6月10日(土)、11日(日)に行われる全関東学生選手権本戦に向けて団体・個人予選が5月13日(土)、14(日)に開催された。女子団体は高い的中を挙げ、3位となりシード権を獲得。個人でも4人が決勝に進出した。男子は団体では20位でシードを取ることはできなかったが、個人では昨年より3人多い5人が予選を通過している。これからさらに本格化していく今季の戦いを、勢いづけるような結果が期待される。
13日は男子の団体と個人の予選が行われたが、団体予選では選手一人一人の実力からすれば、思うような的中を残せなかったと言える。特に3本目は河野誠也(人2=埼玉・県浦和)以外の全員が抜いてしまい、チームとしてうまく流れを作ることができなかった。皆中を出した選手はおらず、3中と羽分けがそれぞれ3人ずつで合計15中と精彩を欠く。このままでは予選突破がやや厳しくなってくる早大は、切り替えて予備矢に臨むが12射7中、6射4中、6射4中となり、本来の力を存分に発揮したとは言えなかった。シード権獲得とはならなかったが、他大学の結果から20位につけ、本戦への切符を手にしている。
団体戦ではプレッシャーのかかる落を務めた宮﨑
男子個人予選では1次予選で2射1中以上、2次予選で4射皆中が決勝進出の条件となる。早大は1次予選を23人中20人が突破して、2次予選を迎えた。1本も外せないという緊張感の中、東海枝航平主将(スポ4=埼玉・県浦和)、田沼翔太副将(スポ4=東京・桜修館中教校)、竹宇治雄介(政経3=東京・早実)、宮﨑滉巳(社3=埼玉・県浦和)、萬木健人(創理3=東京・早大学院)の5人が決勝に駒を進めた。特にリラックスして引くことを意識したという萬木は、大学に入ってから初めての決勝進出となる。
翌14日は女子が予選に臨んだ。団体戦は直近の練習ではやや的中が伸び悩んでいたが、「全員の1本目が本当に文句のつけようのないくらい、いい射」(亀卦川響主将、法4=東京・早実)という言葉の通り、良いリズムで次々と的を射止めていく。全員が2本目まで全て的中させていたが、3本目を大前の山﨑琴葵(社3=東京・早実)が外すと、それに少し引っ張られる形で中の内藤碧(商4=東京・桜修館中教校)も抜いてしまう。しかし落の不藤奈々(創理4=埼玉・早大本庄)がきっちりと当てて悪い流れを切ると、4本目は全員が安定した射を見せ、結果的に12射中10中という高い的中数を記録。続く予備矢でも高的中を出し続け、団体予選を3位で通過した。これにより早大は上位8大学以上に与えられるシード権を獲得しており、決勝トーナメントでは2回戦から登場する。
内藤は団体予選突破に貢献し、個人でも決勝に進出
女子の個人予選を突破するためには、1次予選では4射2中以上、2次予選では4射3中以上が必要となる。1次予選の通過者は20人中9人で、その中でさらに2次予選を通過したのは鈴木来実副将(スポ4=茨城・清真学園)、内藤碧(商4=東京・桜修館中教校)、山﨑琴葵(社3=東京・早実)、渡邉ゆり子(法3=東京・鴎友学園女)の4人。昨年よりも決勝進出者が減ったことから、亀卦川主将は選手層を懸念点として挙げた。
今回の予選では男子は団体戦、女子は個人戦で改善点が見えたと言えるだろう。男子団体予選では一人一人の力量から鑑みれば、もっと的中が出ていてもおかしくない。団体戦においては、どうしても同じチームの選手同士の調子がお互いに影響しやすくなる。今回は「周りの調子の悪さに釣られて自分も良くない射をしてしまった」(宮﨑)と、その影響が良くない方向に機能してしまったと言えるだろう。個人戦では昨年から突破者が3人増えるなど、選手個々の力が付いてきている今、チーム全体でどのように立を作り上げていくかが上位を狙う上でカギになってくる。女子は団体戦では昨年と同様に高い的中を出してシード権を獲得するなど、良いリズムができている。連続で外した3本目からの切り替えもスムーズに運び、全員でしっかりと止め矢を入れるのはチームとしての強さの表れだ。そして女子の改善点は個人予選の突破者が少ない点からも、やはり個々の選手の的中の向上とチーム全体の底上げだろう。決勝進出者が少ない要因の一つに、1次予選通過者の割合が昨年より少ないことが挙げられる。試合の一番最初の立で自分の実力を完全に発揮することは容易なことではないが、だからこそそうしたチームを勝ちに導ける射が必要になってくる。
(記事 新井沙奈、写真 立野すず奈、新井沙奈)
※掲載が遅くなり申し訳ありません
予選結果
男子団体 24射15中 12射7中 20位通過
男子個人通過者 東海枝、田沼、竹宇治、宮﨑、萬木
女子団体 12射10中 6射6中 3射3中 3位通過
女子個人通過者 鈴木、内藤、山﨑、渡邉
コメント
宮﨑滉巳(社3=埼玉・県浦和)
――ご自身の今日の射を振り返ってみていかがでしたか
団体戦で、自分の良くないところが全部出てしまったかなという感じです。自分のポジション的にも周りを引っ張っていかなければいけなかったのですが、周りの調子の悪さに釣られて自分も良くない射をしてしまったというのが、一番大きな今日の反省と、次に向けての収穫だったと思います。
――団体戦で意識していたことはありますか
落というポジションなので、全部当てなきゃいけないというプレッシャーもありました。周りを引っ張っていけるようにと思っていたのですが、そこで自分の実力が足りなかったです。
――個人戦ではここが良かった、悪かったなどはありましたか
結果的には通ったので良かったのですが、自分の中でベストではなかったです。怪我もありますが怪我があるからといってそこで妥協するのではなく、自分のできることをこれからもやっていければなと思います。
――今日のチーム全体の様子や結果から、今後どんな取り組みが大切になってきますか
今は授業期間もありメンバー全員で集まって練習することが難しいのですが、そんな中でも全員で目指していくものは一つだと思うのでそこでの共通意識を高めていかないとと思います。個人のレベルもあげて本大会へ向けて、人事を尽くして天命を待つじゃないですが、やれる限りのことをやって次に臨みたいと思います。
――本大会への意気込みをお願いします
おそらく今日と同じ落というポジションになると思うので、一本も抜かないようにしたいです。早稲田の射としてみられると思うので、早稲田の看板として恥ずかしい射をしないように頑張りたいと思います。
萬木健人(創理3=東京・早大学院)
――今日の射を振り返ってみてどうでしたか
最近あまり練習に来れていなくて、昨日2週間ぶりくらいに練習に出ることができました。昨日も感覚としては割と良かったですし、今日の付け矢では最近の中では調子がいいのかなという感じでした。ですが実際に立を引いてみて、正直なところ二次予選の初矢は自分の中で抜いたと思っていたんです。なので残り3本リラックスして自分のやりたいことをやろうと、切り替えました。最後に止め矢を当てたときに周りの拍手があって、そこで初めて皆中したのだと気づきました。決勝に残るのも大学入ってからは初めてですし、自分ではあまり実感がないのですが、運が良かったかなという感じです。
――二次予選では緊張などありましたか
もともと大会では緊張しないタイプなので、初矢を抜いたと思ってからは割とリラックスして引けたので、結果的に突破できたのは良かったと思います。
――立に入る前に意識していたことはありますか
とりあえずいつも通りリラックスして引くということですね。それから初矢は一番集中して引こうと思っていたので、結果的にぎりぎり当たっていたので、初矢を集中して引けたのは良かったと思います。
――本戦に向けて意気込みをお願いします
他の突破者と比べると自分の射はまだまだ至らないところがあるので、これから一カ月ちょっとかけて練習して仕上げていって、他の人に追いつけるように頑張りたいと思います。
亀卦川響主将(法4=東京・早実)
――今日のチーム全体の射はどう見ていましたか
団体の方は昨日と一昨日の練習ではだいたい7中か8中で、少し不安を感じていましたが、今日の全員の1本目が本当に文句のつけようのないくらい、いい射だったので、1本目を見てこれは大丈夫だと安心して見ていました。3人ともしっかり強い伸び合いをもってやってくれたので、そこが良かったなと思っています。
――自身の個人戦はどうでしたか
個人戦は(笑)、2年生の時も3年生の時も残念を出していたので、それを越せたらいいなと思っていたのですが、4年生になってから特に練習と試合との差が顕著に出るようになってしまって、まだ克服できていないところが多いなと感じます。やけに全関というところで力が入ってしまうのもあって、1本目からちょっとだめかなと思う部分が大きかったです。試合の時にどう練習と同じ射を出していけるかが、今後の課題かなと強く思っています。
――個人予選の突破者が4人でしたが、それについてはどう考えていますか
練習であまり通過できていない選手が今回の試合で通過できていたので、それは本当に良かったと思います。ただ昨年よりも部員の数は増えたのに突破者が少ないというのは、部全体として最近的中が落ちてきてしまって、まだまだ選手層が足りていないことを痛感した部分ではありました。
――亀卦川主将が一人一人に声をかけている姿が印象的でしたが、その際に意識していることはありますか
選手それぞれで見たい部分や気にしている部分は違うと思うので、練習からその部分を気にしながら声をかけています。あとは今日初めて試合に出る選手が2人いて、すごく緊張しているだろうなというのは自分の経験から思っていたので、当ててほしい気持ちはありますがそれよりも最初はまず楽しんでというのを伝えました。他のメンバーには大丈夫だよとしかかける言葉がなかったので、安心させたいなと思って声をかけるのと前で見ているというのは意識しながらやっていました。
――改めてになりますが、チームとして今後の目標と意気込みをお願いします
今季の目標は、全関は優勝を目指してやっていこうというのと、1部残留が基本的な目標としてはあります。女子部のスローガンが不撓ということで、どんな試合でもあきらめずに最後の1本までやり切ろうというのを掲げていて、やはり1部に上がって最初のシーズンなので、リーグ戦で戦うどの大学も自分たちより実力が上で苦しい試合になることが多いと思いますが、しっかり最後までやっていこうという意味を込めています。どんなにきついなと思う試合でも、部員全員が一丸となって突き進んでいけるシーズンにしていけたらいいなと思っています。
内藤碧(商4=東京・桜修館中教校)
――今日の射の振り返りをお願いします
今日はいつも通りには引けたと思います。
――団体予選での自身の射はどうでしたか
前の山﨑が3本目を外して、そこで自分でも気持ちが緩んでしまった部分があったかなと思います。
――個人予選では団体戦よりは楽に引けましたか
そうですね。今日の調子がそんなに悪くないということは団体戦で確認できたので、そこは大丈夫だと思いつつ気を抜いてはいけないと思いながら引きました。
――今日の射の中での課題点と成果はどんなところですか
今日は矢こぼれしてしまって矢を戻したり、びくが出てしまったりといった分かりやすい射の不調が多かったので、そこが一番の課題だなと思いました。良かったところはいつも通りに引けたことです。
――本戦への意気込みをお願いします
今日の予選で課題が確認できたので、本戦までの間にそこをちゃんと直して、安心できる射で臨みたいと思います。