逆転のち再逆転! 辛勝で関東春の王者に輝いた

男子ラクロス

第1回 関東春の最強決定戦

5月25日 千葉・ブリオベッカ浦安競技場

Team 1Q 2Q 3Q 4Q 合計
早稲田大学 3 2 1 2 8
一橋大学 1 2 1 3 7

得点者

1Q

小川隼人、永岡秀斗、花井コルトンヘイズ

2Q

松田選、森田翔吾

3Q

永岡秀斗

4Q

今井誠梧、森田翔吾

 東京六大学交流戦(六大戦)で5戦全勝と快進撃を見せ、見事に優勝を成し遂げたRED BATS。夏に行われる関東学生リーグ戦(リーグ戦)に向けて期待感が高まる中、今年度から「もう一つの王者」を決める戦いが始まった。それが、関東春の最強決定戦である。早大は関東七大学戦(七大戦)で優勝した一橋大との優勝決定戦を行い、リーグ戦を前に「春の王者」を目指す。チームが目標とする日本一へ弾みをつけたい一戦は、早大リードで終盤まで進んだ。最終第4クオーター(Q)には最大4点あったリードを吐き出して逆転される苦しい展開となるも、すぐさま再逆転。プレッシャーに負けずに接戦を制し、早大は歓喜の輪に包まれた。

ボールを保持する森田

 試合はファーストプレーから動いた。FO今井誠梧(文構4=東京・国分寺)が試合開始のフェイスオフでボールを獲得すると、そのまま独力突破。前線でAT小川隼人(政経3=東京・早実)までパスをつないでゴールへ突き刺し、チームに先制点をもたらした。盛り上がる早大だったが、一橋大も黙ってはいない。再三放たれたシュートの多くが枠外であったことに助けられたものの、早大のピンチは続いた。そして、機能していたディフェンス陣がステップでかわされると、早くも同点のシュートを押し込まれてしまう。王者同士の意地のぶつかり合いを予感させる幕開けだが、流れをつかんだのは早大だった。ゴール付近でパスを回して揺さぶると、AT永岡秀斗(創理4=東京・早実)が走り込んでシュートを放って勝ち越し。続いてAT森田翔吾(法4=東京・早大学院)、永岡と見事なパスの連携を見せ、MF花井コルトンヘイズ(国教3=アメリカ・マッキントッシュ)が3点目のシュート。この勢いは第2Qに入っても止まらない。MF松田選副将(国教4=埼玉・早大本庄)がネットを揺らしてガッツポーズを見せれば、一橋大のマンダウンによるチャンスを生かし森田が力強く振り抜いてシュート。5-1と中押し点を加え、いい流れで試合は進んだ。しかし終盤、森田のパスミスから相手ボールになると、DF田中進士主将(商4=神奈川・桐蔭学園)らの懸命なディフェンスもかなわず得点を許してしまう。さらに次のプレーでも連続失点。2点差に追い上げられ、不穏な空気で前半を終了した。

ボールを保持する今井

 迎えた後半。リードを保って勝ち切りたい早大は、積極的にゴールを狙っていった。両校とも決め手を欠いていたところで、再び永岡がゴール横から回り込んで振り抜くと、これが貴重な追加点となるシュートに。早大はなおも攻め続けたが、一橋大の反撃が止まることもなかった。自陣内の攻防でできた隙を突かれ、ゴール横からのシュートに反応できず失点。結局点差を広げることはできず、6-4で最終第4Qに突入した。フェイスオフでボールを勝ち取ったのは、一橋大。ピンチの場面での攻防となり、上から振り抜かれたシュートが早大のゴールネットを揺らした。1点差まで迫られてしまい流れを変えたいところだったが、ミドルシュートを突き刺されてついに6-6の同点に。なおもピンチは続き、しまいには逆転のシュートまで許してしまった。ミスから失った流れを取り戻すことはできなかった早大は、ここでタイムアウトを申請。残り時間が少なくなる中、冷静さを取り戻す時間となったのだろうか。再開後のフェイスオフで今井がボールを獲得すると、前線へと攻め込んで同点弾を放った。すぐさまの同点劇に続いて、今度はこの日逆転につながるミスをしていた森田が魅せた。ゴール裏を有効に使ったパスで相手を揺さぶると、冷静にゴールへ流し込みすかさず再逆転。試合終盤の逆転、再逆転劇に会場は大いに盛り上がり、声援のボルテージも上がっていった。再びリードを得た早大は逃げ切り態勢に入り、慎重にプレーをしていたところで試合終了のホイッスル。8-7で辛勝し、初代春の王者に輝いた早大の選手たちは喜びを爆発させた。

記念写真に収まるRED BATS

 前週の早慶定期戦で屈辱の大敗を喫していたRED BATS。リーグ戦への一抹の不安を吹き飛ばすようなこの日の勝利に、選手達には安どの表情が見えた。しかし、それは油断とは異なるだろう。「常に勝つというレベルにはまだ達していない」と田中主将が語ったように、チームは決してここで完成ではない。勝利からも学び、日本一まで突き進むのみ。春の王者となった田中組の、学生王者を目指す戦いが幕を開ける時だ。

(記事 西村侑也 写真 田島凜星)

試合後インタビュー

DF田中進士主将(商4=神奈川・桐蔭学園)

 

――試合全体を振り返っていかがでしたか

1Qの入りからオフェンス陣が点を取ってくれて、いい流れで入ったのですが、3Q4Qで停滞してしまって、一回追いつかれて。そこで早慶戦を思い出して、もう一度チーム全体でやるべきことを徹底して、最後再逆転してそのまま終わることができたので、ゲーム全体を通して先週から修正することができたかなと思います。

 

――対戦相手の一橋大の印象はいかがでしたか

一橋大学はオフェンス、ディフェンスはもちろんゴーリーまですごくバランスがいいチームで、これといった弱点がないチームだったので、地の力の戦いになるといったところで、そのチームに正面から勝ったのはすごく良かったと思います。

 

――逆転された時はどんな心境でプレーしていましたか

先週早慶戦があったのですが、その時の光景がよみがえるというか。でもそこで肩を落とすのではなくて、もう一度チーム全体で先週の反省を生かして、ここで変われないと、立ち直れないと、先週から何も成長がないということなので。そういったことをチーム全体に伝えて、最後気持ちのところは途切れることなく戦い続けることができたと思います。

 

――今の早稲田はどんなチームですか

まだオフェンスもディフェンスも荒削りな部分が多くて、ファウルとかしょうもないミスとか、そういったところがすごく多いのですが、実力面で言えばかなり日本一に近いチームだと思いますので、あと少しテクニカルな部分を詰めていければ日本一に間違いなくなれるチームだと思います。

 

――リーグ戦への意気込みをお願いします

この春の最強決定戦に勝つことができたのですが、早慶戦や練習試合でもいくつか負けていて、常に勝つというレベルにはまだ達していないと思いますので、さらにもう一段階レベルを上げてリーグ戦に臨み、そして5年ぶりの日本一を達成しようと思います。

 

AT森田翔吾(法4=東京・早大学院)

 

――試合全体を振り返っていかがでしたか

前半は結構いい感じで運べていたのですが、終盤に緩みが出てきてしまって、最後苦しい展開になってしまったのが良くなかったです。

 

――対戦相手の一橋大の印象はいかがでしたか

ここに向けてしっかり準備されているなと感じていて、自分たちは先週に早慶戦があってそっちに重点を置いていた分、準備のところでちょっと劣っていたのかなと思いました。

 

――本日2得点を挙げられましたが、特に再逆転のシュートを振り返っていかがでしたか

決めなければいけないというところでしっかり決め切れたのはすごく良かったなと思います。

 

――逆転された時はどんな心境でプレーしていましたか

自分のミスから流れが悪くなってしまったので、そこをしっかり取り返したいという気持ちで取り組みました。

 

――リーグ戦に向けて手応えはいかがですか

まだまだ課題が多く見つかった試合だなと感じているので、しっかり修正して、いい準備をしてリーグ戦を迎えたいなと思います。