正射必中軍団へ――。関東の強豪校が一同に集まり、射を競い合う第45回全関東学生選手権(全関)がことしも日本武道館で行われた。男子は6人立の24射、女子は3人立の12射での合計的中で争われる団体戦。この日行われた予選で男子は14中と的中が伸びない。しかし決勝トーナメントへの残り1枠を懸けた同中競射を見事に制すると、勢いそのままに1回戦を突破。女子も予選、1回戦と通過し男女共にあすの2回戦出場を決めた。
昨季思うような結果を残すことができなかった今大会。今季こそは雪辱を果たしたい男子部は6人全員が気合を入れて予選に臨んだ。しかし、アリーナ独特の緊張感からか的中を伸ばすことができず24射中14中という結果に。予選終了時点で上位24校のみが進める決勝トーナメントへの切符は、残り1枚。早大を含む7校によって同中競射が行われることとなった。一本も抜くことができないというプレッシャーのなか、大前の中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高)がしっかりと初矢を詰めると、それぞれが思い切りの良い射を展開する。勝利への執念を見せた早大が最後まで集中力を切らすことなく12射中9中と見事、最後の1枠を勝ち取った。決勝トーナメント1回戦ではそのまま勢いを落とすことなく的中を重ね、24射中18中と快勝。あすの2回戦へと駒を進めた。
残心をとる大久保主将
安定した的中率を誇る女子部は予選では思うように的中数を伸ばせず、本領を発揮することができない。それでも森川未和子(スポ2=岐阜総合学園)が皆中を出し決勝トーナメント1回戦に臨んだ。立ち上がりこそ重かったものの全員が留め矢をしっかりと詰め、結果は12射中8中。対する麻布大は7中と1本差で勝利を収めた。
高的中を見せた森川
男女共に予選を突破し、あすは決勝トーナメント2回戦から優勝を狙う。男子は昨年度の優勝校である法大、女子は強豪・桜美林大との対戦。「挑戦者という気持ちを忘れない」(大久保侑主将、スポ4=岩手・福岡)。日本一を目標に掲げる早大弓道部はまず、関東制覇に向け大きな一歩を踏み出した。
(記事 黒田菜々子、写真 副島美沙子、松崎はるか)
結果
▽男子団体
中村、中谷透(基理1=東京・早実)、島村達哉(スポ4=獨協埼玉)、廣瀬智紀(人3=静岡・清水東)、髙橋真人(先理2=東京・早大学院)、大久保
予選
中村 1中
中谷 2中
島村 3中
廣瀬 皆中
髙橋 3中
大久保 1中
同中競射
中村 ○○
中谷 ○○
島村 ○○
廣瀬 ○×
髙橋 ××
大久保 ○○
1回戦
○早大18―11横国大
▽女子団体予選
森川、光明英夏(法3=東京・桜修館)、吉田友理子(スポ4=石川・小松)
森川 皆中
光明 2中
吉田 1中
1回戦
○早大8―7麻布大
コメント
大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)
――どのようなお気持ちで臨まれましたか
4年目で最後ですし、しっかりと結果を残したいとおもっていました。またチーム状況的にもきょねんより選手層が厚くはないので、ここで良い経験を後輩たちにさせてあげて今後のシーズンにつながればと思って臨みました。
――アリーナ独特の雰囲気があると思いますが、いかがですか
チームの的中も自分自身の的中も伸ばそうとは思っていましたが、4年間積み上げてきたものというか責任がおおきくなってきてそのあたりで少し押しつぶされかけた部分はあったのですが自分なりにできたこともあったのでそこをあすはしっかり出していくだけだなと思います。
――ご自身の調子はいかがですか
調子は悪くないのですがアリーナ独特の雰囲気や緊張感に負ける節があるので、そういった部分をきょう体感して、駒を進めることができたので反省を生かして調整していきます。
――予選についてはいかがですか
大前と落で引いている自分と中村(浩太郎、創理3=東京・芝浦工大高)が練習では引っ張っていたのですが中の人たちに助けられて予選はどうにか通過できたというかたちでしたので、あすは中の人たちに楽をさせてあげたいと思います。
――あすは法大と対戦しますが意気込みをお願いします
強い相手ですし、1部ということで上の相手ではあるのですが競射から勝ち上がってきて自分たちよりもやはり的中がじぶんたちよりも高いので挑戦者という気持ちを忘れずに守りに入るのではなく、とにかく攻めて攻めて攻め切っていきたいと思います。
廣瀬智紀(人3=静岡・清水東)
――今日の試合を振り返っていかがですか
初めてのアリーナということで、かなり緊張はしたのですが、今までやってきたことをもう一回再確認して、あとは弱気にならないように、常に強気の姿勢で臨みました。そしたら結構良い結果が出ましたし、予選に関してはそのような感じでやったのですが、一手競射であったり、(決勝トーナメント)1回戦目ですとか、不安に思ってしまうのがあって、取りこぼしをする矢があったので、あすはそのようなことがないように、強気で不安に思わずに堂々と引いていきたいなと思います。
――会場の雰囲気はいかがでしたか
色んな大学の矢声が響くので、そういうのでざわついたりというのがあるのですけど、普段の練習の時から、雑音を録音したものをを流してやってるいるので、そこまで違和感なく、そんなに特殊な環境というわけでもなく、ということを感じました。
――きょうの試合に向けて取り組んだことはありますか
自分は妻手が少し悩みがあって、色々練習試合をやってきたんですが、調子が良いというときがあまりなくて、それが妻手のせいで力んでしまうので、そういったところを今回の大会に向けて直してきました。あとは伸び合いが止まったりしてしまうと前とかに外してしまうということがあったので、その伸び合いは常日頃の練習から意識するようにしました。
――同中競射はどのような思いで臨みましたか
いつもの練習から一手の競射の練習を行っていました。あとノルマも設けて、全員で12射のうち11射を出すまで終わらないという練習をしていたので、他の大学よりは対に一手競射の対策をしてきたという自信があったので、勝つ自信がありました。ただ、自分が最後の矢を抜いてしまったので、そこは自分の反省点です。
――決勝トーナメントでは予選と違った緊張感がありましたか
主将の方から予選はある程度抜いてしまっても決勝トーナメントに進むことはできると言われて結構みんなをリラックスさせてくれたのですが、決勝トーナメントは抜くことができない、一本抜いたらもしかしたら負けてしまうかもしれないというプレッシャーは感じました。
――明日の法大戦に向けた対策はありますか
今までの練習試合で何度かやってきて、負けてきている相手ではあるのですが、気持ちで負けたら勝負にならないですし、僕だけでなく全員が普段の実力をしっかり出せれば絶対に勝てる相手なので、気持ちで負けずに、一部と二部ですけど、一部校に一泡吹かせるという意気込みで臨んでいきたいというように思っています。
――あすの意気込みをお願いします
伸び合いをしっかり安定させて、あとは常に強気で攻めていきたいなというように思います。
森川未知子(スポ2=岐阜総合学園)
――先輩2人と組むということでプレッシャーや緊張などがあったと思いますが、いかがでしたか
先輩方と一緒に引くということですごく緊張しました。でも、落ち着くためにも自分のやるべきことを紙に書いて最後まで確認しながらやっていたので、慌てずに引くことができました。
――そのような緊張感の中での予選、ご自身は皆中という成績でした
皆中という結果もうれしかったのですが、自分が試合でこれをやりたいと思っていたことができたことの方がうれしかったです。
――決勝トーナメント1回戦は麻布大学との戦いになりましたが、相手にはどのような印象を持たれていましたか
相手に関してはあまり意識していませんでした(笑)。
――結果8中で明日への2回戦につなげました。あすの試合で心がけたい点などはありますか
トーナメントなので相手との戦いになってくるんですけど、きょうの試合のように自分のやることをしっかり考えて引いていきたいなと思います。そうすれば結果もしっかりついてくると思います。
――これから全国大学選抜大会や全日本学生選手権など大切な試合が続くと思います。その中でご自身はどのような選手でいたいとお考えですか
私はまだ2年生なので上の代の方々の試合や練習での姿を見ていろいろなことを吸収しながら、自分の役割をしっかり果たせるような選手になっていければいいなと思います。