢いに乗れたことが多かったので、助けられているところは多いというのが本音ですね。

 メンバーがなかなかそろわない中、よく耐えて乗り切ったなという感じですね。

矢野 そうですね…。

新町 あまり俺たちに迎合しなくていいからね(笑)。

矢野 ディフェンスしていて結果的には守れているかなと思うのですが、ディフェンスで受けてしまうところも多くボールをあまり奪えなくて、あまり得点を伸ばせていないかなと思います。守れてはいますが、ただ守っているだけで、オフェンスにつなげられていないですね。

――主力をケガで欠く中で、チームに動揺や危機感はありましたか

 欠けたところを周りが補っていかないといけないという面では、全体としてチームのディフェンスの底上げになったと思います。ですが、これから戦うにあたっては、まだフルメンバーで戦ったことがない不安もあります。

新町 あまり動揺はなかったと思います。シーズン当初からケガ人はある程度いて、それがたまたまリーグ戦でも発生してしまっただけなので、どういう風に対処するかとかメンバーの出し方については部内でも明確にできていた部分があったので、試合になってメンバーが変わってもやることは同じという意思の元できたと思います。

矢野 正直、3年生なので4年生がケガするたびに「うわっ…」て感じで(笑)。自分としては動揺があったのですが、その分経験も積ませてもらったというのもありますね。

――リーグ戦のなかで印象に残っている試合はありますか

新町 被らないようにしよう。

一同 (笑)。

新町 俺は最後でいいよ。じゃあ博からで。

矢野 僕はやはり明大戦です。負けてしまった試合なのですが、試合の中で自分の責任で失点を喫したシーンがあって、それを機に流れを渡してしまいました。リーグ戦の大事な試合の中、3年生である自分がミスをしたことで、4年生が次負けたら引退という状況になってしまったので、そこが自分の中で悔しいしふがいなく、そういう意味で印象に残っています。

 僕は東海大戦が印象に残っています。今年のディフェンスのコンセプトとして、フルフィールドオフェンスでディフェンスから得点を目指していこうとしていたなかで、新町さん、俺、吉田茂高(教4=東京・早実)というラインだけでフルフィールドオフェンスを完結させて点を取れたことは、目指していたところまでうまくいけたなと思いました。

新町 僕は一橋大戦ですね。一橋大に勝つということを今季のリーグ戦が始まる時からみんな意識していて、結果として完勝できたというのはやってきたことがかたちになった瞬間だと思っています。失点の2つも、1つはシュートが洞君のお腹に当たって入ってしまったものと(笑)、最後の失点は試合が決まっていたところでの失点だったので、ほぼ0失点だったんですね。一橋大はラクロス界では戦術的なラクロスをしてくるチームとして知られていて、簡単に勝つことは難しいと毎年思っているのですが、そんな相手に力と力で、横綱相撲のようなかたちで勝てたというのはチームの可能性を感じられたので印象に残っています。

――新町選手のお話にもあったとおり、一橋大戦ではディフェンスの活躍が光りました。矢野選手と洞選手は一橋大戦のディフェンスについてどう感じますか

 控えのメンバーが出た中、特に黒瀬(聡志、政経2=東京・錦城)がうまく機能してくれて結果を出せたということで、チーム全体で勝てたなと思います。

矢野 ベンチメンバーが全員出て総力を挙げ守り切れたことは収穫だったと思います。

――一方で明大戦では敗れましたが、その後にチームで確認したことなどありますか

新町 ディフェンスはいままでやってきたことだけに安住してはいけないということに気づけました。さっき話にあった通り安定感が売りのディフェンスだったのですが、安定感だけだと相手に小細工をされたり力で上回る社会人と対戦したりすると負けてしまうという課題がありました。そういうときに自分たちから何か起こしていく、例えば受け身にならずにボールを落としに行くとか、積極的にプレッシャーをかけにいくディフェンスも大事だということに気が付けた点でよかったと思います。ことしはいままでのままだと、ある程度のところまではいけることが分かっていたのですが、もっと上のステップにいくために、良い薬だったかなと思います。

 僕も同じで、いい意味で危機感をチーム全体で持てたと思います。なんとなくやっていた部分もあったと思うのですが、4年生としては負けられない状況になってしまったので、切り替えてチームを良い方向にもっていこうと分岐点になった試合だと思います。

矢野 チームとしてもグラウンドボールの対応など基礎に立ち返ったメニューが増えて、もう一回足元を見る機会になったと思います。

好セーブを連発し、チームを救った新町

――ここまでディフェンスでは思い描いた通りにできていますか

新町 正直、僕はあまりできていないです。失点は17だと思うのですが、止めたというよりは僕らがディフェンスをしていて甘くなったところを止めたことが多いです。もう少し上のレベルになってもっといいシュートを打ってきたり安定した攻撃をしたりしてくると、いまのままだと足りないと感じる部分もあります。なので、まだ完成はしていないという印象を僕は持っています。

 僕としては、リーグ戦では挑戦した結果の失点というよりも、自分たちで崩れて失点が多いと思います。また、失点してないとしても危なかったシーンも多かったので、そこはこれから突き詰めていかないといけないです。最後の最後で新町さんに助けられた部分も多いので。

新町 いやいや、それはないでしょ!ディフェンスがうまくかみ合ってシュートが甘くなり、たまたま止めただけです。俺が良かったのではなく、ディフェンスが良かったです。

矢野 4年生が思い描いているディフェンスに対し、完全にとはいかなくても自分たち下級生がしっかり理解して、体現していくという意識は出てきていると思います。あとは自分たち下級生がもっと主体性を持っていけば、チームのディフェンスも向上すると思いますし、新町さんにも納得してもらえるかなと(笑)。

――新町選手に伺います。先日ヘッドコーチに取材した際よく止めているとおっしゃられていたのですが、自身ではまだやれるという気持ちなのでしょうか

新町 そうなんですか!ありがとうございます(笑)。自分でセーブしたパーセンテージを数えたら76%だったのですが、自分がいいプレーをした印象が全然ないです。止められるシュートを止めていただけで、それはディフェンス陣が最後に体を投げ出してくれたり、差し出したクロスに当たってシュートが弱くなったりしたおかげだとビデオを見て感じるので、自分がいいプレーをした印象はなく、違和感があります。これから相手のレベルが上がってきた時に、自分が止められるかということが大事で、いまディフェンスが頑張っているところだけだと駄目だと思うので、そこは自分が頑張らないといけないと感じています。

――洞選手は昨季ケガで苦しまれましたが、ラストイヤーに期する思いは大きかったですか

 僕的にはまさかここまで足が良くなるとは思っていなかったので、ラッキーだなと思っています(笑)。いままで3年間プレーできなかった中、自分がどれだけやれるのかというのをピッチで示せればうれしいですね。

新町 洞君は最近本当に状態が良くて、リーグ戦の最後の方はめちゃくちゃ頼りになるプレーをしてくれているので、ファイナル4以降でも一番頼りになると思っています。

――矢野選手は「下級生として~」と口にされていますが、3年生ながら副将を務める立場として、下級生を引っ張る意識は強いでしょうか

矢野 やっぱりここから先は1回負けたら終わりなので、一日でも長く4年生とラクロスがしたいので…。

新町 絶対うそだろ!

 いま笑ってたもんね(笑)。

矢野 いや、本当ですよ。最後12月20日まで4年生とプレーしたいので、一つのシュートやグラウンドボールへの反応などにしても気持ちのこもっていないプレーは絶対になくしていきたいと思いますし、一球一球に大事に、4年生とこの時期もラクロスできることに感謝したいと思います。

――では、お互いのプレーの印象をお聞きします。まず新町選手の印象はいかがですか

新町 絶対良くないでしょ!

 彼は自己主張が強いですね。

新町 グラウンドとグラウンド外では違うと自分では思っているんですけどね。

 よりピッチ上では自己主張が強くなります(笑)。

新町 結構うるさいタイプなんですよ。こないだもFALCONSというクラブチームと試合したとき、最初のフェイスオフの前に相手のATに「ノイジーゴーリー」と言われました(笑)。何もしてないんですけどね、そういう認識なんだと思いました。

矢野 社会人相手にも、試合中にけっこうバチバチやるイメージですね。

新町 ことしはないですよ!自分、試合に夢中になってしまうんですよ。ゴーリーってコーチングもしないといけなくて、後ろから選手に対してボールの位置や陣形を与えないといけない中で、僕はおせっかいなので、見方が分かってるのか何度も確認するなかで過剰になり、うるさく聞こえると僕は認識しています。

――意図的に指示の声を出されているのですね

新町 そうですね。僕が下級生の頃はいまよりもゴーリーにコーチングを求める風潮があって、それを体現する認識でいます。最近はゴーリーがディフェンスをつくることが主流ではないのかもしれませんが、僕ほど喋る人はいないですね。

 リーダーシップがあって、頼りがいがあります。

新町 すごく好意的に言うとこうなります(笑)。

矢野 それだけじゃなくて、声を大きく出す分、新町さんのプレーには気持ちがこもっていますし、熱いプレーをしていて頼りになります。

――洞選手の印象はいかがですか

新町 洞君はすごく間抜けですね。ちょうど1年前のファイナル4前の合宿で、練習用にチームを分けるユニフォームがあるのですが、着脱するときに間違えて前と後ろを逆にして、前掛けみたいになってるのに気が付かず猛然と突っ込んで、周りが笑ってプレーできないことがありました(笑)。そういうところが多いですね。さっき言ったようにお腹に当たってオウンゴールしたり、味方にチェックを入れたりだとか、本当に奇想天外で一緒にいて楽しい選手です。

――天然なところがあるのですね

 そこは自覚していますが、ことしは出さないように頑張っています。

新町 ことしはまだなくてつまらないですね(笑)。真面目なことを言うと、すごくプレッシャーをかけるのがうまいです。ワセダはどっしりと構えるようなディフェンスが多いのですが、洞君は自分から積極的にいって相手ボールを落とせます。特に春の早慶戦のように個人でボールを奪えるので、組織や戦術以前にチームへ一番いい貢献をしてくれていると、後ろから見ています。

矢野 すごくポテンシャルが高いなと思っていて、ケガしている期間が2年以上あったにもかかわらず、いま一番(ボールを)落とせるワセダのディフェンスなので、どうやったらこんな短期間ですごいプレーヤーになれるのかなと思います。

――矢野選手の印象はいかがですか

 博は今年ロング1年目なのにすごく成長してくれた印象があります。俺が前半戦は半分くらいいなかったのですが、その間に伸びてくれて、チームの核となってくれたおかげで、こうしていまディフェンスが成り立っている気がします。

新町 運動神経がすごいなと思います。ケガしないし、走れますし、体の左右のバランスがいいのでどちらからも投げることができますし、グラウンドボールを拾う技術もあります。本当にオンボールの動きはいいですね。ただ、これからファイナル4以降でディフェンスをコントロールする能力が上がっていくと、手の付けなれないプレーをしてくれると思います。

――今季は下級生の活躍もありますが、みなさんから見ていかがですか

新町 今年くらい2年生がAチームに絡んでくる年はないです。そういう点では頼もしいと思います。2年生だけで下に落ちてしまった選手含め5人くらいいますが、早い段階からプレーが完成していたり自分の武器が分かっていたりする選手です。特に黒瀬はシーズン序盤から一緒にやっていて特徴は分かりますし、丸山(将史、政経2=東京・早大学院)も左のロングということで他の選手にないプレーをしてくれて、チームに影響を与えてくれていると思います。

 頼もしいですよね。4年生のディフェンスが頼りない中で下からの突き上げがあると頑張れますし、2、3年が上がってくると来年以降もいいチームになると思います。

矢野 同期の光太郎(山岡、社3=神奈川・サレジオ学院)と祐次郎(大橋、法3=東京・早大学院)とか、黒瀬と丸山がすごくうまくて、それに刺激されますし、頼りになるなと思います。

「日本一という言葉に惹かれて」(矢野)

副将としてもチームを引っ張る矢野

――みなさんがラクロスを始めたきっかけを教えてください

矢野 僕は姉の知り合いがラクロスをやっていまして…。

新町 彼氏?

矢野 まぁ仲の良い友達がいまして(笑)。それで動画とかを見ていたらかっこいいなと思いました。ワセダのラクロス部を調べたら、日本一を目指してやっているということで、高校までは日本一を目指せる環境にいなかったので、日本一という言葉に惹かれて入りました。

――入学前からワセダに進んだらラクロスやろうと決めていたのですか

矢野 僕は指定校推薦で11月くらいには決まっていたので、1月とかには決めていました。

 僕は全くラクロスは考えていませんでした。サッカーをサークルなり入れたら部活で続けようとしていたのですが、たまたまいま4年の河原翼(法4=大阪・早稲田摂陵)というやつと知り合って、存在を教えてもらいなんとなくラクロス部に入った感じです(笑)。 

新町 僕は高校時代にラクロスをやっていたというバックグラウンドがあるのですが、高校で始めた理由は大きく分けて2つあります。1つは純粋に新しい物が好きだったということ、2つめに分業制のスポーツって面白いと思ったんです。アメフトとかもそうだと思うのですが、なんでも自分がやるという感じじゃなくて、アメフトで言えばQBならQBというようにポジションが分かれていて、ラクロスも何か一つ自分の武器があれば戦えるスポーツというところに魅力を感じて、始めたのを覚えています。大学でも続けようと思ったのは、高校時代はレベルが高いところでやっていなかったのですが、ラクロスという競技は好きでしたし、大学で一流のアスリートとともに自分がどこまでやれるかということを試したくて入部しました。

――高校までの経験が生きることはありますか

矢野 僕は野球をやっていたのですが、投げたり打ったりする動作がクロスを振る動作につながっています。あとは高校時代の野球部は強くなかったのですが、グラウンドがあまり使えずに近くの海辺を走るなど基礎体力を付けるメニューが多くて、体力作りや運動神経は養われました。

新町 博は本当に体力がすごいです。20メートルをどんどん早くなるペースのなか往復するメニューをコンプリートできるくらい体力がすごくて、試合でケガをしているところを見たことがないくらいですね。

矢野 海で走っていたのはデカイですね。

 サッカーとラクロスはフィールドの大きさがほぼ同じなので、空間感覚という点では役立っていると思うのですが、手で扱う競技には慣れていないので(笑)。そういうところではハンデがあったと思います。

――サッカーは野球やバスケットボールよりコンタクトがありますが、その点が生きることもありますか

 僕はサッカーの当たり方をしていますし、グラウンドボールに対して下半身から入るという意味では他の人より強く入れると思います。

新町 僕は少し違う角度からいきます(笑)。僕はゴーリーのなかでも運動神経が悪くて、駆け引きで生きているタイプなんですね。なんでそうなったか考えると、僕は小さい頃は変な子どもだったんですよ。CMが流れた瞬間にその会社を言うとか、歴史が好きで戦国時代の大名が入っているシミュレーションゲームでも頭のなかで戦略を考えるのが大好きだったんです。なので、いまだと対戦相手の選手の特徴だとかどういうシュートを打ってくるか研究をして、試合で止めるというのはゴーリーに生きているかなと思います。僕みたいに偏った人間だとそういうこともできますね(笑)。

――学年のカラーはいかがですか

 遊んでいる人は遊んでいますね。遊ばない人は遊ばないです。

新町 3年は人数少ないし遊んでるよね?

矢野 人数が少ないので絡むことは多いですが、そんなにオフの日に集まって遊ぶことはないですね。去年の夏は遊びに行ったのですが、全体で遊びにはなかなか行ってないですね。

――個人としてはオフをどう過ごしていますか

矢野 情けないのですが、僕はバイトもしていなくて、オフは寝ていますね…。特に勉強もせずです。今年の夏から寮に住み始めて、毎日つまらないなと思いながらテレビ見てたら一日が終わる感じなので。

新町 クソな生活送ってるよね(笑)。

矢野 さすがに改善しないと思っています(笑)。

 僕はインドア派なので、家で漫画読んだりYouTube漁ったりしています。

新町 でも、洞君は意外とティッシュ配りしたり鎌倉パスタで働いたりしてます。

 最近は短期バイトしてお金を貯めています。

――何か楽しかったバイトなどありますか

 基本的に楽しくないのですが、色々な経験ができているので、何もしていない昨年に比べれば充実していると思います。

新町 僕は他人とうまく行動できなくて1人で動くのが好きで、下級生のころは昔の映画を見に行ったりしていたのですが、留学してから散歩が大好きになりました。オフの日は一人でカメラ片手に散歩したり、外で昼寝したりだとかしてます。あと最近はフィルム写真が自分のなかで流行っていて、いま主流はデジタルカメラだと思うんですが、フィルムを取って、それを巻いて、薬品で現像した後、光を当ててっていう作業のように、非効率的なプロセスを踏むことがすごく好きです。あとはコーヒーを淹れたりすることも楽しんでます。多趣味と言うか、友だちがいないだけです(笑)。

矢野 マルチなので、そういうところ尊敬しています。

新町 バカにしてるだろ(笑)。裏で友だちがいないとか言ってそうだもん。

――矢野選手と洞選手は最近のマイブームはありませんか

 最近始めたのは、バイト終わって記帳したときにお金が入ってくるのを見るのが至福のひと時になっています(笑)。

矢野 いま募集してます…。最近意識して本を読むようにしています!一番最近は競争戦略という授業で先生にいただいた、意識高い系の本を読みました。

――互いの私生活の印象はいかがでしょうか

新町 僕は私生活で他の人間と交流がないのでわからないですね(笑)。洞君はのほほんとニコニコしていて、でもたまにキチガイみたいなことをする感じです。めちゃくちゃいい子で、常に笑顔が絶えず優しいです。博は最近寮に引っ越してきたのですが、ますます人間としてクズになってきました。でも僕も家が近いので、練習後帰宅してから学校に行こうとすると寝てしまうベッドの魔力みたいなものは分かります(笑)。どういう気持ちなのかは分かりますね。

矢野 その通りですね。帰ると家から出られなくなります。

新町 俺の印象どんな感じなの?バランスのいい感じだと思っているんだけど。

矢野 そうですね。あとはさっき言ってたように色々なことをやっている人なので、体育会だとがっつり部活に打ち込んで他に何もできないイメージだったのですが、新町さんは芸術とかにも詳しいイメージです。

新町 僕は部活的にはよくないのですが留学をしていてそこでラクロスもしていて、部活やるはずの1年を留学していま5年目になることもあまり模範的ではないですね。アメリカでもインディペンデント映画という自主映画の最高峰のところに1人で乗り込んだりはしました。でも、自分で何かやる感じではないですね。

――部内で流行っていることなどはありますか

矢野 パワプロじゃないですかね。3年は流行っています。

新町 3年はゲームとラクロスしかやってないんですよ(笑)。

矢野 僕は半年遅れで最近始めました。

新町 大学生になってゲームやるの?

矢野 いや、意外と面白いですよ。選手を育てていく過程がいいですね。

新町 きょう一番イキイキしてたね(笑)。

「一日一日を大切に」(洞)

高いポテンシャルで堅い守備を見せる洞

――ファイナル4の慶大戦に向け、どのように戦いたいですか

矢野 早慶戦では勝てたのですが、リーグ戦を見ていると強くなった印象が強いので、それ以上に自分たちが強くなっていないと勝てないと思います。日々の練習から一球にこだわっていきたいと思います。

 定期戦は勝てたのですが今季の戦績を見たら負け越していて、しかも慶大も成長していて、僕たちがここから一段階レベルを上げないと勝てないので、気を引き締めてやっていきたいです。

新町 互角だと思っているので、残りの期間をどう過ごすかで変わってくると思います。慶大のラクロス大好きなんですが、システマチックなラクロスに対して僕らはディフェンスとしてどこまで対抗できるかがカギだと思うので、一日一日を大切に過ごしていきたいです。

――5月の早慶戦とは別チームという印象でしょうか

新町 慶大はメンバーは変わっていないと思うのですが、この一戦に懸ける思いも違うと思います。リーグ戦を経た流れで戦いますし、戦術も変わると思うので、5月に勝ったことはチームとしても考えていないですし、勝ってファイナルに進みたいだけですね。

矢野 3年生以下が多いチームなので、絶対に負けたくないですね。

 個人的には慶大に憧れている選手がいるのですが、そういう選手に勝ちたいですね。

――早慶戦ということは意識しますか

矢野 実際、ファイナル4で早慶戦となればそれなりに緊張しますし、春とは違い負けたら4年生が引退という違う緊張感もあるので、厳しい戦いになると思いますが、あくまで通過点なのでそこは自信をもって戦いたいと思います。

新町 僕はパッション系ではなくてのほほんとしたタイプなのですが、早大学院高出身で早慶戦という枠組みは8年目でラクロスでは勝てていない印象なので、この一戦への思いは強いですし、本来の学年である昨年はファイナルで慶大に負けて引退していくのをグラウンドに立って見ていたので、通過点だとは思いますが、この一戦で勝つことが自分の人生では意味のある戦いだと思います。

 僕はもともと早慶戦に勝ちたくて部活に入ったので、慶大と戦うとなると気持ちが上がりますし、勝ちたいと思います。

――キーマンを挙げるとしたらどなたでしょうか

 キーマンは…、博かな。博に頑張ってもらいたいと思います。

矢野 ありがとうございます(笑)。僕は同じ学年のMF佐藤大(スポ3=東京・調布北)です。リーグ戦でもすごく得点を決めて、U22日本代表でも活躍していますし、チームのオフェンスの核となっているので、彼が得点してくれれば勝てると思います。

新町 2年の鈴木潤一(教2=東京・城北)を挙げたいと思います。シーズン当初はケガで遅れていたのですが、リーグ戦に調子を合わせて上げてきて、武蔵大戦ではディフェンスでいい働きをしてくれましたし、運動神経がいいので臆せずプレーしてくれれば活躍できると思います。ファイナル4でワセダの2年生が得点を決めるときは勝つというジンクスがあると聞いていて、昨年も大雅(篠崎大雅、スポ3=栃木)が決めて勝ったのもありますし、2年生がのびのびとプレーできるように上級生が舞台を作ってあげたいです。

――ファイナル4の勝負を分けるカギはどのようなことだと思いますか

矢野 僕はやっぱりニュートラルのところだと思います。慶大はグラウンドボールなどに強く寄りも早いのですが、そこで勝ってディフェス時間を短くすれば、うちのオフェンス陣は攻撃時間を長くすれば点を取ってくれるので、ニュートラルのところで勝ってオフェンス時間を確保したいです。

 僕たちはチームとして気持ちを一つにして持っていけるかがカギだと思います。練習から少しずつ上げて、サマーステージくらい盛り上がればもっといい試合が出来ると思います。

新町 僕はシンプルに第1クオーターだと思います。今年はオフェンスがよく、歴代1位なんじゃないかと後ろから見ています。そんな彼らが得点を取れるような雰囲気にするために、ディフェンスがしっかり締めて前半無失点で乗り切るくらいの勢いになれば軌道に乗っていくと思います。ディフェンスの仕事としてはオフェンスに気持ちよくラクロスをさせてあげれば勝てるので、絶対に先制してくれるような流れにしたいです。

――ここから先の試合で自身のここに注目してくれというプレーはどんなプレーですか

矢野 泥くさくグラウンドボールを取って、フルフィールドオフェンスで点を取るところを観てほしいです。

 僕は個人でボールを落として、自分で攻撃につなげていくという守から攻へ1人で完結させるところを観てほしいですね。

新町 僕は意外性のある流れを呼び込むプレーを観てほしいです。こういう大きな大会ではいかに会場の雰囲気を味方に付けるかが大事だと思っていて、普通のプレーじゃなく、派手ではないですが奇をてらったプレーですとか挑戦するプレーだとかをやっていきたいですね。そうすればチームもいい雰囲気になっていくと思うので、ゴーリーとして止めるのはもちろんですが、自分たちのチームに流れを呼び込むプレーをしたいので、そこを観てください。

――ファイナル4、ファイナルと負けられない戦いが続きます。最後に意気込みを聞かせてください

矢野 4年生とできる期間は限られているのですが、シーズン当初から自分は試合で使ってもらっているのに結果を残せていないので、先輩に恩返しできるように、自分もいいプレーをしてチームを勝利に導きたいと思います。

 僕はケガなく今シーズンを終えることが最低限の目標で、いままでラクロスに関わっている時間が少なかったのでどれだけ自分が本気になってチームのためにできるか日々考えて、一日一日を大切にプレーしていきたいです。

新町 日本一になるってこれからの人生でチャンスがあまりないと思うので、いまこのメンバー、環境、応援してくれる人たちのなかで日本一を目指して戦えることは幸せです。一緒に戦っているメンバーは、僕は1学年上ですが大好きな仲間ですし、一緒にやってきたことが正しかったと証明したいので、最後まで一日一日を全力で取り組んでやっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 菅原拓人)

個性の光る目標を書いていただきました!

◆矢野博(やの・ひろし)(※写真左)

1994年(平6)4月7日生まれ。身長176センチ、体重70キロ。神奈川・逗子開成高出身。商学部3年。4年生お2人との対談となった矢野選手。時折新町選手に突っ込まれながらも、笑顔で会話する様子は仲の良さを伺えました。試合では尊敬する4年生のためにも、体を張ったプレーを見せます!

◆洞良太(ほら・りょうた)(※写真中央)

1993年(平5)2月7日生まれ。身長175センチ、体重70キロ。神奈川・南高出身。人間科学部4年。天然な一面を持つと皆に言われていた洞選手。今年はまだ発揮していないということですが、この後天然エピソードは生まれるのでしょうか?こうご期待です!

◆新町隼人(しんまち・はやと)(※写真右)

1992年(平4)10月8日生まれ。身長172センチ、体重78キロ。東京・早大学院高出身。法学部4年。小学校時代から声の大きさに定評があったという新町選手。持ち前の明るさで対談を盛り上げてくれました。スタジアムでは最後尾から声を張り上げる新町選手の姿にもご注目ください!