今季初の大きな公式戦であり、関東王者が決まるこの大会。女子は前日の決勝トーナメント初戦で敗退したが、男子はこの日行われた試合にも出場した。2回戦は日大生物資源科学部に差を付けて勝利したが、3回戦では中大を相手に惜しくも敗退。優勝を目指していた早大にとっては完全燃焼とはいかなかったが、1年生の健闘など、今季の状態の良さを伺わせる大会となった。
男子団体はこの日まず、決勝トーナメント2回戦に挑んだ。2回戦の相手は日大生物資源科学部。大前から4人連続で初矢を抜くという出だしとなったが、宮川晃弥(スポ1=茨城・清真学園)が悪い流れを止め、その後は安定した行射を見せた。終わってみれば19中。日大生物資源科学部に9本差を付けて3回戦への切符を手にした。続く3回戦で対峙したのは、中大。ここで1部校としての意地を見せたい早大は、24射のうち20本を入れるという好成績を出す。しかし、中大と同中という結果となり、同中競射に挑むことになった。少ない本数で戦う競射では、1本でも外すと大きく響いてくる。会場中が緊迫した空気につつまれる中、早大は12射10中という健闘を見せたが、中大はその上をいく11中。これで3回戦敗退が決まり、目標としていた関東制覇は叶わなかった。
決勝トーナメント3回戦で惜敗した男子団体
団体戦の後、OB対抗戦を挟んで行われたのは、個人戦決勝。予選を勝ち抜いた者だけが出場できる決勝は射詰めで行われた。射詰めとは、自分以外の誰かが中てた時に、自分が外していれば敗退するという形式。最後の1人になるまで行われる。実質、外したら敗退という決勝射詰め。団体戦とはまた異なる緊張感がはしる個人戦決勝には、男子は4年生の中谷透(基理4=東京・早実)、そして千葉智広(先理1=東京・早大学院)と宮川の1年生コンビが、女子は武藤香帆(文構3=東京・青山)が出場した。特に宮川は優勝も射程圏内か、という絶対的な安定感を誇っていたが、惜しくも敗退。大学の厚く高いカベが立ちはだかった。それでも、個人戦決勝に1年生が二人も進んだということは、夏、秋の大きな大会に向けて明るい光が差したと言っていいだろう。
重圧の中皆中した幸明
おととし、一部リーグ昇格を決め、昨年は1部校として厳しい戦いを乗り越えてきた。今年は強力なルーキーたちが加入し、他の1部校と互角に戦える日ももう近いだろう。そんな今年の早大の目標は「日本一」(渡邊顕士主将、社4=東京・日体荏原)。大きな夢なのかもしれないが、今年の早大はこれまでと比べて一回りも二回りも強くなっている。これまで早大を支えてきた幸明千尋(スポ4=東京・城北)や志岐伊織(スポ4=群馬・前橋西)が最上級生となった今年はまさに勝負の年。この一年、負けて終わるわけにはいかない。
(記事 金澤麻由、写真 廣瀨智優)
結果
▽男子団体戦
牧山千莉(スポ4=千葉)、千葉、志岐伊織(スポ4=群馬・前橋西)、中谷、宮川、幸明千尋(スポ4=東京・城北)
決勝トーナメント2回戦
〇早大19-10日大生物資源科学部
決勝トーナメント3回戦
早大20-20中大
同中競射
●早大10-11中大
▽男子個人
中谷透
〇×
宮川晃弥
〇〇〇×
千葉智弘
〇〇〇×
▽女子個人
武藤香帆
×
コメント
渡邊顕士主将(社4=東京・日体荏原)
――今大会の位置付けは
関東(全関)で優勝することを目標としていたのは前提として、来週行われる全国大会(全国大学選抜、全国選抜)があって、その全国大会(全国選抜)に向けて、こういう大きな大会で選手がどういう風になるのか、ということを確認する場としても使いました。
――今季のワセダは如何ですか
今季のワセダは全体的にいい雰囲気で練習できていて、学年のカベがなくいい関係が築けていると思うので、いいと思います。
――この試合を振り返っていかがでしたか
一言で言えば、悔しい、というのが初めに来るのですが、昨年に比べて結果としてはいいものを出せたと思うので、この悔しさをバネに日本一という目標に向かっていきたいと思います。
――最後の中大との一戦は、とてもいい戦いが繰り広げられたと思いますが、要因などはありますか
相手のことをあまり考えすぎずに、自分たちのことを考えた結果、あのような結果になった思うので。まずは、自分たちのことに集中して、という姿勢が要因だと思います。
――今回は1年生が多く出ていましたが、1年生はいかがでしたか
すごく優秀な1年生が入ってきてくれて、これからのシーズンに向けてとても期待の持てる学年です。
――団体の選手はどのようにお決めになりましたか
練習での的中がいい者や、よく引けている者、射形がいい部員というのを総合評価して選びました。
――今大会、ワセダはとてもよく声が出ていたと思います。いかがでしょうか
そうですね、日頃から一つになるだとか、自分たちができることをやりきる、ということを部員たちには伝えているので、それを体現してくれた結果だと思います。
――最後に、次週の全国選抜にむけて一言お願いします
今回の悔しさをバネに優勝したいと思います。
幸明千尋(スポ4=東京・城北)
――今大会の結果を、どのように受け止めていますか
正直もう少しいけるかなと思っていたので、悔しい気持ちが1番です。ですが、きょねんやおととしと比べたらレベルアップしていて、それが結果に反映されているので、良かった面もあると思います。
――ご自身の2日間を振り返っていかがですか
きょうはうまく当てられたので、良かったのです。きのうの失敗を振り返ってそこからちゃんと詰められたのが良かったのかなと思います。
――今大会光った選手をあげるとすると、どなたでしょうか
迷いますね。全員光っていました。1人挙げるとすると、僕の前に引いていた宮川とも言いたいのですが、僕が何年か前から見てきた中で今大会推せる選手をあげるならば、牧山かなと思います。
――きのうシード権をとっての決勝トーナメント出場を決めた後、きょうの二回戦に向けて、チームでお話しされたことや確認されたことはございますか
特に意識することはなく、いつも通り引こうということを念頭に置いていました。チームとしても普段通りやろうと心掛けました。ことしは普段通りというのが弓道部のテーマでもあるので、仮に当たらなくても気にするようなことは口にせず、個人個人が考えていこうという雰囲気で練習をしています。
――全国大学選抜にむけて意気込みをお願いします
トーナメントになると一本差は命取りになってしまうので、今大会の反省点を来週の大会に生かすことが出来るようしたいです。来週は試合形式も6人から5人になる上に、予選からとても厳しい大会が続くので、そこを詰められるようにしていきたいです。
牧山千莉(スポ3=千葉)
――今大会を振り返って
負けてしまったことは非常に悔しいですが、二日間チームがやろうとしてきた事が出来たので、それに関しては大きな収穫、そして大きな成長であると思います。
――ご自身の今大会結果を振り返って
おととしときょねんは個人の結果はそこまで出なかったのですが、きのうの予選でしっかり初矢を詰める事ができ、その後皆中を出す事が出来、非常嬉しかったです。ですがきょうの試合で初矢を抜いてしまったので、そこは反省点としてしっかり詰めていきたいです。
――現在のチーム課題は
一人一人が四本詰めることができるにもかかわらず、どこかで抜いてしまうということです。上位校との差はそこかなと思います。
――では今大会で得たものは
あの場でもしっかり自分の弓を引いて当てることができたことは大きな収穫です。
――全国大学選抜に向けて意気込みをお願いします
この大会での反省点をしっかり生かして、全国優勝を狙っていきたいです。