【連載・男子第2回】『Nonstop to the Top』長谷川雄大×中林惇×服部俊介

男子ラクロス

早大にとって『鬼門』とさえ言われる関東学生リーグ戦(リーグ戦)の開幕戦。勝利のカギとなったのは、王者・慶大をわずか3得点に抑える完璧な守備であった。主務としてチームを運営しつつ、今季からはリーグ戦でディフェンスラインの一角を担うDF長谷川雄大(スポ4=愛知・明和)。高い身体能力が武器の副将、DF/LMF中林惇(スポ3=東京・城北)。圧倒的な存在感でゴールマウスに立ちはだかる守護神、G服部俊介(スポ3=東京・早稲田)。ブロック戦5戦全勝を支えた鉄壁の守備陣が、決戦へ向けて思いを語る。

※この取材は10月23日に行われたものです。

「過信ではなく自信」

和気あいあいとした雰囲気で話す3人(左から中林、長谷川、服部)

――まずは見事5連勝を果たしたブロック戦を振り返ってください

長谷川 いま振り返ってみるとあっという間でした。初戦の慶大戦をみんなでテンション上げて勝ち切って、その後負ける気というのはしませんでした。そのままの勢いで5試合勝っていけたと思います。

中林 やんさん(=長谷川)が言ってくれたように、初戦が大きかったですね。あんなに大勝(○9-3)できるとは思っていなかったです。それ以降もオフェンス、ディフェンス共にしっかりできているチームだと思っているので、特に心配はせずにここまで来ることができました。

服部 二人は「あっという間」と安心していたと思うんですけど、自分はゴーリーというポジション柄、シュートを打たれる立場なので初戦の慶大戦でちょっときついと言うか、「俺が止めないとまずいんだな」と感じました。そこでしっかり止めることができて波に乗ることができたんですけどね。結果、5試合通してセーブ率も高かったと思いますし、良いディフェンスとして認識してもらえているので良かったかなと思います。

――お話に挙がった慶大との開幕戦は3失点という素晴らしい内容でした。今季のディフェンスの出来には満足されていますか。また、チームの中でこれまでと変化した点はありますか

長谷川 今季は4年生を中心に取り組みを変えてきていて、まず練習量が増えたと思います。普段の朝練習に加えて午後に自主練を入れることもありました。その中でラクロスに向き合う時間や意識が変わっていって、「俺たちはここまでやった」という自信、過信ではなく自信を持って慶大戦に入れたことが良い結果につながったと思っています。はい、副将の中林君は?

中林 そうですね(笑)。慶大戦に関してディフェンスは100点中70点ぐらいだったかなと思います。3失点、それもアクシデントとマンダウンでの失点だったのでそこは良かったですが、チームコンセプトである『奪うディフェンス』がチームとしても個人としてもまだ出せていなかったと感じています。だから70点ですね。その後の試合もスカウティングをかなり入念に臨んでいるので、そこは良かったと思っています。

服部 僕は昨季からAチームに入れさせてもらっていて変わったと感じる点は、より4年生とコミュニケーションを取るようになったところですかね。それによって例えば左官さん(DF左官佑樹主将=スポ4、千葉・市川)が1on1で守っていたら、「あそこは左官さんが絶対止めてくれるから、次の事を考えられる」とか、やんさんも「やんさんが絶対止めてくれるから、ここは大丈夫だ」とか…。

長谷川 本当かお前(笑)。まあありがとうな。

服部 そう思えるので、コミュニケーションの面は大きいと思います。特に長谷川さんにはお世話になっていますし。

長谷川  今度ご飯行こうね(笑)。

服部 はい、お願いします(笑)。 練習をやっていてきついとも思いますが、それを上回るぐらい楽しいと思えるので、そこは本当に良い点だと思います。

――やはり特に仲良くしてくれる先輩は長谷川選手なのでしょうか

長谷川 お前らそろそろ本当のこと言おう(笑)。

服部 やっぱり4年生みなさんが仲良くしてくださいますし、柳田さん(AT柳田諒=社4、東京・早実)などオフェンス陣の先輩もそうです。オンとオフの切り替えもできていて、楽しく過ごさせてもらっています。

長谷川  ごまかしやがった(笑)。

時にはゴールにも迫る攻撃的なディフェンスが持ち味のDF中林

――ここまでのご自身のプレーに点数を付けるとすると、何点でしょうか

長谷川 まあ正直に言って30点ぐらいです。スタメンで出ていた頃よりは上手くいっていない部分が多いですし、そこを対処しないと試合に参加し切れていないと感じています。スタメンとベンチの時で責任感が違うというか、試合に出るわけですから同じでなければいけないんですけど、そこが今の自分に欠けているかなと反省しています。残りの期間でもっと自主練して、ラクロスのDVDを見て残りの70点を埋めていきたいです。

中林 僕は採点基準をチームコンセプトの奪うディフェンス、あとはオフェンス、それとメンタル的な部分の3つに分けて考えると、20点、10点、30点で計60点ですね。奪うディフェンスはまだまだ個人としてできることがあるので20点、オフェンスは今シーズンショットを3本打ったんですけど…。

服部  入んなかったねー。

中林 …。まだまだということで。メンタルは自分が引退するまで絶対負けないぞという、そこはブレずにやってきたので満点で、計60点ぐらいですかね。

服部 僕は本当にここで満足したらいけないですけど、80点ぐらいかなと。

長谷川 おー。

中林 さすが、ジャパン(笑)。

長谷川 お前ら二人ともジャパン(U-22日本代表)じゃん(笑)。

服部 昨季は開幕戦こそ出られましたけど、あとは控えでした。今季考えていたのは大きな試合にスタメンで出るということなんですが、それは今のところ達成できていますし、U-22日本代表にも選んでもらいましたし…。

中林 おーー。

服部 早慶戦でも一応MVPを頂きましたし…。

長谷川 持ってるなー。

服部 ここで満足したらいけないですけど自分が思い描いていたものはかなり達成できたので80点かなと。残りの20点はセーブ以外のフィードの部分で視野が取れていなかった部分です。残りの期間で100点に近付けていきたいですね。

――U-22日本代表でのプレーはいかがですか

中林 聞きてー。

服部  いや中林君も代表なんですけどね!

長谷川 俺を間に挟まないで(笑)。

服部 早大以外の選手もたくさんいますし、プレーの幅が広がってとても良い経験ができています。

中林 まあ僕はそんな…。

――中林選手も代表の試合で得点されたと聞いていますが

中林 良く知っていますね(笑)。

長谷川 良く調べているなー。早スポ!

中林 たしかに数点決めていますが、相手が相手なので何とも言えないんですよね。でも代表の活動はレベルが高いので、自分より上手いLMFの人は参考になります。「自分はもっとできるんじゃないか」と刺激を受ける場所でした…。しかし点数入れた事まで知っていましたか。それはびっくりです(笑)。

――ディフェンス陣から見る早大オフェンス陣はどのように映っていますか

中林 頼もしいです。今季の日体大戦では前半になかなか点が取れず互角の勝負だったのですが、その時でさえも後ろで守っている選手はみんな「いつか決めてくれるだろう」と思っていたはずです。

――「必死に守っているのに何で決めてくれないんだ!」と感じるような展開は全くないということでしょうか

中林 ないとは言いません。

一同 (笑)。

中林 ないとは言いませんが、最終的には絶対決めてくれると思っています。まあたまにディフェンス時間がすごく長いときっていうのはあるんですよ。「あー、またディフェンスかー!」って(笑)。

服部 オフェンスになったと思いきや、「あー、またボール来たよー!」って(笑)。

中林 それでも決めてくれると思っています。

それぞれの役割

選手として、そして主務としてもチームを盛り上げるDF長谷川

――3人の中では4年生の長谷川選手が先輩、3年生の中林選手、服部選手が後輩ということになりますが、長谷川選手から見てお二人はどんな後輩でしょうか

長谷川 いやー、何て言おうかなー(笑)。まあ正直言って頼もしいですよ。二人とも代表ですし。下級生から上級生に向かって発信していくのって難しいと思いますけど、この二人は先輩にもしっかり言うべきことを言ってくれます。今後もこの二人は欠かせない存在だと思うので、共にがんばっていきましょう。

中林・服部 (笑)。

長谷川 …としか言えないですよねー(笑)。

――長谷川選手自身、時には後輩と言い合うようなこともあるのでしょうか

長谷川 基本的に…ないです(笑)。

中林 たしかにないですね。

服部 そういう事を思っていたとしても他の人が先に言っちゃうと思います。

長谷川 まあまあまあ、俺からはないね。そういう時は主将の左官だったりオフェンスリーダーの(柳田)諒だったりがリーダーシップを発揮してくれています。 最近は3年生が2年生に「お前らそんなんで良いのか」みたいに言うことがあるけど…来季を意識しちゃっているのかな?

服部 それは今季の立場上ですよ(笑)。

長谷川 みんなが同じ役職ではチームは回らないので、こうやってそれぞれが役割を果たしてくれることはありがたいですね。

――では反対に、先輩としての長谷川さんのエピソードは何かありますか

中林 お金の話にはなってしまうんですが、やんさんには一緒に銭湯に行ったときにおごってもらいましたね。左官さんと谷嶋(MF谷嶋悠大、政経3=神奈川・桐蔭学園)で行ったんですよ。

服部 まじかー!いいなあ。

中林 東大五月祭の試合の後ですかね。「あー疲れた」ってなってるところを左官さんに誘ってもらって、4人で行ったんですよ。

服部 やっぱそっちに住んでるのいいなあ。僕は千葉に住んでいるので、そういうのあまり参加できないんですよ。

中林 ケーキもおごってもらったし。

長谷川 洋菓子屋の前で「男気じゃんけんしよう」って言って僕が勝たせてもらいまして、払わせてもらいましたよ。

中林 男気があるんですよ、本当に。

服部 やんさんはですね…。良く一発芸やるんですよ。一発芸というか、合宿の夕飯のいただきますの時に一ネタ、みたいな。個人的に好きっすよ、あれ。

長谷川 うるせえ(笑)!

服部 体張っていますよね、けっこう。納会でも出し物とかやるんですよ。アバターとかピッコロになって…。しかも完成度高いんですよ!顔も完全に塗って。

長谷川 昨年に関しては衣装を買おうと思ったんですけど高すぎて、自分で作りました。ドンキホーテ行ったら1万円とかで。それだったらと思ってユザワヤで布を買って、自分で作りました。

中林 マメなんですよ。

長谷川 うるせえや(笑)。出し物は毎年あるんですけど昨年、おととしとやらせていただきました。いや、やらせてもらったわけじゃないですけど(笑)。そんなこともあったなー。

中林 本当にやんさんの存在にはみんな助けられています。

服部 そんな出し物とかもやりつつ主務もめっちゃしっかりやっています。

――主務としてのお仕事は大変ではないですか

長谷川 他の部はどうか分かんないですけど、うちはマネジャーがいるのでそこにどれだけ仕事を振り分けるかという感じです。自分はマネジャーが気付けない部分をどれだけ気付けるかというところです。あとはグラウンドの交渉です。やっぱりたくさん練習したいのでそこは頑張って交渉して時間を確保しなければなと。でもそんなに大変ではないですよ。

服部 いやいやー。

中林 とか言いつつー。

長谷川 そんな大変じゃないよ。でも、スタッフのおかげっていうのは頭に入れておいて。

中林 それは間違いないですね。

――それぞれの学年はどんなカラーなのでしょうか

長谷川 3年生は元気だし、仲が良いよね。

服部 仲が良いとは良く言われますね

中林 集団行動が好きなんですかね。10数人でキャンプ行ってみたり。

服部 車4台ぐらいでね。まあ意味わかんないっちゃ意味わかんないね。

中林 まあ俺その時は行かなかったけどな(笑)。

服部 先輩たちも仲良いですけど、プライベートはわりとバラバラに過ごしていませんか?

長谷川 まあ人数が少ないしね。でもまとまる時はまとまるし、団結力はあるよ。サマーカップ、ウインターカップ、あすなろカップと新人戦の時なんかは大会に向けてすごくまとまっていた。まあ勢いとかって言うと…そこは負けたくないんですけどね(笑)。

――オフはどのように過ごしていますか

長谷川 最近遊びに行くとかはないんだけど、風呂とかかな。左官が誘って、ディフェンスメンバーで行ったりすることはありますね。

――先ほどもお話がありましたが、銭湯はよく行かれるのですか

長谷川 こないだは谷嶋誘って、左官も含めて3人で。午後の風呂とメシ…。でもそれしかしていないのに夕方だけで3000円ぐらいなくなりましたね(笑)。

中林 そんなんで済んだら良いじゃないですか。俺が付いて行ってたらもっと…。

長谷川 サーティーワンのアイスを、ちょっと(笑)。

服部 サーティーワン(笑)。

長谷川 メシ行って、風呂行って、ジュース飲んで、ちょっとアイスでも食べるか、みたいな。これがちょっとした贅沢ね。基本的に左官が音頭を取るんですよ。よく中林とか後輩にも声をかけて、(後輩におごって)左官が払いきれない分を俺が払うっていう…要はお財布ですね。

一同 (笑)。

長谷川 まあそういうわけじゃないですけど自分も先輩にたくさんお世話になったので、後輩に還元していかないと。彼ら(3年生)もしっかりやってくれると思います。

――中林選手と服部選手も仲が良さそうですが

中林 学部も一緒で授業も一緒でチームも一緒…。何日一緒にいるんだこいつとって時はあります(笑)。合宿行く時も前日にどんすけ(=服部)の家に泊まって、そこから車で行くんです。

長谷川 それすごいよね。

中林 下手したら一番一緒にいますね。オフの日なんかはあまり会わないけど。うん、マジで多いな…。

服部 部活ある日の流れが完全に一緒なんですよ。

さらなる進化へ

守護神としてゴールを死守するG服部

――慶大や一橋大が敗退したことでこれまでと顔ぶれが変わるファイナル4、まずは東大戦です。組み合わせを見ての感想は

長谷川 ファイナル4の組み合わせが決まる東大と法政の試合を見ていたのですが、どちらが勝ってもおかしくない試合でした。個人的に東大はファイナルで当たるかなと思っていたのですが、その試合では実力差はないようにも見えました。いままでファイナル4で東大と当たることはなかったですが、今回東大が来たことでより重要な準備期間という意識が持てているので、かえって良かったかなとも思っています。

中林 東大は強豪なので嫌だなと思っていましたが、春に何度か対戦していますし、やりやすいかなと考えています。逆に東大に勝って勢いがある法大は、不気味な感じがしますね。ただ来季に早大、東大、慶大、一橋大という強豪4校が同ブロックになる可能性が出てきたので、僕としては「来季、(ブロック戦の組み合わせが)やばいかもな」という思いがあります。

服部 今までは早大、東大、慶大、一橋大の4校が強豪と言われていましたが、今季からは法大や明大といったチームも力をつけてきて、大学ラクロス自体のレベルが上がっていると感じます。ですから早大も含めて今まで強かった学校はさらなる進化をしていかないといけないです。追い付く側は勢いがありますからね。来季を見据えた話にもなってしまいますが、もっとがんばらないと大変だなと感じています。

――ファイナル4で「自分のここを見てくれ」というプレーはありますか

長谷川 自分の出番はチームのピンチの場面なので、出るからにはそこで絶対に抑えてやるという気持ちでやってやりたいと思います。ファイナル4で負ける気はないですし、最後、日本一になるまでチーム全員で突っ走っていきたいです。

――最終学年の長谷川選手にとって、ここからは引退が懸かった試合にもなります

長谷川 そこはあまり意識していないです。やれることをやっていきます!

――では、3年生のお二人もお願いします

中林 僕としては昨季『挑戦』というチームスローガンを掲げながらファイナル4で敗退してしまったことをとても悔しく思っています。今季はその『挑戦』を自分のテーマとして掲げてプレーしてきました。今季のファイナル4でもパスカットだったり上手いチェックだったりどんどん挑戦していきたいです。チームに貢献できるように、全日本選手権優勝まで突っ走ります。

服部 僕が注目して欲しいプレーはやはりセービングです。一試合の中で1回でも2回でも会場を沸かせるセーブができれば絶対早大に流れが来ると思うので、そういうプレーを絶対にします。見ていてください。目標である社会人を倒しての日本一へ向けて、チーム一丸となって戦いたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐藤拓郎)

3人で楽しそうにポーズもとってくださいました!

◆長谷川雄大(はせがわ・たかひろ)(※写真中央)

1991(平3)年5月21日生まれ。172センチ67キロ。O型。愛知・明和高出身。スポーツ科学部4年。今季は主務、昨季は副務としてラクロス部と早スポの間を取り持ってくださった長谷川選手。いつも優しい笑顔で私たちを迎えてくれます。待望の初取材はいかがでしたか??いつもありがとうございます!(ラクロス担当班一同)。

◆中林惇(なかばやし・じゅん)(※写真左)

1992年(平4)6月22日生まれ。175センチ70キロ。O型。東京・城北高出身。スポーツ科学部3年。高校時代まで打ち込んでいたサッカーでもポジションはサイドバックと、ディフェンス一筋。「ウイニングイレブンでも守備がしたい。ボールを奪う快感が、たまらなく好きなんです」(中林)。

◆服部俊介(はっとり・しゅんすけ)(※写真右)

1991年(平3)12月24日生まれ。180センチ95キロ。A型。東京・早稲田高出身。スポーツ科学部3年。あだ名は『どんすけ』ですが、先輩を立てるトークは軽妙そのもの。千葉県の自宅から朝5時前の始発に乗って練習へ向かう苦労人でもあります。長谷川選手の引退までに、銭湯連れて行ってもらってください!