7年越しの悲願達成へ。今季の集大成の場は、1部昇格を懸けた慶大との入れ替え戦。昨季4本差で敗れ昇格を逃した相手に雪辱を果たすべく、運命の一戦に臨んだ。中盤までは善戦するも、4立目で大きく引き離されてしまう。最終立も本差を縮めることはできず、最終的中123-135で敗戦。またしても歓喜の瞬間を迎えることはできなかった。
強風吹き荒れる異様な雰囲気に包まれたこの日の弓道場。1立目の初立は両校共に13中とし、空模様とは対照的に静かなスタートとなった。弐ノ立では3本差をつけられるが、2立目ですぐに巻き返す。初立で中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高)をはじめ3人が皆中を出し15中とすると、32射27中の高的中で3本差を保った。3立目は弐ノ立の射が光る。倉持洵(スポ2=東京・国学院久我山)、髙橋真人(先理2=東京・早大学院)に続き、立ち上がりに苦しんだ大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)がこの日初めての皆中を出す。慶大の25中を上回る26中をたたき出し、この時点でトータル77-79。前半を終え、逆転勝利が射程圏内に入ってきた。
高的中を最後まで保ち続けた清水
勝敗を左右する4立目。ここで1部校との差を見せつけられてしまった。初立で10中と的中を落とすと、弐ノ立も流れを変えようと竹沢剛(社1=北海道・札幌第一)を起用するが12中に終わる。慶大は安定した射で27中とし、7本差という不利な状況で最終立を迎えることとなった。初立は早大の12中に対し慶大が14中。1部昇格の夢は遠ざかったが、弐ノ立の4人は有終の美を飾るべく堂々と射場へ向かった。髙橋が皆中を出すなど的中を重ねると、最後は大久保主将が4年間の思いを込めた渾身の一射で留め矢を詰め今季の射を締めた。最終立でも集中力を切らすことなく29中を出した慶大には及ばなかったが、全員が力を出し切り最終戦は幕を閉じた。
1年間主将として部を率いた大久保
多くの4年生が抜け大幅な戦力ダウンを余儀なくされた今季の早大。1部昇格はならなかったが、清水雄貴(人3=東京・早稲田)が「チームを引っ張ってここまで伸ばしてくださった」と感謝の意を示した大久保主将を中心に、大健闘の1年を過ごしたと言えるだろう。 来季は清水や中村ら上級生はもちろん、大久保主将が「こちらが言ったことプラスアルファで成長してくれた」と語った頼もしい下級生のさらなる活躍も期待だ。今季味わった喜びと悔しさを糧に、早大弓道部の新たな物語が始まろうとしている。
(記事 川浪康太郎、写真 黒田菜々子)
※平成28年度リーグ戦は、平成27年度に行われます。
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結果
●早大123-135慶大
初立
大前 廣瀬智紀(人3=静岡・清水東) 20射14中
弐的 中谷透 (基理1=東京・早実) 16射11中
志岐伊織(スポ1=群馬・前橋西) 4射3中
落前 清水雄貴(人3=東京・早稲田) 20射16中
大落 中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高)20射18中
弐ノ立
大前 倉持洵 (スポ2=東京・国学院久我山)20射18中
弐的 髙橋真人(先理2=東京・早大学院) 20射16中
落前 渡邊顕士(社1=東京・日体荏原) 12射8中
竹沢剛 (社1-北海道・札幌第一) 8射4中
大落 大久保侑(スポ4=岩手・福岡) 20射15中
コメント
大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)
――昨年と同じく慶大との入れ替え戦となりました。どのようなお気持ちで臨まれましたか
実力としてはまだまだ1部とは戦えないのですが、ここまで来られたのも何かの運や底力があったからこそだと思うので、それを出してできたら勝ちたいとは思っていました。
――勝敗を分けたのはどこにあると思われますか
的中の結果だけを見れば4回目で大きく離されたと思うのですが毎回向こう(慶大)も完璧ではない状態でした。どこか相手を1本ずつ上回ってというような試合展開もできたとは思うのですが、それができなかったということで見た目上は4回目で離されたというような感じですけど、全体的に一歩足りなかったのかなと思います。
――ご自身の射に関してはいかがですか
初回と2回目に関してはチームを引っ張ることができずにリーグ戦を通して申し訳ないなと思っていたのですが3回目4回目の4を出したときに自分自身はまだあきらめてはいませんでしたし、この4でチームが勝つような流れに乗ってくれればなとは思っていました。ですが自分としては一歩及ばずという感じでした。
――リーグ戦では多くの下級生が出場しました。大久保主将から見て下級生の成長は感じられますか
はい。シーズン序盤からこのリーグ戦までに向けていろいろと下級生が中らない時期であったりとか上級生しか試合に出ない時期だったりとかもあったのですが、個人がそれぞれ目標を掲げていてそれを達成するために練習量も増してきたので、らいねん以降も楽しみですし良くこちらが言ったことプラスアルファで成長してくれたなとは思います。
――四年間を振り返っていかがですか
一言では表せないのですが、3、4年から役職者になって選手として以外にも部を引っ張っていかなければならない立場となって、難しさなども感じてはいたのですが自分の指示や自分の背中を見て成長してくれる後輩も多く見られましたし、部活動を通して人とかかわることができて、率直に楽しかったです。
――後輩に向けて一言お願いします
最近は毎年入れ替え戦で負けてしまったりインカレ(全日本学生選手権)でも結果が出ないときもあるのですが、それをあまり気にせずに、入れ替え戦でいえば相手を気にせずに勝つくらいの実力になってほしいですし、あとはインカレとかもプレッシャーとかもあると思うのですがとにかく自分たちがやりたいように、自分たちの代というのを築いてほしいなとは思います。
清水雄貴(人3=東京・早稲田)
――昨年と同じ慶大との入れ替え戦となりましたが、どのようなお気持ちで挑みましたか
相手は同じ慶大ではあったのですが、勝って上がる相手とは意識せずに今回絶対勝つという思いで、特に相手の意識はしていませんでした。
――きょうの勝敗を分けた要因は
チームの調子はだいぶ上がってきていたのですが、互いの実力、自力の差が出てしまったと思います。
――今季を通しての個人の出来はいかがでしたか
自分自身も、春先から秋に向けて段々調子を上げてこられて、最後自分の出せるところは出し切れたとは思っています。
――チーム全体としてはどのように振り返りますか
最初はなかなか的中が伸びないということも多かったのですが、夏過ぎてからこのリーグ戦に向けてはみんなチーム一丸となって着実に実力を伸ばしていってその結果ここまで来られたと思います。
――来季は4年生としてチームを引っ張っていくことになりますが
ことし初めて戦うことになった1年生も含めて、きょうの入れ替え戦での敗北という悔しさを分かっていると思うので、それを忘れずにらいねん入ってくる1年生と一緒に実力を伸ばして、今度こそ1部に復帰するということを目標に頑張っていきたいと思います。
――今季チームを引っ張ってきた大久保主将に一言お願いします
僕らは1年生の頃からお世話になっている方なので、ことし1年というよりは、3年間お世話になってチームを引っ張ってここまで伸ばしてくださったのでただただ感謝しています。ありがとうございます。
――今季は1、2年生の活躍も目立ちましたが、下級生にはどのような今後を期待しますか
まだまだ伸びるところはあると思うので、来季に向けてしっかりと着実に実力を伸ばしていって来季最初から良いスタートを切れるように練習を積んで、らいねんに生かしていってほしいと思います。
――来季の目標と意気込みを聞かせてください
らいねんは僕らが上に立って引っ張っていくことになると思いますが、しっかりとこの3年間そしてこの1年間で伸ばしていったところをさらに引き上げて、ことし以上の活躍をできるように僕を含めた同期と一緒に盛り上げていきたいと思います。