僅差での駆け引き 中大との激戦の末敗れる

弓道

 『弓春』の到来―――。4月を迎え、新学年となって最初の試合を迎えた。対戦相手は中大。早大と同じく、2部リーグに所属する。1部昇格を目指す早大にとっては、絶対に負けられない一戦となる。今秋に行われる東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)に向けてしっかり勝利を収めて、『強い早稲田』のイメージを植え付けておきたい相手だ。ところが、試合は3立目を終えた時点で、1中差の互角の展開。4立目以降も、少ない的中差のなかで競うし烈な試合となった。

 序盤は好調な滑り出しを見せた。1立目は田沼翔太(スポ2=東京・桜修館中教校)、東海枝航平(スポ2=埼玉・浦和)、渡部瞭太(文2=東京・海城)の2年生トリオ、弐ノ立の落を務める宮川晃弥(スポ4=茨城・清真学園)が皆中。中大に4中差でリードして、2立目につなげることに成功した。

20射18中の活躍を見せた東海枝

 しかし2立目以降は立て直しに成功した中大に流れを渡すこととなる。2立目が終わった時点で、中大の追い上げにより同中に追いつかれると、3立目終了後逆転を許す。流れを取り戻したい早大だが、要所でしっかり的中を決める中大を相手に徐々にリードを広げられ4立目終了時点で104中―108中。4中差でリードを許したまま最後の5立目を迎えることとなった。

弐ノ立の落を努めた宮川

 逆転を期して迎えた5立目だが、早大に試練が待ち受けていた。4中差を逆転するためには、壱ノ立でしっかり皆中を決め弐ノ立につなぐことが求められる。だが2本目を引き終わって8射2中。暗いムードが漂い始めていたが、西野敏哉監督(昭58商卒=神奈川・厚木)の「自分の射をしなさい」 という一言で引き締まり、3本目以降は8射7中と立て直しに成功する。的中差は7中差に広がったものの、弐ノ立に最後を託した。

 最後の射を引く前に弐ノ立のメンバーで円陣が組まれる。「何がなんでも勝つというイメージでした」と東海枝が話すように最後まで諦めなかった。チーム一丸となり、「絶対に勝つ」という執念を持ち、最後の立に望んだ。早大はチームとしてのまとまりをみせ、16射14中と意地を見せる。しかし結果は及ばず、127中―131中。4中差で惜しくも勝利を逃した。

 「今日の試合に焦点を絞って2週間くらい調整してきたので、そこで負けてしまったのは悔しいです」(東海枝)。この言葉に今日の試合の持つ意味がつまっていた。それだけに早大にとってこの結果は非常に悔しいものとなった。だが最終立でみせたチームとしてのまとまりは、早大にとって非常に大きな収穫であったに違いない。今日の試合で得たことを糧に、一戦必勝の精神で次の明治大学定期戦を迎えるであろう。

(記事 荻原亮、写真 中村日菜美)

結果

壱ノ立 大前 田沼 20射16中 弐的 村岡晃輔(文構3=群馬・高崎) 20射17中 落前 大澤暢(創理3=東京・早実) 12射8中    善村泰成(教4=東京・早実) 8射4中 落  村上史哉(法4=熊本) 20射15中 弐ノ立 大前 千葉智広(先理4=東京・早大学院) 20射16中 弐的 東海枝 20射18中 落前 渡部 20射16中 落  宮川 20射17中

コメント

村岡晃輔(文構3=群馬・高崎)

――今回の試合を振り返っていかがでしたか

ベストパフォーマンスができました。個人的に今週はあまり調子が良くなかったので、その中で三本抜きができたのは良かったと思います。

――試合は接戦となりましたが、どのような心境で臨んでいましたか

中大がいつまでもついてくるので嫌だなと思っていました(笑)。

――終盤はリードされる展開でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか

あまり良くなかったです。大前と弐的が当てて、落前と落に回す構図になっているのですが、大前と弐的が当てることができなかったことと、落前と落が思った以上にたくさん抜いていたので、チーム内の雰囲気はあまり良くなかったと思います。

――今回の課題を踏まえて、今後意識していくことはありますか

4人全員が2本目までを当てることができれば、 その立は結構いい調子でいくので、2本目まで当てていくことと、たとえ外したとしても1本だと捉えてしっかり当てていくことが大事だと思います。

東海枝航平(スポ2=埼玉・浦和)

――今回の試合で心がけていたことはありますか

今日ずっと話があったように、2部リーグで早大と対等に戦ってくれるというと中大なので、この先練習試合が少なくなってきてしまうこともあり、やはり今日は何が何でも勝つというイメージでした。相手にも早大が強いというイメージを付けるためにも、今週の試合に焦点を絞ってここ2週間くらい調整してきたので、そこで負けてしまったのは悔しいです。意識していたことは勝つこと、それだけです。

――終盤では皆中が続いていましたが、リードされていた展開でどのように気持ちを切り替えていましたか

弓道の試合はどうしても中盤などで勝負展開が見えてしまう試合が多いですが、今日は最後までわからなかったので、そこで少し中だるみして終わってしまうのではなく、まだまだ勝つ可能性はあるということだけを信じて、周りも当たる人たちなので周りも信じて、自分が流れをつくっていこうと意識していました。

――これからに向けて良かった点と改善すべき点はありますか

今日の試合で良かったのは、しっかりと調整期間を踏まえた上で、9割くらい調整できたことと、やるべきことを絞って今週1週間やってくることができて、実際に試合でもそれを発揮することができたので、そこは良かったと思います。改善すべき点としては、ここで外してしまうというのがわかっていて、それが今日2本出てしまったので、今後どのように詰めていき、改善していくかというところに焦点を置いて、これからの早明戦、早慶戦、全国選抜(全国大学選抜大会)に向けて練習していきたいと思います。

――今後予定している明治大学定期戦や慶應義塾大学定期戦への意気込みを教えてください

試合は週末なので、週前半は楽に引きたいように引いて、1週間の中で後半にしっかりと詰めていくというスケジューリングであったり、自分の体調であったり、全体を踏まえた上で調整ができれば良いと思います。