伝統の明治大学定期戦が2019年以来の対面形式での開催を迎えた。この定期戦では3つの異なる形式で対戦し、先に2勝を挙げた方が勝者となる。早大は1戦目の源平戦で宮﨑滉巳(社2=埼玉・県浦和)が20射皆中の活躍を見せるなど奮闘したが、わずか2中差で敗北。続く紅白戦では敗北による選手交代が続き、明大の流れを止めきれず負けとなった。3戦目まで進めず敗北が決定したものの、大きな大会が近づく中、課題と手ごたえをしっかりつかんだ定期戦となった。
1戦目の源平戦は第一射場(射場の前側)に明大、第二射場(射場の後ろ側)に早大が入り、各立の大前から行射を始める。それぞれの大学が弐ノ立まで出し、合計200射の的中数で勝敗を決定する形式だ。この源平戦では序盤から接戦が繰り広げられた。早大は1中を記録する選手が何人か見られたが、田沼翔太(スポ3=東京・桜修館中教校)らの4射皆中も相次ぎチーム全体としての的中数はまとめ、2立目を終えた時点で明大に1中リードした。ところが3立目で弐ノ立がうまく流れをつかめず、30-35とされ、リードをひっくり返されてしまう。4立目で巻き返しを図った早大は壱ノ立で19中、弐ノ立でこの立から交代で入った酒井駿輔(文構2=東京・海城)が3中と役割を果たすなどあって、35-31とし、的中差なしの状況に持ち込む。しかし最後の5立目では壱ノ立と弐ノ立とも明大に1中ずつ差をつけられ、合計161-163と2中差での負けとなった。
源平戦で20射皆中を決めた宮﨑(写真中央)
2戦目の紅白戦は両大学がそれぞれ10名ずつ選手を出し、1対1で的中数を競う。的中数に差がつけば勝った方はそのまま残り、負けた方は選手を交代する。同中のときは相殺となり両大学とも選手を交代し、先に相手の10人目を降ろしたチームの勝ちとなる。早大は先鋒の黒羽航平(文構3=東京・早大学院)が2勝し好スタートを切ったが、その後は相殺と敗北で早大が先に選手の数を減らす展開に。六番手の渡部瞭太(文3=東京・海城)が1勝を挙げるが次の立でともに皆中となり相殺。その後は負けが続き、大将の東海枝航平(スポ3=埼玉・県浦和)まで回ったときには明大はまだ六番手の選手だった。ここで東海枝が1勝し粘りを見せるが、最後は明大の七番手の選手に2-3で敗北となった。
紅白戦で2勝を挙げた黒羽
明大に先に2勝を許し、これによって今回の定期戦は3戦目まで進むことなく負けが決定した。チームとしては源平戦で一つの目安となる8割の的中率を出し、決して悪い状態ではなかったが、選手たちからはプレッシャーのかかる場面や、ここぞというときの一本が出なかったという声が聞かれた。1部リーグに昇格した今シーズン、さらに厳しいところで勝負し勝つために、一本を磨いてゆく。
(記事 新井沙奈、写真 中村日菜美)
結果
▽源平戦
壱ノ立
大前 田沼 20射19中
弐的 黒羽 20射18中
中 平山侑紀(政経3=東京・早大学院) 20射13中
落前 宮﨑 20射20中
落 東海枝 20射15中
弐ノ立
大前 村岡晃輔副将(文構4=群馬・高崎) 20射13中
弐的 小熊悠人(政経3=東京・早大学院) 12射7中
酒井 8射5中
中 竹宇治雄介(政経2=東京・早実) 20射16中
落前 渡部瞭太(文3=東京・海城) 20射17中
落 大澤暢主将(創理4=東京・早実) 20射18中
▽紅白戦 ○勝利 ●敗北 △相殺
黒羽 ○2-0
○4-2
●2-4
小熊 △3-3
竹宇治●1-3
酒井 ●2-3
平山 ●2-4
渡部 ○4-2
△4-4
大澤 ●2-3
宮﨑 ●2-4
田沼 ●3-4
東海枝○4-3
△3-3
●2-3
コメント
大澤暢主将(創理4=東京・早実)
――ご自身の今日の射を振り返っていかがですか
源平戦は自分でも想像以上にいい仕上がりで迎えられていて、結果としては途中で羽分け(4射2中)が出てしまいましたが、自分のやれることはやり切ることができたので良かったと思っています。紅白戦に関しては少しふがいない部分が出てしまって、そういった部分をこれから修正していって大きなタイトルの試合を迎えられればいいかなと思っています。
――チーム全体として、今日の試合はいかがでしたか
本当に一人一人が頑張ってくれて、田沼であったり宮崎であったりという、うちの部のこれからの主軸になっていく選手たちがいい的中で終えられたということは、チームとしてもプラスだと思います。そこに加えて新しく入ってきた2年生だったり、新人戦に出ていた選手たちが合流して、全体としてすごくいい空気で戦えていたんじゃないかなと思っています。
――練習中から部員の皆さんにたくさん声を掛けていた姿が印象的でした。どんなことを意識して声掛けをしていますか
弓道っていう競技は向き合うとマイナスの面ばかり見えてきてしまう瞬間があって、やはりそういったマインドだと苦しい部分ばかりになってしまいます。なのでとにかくその選手のいいところを見つけてそこを伝えてあげられるように、選手がプラスな気持ちで立に臨めるようにできたらいいなと思って、そういった声掛けを意識しています。
――今日見つかった課題を次に向けてどのように取り組んでいこうと考えていますか
次の試合だともう大きなタイトル、全関東(全関東学生選手権大会)が近づいてきているので、まずは甘い一本をチームとしても個人としても減らしていく必要があるのかなというふうに考えています。また結果という部分にこだわっていくのであれば、今日どんないい内容であっても負けというかたちでは終わってしまっているので、次の試合では必ず勝つという結果の部分にこだわって、一本一本これからの練習を全員で乗り越えていければなと思っています。
宮﨑滉巳(社2=埼玉・県浦和)
――今日のご自身の射を振り返ってください
まず源平戦は20本全部詰められたので結果としては良かったんですが、20本の中で良くない射っていうのはあったので、それがたまたま的の中に入ってくれたんだなという感じです。まだまだ自分の中でやれる部分があるなと思います。紅白戦は自分が抜いて(相手の選手に)負けたので、一対一の弱さだったり、自分が詰めなきゃいけない当てなきゃいけない場面で当てられる選手にならないといけないなと感じました。
――源平戦の壱の立の2年生は宮崎選手だけでした。意識されたことはありますか
あまり学年は関係ないなとは自分で思っていて、去年1年生の頃から割と試合に出させてもらっていたので、逆に自分が引っ張ってやるぞという気持ちもあって頑張りました。
――源平戦を20中で終えた後、紅白戦にはどのような気持ちで臨みましたか
特に意識したことはないんですが、源平戦で負けたので勝たなきゃいけないという気持ちが一番強かったです。
――今日見つかった課題をどのように次につなげたいですか
プレッシャーのかかる場面での一本を詰められるように、日ごろの練習から一本一本を大事にして引いていくことだけだと思います。