ことしも、1部復帰への挑戦が始まった。平成29年度東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)初戦の相手は、今季から2部に昇格したばかりの国学院大。リーグ戦初出場のルーキー牧山千莉(スポ1=千葉)が20射19中と高的中を叩き出すなど、若い力が光る。終始リードを守り切り、最終的中は122-103。緊張の開幕戦を見事白星で飾った。
弓道場に響き渡る、威勢のいい掛け声とともにスタートした早大の射。1立目の初立、4人全員が皆中を出す完璧な立ち上がりを見せる。その後も、初立の勢いは止まらない。2立目、大前の牧山に喚起されるように、大貫真央(教2=東京・帝京大)、清水雄貴副将(人4=東京・早稲田)も2立連続で皆中をたたき出し15中。3立目も14中とし、一気に試合の主導権を手繰り寄せた。一方、弐ノ立は各選手が留矢に苦しみ不調を抜け出せない。相手が的中を落とし本差は広がっていったが、本来の実力を出し切れないまま前半を折り返した。
1年生ながらチームを引っ張る牧山
4立目では、ようやく弐ノ立が高的中を披露する。今季好調を維持している幸明千尋(スポ2=東京・城北)、そして中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)が落ち着いた射で皆中を出し14中。4立目を終えた時点で、97-83と大幅なリードを奪った。迎えた最終立。20射皆中を目指す牧山は3射目までを詰め、デビュー戦での快挙に王手をかける。全身全霊で放たれた最後の一射は的の外へ。20射皆中こそならなかったが、「自分がワセダを勝たせていくという気持ちで引いていきたい」と語る牧山の今後が楽しみだ。その後、清水が留矢を詰め14中をマーク。国学院大の初立は9中で、弐ノ立の結果を待たずして早大の勝利が確定した。
落ち着いた射を見せる清水副将
この日目立ったのは、80射70中と驚異の的中率を残した初立の4人。牧山だけでなく、同じくリーグ戦初出場となった大貫も20射17中と健闘した。しかし、チームとしては練習で出せている130点台には届いておらず、課題は残る。途中出場で結果を残した竹沢剛(社2=北海道・札幌第一)ら、7番手、8番手の座を争う選手たちの奮起がカギを握るだろう。1週空き、次の相手は2年連続で1本差での黒星を喫している東大。いきなりリーグ戦のヤマ場を迎える。「ことしこそは絶対に勝って1部リーグに上がりたい」(中村)。悲願達成へ向け、負けられない戦いは続く。
(記事 川浪康太郎、写真 田々楽智理)
結果
初立
大前 牧山千莉(スポ1=千葉) 20射19中
弐的 大貫真央(教2=東京・帝京大) 20射17中
落前 志岐伊織(スポ2=群馬・前橋西) 20射16中
落 清水雄貴(人4=東京・早稲田) 20射18中
弐ノ立
大前 幸明千尋(スポ2=東京・城北) 20射16中
弐的 中谷透(基理2=東京・早実) 8射3中
徳重匠人(人1=東京・早実) 12射8中
落前 倉持洵(スポ3=東京・国学院久我山) 4射0中
岡本裕太(先理2=東京・早大学院) 4射1中
竹沢剛(社2=北海道・札幌第一) 12射9中
落 中村浩太郎(創理4=東京・芝浦工大高)20射15中
○早大122―103国学院大
コメント
中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)
――リーグ戦に向けて何をしてきましたか
普段の練習とは違い、リーグ戦のように毎日20射の立をやりました。日々、悪かった点を改善していきました。
――中村主将にとって最後のリーグ戦ですが、特別な思いはありますか
自分が早大に入った時からずっと入替戦で負けてしまっているので、ことしこそは絶対に勝って1部リーグに上がりたいという意識は今まで以上にあります。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
初立は全体的に良い流れだったので良かったのですが、途中に崩れがあり、弍ノ立も4回目が留まらなかったです。どこかしら崩れてしまうので、そこを今後つぶしていければいいなと思っています。
――123中という的中に対しては
練習だと130中を切らないぐらいのレベルには達しているので、10本近く落としてしまいました。久しぶりのリーグ形式という緊張している中だったので、仕方ないかなとも思っています。今後この緊張の中どうするかというのを練習材料にし、来週以降もっと的中を伸ばしていけるようにしたいです。
――次の相手は、悔しい敗戦が続いている東大とですが、どのような意気込で臨みますか
今回は、圧倒的な差をつけて絶対に勝ちたいです。
牧山千莉(スポ1=千葉)
――初めてのリーグ戦ということで、緊張はありましたか
普段と違ったリーグ戦特有の緊張感はあったのですが、その中でも自分のやるべき仕事をやり抜こうと思いながら20本引きました。
――19中という結果についてはいかがですか
初のリーグ戦ということで、19中という結果には満足しています。ですが、抜いたのが最後の1本ということで、自分の甘い部分が出てしまったのと、ここから成長しなければいけない部分を見つけることができたのでいい経験になりました。
――最後の1射はやはりプレッシャーを感じましたか
個人的に20射皆中というプレッシャーがあったので、そこでしっかり中てられる実力をつけていかないと、この先1部昇格という重要な場面で中てられなくなって迷惑をかけてしまうと思うので、最後の1本を詰められるような精神力を鍛えていかなければいけないと強く思っています。
――大前というポジションで意識していることはなんですか
高校の時から大前だったので、そこでのプレッシャーはないのですが、最初の1本目を5回全て詰め切るという気持ちで、そこを重視してやっています。
――チームの123中という結果についてはいかがですか
123中は普段の練習で出ている的中に比べたら少ないので、本番でも練習と同じような的中が出せるように、これからしっかり練習していかなければいけないと思います。
――最後に、次の試合への意気込みをお願いします
次の試合に向けては、きょうの反省点を生かして、抜いてしまった1本を次の試合では出さないように集中して、自分がワセダを勝たせていくという気持ちで引いていきたいと思います。