「今日は勝てた」。試合後に宮川晃弥(スポ2=茨城・清真学園)はこう漏らした。東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)第四週。桜美林大学との一戦は、今年度のリーグ戦の中で最も勝ちが近かった試合だった。1立目で全く同じ的中を出した両チーム。早大はこれまでの課題であった中盤~終盤での崩れを最小限に抑え好調をキープ、安定した試合運びを見せた。しかし勝負の世界は非情。わずか2中の差を詰めきることが出来なかった早大は、惜しくも敗北。リーグ戦開幕から痛恨の三連敗だ。
先々週の日大との試合では40中もの大差で惨敗した早大。一週間の空きを挟んで三試合目に臨んだ。これまで一つも勝ちがない早大にとって、何としても勝っておきたい試合だ。1立目では、早大、桜美林大共に25中の的中を出す。序盤から圧倒的な差を見せつけられたこれまでの試合とは違い、一瞬の気の緩みが試合の流れを変える緊迫した立ち上がりに。早大壱ノ立では、前回の試合後に活躍を誓った千葉智広(先理2=東京・早大学院)が2立連続で皆中を出す有言実行でチームをリードすると、弐ノ立では4人全員がそれぞれ3中以上を記録し、好調を維持。桜美林大を3中差で追いかける展開となった。
20射19中の高的中でチームをリードした千葉
迎えた中盤戦。これまで早大は中盤で大きく崩れ、その差を広げられていた。しかし今回は壱ノ立、弐ノ立共に3立目で16射14中を記録。調子を崩すことなく桜美林大を追いかけ、的中差を2中へと縮めた。好調を維持できた要因を、宮川は「今日はチームになれていた」、大森青馬(政経3=千葉)は「リズムよく引けた」と分析する。リーグ戦という長い戦いの中で、チームとしての団結力は向上している。結果を見れば2中差で敗北こそしたが、試合内容はこれまでの二試合とは段違いだ。「前日の練習でも131中は出ていました」、「いつも通りに近い数字は出たので、それは一つの成果として次に進むための糧になると思います」と大森は語る。大きな弱点の克服に向けて、光明を見出した早大。次に控えるは明大との一戦だ。この試合に勝てば、順位決定戦で再び桜美林大と戦える可能性が高い。1部リーグ残留に向けて、チームの戦意は十分だ。
前回から調子を大きく上げた大森
(記事 菊元洋佑、写真 岡すなを)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
壱ノ立
大前 千葉 20射17中
弐的 眞武希光(社2=東京・早実) 8射 4中
村上史哉(法2=熊本) 12射10中
落前 内田稔己(基理3=福岡・福岡大大濠) 20射14中
落 西原剛志(スポ4=東京・城北) 20射13中
弐ノ立
大前 村岡晃輔(文構1=群馬・高崎) 20射15中
弐的 大森 20射18中
落前 宮川 20射19中
落 牧山千莉(スポ4=千葉) 20射15中
コメント
大森青馬(政経3=千葉)
――今日は20射18中という結果でした
昨日の練習でも18中は出ていて、その時も3・4・4・4・3の18中でした。練習で出来たことを試合の緊張する状況下でも出来たというのは収穫でした。ただ、抜いた2本に関しては初矢と留矢なので、オセロで言ったらゼロ。とてもかっこ悪いので、そんなことにならないように、最初から最後までやるべきことを通すということと、緊張する2本なので、ストレス耐性がないことをどう克服していくか。あと1週間考えて修正していこうと思います。
――先々週と比べていかがですか
調子は良くなかったのですが、今日の朝にやると決めたことがやれたのは良かったです。
――やることとは
離れの時に馬手をほどいてしまうので、それをやめて親指の方向に張って離すというのを意識して頑張りました。あとは、重心が後ろに行かないように足に力いれて、バランスをとるというのもやりました。
――先々週からどのように気持ちを切り替えましたか
気持ちはなかなか切り替わらなかったのですが、練習だと230射ほど引いて206中はしていました。立だと緊張して中らなくなってしまうのですが、やることに集中して引ければうまくいく矢も増えてきたので、それで徐々に気持ちを切り替えた感じです。
――部内の雰囲気はどのようなものだったでしょうか
とても良い、というわけではありませんでしたが、前日の練習でも131中は出ていました。毎年、日大と法政は強いので、2つ負けて、ここから本番。桜美林には負けないようにしよう、という意気込みでやっていました。負けたのは悔しいけれど、いつも通りに近い数字は出たのでそれは一つの成果として次に進むための糧になると思います。
――序盤では差がつかない接戦となりました
意図的に的中が意識しないようにしていました。意識したところで自分がやるべきことが変わるわけでもなければ自分が当たるようになるわけでもないので、そこは意識せずにやっていました。
――これまでで一番の好調だったように思いますが、その要因は何でしょうか
リズムよく引けたことです。自分が離して、宮川が離れるまでの時間とか、引き終えて、矢をつがえて立って、牧山さんが矢を離すタイミングとかが全部揃っていたので、チームがリズムよく引けたというのが好調の要因だったのかなと思います。
――明大戦の意気込みをお願いします。
18中というのは自己ベストですが、そういうことを気にしないで集中して引けたら明大戦でもさらに良い的中を目指せるのかなと思います。
千葉智広(先理2=東京・早大学院)
――先々週からいかに気持ちを切り替えて今日は臨みましたか
前回も調子は良くて、18中だったのですが、そこで2本抜いてしまったのが、気の緩みで、それを今回は1本1本に集中してそれを20回積み重ねて引くということを心がけてやりました。
――今日は19中おめでとうございます。どんなことに気をつけて臨みましたか
先程言った意識と、あと今回、4矢ごとに吉村くんにずっとアドバイスをいただいたのですが、そのときに1本1本集中すること。もう一つはやる事を変えないこと。その2つを言われ続けてそれをやっていました。
――外してしまった1本の要因を教えてください
1本1本意識していたつもりですが、1本これでいいかなぐらいの気持ちで緩く離れてしまって、それが抜いてしまった要因です。
――今回は序盤から大きく離される展開ではなかったですが、気持ちの上で違いはありましたか
相手がいて、相手が同じくらいの的中を出していると自分も外してはいけないなという、気持ちを保ち続ける上でのいい刺激になりました。
――最も良い調子を維持できた要因を教えてください
リーグ戦の最初の週、調子が悪かったのですが、その時に、調子が悪い中で本気で引いて、本気で引いたことによってそのあとの練習で自分が本当は何をしなければいけないかというのが明確にわかって、その明確にわかったことをずっと続けているので、今リーグ戦で調子の良い形を続けられていると思います。
――ラスト明大戦への意気込みをお願いします
まず、僕が皆中をしたいということ。あともう一つは、チームで140を出すということをやっていきたいです。
宮川晃弥(スポ2=茨城・清真学園)
――今日は2中差で惜しくも敗戦となりました
みんな思っていることは、今日は勝てたということ。ただ、負けは負けですし、2本の差も大きな差ではあるので、また気持ちを切り替えて来週頑張りたいです。
――20射18中という安定した的中を出されました
僕自身正直もっと中てられるとは思っているので、満足はできないですし、射の内容も、試合になった途端に崩れたり、思い通りに引けなかったりということが続いているので、ちゃんと自分ができることを出し切れれば、20射全部中ててチームの力になれると思うので、そのことをよく考えながらこの1週間頑張ろうと思います。
――落前で引く機会はあまりなかったように思いますが、引いていていかがでしたか
そうですね、ずっと大前か落で引いていたのですが、このところ調子が良くないのと、学年的なところも考慮していただいて、落前が良いのではないかという上級生の判断で引かせてもらったのですが、それでも18中しか出せていないので、不甲斐ないです。
――先々週からどのように気持ちを切り替えましたか
自分たちが150中を出せる実力はないので、自分たちができることをやりきってベストを尽くそうとこの2週間やっていたつもりです。
――部内の雰囲気はどのようなものだったでしょうか
去年よりも中っていないので、このままじゃ勝てないという危機感はみんな持っていて、それでも考えすぎることなく、とにかくやるべきことをやろうと。雰囲気は悪くないと思うので、やるべきことをやれば結果は付いてくると思います。
――序盤では差がつかない接戦となりました
今日は大事な試合だとみんな思っていたので、気持ちで戦うことができたというのが最初からいいスタートが切れた要因かなと思います。
――これまでで一番の好調だったように思いますが、その要因は何でしょうか
今日はチームになれていたと思います。誰かが外しても、ここで止めるんだという意識を持って、チームとして勝つためにそれぞれがやるべきことを考えて、それが応援の人も含めて出来ていたので、崩れることなくいい雰囲気で試合が運べたのかなと思います。
――明大戦の意気込みをお願いします
来週勝てば、順位決定戦でもう一度桜美林大と戦えて、入れ替え戦を待たないで1部残留できるチャンスが残るので、あと残された一試合、勝つことを信じて精いっぱい頑張ります。