リーグ戦代替大会を男女ともにブロック内1位という結果で終えた早大。今度はその戦いの舞台を関東に移した。今大会では団体戦のみの出場となった早大は予選では男女ともにシード権を獲得し、順調かと思われた。しかし決勝トーナメントには魔物が潜んでいたか。男女ともに2回戦敗退という悔しい結果に終わった。
男子2回戦の相手は東農大。男子の試合は終始拮抗した展開となった。2立目を終えた時点で8中―8中で両校ともにリードを渡さない。しかし3立目で東農大にリードを許すと、そのまま流れを相手に持っていかれる。結果は14中―16中と2中差での敗戦。優勝を目指していた早大だが、2回戦で姿を消すこととなった
チームで唯一皆中した田沼
試合には負けたものの、今後に向けて収穫は得られた試合となった。1年生にして大前を務める田沼翔太(東京・桜修館中教校)は皆中を見せ、大澤暢(創理2=東京・早実)、千葉智広(先理3=東京・早大学院)が4射3中と結果を残した。早大男子弓道部はまだ年内に早慶戦や全日本学生弓道選手権大会(インカレ)といった大切な試合を残す。この試合を糧に、残りの試合でどのような射を見せるのか期待だ
大前を務めた山野
女子部も予選で好成績を収めたものの、2回戦で苦戦を強いられた。大前の山野桃果(先理2=東京・吉祥女)が一本目をあて、流れをつくる。しかし、武川衣万里(スポ2=山口・宇部フロンティア大香川)、渋谷有希乃(文構3=東京・早実)が連続で抜き、二本目を終えた時点で2中差をつけられた。三本目では持ち直し全員が的中させるも、対戦相手の日体大には一歩及ばず1中差で惜敗した。
リーグ戦の快勝とは一転、二回戦敗退という結果の女子部だが、チームにとって大きな収穫があったという。「『日本一』は皆が集まれば手が届かない場所ではない」(武川)。部員たちは既に次を見据えて練習を始めている。経験を糧に、次の試合ではさらに成長した姿を見せてくれるだろう。
(記事、写真 荻原亮、宮崎円花)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
男子 大前 田沼 4射4中 弐的 渡部瞭太(文1=東京・海城) 4射1中 参的 村岡晃輔(文構4=群馬・高崎) 4射1中 四的 大澤 4射3中 落前 長沼俊太郎(社3=東京・早大学院) 4射2中 落 千葉 4射3中 女子 大前 山野 4射3中 中 武川 4射1中 落 渋谷 4射2中<
コメント
渋谷有希乃(文構3=東京・早実)
――予選を振り返っていかがですか
予選はいつもと違ってこの道場(東伏見弓道場)でできたということもあって、それぞれの実力を発揮できたのかなと思いました。
――決勝の試合内容についてはいかがですか
相手の学校と一本差で負けてしまったので一本の重さを強く感じました。この後にも試合があるので自分たちの弱い点を改良して次の試合に挑めたらなと思っています。
――環境の変化の影響はありましたか
今シーズン全くほかの環境でやっていなかったというのもあって結構緊張しました。
――昨年度出場したときと変わったことはありましたか
先輩がいなくて自分が一番上だったので、後輩を引っ張れるように落でやろうというのは思っていました。
――今回の試合で得られたことはありましたか
自分が焦ったときはどうなるかを学べました。インカレや早慶戦もあるので負けないようにやっていけたらと思います。
――焦るとどうなるのですか
左手の強さが弱くなります。リーグ戦でもわかっていたことですが、いざアリーナの環境になると顕著になってしまって緊張で吹き飛んでしまったのでそれを改善したいです。
――今後の意気込みを教えてください
日本一を取れるメンバーだと思うのでしっかり最後まで諦めずにやっていこうと思います。
千葉智広(先理3=東京・早大学院)
――4射3中という結果でした
4射3中という中でも自分は最後の一本を抜いてしまったので落を引くものとして一番やってはいけないこと。4射3中の中でも一番よくない4射3中でした。
――緊張はありましたか
はい。試合の前に練習をしてから試合に臨むのですが、その時はすごく調子が良かったです。でも試合になるとそれを表現できず、自信を無くしてしまいました。
――今後への目標をお願いします
まず早慶戦は大事な一戦となるので、自分がチームを引っ張っていくという的中で勝つ。その後のインカレは公式戦として今年最後の試合なので良い形として、笑顔で終われるようにしたいです。
大澤暢(創理2=東京・早実)
――4射3中という結果でした
1射目を外してしまったというのが、大会に雰囲気に飲まれてしまいました。本来であれば当てられるし、当てられなかったところが冷静に詰められなかったというのは悔しい点ではあります。
――普段の練習ではどのようなことをなさっていますか
去年からずっと感じていることは、皆中する力というのが、勝負を分けてくるのかなと。特に一部では一本を当てるか当てないかということが、接戦になってくるので、自分が持っている4本を全て詰めきれるように、ということはずっと意識しています。
――今後に向けての意気込みをお願いします
今回の大会で一本の重さを痛感して、自分たちがかなり悔しい思いをしたので、次のインカレでは笑って終われるように、一本一本頑張っていきたいと思います。
武川衣万里(スポ2=山口・宇部フロンティア大香川)
――全体を振り返っていかがですか
緊張して会場の空気に飲まれたので反省点です。昨年までの試合は観客席から声援などがあったのですが、今年はコロナの影響でなくなり、久しぶりのアリーナで静かな環境に慣れずに引いたので結果につながらなかったなと思います。
――決勝の試合内容についてはいかがですか
最近は技術面よりも自分のメンタルの持っていき方を練習で意識していました。意識しすぎたせいで技術面での意識が甘くなってしまったのかなというのが反省点です。昨年よりは落ち着きを持ちながら引けたかなと思うので、それをポジティブに捉えて今後は技術面を上げながら練習してきたいと思います。
――環境の変化は影響しましたか
的までの見え方や会場の広さ、威圧感など感じ方は人それぞれあると思いますが、広い場所に慣れてないと雰囲気に飲まれてしまうのかなと思いました。
――今回の試合で得られたことはありますか
あがり症と感じました。緊張しやすいし、その対策が足りなかったです。緊張してもしっかり当てられるようにしたいです。あがり症って考えすぎてもだめですし、不安に思ったら負けなのでメンタル面も考えつつ改善していけたらと思います。
――今後の目標を教えてください
早稲田の女子部の目標は日本一ですが、皆が集まれば手の届かない場所ではないと思います。基礎的なところをもう一回振り返って積み重ねを大切にしながら練習しようと思います。
山野桃果(先理2=東京・吉祥女)
――予選を振り返っていかがでしたか
直前の練習もあまり調子が悪くなかったので、練習のままの中を出せたかなと思います。
――決勝の最初の一本を当てたときの気持ちはいかがでしたか
最初の矢でチームの流れが変わってくると思っていました。絶対に当てなければいけない一番大事な矢を当てられたのでいい流れをつくれたなと思います。
――最後の外された一本についてはいかがですか
射自体は変わらなかったです。後ろの二人の的中があまり良くなくて、いつもの練習よりも当たっていなかったのが気になり、気が散ってしまって最後まで頑張り切ることができなかったのが的中に現れたと思います。
――全関初出場の感想を教えてください
昨年は見ている側で全関に出たいと思っていたので出場できて良かったです。今年は規模が小さくていつもと雰囲気が違ったので来年はいつも通りの全関の雰囲気で選手として出ることができたらいいなと思います。
――チームとして振り返っていかがですか
練習でできていた射が三人とも出せれば負けることはなかったのですが、緊張して射が変わってしまうことはあったのでそれが課題だと実感できた試合でした。今後の練習でどう克服していくか話し合いながらやっていくことが大事だと思いました。
――環境の変化の影響はありましたか
試合では特になかったです。ただ、リーグ戦はテンポよく進むのですが、全関は会場に行くまでに疲れてしまったり、行ってから待ったりと他の人がいる中で自分がどう過ごすかが普段と違いました。経験が浅いのでよくわからないまま出てしまったので、自分で決めてから出た方がいいかなと思いました。
――今後の目標を教えてください
リーグ戦から全関にかけて自分の射を見直すことができて自分の中で固まってきているので、やることをはっきりさせて毎回同じことを意識し続けられるようにしたいです。一本一本集中して練習に取り組んでいくことが目標です。
田沼翔太(スポ1=東京・桜修館中教校)
――チームで唯一の皆中でした
自分が大前なので、(チーム全体で)24射皆中するのは難しいですが、それを目指してやっていく上で自分が外したら、(24射皆中が)終わってしまうので、大前として一本一本引いていくごとに自分から良いスタートが切れるように、自分の矢は絶対に当てるという気持ちでやりました。
――何がその結果につながったと思いますか
久々のアリーナでの試合で楽しめたということが大きいかなと思います。
――普段の練習で意識していることはありますか
自分が大前で引き始めるのが早いので、自分が1本目から当てて皆中して拍手をもらってという勢いを早稲田に持ってこられたら良いかなと思い、練習しています。
――前回のインタビューで「大前としてチームに流れをもたらしたい」とおっしゃっていましたが、チームに流れをもたらすことはできましたか
一本目を当てるというのが試合の中では大事で、試合が終わった後「田沼の一本目を当てたので勇気をもらえたよ」と仲間に言ってもらえたので、勝つことはできませんでしたが、勢いを持ってくることはできたと思います。