全関東学生弓道選手権大会 6月16日 日本武道館
全関東学生選手権(全関)二日目は男子団体の決勝3回戦と男女個人戦決勝が行われた。男子団体は優勝候補の明大と対戦。負けじと的中を重ねていくが、的枠にはじかれるなど不運もあり3回戦敗退となった。個人決勝は男子から3人、女子からも3人が出場した。1本でも外したら即脱落となるルールのため、非常に高い緊張感の中行われたが、9本目まで当て続けた家田翔平(基理3=早稲田佐賀)が準優勝に輝き、試合を締めくくった。
最初に行われた男子団体3回戦は、1日目からメンバーを変えることなく臨んだ。相手は強豪の明大。1本目を大前の佐藤蒼(教1=東京・早大学院)が当てるも、続く弐的の家田が抜いてしまう。しかし、続く参的の寺師大輔(スポ2=愛知・東海)、四的の竹宇治雄介(政経4=東京・早実)、落の宮﨑滉巳主将(社4=埼玉・県浦和)は動じることなく決めきった。流れをつくりたい早大だったが、2本目を佐藤、家田が際どいところで入れられず。宮﨑が皆中、竹宇治と寺師が3中を出し粘ったが、最後まで試合の主導権をつかむことはできなかった。結果、16中-20中で明大に敗れ3回戦で姿を消すこととなった。
皆中した宮﨑
続いて行われたのは個人戦決勝。事前に行われた予選により、男子は家田、寺師、大野田光希(政経2=東京・早大学院)の3人、女子は山﨑琴葵副将(社4=東京・早実)、榎本祐菜(基理4=東京・共立)、椎名絵梨(文2=国学院久我山)の3人が出場した。個人戦は射詰で1本ずつ引いて当たれば残り、外せばその時点で終了という形式。ルールは至ってシンプルだが、出場選手たちには相当なプレッシャーがかかるため技術はもちろんのこと、精神力も試される。団体戦とは異なる独特の緊張感につつまれた中、個人戦が始まった。女子個人は榎本、椎名が1本目を当て、2本目に進むがわずかに決めきることができなかった。
男子は3名全員が1本目を当てたが、寺師が2本目、大野田が3本目を外してしまう。3本目までは通常の直径36センチメートルの的が適用されるが、4本目以降は八寸的(直径24センチメートルの的)に変更され、一気に人数が絞り込まれる。しかし、家田は安定した射を続け八寸1本目をなんなく当てると、その勢いのまま2本目、3本目も決めてみせた。3本目の時点で勝ち残った選手は9人から6人に。6位以上が決定した家田は、7位以下の入賞者決定戦のためアリーナ内でしばらく待機となった。その間、素引きをして次の行射に備えながらも介添えのメンバーと談笑するなど、落ち着いた様子を見せていた。
試合後、激闘を繰り広げた相手と握手を交わす家田
個人戦は奇数的の選手が先に行射をおこない、偶数的の選手はその行射が終わるのを待たなければならない。今回の決勝戦で偶数的に入ることが多かった家田だったが、前の選手が当てようが外そうが決して自分の射を崩さなかった。八寸6本目では、先に奇数的の2人が引き、うち1人が的中。ここで家田が外すと優勝の座を譲ることとなってしまうが、全く動じなかった。家田の矢が的へ真っすぐ放たれ、的中の音が日本武道館に響き渡ると、会場内はどよめきと拍手につつまれた。
まだまだ決まらない優勝争いは、八寸7本目までもつれこむことに。ここで惜しくも抜いてしまった家田だったが、見事、全関男子個人準優勝という快挙を手にした。今大会で家田が見せたどのような状況でも自分の射を崩さない姿勢は、今後の早大の戦い方に大きな意味を持つものとなるだろう。本来の力を取り戻し、さらなる活躍が期待できる早大弓道部に、これからも目が離せない。
(記事 富澤奈央、写真 西本和宏)
※掲載が遅くなり申し訳ありません
男子団体結果
3回戦
大前 佐藤 4射2中
弐的 家田 4射2中
参的 寺師 4射3中
四的 竹宇治 4射3中
落前 河野 4射2中
落 宮﨑 4射4中
●早大16中-明大20中
個人戦結果
女子
山﨑 ×
榎本 〇×
椎名 〇×
男子
家田 〇〇〇〇〇〇〇〇〇×
寺師 〇×
大野田 〇〇×
コメント
佐藤蒼(教1=東京・早大学院)
――団体戦の予選と決勝トーナメントを振り返ってみていかがでしたか
(予選の)1本目と2本目がうまくいかない中で、運があって入ってくれたなというところが強かったです。それ以降の3本目、4本目と決勝トーナメント2回戦の四本は自分のやりたいことをやり切った結果、ちゃんと入ってくれたなと思っています。
――団体戦3回戦についてはどのように感じていますか
1本目の入りは良かったのですが、2本目と3本目は気持ちで負けてしまいました。やりたいことをやり切れず、結果として練習とは違う場所を抜いてしまって。練習でできていたところができなくなってしまって負けてしまう。このようなことを感じました。
――アリーナで行われる試合はあまり機会がないと思いますが、どうでしたか
僕個人としてはそこまで見え方が変わるとかはないのですが、音の響きや独特な空気感を感じました。また、外した時に鳴る音もいつもと違うので、外してしまった時に気持ちを入れ替えることができなかったです。アリーナよりはいつもの弓道場の方がやりやすいなと感じました。
――最後に、6月末に行われる全国大学弓道選抜大会に向けての意気込みをお願いします
今回、自分自身(団体決勝3回戦での)羽分けというところは負けてしまった原因の1つだと思っているので、次こそは日本一というタイトルに向けてすべて出しきるというところを目指して練習していきたいです。
家田翔平(基理3=早稲田佐賀)
――準優勝おめでとうございます。率直に、いまの心境を教えてください
もうとにかく嬉しいです。
――どのようなことが今日の結果につながったと思いますか
いろいろメンバー争いとかがあった中で、諦めずに毎日毎日練習の量や質を重ねてきたことが射の安定につながったかなと思います。
――行射の待機中に深呼吸をしたり、空を見上げたりしている様子がうかがえましたが、どのようなことを思いながら引いていましたか
上を見ていたのは、照明をみてピントを合わせられるように目の瞳のサイズを調整していました。
――今後の大会に向けての意気込みをお願いします
今回の結果に満足せず、これからも団体のためにどんどん精進していこうと思います。