3日目を迎えた全日本学生選手権(全日本インカレ)。全国各地から予選を通過した精鋭が集い、男子・女子個人戦決勝射詰が行われた。早大からは高い予選基準を通過した男子5人と、昨年の全日本インカレで個人2位だった山﨑琴葵(社2=東京・早実)が出場した。1射ずつ行射し、的中者のみが次に進める射詰。1射のミスも許されない緊張感のある中、早大の選手は3本目までで姿を消すことになった。
男子個人戦には好調の竹宇治雄介(政経2=東京・早実)と3年生4人が出場した。全国から集まった200人近くの選手たちが次々と行射する独特の空気感の中、沢田潤一郎(文3=神奈川・南)、田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)、竹宇治が1本目の的中を決める。2本目、沢田と田沼は命中を逃してここで敗退となった。一方で竹宇治は安定した射を披露し、3本目に進出。敗退した選手たちに見守られながら迎えた3本目は、惜しくも的からそれたが、竹宇治は大きな舞台で活躍を見せた。
好調な射を見せた竹宇治
女子個人戦には、山﨑ただ一人が出場した。昨年の全日本インカレで、1年生ながら個人2位という成績を収めた山﨑は「自分の中でも前回のインカレの順位(2位)は意識していた」と語るように、プレッシャーのかかる中で試合に臨んだ。1本目、危なげない射で2本目へ駒を進める。ところが2本目、山﨑が放った矢は悔しくも的を外れ、順位決定戦まで進むことなく敗退となった。
堂々の戦いをした山﨑
早大の個人戦は3本目までで敗退という結果に終わった。しかし、選手たちは次を見据えている。沢田が言うように「ここから先に三定(三大学定期戦)とリーグ(東京都学生連盟リーグ戦)が控えている」。今後は団体戦の試合が続くことになるが、団体戦で勝ち切るには個人の力が不可欠だ。男子部は1部リーグで勝ち切れるチームに「昇華」すること、女子部は1部リーグ昇格に向けて「飛躍」することを目指す。全国の強豪と対峙(たいじ)した全日本インカレでの経験を糧に、実りの秋へつなげることができるか。
(記事 中村日菜美、写真 森田健介)
結果
男子個人
竹宇治 ○○×
黒羽航平(文構3=東京・早大学院) ×
沢田 ○×
田沼 ○×
渡部暸太(文3=東京・海城) ×
女子個人
山﨑 ○×
コメント
沢田潤一郎(文3=神奈川・南)
――今日の試合を振り返っていかがですか
先週少し調子が戻ってきていたのですが、3日前くらいからまた調子が悪くて、その中で挑んだ試合でした。初めてのアリーナで1本目を当てることができたので、これからにつながるいい経験になったと思います。
――予選から1カ月ありましたが、精神面と技術面それぞれでどういった準備をして今日に臨みましたか
試合を意識しすぎると良くないタイプなので、個人ということもあって、気楽に考えていました。技術面に関してはここから先に三定(三大学定期戦)とリーグ(東京都学生連盟リーグ戦)が控えているので、どちらかといえばそちらに標準を合わせながら1カ月やってきました。
――初めてのアリーナということですが、緊張はしましたか
日本武道館なので、アーティストがライブをやっているようなところで弓を引くのかと、緊張というよりは楽しんで引いていました。
――試合前後に他の選手や部員の方と話している姿がありましたが、どういった話をしていたのですか
いつもどおりくだらない話をしていて、平常心で引けたと思います。隣に田沼(翔太、スポ3=東京・桜修館中教校)がいて、後ろに大澤さん(大澤暢主将、創理4=東京・早実)とかがいてくださって、それは良かったと思います。
竹宇治雄介(政経2=東京・早実)
――今日の射を振り返っていかがですか
一本一本の出来は良かったかなと思います。1本目は思うようにいけて、2本目は的に入りましたが、緊張で残心が上手く取れませんでした。3本目は最後、的に対する意識が甘くなって抜いてしまいました。
――本戦に向けてどのような準備をしてきましたか
ずっと調子が良い状態が続いていたので、当たっている矢を同じように続けるということを心がけました。
――前回の全関東学生選手権ではとても緊張したと仰っていましたが、今回はいかがでしたか
だんだん緊張の度合いは弱まってきたと思います(笑)。特に今回は個人戦だったので、気楽に楽しめたと思います。
――次に向けての意気込みをお願いします
明後日から三大学定期戦があるので、自分に与えられた役割を果たせるように頑張りたいです。
山﨑琴葵(社2=東京・早実)
――今日の射を振り返っていかがですか
緊張はしましたが、昨日に引き続いて自分の中で納得のいく射はできたと思います。ここ最近ずっと練習でも調子が良くて、その調子のまま武道館でも引けたという感じですね。
――予選の時は前回の順位を超えたいと意気込みを聞きました。その上でこの結果についてはどう感じていますか
自分の中でも前回のインカレの順位(2位)は意識していたので、今回は尺二の的の2本目で抜いてしまっているということがとても悔しいです。
――射の良かったところはどんな部分ですか
以前までの自分だったら、周りの的中を気にしてしまって、集中が欠けてしまって自分の射に影響が出るということが多くありました。でも今年の試合ではそうしたこともあまりなく緊張もそれほど関係なく、ただ自分の中でやることを決めて会で伸び合って離れにつなげられた射が多かったので、そこは成長できているなと思いました。
――早大女子の個人決勝出場は山﨑選手だけですが、自分の中でプレッシャーをかけていたところはありましたか
一人だけだったので自分にもプレッシャーはかけましたし、1本でも長く射場に残って早稲田の名前を残したいなという気持ちはありました。
――今後に向けて意気込みをお願いします
リーグ戦では今回の個人戦とは違って、1本ごとの勝負というよりかは的中の積み重ねなので、毎回20本の中で同じように自分のいい射を出せるかが鍵になるかなと思います。いい射が出せるように練習を積み重ねます。