明大を破ってリーグ戦初勝利 1部残留を決めた!

弓道

 東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)4週目。早大は空き週を挟んで第3戦に臨んだ。対戦相手の明大はここまで既に3敗しているため、早大はこの試合に勝利すれば1部残留が決まる大一番だった。1立目で1中リードされるものの、壱ノ立が全者皆中を決めるなどですぐさま逆転に成功する。その後は特に弐ノ立が安定して高い的中を上げ続け、明大との差を広げていく。早大は前の試合からさらに的中を伸ばして、140中の大台に乗せて勝利し、1部リーグ残留を決めた。

  このリーグ戦第4週は、早大にとって勝負の試合だった。2連敗中の早大は勝てば1部残留が決まるが、もし負ければ残留が一気に遠のく。そして、明大は今年度の定期戦で敗北を喫した因縁の相手だ。まさしく天王山と言える対戦だった。早大はこの戦いに向けて、けがでここしばらく戦線を離れていた田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)を壱ノ立に組み込んだ。その壱ノ立は大前の竹宇治雄介(政経2=東京・早実)と落の宮﨑滉巳(社2=埼玉・県浦和)の2年生コンビが皆中し、1立目を14中と首尾よく終える。しかし続く弐ノ立が11中と振るわず、1立目を終えた時点で25中-26中と1中の差をつけられてしまった。

途中出場して勝利に貢献した河野誠也(人1=埼玉・県浦和)

 ここで壱ノ立が高い集中力を見せ、2立目では全員が皆中して16中をたたき出し明大にプレッシャーをかけていく。弐ノ立では2立目から河野誠也(人1=埼玉・県浦和)を出場させ、さらなる的中の上積みを図ったが、これがはまった。大前の黒羽航平(文構3=東京・早大学院)と共に河野は皆中を決め、弐ノ立は13中を出した。早大は2立目で逆転し、さらに明大に対して3中のリードを奪う。そして3立目も早大リードの展開が続いていった。壱ノ立はしっかりと13中にまとめ、弐ノ立ではそれまで若干苦戦していた大澤暢主将(創理4=東京・早実)を含め立の4人全員が皆中して、さらに的中差をつけていくことに。

弓道をやった7年間で一番楽しかったと語った村岡晃輔副将(文構4=群馬・高崎)

 4立目では壱ノ立は12中で明大に1中差を詰められるが、弐ノ立で3人が皆中し15中。早大全体で見ると4立目は1中リードで終えることができた。そして圧巻は最終5立目。5立目に入る前の的中差は110中-102中の8中で、よほどのアクシデントが起こらない限りはほとんど勝利が見えていた。ここで大澤主将は140中を目標に引こうと声を掛け、選手たちに一層の奮起を促す。それに応えてか壱ノ立では竹宇治、宮﨑に加えて東海枝航平(スポ3=埼玉・県浦和)も皆中を出して15中。また、これにより竹宇治はこの試合20射皆中とした。後を引く弐ノ立も村岡晃輔副将(文構4=群馬・高崎)を含めた3人が皆中して15中。早大はこの立でこの日最高の30中を出して見事に140中に乗せ、最終結果は早大140中-明大131中で早大の勝利。試合終了のあいさつを終えた直後、歓喜の声が射場の空気を震わせた。

 目覚ましいほどの進化を見せてくれた。この試合で大前の竹宇治、黒羽は立の最初の1本を、落の宮﨑、大澤主将は立の最後の1本を全て的に入れ、早大のリズムを作った。よく大前、落の仕事だとも言われるが、決して簡単にできることではない。この試合は連続で的を外したのは一度だけ。特に「チームのために勝ちたい」と、けがの影響も残る中で出場した田沼の後を引いた東海枝の安定感は、立を支えるピースの一つになった。今季で引退となる大澤、村岡もそれぞれのかたちでチームに貢献した。村岡は大前の黒羽と共に弐ノ立の的中をけん引し、いいリズムを作っていった。大澤は立の合間、立中問わず何度も何度も選手たちに声を掛けて回った。また河野は1年生ながら競った場面での途中出場という難しい役目を任されたが、16射16中という大奮闘ぶりだった。河野と交代した渡部にも、出場できなかった選手たちにも悔しさがあるだろう。しかしその悔しさをばねにして、飛び上がる力こそが早大をもっと強くする。来季も1部の強豪たちと競い合えるのは、早大の成長にとっても大きなプラスだ。その権利を早大は自分たちの手でつかみ取った。彼らが数ある目標の中の一つにたどり着いたことを、素直に喜び、祝福したいと思う。

(記事、写真 新井沙奈)

※掲載が遅くなり申し訳ありません

結果

【壱ノ立】

大前 竹宇治 20射20中

弐的 田沼 20射14中

落前 東海枝 20射17中

落  宮﨑 20射19中

【弐ノ立】

大前 黒羽 20射18中

弐的 村岡 20射18中

落前 渡部 4射1中

   河野 16射16中

落  大澤 20射17中

○早大140中-明大131中

コメント

村岡晃輔副将(文構4=群馬・高崎)

――今日の試合の振り返りをお願いします

 高校も含めて7年間弓道をやってきましたが、初めてチーム戦をしたなという感覚がありました。今日までに明大が3敗していて、うちは1勝すれば入れ替え戦には行かないという状況で、しかも明大は調子が良くない中うちは調子が良いというところで、みんなで頑張れば勝てるというのがあったからこそ、みんなで試合を作り上げることができました。それが7年間やってきて本当に一番楽しかったです。

――ご自身の射についてはいかがですか

 実は僕は今日で試合が終わりでした。今まできれいに引かないととか自分が当てないととか、いろいろと考えながら引いてきたのですが、最後だったのであまり気にせずにのびのびとできました。ふざけるというわけではなく(笑)、いつも練習でやっているように引けたので良かったです。結果としては2本抜いてしまって、19中出すとお金がもらえるので(笑)それを目指していたので、それを取れなかったのは確かに残念ですが、自分がやりたいことはできたので、有終の美だったと思います。

――チームとして140中という数字も出ました

 今年は練習も全部含めて140中は初めてでした。リーグ戦だけで言ったら、うちが140中を出すのは何十年ぶりという感じですね。

――チームの雰囲気もいいですが、戦いが続く後輩たちに向けてエールをお願いします

 今日出た4年生は僕と大澤だけで、僕らのおかげで勝ったというよりはもう後輩たちのおかげで今日は勝ったので、的中とかに関しては正直気にしていないです。うちは代々緊張に弱いというのがあるのですが、このシーズンは早稲田らしさ、自分の射で思い詰めて当てるのではなく、チームとして弓道を楽しむ雰囲気がありました。はた目から見たら確かにふざけていると思われてしまうかもしれないですが、それが早稲田らしさかなと思っているので、楽しんで弓を引いていってほしいなと思います。

田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)

――今日の射について振り返ってください

 けがの影響もあって1週目、2週目出られなくて、少し引けたくらいで今も完全には治っていないのですが、今日が山場というのは分かっていました。体の痛みと闘いながらではありましたが、できることはやれたのかなと思うのでそこは良かったです。

――練習も多くはできない中で、スタートからの出場でした

 今週の練習からちょっと無理はしながらでしたが、勝ちたいと思ってやっていました。ただ初立の他のメンバーが当てるので、それはプレッシャーでもありますが3人を信じて引けたので、初立の弐的で引けて良かったと思います。

――けがを抱えながらで、どういう部分を意識して立に入りましたか

 痛みはありましたが、そこは考えてもある程度しょうがないところではあるので。あとは最後大澤さんも声を掛けてくれたのですが、やれることをやろうという気持ちで最低限やれることは甘えずにやるということを意識して引きました。

――以前は定位置だった壱ノ立の大前を、現在は竹宇治選手が務めています。見ていてどう感じますか

 竹宇治に関しては、最初シーズンが始まった時は新人だったのがここまで成長してくれました。自分も(自分が)ずっと初立の大前でいるのだろうなと思っていたのですが、よく言うところで後輩は先輩を超えていくものだと思うので、竹宇治はそれを立派に務めてくれています。来週の試合はけがもあるので引くか分からないですが、来年は自分も初立の大前を譲る気はないので、切磋琢磨(せっさたくま)できたらいいなと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

 初立に入って引いてみて、これで自分も万全だったら本当に楽しく引けるだろうなと思いますし、大学に入ってきてチームの状況が一番良くて、チームのために勝ちたいと思って引けるようになったので、来年はもう万全の状態で竹宇治はもちろん誰にも負けないように引きたいと思います。

竹宇治雄介(政経2=東京・早実)

――今日の射を振り返ってください

 二日前からずっと調子が悪くて、昨日も20射14中とかで今日の射込みも20射12中で、15本くらい当たったら全然いいかなというくらいの気持ちだったので、結果としてこういう的中数が出せたのは良かったと思います。結構ぎりぎりの状態でずっと引いてきて、射の崩れが顕著に今出てきているので来週に向けて調整していきたいかなと思います。

――20射皆中でしたが、何を意識して引きましたか

 個人的な傾向として頬付けが高くなってしまうというのがもともとあったのですが、それがさらに高くなってしまってなかなか矢が飛ばなくなってしまって。でもそこで無理に下げてもうまく成功するイメージが見えなかったので、高いなりに弓手と馬手を張ってぽんと離れを出すことを心がけました。あとはとりあえず下に抜かないという意識だけは持っていました。

――何度も先輩に声を掛けられていましたが、力になっていましたか

 そうですね。本当にかなり射も心もきつい中で引いていたので、声を掛けてくださったのは心強かったです。勝ったから言えるのですが、チームは別として自分の中では今日はいい的中を出すのは無理だろうなと思いながら引いていたので、開き直りもありましたが、きつさもありました。

――次戦に向けてどう調整していきたいですか

 今日すごく射が崩れてしまっていて、それは見ていても不安になると思うので安心して見ていられるような射を目指して、安定感をつかんでいきたいと思います。

河野誠也(人1=埼玉・県浦和)

――今日の射の振り返りをお願いします

 今日は自分のやりたいことがちゃんとできたかなと思います。

――途中出場という難しい役回りで、拮抗した場面での投入でした。緊張はありましたか

 そうですね。やっぱり緊張はあったのですが、今日は自分のやりたいことをやろうと、とにかく周りをもうちょっと見ようかなと思って、いろいろときょろきょろしていました(笑)。前の2戦とかは立中に自分のことだけに集中してしまって、ずっと下を見ている感じだったので、もうちょっと上を見てリラックスしようと思っていました。

――射の中で意識したことはありますか

 あまり周りの流れとかは気にしなくていいと言っていただいたので、とにかく自分のやりたいことをということで、今は肩線を意識していてそれを考えて引きました。

――途中出場で緊張もありつつ皆中ということで、自信につながる試合でしたか

 はい、つながりました。

――次回に向けて意気込みをお願いします

 日大戦と法大戦はうまくいかなかったので、今日はうまくいったので次もうまく引けるように、自分の射が引けるように頑張りたいと思います。