開幕2連勝も課題残す

男子ラクロス
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q
早大 11
明大
▽得点者
柳田3、有村、岸本、大場、伊藤大、山口俊、岩野、堤、須賀

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)の最大のヤマ場であった初戦の慶大戦に快勝し波に乗る早大。厳しい残暑のなか、明大とのリーグ戦2戦目が行われた。この日の早大は序盤からリードを奪い試合を優位に進める。第4クオーター(Q)に攻め込まれたものの、11-7で追い上げる明大を振り切り開幕2連勝を飾った。

積極的な攻撃が光ったMF大場

 試合開始直後から早大のオフェンス陣が躍動した。4分にMF有村祐次郎(先理3=栃木・宇都宮)、その1分後にAT岸本僚介(政経3=東京・早実)が連続してゴールネットを揺らし、いきなり2点を先制。さらに14分にはMF大場卓次(スポ4=東京・国分寺)、第1Q終了間際にはAT柳田諒(社4=東京・早実)がそれぞれショットを決めて4-0と第1Qからリードを得ることに成功する。この勢いを維持したい第2Qであったが、ペースをつかんだのは明大。早大は連続攻撃から失点すると、ボールを奪うことができず防戦一方になってしまう。しかし、DF左官佑樹主将(スポ4=千葉・市川)を中心としたDF陣の必死の粘りで2点目は阻止。すると17分、早大はMF伊藤大貴(教3=東京・早実)のショットでようやく追加点を挙げ、5-1と4点をリードして前半を終えた。

 明大をさらに突き放したい後半。第3Qに早大が猛攻を見せる。まずはパス交換から相手を崩し連続得点。1点を返されるが、15分にステップを駆使した個人技で、18分にはカウンターから柳田が連続ゴールを奪う。その後明大にもう1点を返されるものの、9-3と6点差をつけて第3Qを終えた。このペースで試合を終えたかった早大だが、第4Qになると明大の意地の反撃に圧倒されてしまう。開始早々にあっさり失点すると、すぐさま2点を返すが、クリアミスなどからまさかの3連続失点。その後も試合終了の笛が鳴るまでショットを浴びせられ続けた。最終スコアは11-7。「勝っただけという感じです」と左官主将が語るように内容は満足できないものだったようだ。

ゴールを決めたAT山口俊を笑顔を迎える選手たち

 勝利を手にした一方で課題が多く見つかったこの試合。特に第4Qのように攻め込まれたとき、体力を消耗してクリアが雑になってしまう「悪いワセダ」(左官主将)の状態になってしまったことは早急に改善しなければならないだろう。しかし、慶大戦と同様に序盤から点数を重ねることができたことや、AT山口俊(国教2=神奈川・湘南)のようにAチーム抜擢(ばってき)に応えた選手がいることなど明るい材料も多い。チーム目標である『社会人を倒す』ということを達成するために――。彼らは戦い続ける。

(記事 菅原拓人、写真 盛岡信太郎、鈴木泰介)

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コメント

嶋田雄二ヘッドコーチ(平7政経卒=神奈川・桐光学園)

――試合を終えての感想をお願いします

明大はどこまでやってくるのかなと思っていたのですが、後半の戦い方を見ているとレベルの高いチームであるということを再認識しました。スコアは11-7ですけど、前半から積極的に1対1で仕掛けられていたらどちらに転ぶか分からない試合でした。そういった意味ではしっかりと勝つ事ができて良かったです。

――慶大に勝利を収めた後の2戦目となりましたが、選手にはどのような声を掛けてモチベーションを促しましたか

元々この明大戦自体を(慶大戦に続く)第二のヤマ場と位置付けていました。ここに勝つ事がファイナル4につながるという意味で、慶大戦と同じような集中力で臨むように言いました。そこは実際に上手くいった点だと思います。

――第1Qは4-0と、慶大戦に続き非常に良い立ち上がりに見えました

相手は少し変則的なディフェンスをしてきたのですが、それに対してしっかりと得点できたので良かったですね。練習の成果が出せていると思います。2Qは拮抗(きっこう)していましたが、選手は慌てることなく試合経験を生かせていたと思います。どの試合でも最初の1Qでペースをつかんでいくことが重要です。そこは選手自身も認識していますし、実際にできたところなので良かったと思います。

――後半は次々と選手を入れ替えて臨みましたが、新たにAチームで起用した選手のプレーはいかがでしたか

オフェンスで2年生のAT山口俊(国教2=神奈川・湘南)を抜擢しました。良い形で得点に絡んでくれたので良かったですね。残念ながら彼は留学に行ってしまうので次の試合からは出られないのですが、来季を踏まえての起用でもあったので、結果が出て良かったと思います。

――今後もきょうのようなゲームプランを考えているでしょうか

そうですね。次の東京理科大、成蹊大戦はどちらかというとこちらが格上という試合です。どんどんチャンスを与えて、下の選手を試していきたいですね。もちろん序盤でしっかりとリードした上での起用なので、コアになるメンバーは最初から積極的にいかなければいけません。そのリードを持って、後半から選手を試していきたいです。

DF左官佑樹主将(スポ4=千葉・市川)

――開幕2連勝となりましたが、いまのお気持ちを教えてください

きょうの試合は勝ったことは収穫なのですが、まあ勝っただけという感じです。

――第1Qから4点を奪うなど最終的に11点取ったオフェンス陣についてどのように思いますか

オフェンスは信頼しているので、(得点を)とってくれるだろうと思って毎試合臨んでいます。

――反対にDF陣は第4Qに攻め込まれる場面が目立ちましたが、どのようなことが原因だとお考えですか

相手がボールのポゼッションを失わないような攻め方をしているなかで、いまのワセダには(ボールを)奪う手段というものがあまりなくて、ゴーリーセーブというものをしたかったのですが、相手がなかなかシュートをうたず、そのなかで自分たちがどんどん体力を消耗してクリアが雑になるという、よく一橋大との試合で出る『悪いワセダ』というものが顕著にあらわれてしまったからだと思います。つまり、奪う手段とクリアの精度ですね。

――この明大戦に向けてはチームとしてどのようなところに力を入れて臨まれましたか

特に特殊な戦術をやるのではなく、相手のボールが集まるキーマンの選手がいるということでしたので、そのキーマンを想定して練習してきたのですが、その選手に点を決められたので、そこも反省点です。

――きょうの試合には途中から多くの選手が出場しましたが、その選手たちのプレーはいかがでしたか

ディフェンスに関してはダメだったと思います。フレッシュな選手が来たのにボールをとれないとか指示が出せないとか、きょうに関しては厳しいことを言いますが、ダメだったと思います。

――オフェンスの選手についてはいかがですか

2年生ながら点をとってくれた選手もいますしね。自分はディフェンスの人なので細かいところは分からないですが、オフェンスがどうというよりディフェンスがひどかったです。

――今後に向けての抱負をお願いします

これから格下相手に2試合続いていくなかで、自分たちはボールをポゼッションしてくる相手に対してなかなか奪えないし、そこで体力を消耗して奪えないという課題があります。次の2試合でそのようなシチュエーションがあるのかはわからないのですが、そのようなシチュエーションを見据えて今後練習試合も組んでいるので、そこで解決しないとファイナル4、ファイナルで勝てないと思うので、幹部中心となって危機感を持ってやっていきます。

DF藤岡憲二(政経4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

勝てたことは良かったですが、内容の部分で良くないところがあったのでそこは修正していかなければならないと思っています。

――初戦の慶大戦に勝利し、この明大戦へ向けてはどのような調整をしてきましたか

この明大戦がリーグ戦のヤマ場になるとチームみんなが思っていました。きょう勝てばファイナル4に一歩近づくだろうということで絶対に勝つという気持ちでした。

――第1Qは4-0と良い滑り出しとなりましたが、ディフェンスとして意識していたことは

相手のATにひとりキーマンがいたのでそこが基点になるとはわかっていました。なのでそこをどのように閉じていくかという点をチームで共有しつつ、そこにスライドを早めにして何もさせないという風にしていましたが、後半はそれがちょっと続きませんでした。

――第4Qには立て続けに失点する場面も見られましたが

相手がポゼッション気味にやってくるオフェンスに対して、こちらが何も仕掛けられなかったですね。そのことで体力的にも消耗して、第2、4Qではオフェンスにつなげられず流れがあちらのペースになってしまいました。そこで流れを変えられなかったのが、きょうの内容で一番悪かったところだと思います。

――きょうの試合ではいろいろな選手が出場されている印象がありましたが、チームとして得られたものはありますか

チームとしても僕らは社会人に勝つという目標でやっていて、いまのレベルのままでは勝てないとわかっています。そういったなかでチームがどうやって成長していくかを考えたら、一人ひとりの能力を上げていくことが大事だと思います。いろんな選手の個々の力をリーグ戦の間に出していけたことは良かったです。

――DFリーダーとしてきょうのディフェンス全体を振り返り、今後への課題となったところはどこでしょうか

ディフェンスとしてはことし『奪うディフェンス』というのをチームの方針としてやっています。ポゼッション重視のオフェンスをしてくる相手に対してどう奪いにいくか、またそこからどうやってオフェンスにつなげるかというところを話し合っていきたいです。あとはクリアの精度が悪いということで、ファイナル4でおそらく一橋大と当たるとだいたいわかっているので、それに向けてチームのクリアの成功率を上げていかなければならないと思います。

――開幕2連勝としましたが、この勝利についてはどのように思われますか

勝ったということは嬉しいことなので、勝ち続けたいです。

――次は東京理科大戦です。意気込みをお願いします

ことしディフェンスとしてはDFも点をどんどん(ボールを)奪いにいこうということ、フルフィールドでの点を取りにいくことを目標としているので、ロング時から点が取れるような、そういったシチュエーションをつくっていければいいなと思います。

AT柳田諒(社4=東京・早実)

――まず試合を振り返って一言お願いします

何はともあれ勝てたことが一番大きいかなと思っています。リーグ戦を戦っていく中でどんな点差であろうと勝つことが一番大事だと思うので、勝てたことは一つの収穫だと思います。

――きょうはどのような意気込みで臨みましたか

地力で見たときに明大は格下という話ではあったので、自分たちのやりたいことをやったうえで圧倒的に勝つことを目標として掲げていました。

――「やりたいこと」というのは

基本に立ち返って、切り替えだとか、グラウンドボールに早く反応してそこからの展開で簡単に点を取るということを僕たちの中では目標として掲げていました。

――きょうは多くの選手が得点しましたが、オフェンス全体を振り返っていかがでしたか

今までやってきた成果というわけではないですが、下級生含めいろんな選手が点をとってくれるのは嬉しいですね。

――柳田選手自身も3ゴール決めましたが、個人のプレーを振り返っていかがですか

考えれば、もうちょっと(点数を)取れる部分はあったと思うのですが、要所要所で決められたのでよかったと思います。

――この試合で見つかった課題はありますか

ことしはフルフィールドのオフェンスというものを課題として認識しているんですけど、練習量のわりに点数につながっていないという試合の中での課題はあります。

――最後に今後への意気込みをお願いします

残り3試合を勝ちきって、そのなかでもワセダとしてレベルアップすることを目標としてやっていくので応援よろしくお願いします!

G服部俊介(スポ3=東京・早稲田)

――序盤で試合が決まりましたね

序盤は相手に攻め込まれる時間も結構多くて、つらい時間もあったのですが、そこをしっかり踏ん張れたことが大きかったと思います。

――第1Qは1点も許さず、ナイスセーブもありましたがどのような意識でしたか

個人的には開幕戦から試合の入りにいろいろ考えてて、アップとかで声を出すのはもちろんなのですが、集中して(試合に)入れるようにやっているのでそれがいい方向に行ったと思います。

――チーム全体として見ていかがですか

流れは確かに作れましたが、やはり第4Qにあれだけ明大に攻められて、点は入っていなかったんですけど、ディフェンスをしていてただ守るだけになって粘れなくなっていたので、今後チームの課題としては最初の勢いを持ったまましっかり4クオーター戦って勝ち切れるようにやって行きたいです。

――一度交代した後に攻め込まれる形となりました

やはりチームなので自分がずっと(試合に)出ることももちろんなのですが、だれが出てもしっかりと強いワセダが出せるように、他のメンバーも今後頑張って試合にいきなり入ってもその流れに乗れるようなチーム作りをして行けたらいいなと思います。

――開幕2連勝し、今後へ向けて

リーグ戦のヤマ場を越えて、まだ日体大戦も残っていますが、随分ファイナル4進出へ近づけたと思うんで、ここで慢心せずにしっかり戦ってファイナル4に行って日本一目指してやって行きたいと思います。