全日本学生選手権(全日本インカレ)2日目は女子団体予選と決勝トーナメント3回戦までが行われた。早大は予選で12射7中を出し、決勝トーナメントを懸けた同中競射に進む。ここで勝負強さを見せて6射6中として、2年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。決勝トーナメント1回戦では12射10中と高い的中を出すものの、相手に上回られてしまい早大はここで姿を消すこととなった。
早大は予選の9立目に登場し、ぴったりとそろった所作で射場に入る。大前の山野桃果(先理4=東京・吉祥女)が1本目をきっちり射止めると、1巡目で3射2中とまずまずの滑り出しを見せた。その後2、3巡目はそれぞれ1中のみにとどまったが、4本目は全員が的中して12射7中とし、決勝トーナメント進出を懸けて同中競射に進むことになった。
大前で初矢を的中させた山野
同中競射はトーナメントの残り3枠を24校が争う熾烈(しれつ)なものとなった。同中競射では一人2射ずつ、合計6射の的中数で競う。2立目に出てきた早大は、予選のメンバーのまま同中競射に臨んだ。山野が先陣を切って初矢を的中させると、中の山﨑琴葵(社2=東京・早実)と落の藤井千裕(スポ2=山口・宇部フロンティア大香川)も続き、全員が1本目を的中させた。さらに緊張感の高まる中、山野と山﨑が2射皆中を決め拍手の中退場する。藤井が放った最後の矢が的に飛び込むとひときわ大きな拍手が起こり、退場した藤井はほっとしたような笑顔で後ろに控えていたメンバーに合流した。早大は6射6中で、決勝トーナメントの残り3枠の中に滑り込んだ。
決勝トーナメント進出を決める矢を放つ直前の藤井
高い集中力で進出をつかんだ決勝トーナメントの1回戦で、早大は茨城大と対戦した。ここでもその集中力を見せたいところであったが、1本目を3人中2人が外してしまう。こうした場合、悪い流れのまま外れが続いてしまうことも弓道の試合ではよく見られるが、今日の早大は自分たちの射を立て直す強さがあった。これ以降は1本も外すことなく、12射10中と高い的中を挙げる。しかし茨城大はそれを上回る11中をたたき出し、早大は惜しくも2回戦に進むことはできなかった。
この日の早大はとても粘り強かった。ただやはり対戦形式になった時に必要になるのは、より高い的中を追い求めることではなく、相手より1中でも多く的中させることだろう。どちらも、実現させるには高い集中力が必要になるが、特に後者では相手に意識を置きつつ自分たちの射を崩さないようにする力が求められる。今回の早大は初矢を2本抜くことによって、相手に2本の余裕を与えてしまった。これからリーグ戦を迎えていく中で、相手に勝ち切る強さは不可欠だ。目標とする1部昇格に向けて地力は十分示してきた。あとは勝ちを手繰り寄せる力を発揮できるかどうかに懸かっている。
(記事、写真 新井沙奈)
結果
【予選】
大前 山野 4射2中
中 山﨑 4射3中
落 藤井 4射2中
計 12射7中
【同中競射】
大前 山野 2射2中
中 山﨑 2射2中
落 藤井 2射2中
計 6射6中
【決勝トーナメント1回戦】
大前 山野 4射3中
中 山﨑 4射4中
落 藤井 4射3中
●早大10中-茨城大11中
コメント
山野桃果(先理4=東京・吉祥女)
――今日の試合を振り返っていかがですか
あまり調子が良くない中でうまく調整して出た試合だったのですが、予選では自分がやろうと思っていたことがやり切れずに終わってしまって、悔いの残る感じになってしまいました。同中競射ではそれをしっかりやろうと決めて反省点を持ってやったら、自分の中ではしっかりできたのでこの調子でいこうと気持ちを切り替えられました。決勝トーナメントも同じようにできたので、自分の調子と合わせて見ると最高でこの結果だったのかなと思います。ただ抜いてしまった矢はやろうと決めたことができていなかったり、会が短くて離れるのが早かったりしたところでした。毎回試合でこういうことが起きて後悔するのに、また今回も同じミスをしてしまったというところが、最終的には悔いの残るところです。
――ここ最近のチームの状態はどうでしたか
私以外は調子が良くて、いつも二人合わせて7中か8中ばかり練習で出していたので、あとは自分が3中をコンスタントに出し続ければ10中は出るという感じでした。後ろにその二人がいるのは心強かったです。
――最後の全日本インカレでしたが、かける思いは強かったですか
最後のインカレで久しぶりに現地で予選からできるというのもあって、楽しみでもあり、自分の調子が崩れてしまうかもしれないという不安もありつつという感じでした。でもやはり最後なのでやり切って、自分が悔いの残らないように終われればいいなという気持ちで臨みました。やり切れたと思う部分もあり、後悔する部分もありという五分五分くらいの気持ちで終わってしまったので、少し悔しいです。今後はこれを次の学年に引き継いでいってくれればと思います。山﨑も藤井も2年生なので、経験を生かして二人が中心となって来年も再来年もやっていってくれたらいいなと思います。
――最後は遠的大会が控えていますが、どんな射をしたいと思っていますか
何回か遠的の大会には出たのですが、会で狙いを上げてからどれくらい自分が頑張るかに懸かっていると思うので、そこを気を緩めずに最後までしっかり伸び合って、決めた残身をとるということを目標にやりたいです。近的と同じように悔いがないよう1本1本できたらと思います。
藤井千裕(スポ2=山口・宇部フロンティア大香川)
――今日の射の振り返りをお願いします
今日は普段の練習通りちゃんと伸び合って、しっかりとした離れを出すことができました。自分では納得のいく射ができたと思います。
――今日の結果についてはどのように感じていますか
決勝トーナメント1回戦の10中は全体で見るといい数字だったと思いますが、1本目に二人抜いてしまったというところが大きかったです。そこの1本が最後の総合的中数での負けにつながってしまって、ちゃんと1本目から詰めることができたら勝てていた相手だったので、すごく悔しいです。
――今日は落に入って競射では結果を左右する1本を任される場面もありましたが、プレッシャーはありましたか
はい。大きい大会で落で引くことが初めてだったので、前の二人が皆中で自分の番が来ると緊張して焦ってしまうなと自分で感じていました。なのでしっかり間をとって、ゆっくり自分のペースで引くことを意識して心を落ち着かせて引きました。
――これから遠的大会もありますが、どのように取り組みたいですか
遠的はそこまで気を張ってやる感じではないので、しっかり引けることを楽しんで引いてこようと思います。