好機をものにできず、伝統の早慶戦は敗北

弓道

 今年も伝統の一戦が、雨の中開催された。今年の早慶戦は慶大三田道場で行われ、早大は上級生を中心に立を組んで臨んだ。後攻となった早大は一立目で慶大に3中差をつけられ、追いかける展開になる。少しずつ的中差を縮めるものの、四立目でもう一度差を広げられてしまった。チーム全体の的中数も55中とやや伸び悩み、2中差で敗北。一人一人の的中の底上げ、試合の流れを引き寄せてくる強さをチームとして増せるかが今後の課題となるだろう。

  後攻の早大は一立目から難しい試合展開を迎える。先攻の慶大は12中と順調にスタートした。早大もこれに続いて良い流れを作りたかったが、皆中は大前の山﨑琴葵(社3=東京・早実)のみで、残念も一人出て、9中。一立目から3中差を追いかけることになってしまう。二立目は交代で入った後藤万結(人3=福岡・明治学園)と落の内藤碧(商4=東京・桜修館中教校)が3中、山﨑が皆中で全体で12中を出し、差を1本縮める。

この定期戦でチーム最多18中の山﨑

 ここで慶大がほころびを見せた。1中の選手が二人出るなど、的中を大きく落とし7中となる。早大にとっては逆転も十分狙える、流れを引き寄せるための絶好のチャンスが訪れた。しかし、早大もここで的中を伸ばすことができない。1本目を落前の鈴木来実(スポ4=茨城・清真学園)以外の選手が当てられず、良い流れを持ってこられないでいた。3本目は全員が的を射止めるが、結局9中で立を終え、慶大に対して差をつけることができない。直後の立で慶大は大きく的中を伸ばし、14中。早大は12中で2中の差を許してしまう。最終立でその差を巻き返すことができずに55中-57中で負けが決まった。

3立目でチームが苦しい時も変わらない的中を見せた鈴木

 今回は終始慶大の流れに乗って試合が進んでいた。そしてその流れを取り戻すチャンスが3立目に訪れたが、ものにすることができなかった。それによって相手に余裕と試合の主導権を渡してしまう結果になったと言える。試合で特に団体戦で勝つためには、試合の流れの中で、あるいは立の流れの中で、外してはいけないところできっちりと当てるということが、大事になってくる。これから大きな大会が続々とやってくる中でチームとして勝ち抜いていくために、こうした勝負強さを見せられるかがカギになってくるだろう。

(記事、写真 新井沙奈)

※掲載が遅くなり申し訳ありません

結果

大前 山﨑 20射18中

弐的 渡邉 4射0中

   後藤 16射10中

落前 鈴木 20射14中

落  内藤 20射13中

●早大55中-慶大57中

コメント

鈴木来実(スポ4=茨城・清真学園)

――今日の射の振り返りをお願いします

 今日はちゃんとやることを決めていましたし、やること自体は変わらないので、それができたかできていないかは結果通りだなという感じです。一番は気持ちが負けてしまったのが大きいかなと。射は普段通りではなかったですが、気持ちであともう一本二本持っていくことはできたと最終立で思ったので、練習の時から考えていかなければいけないなと感じました。甘えているわけではないですが、集中の仕方や切り替え方などをもっと考えて、初めの一本目からもっと詰めていけるようにしたいと思いました。

――調子は悪くはなかったですか

 そうですね。的中の最低ラインを普段から20射の立で意識していて、ただ練習通りに試合がうまくいくというのはなかなか難しいので、試合ではやはりもう一、二本落ちてしまうこともあります。なので調子が悪いわけではなかったですが、緊張で手が震えていたりしました。練習のときに、どう試合のような気持ちで緊張して引けるかというのを考えながら、練習したいと思います。

――チームの様子はどうでしたか

 メンバー全員がそろった状態ではないにしろ、誰が出ても最低ラインとして目標にしている60中が出てもおかしくないメンバーだったと思います。今日は連抜きが目立ってしまって、私が止めていればという後悔もあります。だたそれはもうみんな目の前の一本に集中するしかないので、一人一人が、前が当たっても抜いてももっと気持ちを乗せて引くことができたらよかったのかなと思います。

――次に向けてどのような取り組みが必要だと考えていますか

 私は全関(全関東学生選手権)のメンバーには入っていませんが、個人があって、個人では目の前の一本を当てるしかないんです。例えば今日の一本目は、その一本しかない試合と考えたらたぶん当たっていないと思うくらいの、気持ちの持ち方やコンディションでした。一本目を意識して練習することで、四矢なら残り三本をしっかり詰めるための一本目にしたいですし、一本をしっかり当てられるように積み重ねていきたいと思います。また全関が終われば、すぐ選抜(全国大学選抜)やインカレ(全日本学生選手権)があるので、まだ慶大とも戦う試合がありますし、次に戦った時にもっと高い的中を出して成長を見せられたらと思います。