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念願の1部昇格に向けシーズンに入った女子部。リーグ戦形式で行われた青学大との練習試合は、終始早大優勢のかたちで進んだ。一時調子が乱れてしまう選手が見られる場面もあったが、チーム全体としてそれぞれの選手が的中数を補い合いながら大崩れすることなく、全ての立で5中以上のリードを保ち続ける。目標の60中には届かなかったが52中-15中で快勝した。
試合は早大の息の合った所作から始まった。1立目は4人中3人が3中というまずまずの滑り出しを見せ、この時点で青学大に対し8中差と大きくリードする展開に。2立目では弐的の山崎琴葵(社2=東京・早実)がこの日チームで最初の皆中を果たす。他の3人が当たらない場面でも当たりを得るなどの活躍を見せ、チームに勢いを与え引っ張った。
この日15中を決めた山崎
3立目では山崎の勢いを引き継ぎ、落前の井上采香主将(文構4=東京・吉祥女)もするどい音と共に皆中を決める。その他にも山崎と武川衣万里副将(スポ4=山口・宇部フロンティア大香川)が3中し、チームとしてはこの日最高の12中で3立目を終えた。青学大との差もさらに広がり、25中差と大きく引き離す展開となる。
5立目で皆中するなどチームを支えた武川
4立目と5立目では1中を記録する選手が出てしまうなど、リズムが崩れてしまいそうになることがあったが、ここで落の武川が踏ん張った。4立目では武川の3中と共に、大前の後藤万結(人2=福岡・明治学園)もこの日自身初の3中を出し、チームの乱れを最小限にとどめた。5立目は山崎が3中を出し、一層チームを盛り立てる。武川が最後の1射を的中させ皆中を決めると、一際大きな拍手が弓道場に響いた。52中-15中と実に37中の大差をつけての勝利となった。
しかし大差での快勝も、選手たちの顔に達成感を浮かべさせることはなかった。チームとして「1部リーグに上がるために60中を当たり前に出す」(井上)ことを目標に掲げているが、現状では及んでいない。8中という差はやすやすと埋まるものではない。しかし、今はまだ滑走路に立ったところだ。次なる「飛躍」に、そしてその先にある1部昇格に向け、この経験を糧にこれからますます加速していくことだろう。
(記事・写真 新井沙奈)
結果
大前 後藤 20射10中
弐的 山崎 20射15中
落前 井上 20射12中
落 武川 20射15中
〇早大52中-青学大15中
コメント
井上采香主将(文構4=東京・吉祥女)
――今日のご自身の射について振り返りをお願いします
私は試合になるとちょっと弱気になってしまうというか、緊張によって射が滑りやすいタイプではあるんですが、最初の3立目までは緊張していたからこそ自分のやるべきことにしっかり集中して、やることはやったかなと思います。ただ、4立目と5立目、特に4立目は気の緩みというか集中力が途切れてしまったところがあって、それによっていつもの悪い癖が一気に出てきてしまったのかなと思います。
――3立目の皆中の後少し力みが見える場面がありましたが、どのように気持ちを立て直していきましたか
私は結構自分を追い詰めると良くないタイプなので、試合では当てることはもちろんなんですが、自分の中で緊張の場を楽しむことを大切にしたいと考えています。皆中をしたからこそ次もしっかり当てないとという気負いが出てしまって、余計に力んでしまったと思うので、4立目の後はもう一回自分の頭の中でやることを整理して、楽しむということをもう一度思い出して、自分の今やるべきことをこの場でしっかり集中して出し切ろうと思いました。
――今日のチームの射を振り返っていかがでしたか
今日の試合では最近アウェー戦に出ていなかったメンバーもいて、チーム全体として緊張からいつもの練習より的中がおちてしまったというのはあります。とりあえず52中というのは現時点ではそこそこだと思うのですが、練習だと60中くらいは出ていたと思うので、そこは反省してこの経験をしっかり生かして次につなげていきたいと思います。
――今後のチームの目標と、それに向かってどう取り組んでいこうと考えていますか
このリーグ戦形式の試合ですと、1部リーグに上がるために60中を当たり前に出すというのを目標にしています。だから「60中出た、やったー!」じゃなくて60中は出て当たり前で、60中を切ったらちょっとまずいなっていう危機感をもってほしいなと思っています。今日の結果で満足している人は誰もいないと思うので、この経験を生かしてほしいです。練習だと適当に引いていても当たっちゃったりすることもあると思うんですが、試合で通用する射を追求していくために、自分に何が必要なのかをそれぞれの部員が考えながらやっていきたいと思います。
武川衣万里副将(スポ4=山口・宇部フロンティア大香川)
――今日のご自身の射は振り返っていかがですか
アウェー戦が自分にとって久しぶりで、すごい緊張してしまいました。最後の立だけは結構自分のやりたいことができたかなと思ったんですが、やっぱり反省点の多い射が多かったかなという印象です。
――3射目まで当てて、最後の1射を外す立が2立ありましたが、5立目の皆中までどう気持ちを持っていきましたか
私的にも4本目が、しかも落でというのもあって緊張してしまって。緊張しながらも当てなきゃいけないんですが、緊張に気を取られて自分が意識しなきゃいけないことができていなかったから、抜いてしまったんだろうなというのはあります。最後の立は、さすがにこの4本目は詰めないとみんなにいじられまくると思って(笑)、そこはちゃんと緊張に気を取られずに集中して引きました。
――チームの落として試合で引くのはいかがでしたか
練習の中でも落を引くことが割と多かったので、落であることには結構慣れてきたのかなというのは自分の中であります。ただやっぱり試合になると、独特な雰囲気の中引き終わった選手たちがこっちを見てるっていうのは、練習では再現できない緊張感があったので、次の試合に向けてのいい練習になったのかなと思います。
――次に向けて、今日見つかった改善点をどのように修正していきたいですか
今日はやることがまとまっていなかったっていうのが結構大きな反省点かなと思います。試合の前日までにやることをまとめてはいたんですが、当日になるとちょっとした体の変化とかですごく(射が)変わってしまっていたので、完璧じゃなくてもできるだけやることをちゃんと絞るという練習も普段からするようにしたいです。自信がなくてもやることが決まっていれば、緊張だったり不安だったりに気を取られることもないと思うので、とりあえずやることをしっかり決めて、あとはそれだけを信じて集中するっていうことを練習していきたいなと思います。