全日本学生選手権(インカレ)二日目では、女子団体予選と男女団体決勝トーナメント3回戦までが実施された。女子も前日の男子に続いて決勝トーナメント進出を狙ったが、7中。惜しくも上位24校以内に入ることができず、予選敗退となった。男子団体は決勝トーナメントに出場。2回戦で国際武道大を1中差で破り、3回戦に進む。3回戦では予選2位の北大と相対した。試合前半は互角の戦いだったが、後半に入ってから離されてしまい、敗退。3年ぶりのベスト8でインカレ団体戦の幕が下りた。
苦しい状況でも皆中を出した山﨑
インカレ二日目のスタートは女子団体予選だ。早大は大前に今年度全関東学生選手権(全関東)の個人戦を制した山﨑琴葵(社3=東京・早実)、中に藤井千裕(スポ3=山口・宇部フロンティア大香川)、落にインカレ団体戦初出場の不藤奈々(創理4=埼玉・早大本庄)という布陣で、まずは2年連続の予選突破に挑む。早大は予選16立目に登場し、それまでの他校の結果から、8中は欲しいというところだった。1本目は3人中2人が的中させ、まずまずの滑り出しを見せる。2本目も同様だったが、3本目になってそれまで的中を続けていた藤井が的を外す。続けて不藤も3本目を抜いてしまい、残り3本を残して5中というやや苦しい展開に。最終4本目は山﨑が射止めて4射皆中し、不藤も当てたものの合計的中は7中という結果だった。その後他大学の結果を待つこととなったが、8中以上の大学が24校以上出たため、早大は決勝トーナメントをかけた競射に進むことなく、予選敗退が決まった。
続いて、男女団体決勝トーナメントが行われた。早大男子は前日の予選の結果により、トーナメント2回戦からの登場だ。全関東の団体戦で負けを喫した国際武道大と、3回戦進出を懸けてぶつかった。早大は1本目を5人全員が当て、順調に的中を伸ばしていく。2本目と3本目ではそれぞれ一人が当たりを逃したが、15射13中と上々の的中数で4本目に向かう。一方の国際武道大も全くの互角で、1本目と3本目にそれぞれ一人外れが出たが、それ以外は全て当たりを得ており、4本目に入る時点で早大と同中だった。そして4本目を早大大前の田沼翔太副将(スポ4=東京・桜修館中教校)が外す。もう1本も抜けない早大だったが、佐藤我音(先理2=東京・早実)、河野誠也(人2=埼玉・県浦和)がしっかりと当てて流れを相手に渡さなかった。そしてその間に国際武道大が2本外したため、落前の竹宇治雄介(政経3=東京・早実)と落の宮﨑滉巳(社3=埼玉・県浦和)が当てれば早大勝利という状況に。二人ともしっかりと的を射止めて17中-16中で早大の3回戦進出が決まった。一進一退の試合を終え、控えに戻った選手たちの顔には安堵の表情が浮かんだ。
最後のインカレを迎えた田沼は、大前としてチームをけん引した
早大の決勝トーナメント3回戦は予選を2位で通過して勝ち上がった、北大との対戦となった。早大は1本目で二人が外したが、北大は1本目を5人とも当て、早大は2中差を追うかたちになる。それでも悪い流れを引きずることなく、北大が2本目で二人当たりを逃している間に、早大は5人全員で的中させ、試合展開を振り出しに戻す。しかし、北大も強さを見せ3本目は全射的中。早大も食らいついていきたいところだったが、3本目は5射2中に留まり、試合後半で大きなリードを許してしまった。迎えた4本目。北大の中の選手と佐藤がほとんど同時に行射し、北大の中が的中、佐藤が抜いた瞬間に早大の3回戦敗北が決定した。結局北大は3本目、4本目ともに5射皆中を出して18中。早大は4本目を5射3中で終え、合計的中は20射13中。奮闘したが、準決勝進出という結果として実を結ぶことはできなかった。
女子団体戦は「メンバー全員調子が上がらなくて」(山﨑)と語るような状況可下で、納得のいくものではなかったかもしれないが、今できるベストを尽くした結果だったはずだ。また前年度は7中で決勝トーナメントをかけた競射に臨むことができたが、今年度は一段レベルが上がり8中を出した大学で競射が行われた。早大だけではない多くの大学にとって、難しい戦いであったと言えるだろう。男子団体戦では3年ぶりとなる決勝トーナメント進出、同じく3年ぶりのベスト8でインカレを終えた。田沼のインタビューで何度も出てきた「自信」という単語。早大の今回のインカレでの飛躍の要因を垣間見ることができた。そして個人戦では団体戦に出場しなかった選手も登場する。多くの早大弓引きたちが活躍する姿に期待したい。
(記事、写真 新井沙奈)
結果
【女子団体予選】
大前 山﨑 4射4中
中 藤井 4射2中
落 不藤 4射1中
早大7中 予選敗退
【男子決勝トーナメント2回戦】
大前 田沼 4射3中
弐的 佐藤 4射4中
中 河野 4射3中
落前 竹宇治 4射3中
落 宮﨑 4射4中
○早大17中-国際武道大16中 3回戦進出
【男子決勝トーナメント3回戦】
大前 田沼 4射4中
弐的 佐藤 4射2中
中 河野 4射3中
落前 竹宇治 4射1中
落 宮﨑 4射3中
●早大13中-北大18中 3回戦敗退 ベスト8決定
コメント
山﨑琴葵(社3=東京・早実)
――今日の射の振り返りをお願いします
ここ一週間くらい自分の調子が上がらなくて、苦しい中での試合だったのですが、その中でもちゃんと自分のやろうと思ったことと射はできたかなと思います。
――予選通過とはなりませんでしたが、チームの結果についてはどう感じていますか
最近の練習でもメンバー全員調子が上がらなくて、少し伸び悩んでいました。その中で7中という結果は練習通りか練習以上の実力が出せているので、そこは自信につなげられるのではないかなと思います。
――今日の試合の中で、次につなげられそうな収穫はありましたか
自分個人の話としてはすごく苦しかったりプレッシャーに感じていた部分があって、介添えで亀卦川(響主将、法4=東京・早実)さんが来てくれたときにも、苦しいですって言いながら引いていました。4本しか引けなかった中でも自分の射の反省や、明日はこれをやろうと決めることもできたので、収穫はあったと思います。団体としては来月からすぐリーグ戦が始まってしまうのですが、アリーナで引いたこの経験をリーグ戦で生かせる部分が必ずあると思うので、3週間後に向けて実力を高めていければと思います。
――明日の個人戦に向けて意気込みをお願いします
正直自信はあまりありません。ですが昨年の自分を少しでも超えられるように、本音としては一昨年の自分を超えて優勝したい気持ちがあるので、今日緊張しきった分、明日はのびのびと頑張って引きたいと思います。
田沼翔太副将(スポ4=東京・桜修館中教校)
――今日の射の振り返りをお願いします
先月末のオフの時に大きく射を変えて、明治の同期にアドバイスをもらったりしながら、今まで以上に自分の中で確立した射を作ることができたので、自信をもって引いて今日のパフォーマンスが出せたのかなと思います。
――射を変えるきっかけが何かあったのですか
今まで試合で大きく失敗することはなかったですが、皆中できるかと言われるとどうしても不安を持って引いていました。なのでこのままいっても自信を持ち切れずに引くことになるなと思ったのがきっかけです。
――今回の団体戦での戦いを振り返ってください
緊張もありましたが、今までの早稲田だと試合直前に全員調子が悪くなって、お互いに信頼しきれなかったり、自分の射に自信を持ちきれない中で引いていました。ですが今回は合宿が明けて練習していく中で、全員の状態も良くて。今までは負けちゃうんだろうなという考えがみんなどこかにあったのですが、今回はそうではなくて勝てるんじゃないかという思いをみんなで感じていたので、自分を大前としていいスタートを切れればいいかなと自信をもって引けました。それが皆中だったり、2回戦で止め矢を抜いてしまいましたがあそこは仕方のない部分もあったので、自分としてはやりきったかなという感じです。
――アリーナで決勝トーナメントを戦うのは初めてだと思いますが、雰囲気の違いなどはどうでしたか
アリーナで決勝トーナメントを引くというのは特別なことですし、それもたまたま勝ったというよりはみんな自信を持った状態でそれに結果が伴ってきていたので、緊張はありましたがすごく楽しかったなと思います。
――個人戦やリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
個人戦は最後自分が楽しめればいいかなというところです。シーズンの集大成はリーグ戦なので、この早稲田のいい空気をそのまま最後まで持っていって、1部でしっかり勝っていきたいです。優勝すれば王座だったりのチャンスも見えてくるので、全員で一丸となって勝ちを取りにいきたいと思います。