9月に中止となった東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)。その女子部の代替大会が開催された。新体制となってからは初の公式戦となる第1戦、対戦相手は東洋大。前年度までと異なり、互いの姿を撮影しzoomで繋ぐオンライン対戦形式の慣れない雰囲気の中、選手たちは試合に臨んだ。初立から早大はリードし、その後も東洋大の追随を許さず順調に差を広げ60中-42中で勝利。新監督が着任し新体制となった今年を早大弓道部の新しい時代の幕開けにしたいという願いから付けられたスローガン『黎明』。その名にふさわしい好スタートを切った。
普段とは全く違う雰囲気の中試合が始まった。後攻の早大は山野桃果(先理2=東京・吉祥女)、武川衣万里(スポ2=山口・宇部フロンティア大香川)、鈴木来実(スポ1=茨城・清真学園)が羽分けで一立目を終える。流れをつくったのは落の渋谷有希乃(文構3=東京・早実)。初立から見事皆中させ、順調な滑り出しを見せた。初立は10中-7中、2立目は21中-18中と3中差のリードを保ったまま進んだ三立目、ここで渋谷が二度目の皆中を出す。渋谷の奮戦に応えるように残りのメンバーも4射3中という結果を出して東洋大との差を広げた。更に四立目では、山野、鈴木、渋谷が皆中。流れに乗った早大は48中対34中と一気に東洋大を突き放した。最終立ではここまで不調に苦しんでいた武川も3中と意地を見せ、60中対42中で早大は初戦を勝利で飾った。
大前に抜てきされた山野
好調の要因として、渋谷は「誰かが抜いたときに、すぐに他のメンバーがフォローして、流れを止めないままに一試合を終えられた」ことを挙げている。一立目、前の3人が初矢を連続で抜く中で悪い流れを断ち切ったのは渋谷だった。その渋谷の調子が上がらなかった最終立、渋谷に代わってチームを引っ張ったのは大前の山野だ。この日、立を追うごとに調子を上げてきた山野は4立目と最終立で皆中。大前の務めを果たした。試合中緊張した様子を見せていた1年生の鈴木も「後半にかけては良い射ができた。先輩方に気持ちの面で支えてもらった」と笑顔を見せた。今回の勝利は一丸となって互いにカバーし合ったチームワークの賜物と言える。
1年生ながらチームを支える鈴木
女子主将の川西舞奈(スポ4=埼玉・春日部女)は試合を振り返る中で何度も「日本一」という言葉を口にした。「この結果に満足することなく日本一に通用するレベルまで女子部全体を上げていければと思います」(川西)。更なる高みを目指し、一致団結して勝利を誓う上級生たちと部内に新たな風を吹かせる1年生。『勝つ』という強い気持ちを持った女子部リーグ戦第2戦も目が離せない。
(記事、写真 宮崎円花)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
山野 20射16中
鈴木 20射15中
武川 20射12中
渋谷 20射17中
コメント
川西舞奈女子主将(スポ4=埼玉・春日部女子)
――今年の抱負を教えてください
今年の抱負は日本一をとることです。今年はリーグ戦がなくなり代替試合という形になったり、練習できない期間もあったりと厳しい状況でしたが、早稲田弓道部は早いうちから練習が再開することができました。部員の皆も真面目に取り組んでいるので日本一をとれたらと思っています
――今回のリーグ戦の目標を教えてください
リーグ戦の目標は全勝です。
――全体を通して今回の試合はいかがでしたか
リモート試合ということで何回か練習して雰囲気に少し慣れてきたと思いますが、まだバタバタするところもありました。その中で全員が自分たちで気持ちをつくり、緊張感の中で試合ができていたと思います。選手以外のお手伝いの部員たちも試合が円滑に進めるようにサポートしてくれたので女子部全体で絶対に勝つという強い気持ちがあったのかなと思います。
――練習、試合で昨年と変わった点はありますか
オンライン試合だったということです。相手がいない中で緊張感をつくっていくことが難しかったです。慣れていくうちに緊張感というものをつくっていくことができたのかなと思います。
――東洋大学の印象はいかがですか
どのくらいの的中をだしてくるのかがわからなかったです。途中で11中を出されていて、この試合の展開はどうなるのかなと思いました。
――今回の試合で良かった点、反省する点はありますか
チームとして良かった点は一人一人が絶対に勝つという強い気持ちがあって一致団結してこの試合を進めていくことができたという点です。反省点は最終立で緊張感が少し崩れてしまったことです。しっかり詰め切ることができませんでした。
――今後の意気込みを教えてください
今日60中出ましたが、この結果に満足することなく日本一に通用するレベルまで女子部全体を上げていければと思います。
渋谷有希乃(文構3=東京・早実)
――今年はオンラインでの試合となりましたが、例年と変わった部分としてはどのようなところがありましたか
同じ場に相手校がいないことで、相手の気迫に押されてしまうこともなく、余裕を持って自分の射に集中して引くことができたかなと思います。
――個人として、今回良かったところ、反省すべきところはありますか
落として、留矢をすべての立できちんと詰められたのは良かったところだと思います。また、1立目の初矢で前3人が抜いていたところを詰めて、流れを止められたのも良かったところです。反対に反省すべきところは5立目で初矢から2本連続で抜いてしまったところです。最終立で自分に自信を無くしてきていたので、甘さが出てしまいました。
――最終立の3本目を引くときには、どのように気持ちを切り替えましたか
2本連続で抜いていて、これ以上外すわけにはいかないと思ったので、何としても当てるという意識を強く持って、気持ちで押し込みました。
――チームとして良かったところ、反省すべきところは
誰かが連続で抜いてしまうということが少なく、誰かがミスをしたときにすぐに他のメンバーが建て直して、流れを変えることなく1試合が終えられたというのは良かったところです。ただ、私も前の3人も、もっと当てられるはずなので、この結果に満足せずにさらに的中させられるようにしたいです。
鈴木来実(スポ1=茨城・清真学園)
――今回のリーグ戦の目標はありますか
いつも不安な気持ちのまま試合に出ることが多いので、自信を持って引けるようにしたいという目標を持っています
――初の公式戦でしたがどのような気持ちで臨まれましたか
最後まで緊張はしていたのですが、最初の4本は特に緊張していました。自分のことを精一杯やれたのでそれは良かったと思います。他のメンバー3人が先輩ということもあって気持ちの面でも支えてもらったので感謝しています。
――今回の試合で個人として良かった点、反省点はありますか
良かった点は後半にかけて自分らしい射ができたことです。4人でやっていく中で少しずつ自信を持って引けるようになりました。反省点は抜いてしまった矢に関して普段からの課題が大きく出てしまったことです。もう少し質を高めた練習をして試合で一本一本良い矢を出せるようにしたいです。
――チームとして良かった点はありますか
入りが良いわけではなかったですが、後半にかけて的中率が上がっていったことです。お互いにフォローし合うことができました。
――今後のリーグ戦意気込み
女子部全員でひとつになって試合に臨んでいきたいです。あと3戦あるのでしっかり3つとも勝ち抜いて良い結果で終わりたいです。