全国各地区から選ばれた大学が集う全国大学選抜が開催された。予選を行い通過した上位16校でトーナメント戦を行うかたちだ。早大男子部は予選で20射13中を出し、トーナメントの残り2枠を争って同中競射に入ることに。ここで勝負強さを発揮し、10射9中として決勝トーナメントへ駒を進めた。決勝トーナメントの1回戦では強豪法大と対戦。早大は20射17中と好的中を残すも、法大に1中上回られてしまい敗退となった。
予選から緊迫の展開となった。大前の田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)が皆中、弐的の渡部瞭太(文3=東京・海城)が3中と安定した射を披露するが、後続の3人が全員羽分けとなり合計20射13中。他大学の結果によっては予選通過が難しくなるような的中数だった。しかし14中以上を出した大学が14校のみとなり、早大は決勝トーナメントに進出する残り2枠をかけて一手競射に進んだ。
安定感のある射を披露した渡部
迎えた一手競射。9チームでトーナメントの残り2枠を争う上に、直前で愛媛大が10射9中を出しており最低でも8中以上を求められる厳しい場面だった。しかし早大は集中力の高さと勝負強さを存分に見せつけた。5人全員が1本目を的中させる。弐的の渡部が2本目を外してしまうが、中の東海枝航平(スポ3=埼玉・県浦和)がこれに引っ張られることなく的を射止めると後ろの宮﨑滉巳(社2=埼玉・県浦和)も続く。張り詰めるような緊張感の中、落を務める大澤暢主将(創理4=東京・早実)が最後の矢を的に入れると、観覧席には感嘆のため息が満ちあふれた。早大は10射9中をたたき出し、2枠に滑り込んだ。
競射とトーナメント1回戦で皆中した宮﨑
続く決勝トーナメント1回戦では、強豪法大と対戦することに。両校譲らず我慢比べの展開が続く。早大は2本目を5人全員が当てるなど、決して流れは悪くなかったが法大も崩れる様子はなかった。渡部と宮﨑が皆中、他の3人も3中と奮闘したがあと一歩届かず、17中-18中で決勝トーナメント1回戦での敗退となり、ベスト16で全国大学選抜を終えた。
成長を感じさせる戦いぶりだった。競射とトーナメント戦では、プレッシャーのかかる場面でも流れをつかめるようになりつつある姿を見せた。誰かが外したら自分が当てる。立の中の「どこで引いても変わらない役割」(渡部)として、常に全員が心に留めている思いだろう。この試合の中で一人一人のその思いが、うまく繋がっていたように思う。ただ課題も見えている。法大が見せた強さ、直接対戦する際に相手に粘り勝つ強さだ。早大がより高い場所に食い込んでいくために、さらなる進化が求められている。
(記事、写真 新井沙奈)
※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません
結果
▽予選
大前 田沼 4射4中
弐的 渡部 4射3中
中 東海枝 4射2中
落前 宮﨑 4射2中
落 大澤 4射2中
計20射13中
▽同中競射
大前 田沼 2射2中
弐的 渡部 2射1中
中 東海枝 2射2中
落前 宮﨑 2射2中
落 大澤 2射2中
計10射9中
▽決勝トーナメント1回戦
大前 田沼 4射3中
弐的 渡部 4射4中
中 東海枝 4射3中
落前 宮﨑 4射4中
落 大澤 4射3中
●早大17中-法大18中
コメント
渡部瞭太(文3=東京・海城)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
チームの雰囲気としては全体的に良かったかなと考えていて、予選崩れる人もいたんですが同中競射まで持っていけました。競射で僕だけ外しているのですが、他のみんなが当ててくれて決勝トーナメントに連れて行ってくれて、本当にありがたいと思っています。予選通過した後も、チーム全体としては雰囲気は悪くなかったと思います。自分としては一手競射で当てないといけない1本があったので、そこをしっかり当てられるように練習しないといけないということはまずあります。その上で決勝トーナメント1回戦では、外してはいけないと自分の中でプレッシャーをかけて臨んだ部分だったので、そこで結果を出せて良かったと思います。
――これまでの試合では落前に入ることが多かったですが、今日は弐的に入っていました。立の中での役割は意識しましたか
落前だとみんなの結果が出て流れもできてという上で引かないといけないという部分があって、全部の結果を受け止めた上で引かなきゃいけないという難しさはあります。弐的は弐的で早めに引かないといけないので自分が流れを作らないといけないし、流れが悪かったら止めないといけないというところがあります。ただ、どこで引いても変わらない役割はそれぞれあると思うので、どこでも大丈夫という気持ちはいい意味で持つようにはしていました。
――競射で2枠しかない中で9中の大学が一つありました。プレッシャーは大きかったですか
だいぶ大きかったですね。1本目もあまり感覚としては良くなかったですし、2本目は自分が離まで持っていったというよりかは弦が勝手に取れてしまって、半分事故みたいな感じではあったのですが。そこをちゃんと最後まで決め切れていればというところで、だいぶ緊張はありましたね。
――トーナメント1回戦はチームとしては負けてしまいましたが、ご自身は皆中でした。手応えは感じましたか
手応えはありましたし、矢も真ん中近くに集まってはいたので、それは今後も精度を高めていければいいかなと思います。試合に出るたびに得るものがあって、個人的にはもっと試合に出て活躍したいという気持ちは大きいです。もっと試合に出て、そこで学んで、その上で試合で結果を出すということを今後も続けていきたいと思っています。
――今後に向けて意気込みをお願いします
当然選手として出て活躍するというのはずっと目標ではあるので、それを続けてやっていきたいと思います。チーム全体としても雰囲気は間違いなく良くなってきているので、今後もチームとして勝っていけるように一員としてチーム作りをしていきたいと思います。
宮﨑滉巳(社2=埼玉・県浦和)
――今日の射を振り返ってください
予選は結構緊張して、思い通りの射ができなくて結果も良くなかったです。でも同中競射で助かったので、競射からしっかりもう1回やり直して頑張ろうと思って、的中のとしては立て直せたので良かったかなと思います。
――予選からトーナメントにかけて射の感覚の変化はありましたか
だんだんと緊張が抜けてきて自分が今どうなっているのかが少しずつ分かってきたので、後は自分のやってきたことを信じるだけだと思ってやり切りました。
――緊迫した場面が続きましたが、いつも通りの射はできなかったということですか
そうですね。自分の中ではまだまだだなという感じで、たぶん周りから見ていてもいつもとは違うなという感じだったと思います。
――間の時間で巻き藁の練習は挟みましたか
巻き藁では自分が一番気を付けなければいけないポイントを作って、それをいかに実行できるかということを確認しました。そのポイントを立でも気を付けるようにやっています。
――次に向けて意気込みをお願いします
個人戦は去年から今までずっと1本足りないで通過できなかったので、しっかり皆中して通過したいという気持ちは大きいです。インカレ(全日本学生選手権)の団体は今回と同じように会場で予選をやってからトーナメントなので、今回のようなことがないように今回の予選の失敗を生かして、予選から当てられるように頑張りたいと思います。