うだるような暑さの中、ことしも全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。全国から200を超える大学が兵庫に集結し、学生ナンバーワンを決めるこの大会。3日間かけて行われる初日では男子団体戦予選が行われた。気合いが入る男子部であったが1射差で悔しくも予選敗退に終わる。一方、2日目から始まった女子団体戦では、予選を12射10中で通過しシードを獲得。決勝トーナメント2回戦も8-6で茨城大に勝利し、順当に駒を進める。しかし続く3回戦では強豪関大に7-11で敗れ、男女ともに入賞することはできなかった。
過去3年間決勝トーナメント進出を逃しているだけに、今年こそはその雪辱を果たしたい男子部。序盤からリズムに乗りたいところであったが、大前の幸明千尋(スポ3=東京・城北)が初矢を抜いてしまう。続く二的の大貫真央(教3=東京・帝京大高)が的中を見せたものの、流れに乗ることができず5射1中。不安な雰囲気が立ち込める。しかし、2射目から鈴木智貴(法4=東京・早実)、牧山千莉(スポ2=千葉)が中てると本来のペースを取り戻し、的中を重ねていく。最後はしっかり落の志岐伊織(スポ3=群馬・前橋西)が留矢を詰め、最終的中は20射14中。僅か24校しか予選を突破できない厳しい戦いの中、20~15中を出した大学は23校。決勝進出への最後の望みは同中競射へと託される。6月の全関(全関東学生選手権)では同中競射を皆中で予選を通過したため、今回も同じ思いで挑んだ5人であったが10射7中と振るわず、決勝進出には至らなかった。
団体戦初出場を果たした大貫
団体戦予選の最後から2番目の立に登場した女子部は、予選から高的中を見せた。初矢こそ決められなかったものの、中の小田代采夏(人4=福岡・西南学院)、落の森川未和子女子主将(スポ4=岐阜総合学園)が皆中を出し12射10中。最後の大会となる4年生二人が圧巻の引きで、見事上位8チームに入りシード権を獲得した。決勝トーナメント2回戦では茨城大学と対戦。大前の細井愛理(教2=千葉)が初矢を決めると、その後大きな崩れもなく結果は8-6。3年ぶりのベスト8となり、3回戦の進出を決める。相手は西の強豪・関大。勝てば日本一が見えてくるという大きな期待がかかる中、女子部は的中を重ねることができず7中。対する関大は11中で準決勝へ進むことはできなかった。自分たちの実力を出し切ったという反面、早大女子部には「足りないものがある」と振り返った小田代。悔しくも女子団体の夏はここで終わりを告げた。
3年ぶりのベスト8入りを果たした女子部
優勝を目指して挑んだ団体戦であったが、全国のカベは厚く悔しい結果に終わった。しかし、男女ともに1部リーグ(東京都学生連盟リーグ戦)出場となった今、まだ日本一になるチャンスが残されている。今回の悔しさを糧に、まずは明日の個人戦決勝。エンジの戦士たちの活躍が楽しみである。
(記事 秦絵里香、写真 川浪康太郎)
結果
▽男子団体
幸明、大貫、鈴木、牧山、志岐
予選
幸明 ×〇〇〇
大貫 〇×〇〇
鈴木 ×〇〇〇
牧山 ×〇〇〇
志岐 ××〇〇
20射14中
同中競射
幸明 〇〇
大貫 〇〇
鈴木 ×〇
牧山 ×〇
志岐 ×〇
10射7中
▽女子団体
細井、小田代、森川
予選
細井 ××〇〇
小田代 〇〇〇〇
森川 〇〇〇〇
12射10中
決勝トーナメント2回戦
細井 〇〇〇×
小田代 ×〇×〇
森川 〇×〇〇
〇早大8-6茨城大
決勝トーナメント3回戦
細井 ××〇×
小田代 〇〇×〇
森川 〇〇×〇
●早大7-11関大
コメント
森川未和子女子主将(スポ4=岐阜総合学園)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
練習通りに引くことができたので個人的には悔いはないです。
――最後の団体戦での試合でしたがどんな思いで臨みましたか
本当に日本一になりたい、勝ちたいと思っていたので、やることをやり切ろうという気持ちでいっぱいでした。
――3回戦の試合は実力校との厳しい戦いとなりましたがいかがでしたか
今日チームでも言っていたのですが、トーナメント戦になると相手が出てくるのは当たり前だけれど、相手じゃなくて試合の相手は自分たちだ、と言い聞かせてやっていました。なので、特に相手が関大(関西大)であっても意識せずに自分がやることをやりました。
――ベスト8という結果になりましたが、率直な今の気持ちはどうですか
率直に言えば悔しいです。けれど、今まで練習してきた成果・実力がわかったので、インカレ(全日本学生選手権)は終わりましたけれど、これからリーグ(東京都学生リーグ戦)・王座(全日本学生王座決定戦)と日本一になれる機会はあるので、それに繋がる結果だったと思います。
――他大の同中競射で長い待ち時間がありましたが、リズムが崩れたりなどはありましたか
初めて長い間待たされたので正直長いな、ということは思っていました。でもそれでリズムが崩れたということはなかったのかなと思います。
――プレッシャーはありましたか
0と言ってしまえば嘘になるんですが、チームのみんなを信じてのびのび引けたので特にプレッシャーは感じなかったです。
――3回戦では関西での開催ということもあり、アウェーな雰囲気があったと思うのですがいかがでしたか
基本的に会場が大きいので、相手校というより雰囲気を楽しめたかなと思います
――昨年までと今年の試合を比べて何か違いなどはありましたか
立ち順が(落に)変わったことはとても大きかったです。高校から今まで落を引いたことはなくて、今年初めて落を引いたので自分の中で1番変わった点ですが、みんなを(後ろから)見渡すことができたのでよかったです。
――最後に明日の個人戦への意気込みをお願いします
団体で今回賞状を取ることができなかったので、しっかり個人で詰めて優勝するように頑張りたいと思います。
小田代采夏(人4=福岡・西南学院)
――最後の全日本学生選手権(インカレ)となりましたが、どんな気持ちで臨みましたか
最後ということで、1本でも多く射ちたい、一つでも多くの試合で勝ちたい、と思って引いていました。
――大会を終えて、率直な感想は
個人的には先週まで調子が悪かったのですが、今週しっかり調整をすることができて、準備は万端でした。ですが、トーナメントになった時に大事な1本が詰められないというところは後悔しています。しっかりみんなが楽しめて引けたことはよかったかなと思います。
――予選では皆中を出しましたが、振り返って
やることを決めていたので、それを確認しながら1本1本大事にした結果が皆中だったと思います。
――一方で決勝トーナメントの出来はいかがでしたか
最後のインカレということもあって、本当に『優勝』という二文字を目指して、一つ一つの試合を大事に戦っていこうと思っていたのですが、やり切った気持ちもある反面、まだまだ自分たちには足りないものがあるなと感じました。まだまだリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)などが続くので、自分が抜いた1本をさらに抜かないような努力をしていきたいです。
――決勝トーナメントでは待ち時間が長かったですが、影響はありましたか
そこがワセダの女子部らしさで、集中しすぎるといざ入る時に集中力が切れてしまうので、メンバー同士で声を掛け合って雰囲気を和ませるような感じでコミュニケーションを取っていました。円陣を組んだあとはそれぞれが集中して試合に臨むという、ワセダらしさを全面に出して過ごしていました。
――同期として共に戦ってきた森川未知子女子主将(スポ4=岐阜総合学園)に対してはどんな思いがありますか
森川とは1年の頃から、二人一組という感じで頑張ってきて、私は森川の背中をずっと追いかけてきました。やっと去年から同じ舞台で一緒に戦えて、今も部の運営を二人で幹部でやっていて、選手としても役職者としても二人で頑張ってやってきて、最後のアリーナも一緒に立てたことはとても光栄です。そこで頂点に立てなかったことは残念でしたが、残りのシーズン後悔が残らないように森川と一緒に部を引っ張っていきたいと思います。
――団体としては次はリーグ戦が控えていますが、取り組んでいきたいことはありますか
技術面では大きく変えることはないのですが、気持ちの面で負けないように、1本1本大事にし中てていく練習をしていきたいです。
大貫真央(教3=東京・帝京大高)
――今季の主要大会では初めて団体戦のメンバーに入りましたが、どんな気持ちで臨みましたか
全日本(学生選手権、インカレ)に出るということが、大学で弓道を始めてからの一つの目標だったので、そこに出場できたということはよかったです。
――インカレの雰囲気は経験してみていかがでしたか
周りの目は確かに気になったのですが、自分の決めたことをやるだけだと思って、集中はできました。
――チームとしてインカレに向けて取り組んできたことはありますか
全関(全関東学生選手権)も選抜(全国大学選抜大会)もあまり結果が振るわなかったという中で、やはり初矢をどれだけ抜かないかということを意識してやってきました。あとは連抜きをしないということを意識して、ノルマを設けたりしながら練習してきました。
――最初の射は14中でしたが、振り返って
個人としては、前が抜いて回ってきた中で、初矢を詰められたのはよかったと思います。ただ、初矢を詰めながらも4(皆中)を出せなかったのは反省すべきところだなと思います。
――同中競射は厳しい争いになりましたが、プレッシャーは感じましたか
倉持さん(洵主将、スポ4=東京・国学院久我山)からも「楽しんでいこう」という言葉があったので、僕自身もとにかく笑顔で楽しんで引こうという気持ちになって射に集中することができました。
――予選敗退とはなりましたが、近年のインカレに比べて的中は伸びました。そのことについてはいかがですか
日本一を目指す上で、予選を突破して本選でどれだけ勝ち進めるかということが勝負になってくると思うので、そこに関してはまだまだだなと感じています。
――団体としては次は東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)が控えていますが、そこに向けた意気込みをお願いします
個人としては後悔の残る矢が出てしまったので、そのような矢をリーグ戦では出さないように取り組んでいきたいです。チームとしては、1部に昇格したので、ほかの1部校相手に全力で勝ちにいきたいと思います。
牧山千莉(スポ2=千葉)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
残り1本差で負けてしまったということで、予選通過をまず第一の目標としていたので非常に悔しい試合になりました。
――試合開始時に予選通過のボーダーとなった15中を意識されていたんですか
毎年15中前後がボーダーになっているので、今年も同じくらいだろうな、と頭の片隅にはあったのですがあまり意識せず、自分の射をやり抜こうと思っていました。
――今期最後のアリーナでの試合でしたが緊張はありましたか
そうですね、普段の道場とは違った360度どの方向にも観客がいる中で引くため、周りの視線とか気になるので、そういう部分での緊張はありました。
――前の立で他の大学が高的中で予選を通過していましたが、それも緊張の一因にはなるのですか
他の学校の的中についてはあまり気にしていなかったので、その点についてはあまり考えませんでした。
――同中競射にはどんな思いで臨みましたか
全関(全関東学生選手権)でも同中競射で12本詰めて予選を通過したことがあったので、同じように1本全員詰めて通過しようという強い気持ちを持って臨みました。
――ことしで2回目の団体戦インカレ(全日本学生選手権)出場となりましたが、去年との違いは何かありましたか
去年は何もわからないまま、先輩方についていく形で引いていました。ことしは1年経験して早稲田大学の一員としてしっかり活躍する、という強い意識を持って出場しました。また、アリーナに自分自身で苦手意識があったので、それについても克服しようという気持ちを持っていました。
――今後の試合ではどんなことを意識したいですか
次の大きな試合は初めての一部でのリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)となるので毎回強豪との試合になりますが、1本の重みをこの大会で感じることができたのでしっかり1本丁寧に引いて、自分のやるべきことをやり通していきたいです。