2部リーグ優勝を決めた中大戦から1カ月。宿敵・慶大との入れ替え戦をついに迎えた。目標の1部リーグ昇格へ、独特の緊張感の中、戦いの火蓋が切られた。序盤は慶大に若干のリードを許す展開。ところが、3立目に同中に追いつき、早大ペースとなる。そのまま逆転を決め、8中差をつけて勝利。早大は悲願の1部昇格を達成した。
試合は、壱ノ立が16射15中を決める順調な幕開けとなった。ところが弐ノ立で少しの崩れがあり、初立を26中として慶大に1中出遅れる。2立目、初立に続いて大澤暢(創理3=東京・早実)、田沼翔太(スポ2=東京・桜修館中教校)が皆中を決めて、安定さを見せつけた。一方の慶大も1部リーグの意地を見せて、早大に2中差をつける展開となる。試合が動き始めたのは3立目であった。
18中を決め、1部昇格に大きく貢献した大澤
差を縮めたい早大は、3立目も冷静さを保った変わらぬ射で25中を的中させる。これに対し、慶大は序盤までのリズムを崩して23中。ここで早大が慶大に追いつく。そして、早大はこの流れを逃さなかった。4立目には壱ノ立で全員が皆中を決め、弐ノ立で落を務めた千葉智広(先理4=東京・早大学院)も調子を上げて皆中とし、28中の好的を披露した。早大は8中差で慶大を引き離し、そのまま白星をあげた。
4年生の敢闘を見せた千葉
今回の入れ替え戦は、選手それぞれが強い思いを持って臨んだ総力戦であった。4年生は、「自分たちで1部にあげて終わろうという強い気持ち」(千葉)で、3年生以下は、「お世話になった4年生に恩を返せるように」(大澤)という気持ちで、1部リーグ昇格を目指して戦った。昇格を果たした早大は今後、1部リーグの大学としての戦いが求められる。目指すは『日本一』、さらなる高みへの歩みは続いていく。
(記事 中村日菜美、写真 栗田優大)
結果
壱ノ立
大前 田沼 20射19中
弍的 東海枝航平(スポ2=埼玉・浦和) 20射17中
落前 佐藤匠(法4=東京・早大学院) 20射15中
落 大澤 20射18中
弐ノ立
大前 宮﨑滉己(社1=埼玉・浦和) 20射15中
弍的 黒羽航平(文構2=東京・早大学院) 20射16中
落前 眞武希光(社4=東京・早実) 4射1中
村岡晃輔(文構3=群馬・高崎) 16射11中
落 千葉 20射17中
○早大129中−慶大121中
コメント
本野凜太郎主将(人4=東京・國學院久我山)
――一発勝負の入れ替え戦ということで緊張していた選手も多かったと思います。主将としてどのような声かけをしていましたか
緊張はもちろんあったのですが、こちらは2部といったところでチャレンジャーとして自分たちのやれることを、できることをただやるだけだというように声をかけることで安心を与えてあげて、実力通りのパフォーマンスを出してくれたのかなと思います。
――チームの今季の結果についてはどのように考えていますか
まずチームとして、日本一という目標を掲げて活動してきまして、大きな大会二つでそれを獲ることができなくて非常に残念ではありましたが、最低限の目標である1部昇格は果たせたので、そこは及第点だったのかなと思います。
――来年1部リーグを戦う後輩にはどのようなチームになって欲しいですか
1部には上がりましたが、1部の学校は2部とは全然違って、技術力であったり精神面であったり、今のままでは全然戦うことができないと思います。この1年でアスリートとしてのメンタリティというところは厳しく指導してきて、やっと土台ができて戦えるレベルにはなってきていると思うので、それは保ち続けながら技術力を磨いて戦っていってほしいです。そして、1部でリーグ優勝して、全国大会に進んでいってほしいと思います。
千葉智広(先理4=東京・早大学院)
――入れ替え戦にはどのような気持ちで臨みましたか
僕たちの代は1部リーグから始まって、途中で2部に落としてしまったので、その総精算と言いますか、自分たちで1部にあげて終わろうという強い気持ちで臨みました。
――1部昇格という結果で終えられた今の気持ちは
今はもうすっきりとした気持ちです。
――来年1部で戦う後輩に向けて一言お願いします
きっと今年よりも来年は強くなると信じているので、僕たちの予想を超えるくらい強くなって1部で優勝してほしいです。
大澤暢(創理3=東京・早実)
――1部昇格のかかった大事な試合でした。どのような気持ちで臨みましたか
自分がスタメンで出るからには、必ずお世話になった4年生に恩を返せるように、自分のやってきたことを信じて一本も無駄にしないように、後悔のないようにと臨みました。
――試合後、緊張したとおっしゃっていました
1年生の時に自分も入れ替え戦に出て、その時は振るわない結果で負けてしまって、それから2年越しの入れ替え戦だったので、何とか自分たちの力で4年生を昇格の代にしたい、勝たせたいという気持ちが緊張につながったかなと思います。
――緊張もあった中での18中という自身の結果についてはどのように考えていますか
まだあと2本詰められたというのは自身でもこれからの課題だなと思いますし、外してしまった2本に関しては当てられなかったのかというとそうではなくて、必ず何か外れる要因があったと思うので、これからは20本引くなら20本全て詰められるような選手を目指してやっていきたいと思います。
――来年のリーグ戦に向けた意気込みをお願いします
ここまで4年生がつないでくれたバトンというのは、これから僕たち3年生の代が引き継いでいくことになるのですが、今年1年間培った思いなどを全て引き継いで、1部優勝、王座優勝を目指して一歩一歩やっていきたいと思います。
田沼翔太(スポ2=東京・桜修館中教校)
――1部昇格がかかった試合でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
リーグ戦を通して、今まで2部で戦ってきた時は自分の東西都学十傑もあったので、個人の的中を意識した戦いでした。しかし今日に関しては、もちろん個人の的中もありますが、結果として出るのは団体としての勝ちか負けかといったところだったので、自分もそうですし、味方の的中を信じて、20射を束(そく)りたかったのですが、外しても後ろが絶対当ててくれると信じていたので、今までとは違った緊張感でしたが、リーグ戦を通して一番楽しく引けたかなと思います。
――試合中の表情がすごく落ち着いていましたが、緊張などはありましたか
緊張はもちろんすごくしていましたが、高校の時に出た国体(国民体育大会弓道競技)で成人の代表の方が「どんな時もすました表情でいないと、毎回一本一本の射で動作を変えているとそれも射に影響する」とおっしゃっていたので、その言葉を思い出して、常に同じ表情、同じ呼吸、同じ作法でやることで緊張した中でも同じことができたのかなと思います。
――試合後には、個人の射についてかなり手応えがあったとおっしゃっていましたが、結果についてはどのように考えていますか
自分自身今週はあまり当たっていなかったので不安はあったのですが、リーグ戦を通してつけてきた自信もあったし、全体としてリーグ戦が終わってから入れ替え戦までの1カ月間でみんなが当たってきていたので、部としての力を信じて、結果自分も安心して引けたかなと思います。
――来年のリーグ戦に向けた意気込みをお願いします
来年には自分も上級生にあがって、的中以外の面でも部を引っ張っていかないといけないので、今まで通り的中の面でも引っ張っていって、部の活動としても引っ張っていって、早大は1部に上がっただけなので、ここから1部で勝てるチームになれればなと思います。