快挙逃すも実力を見せ準優勝!

弓道

 約50の強豪校が集い、互いの射を競い合う第25回全国大学選抜大会(選抜)。全日本学生選手権(全日)に向け、実力を測る場としても大切な大会だ。早大は女子が決勝トーナメント1回戦で松山大に敗戦。悔しい結果に終わる。一方、快進撃を見せたのは男子だった。並み居る強豪を次々に打ち破り、決勝へ。日大に敗れ悲願の日本一とはならなかったが、準優勝。全日に向け、進化した射を見せてくれた。

 今大会は男子1チーム5人、女子は3人の団体戦で行われた。4射で行われた予選を男子は16中で突破。一方の女子は8中と苦戦を強いられる。予選通過ラインに札幌学院大、慶大、そして早大の3校が並び、同中競射によって通過校を決めることに。3度にわたる競射の末、早大は予選を通過する。しかし、早大は2人が残念(0中)を出すなど的中を落とし、決勝トーナメント1回戦で松山大に敗戦した。全日ではこの悔しさを晴らしてほしい。

行射に臨む女子団体

 男子の1回戦の相手は関西学生選手権4連覇中と圧倒的な強さを誇る立命大。1人2射で争われる決勝トーナメントでは「10本詰めれば絶対勝てる」と平山雄大(創理4=東京・早実)が語るように、全員がしっかりと的中していけば勝利は見えてくる。その言葉通り全員が皆中を出し、1回戦は10-9で勝利をおさめる。続く2回戦、準決勝も競射となるが、勝利への執念を見せた早大が見事に突破する。独特の静寂が漂う中、迎えた決勝戦。相手はリーグ戦で1部に所属する日大だ。早大はプレッシャーからか1射目を終えてわずかに2中、対する日大は4中と2本のリードを許す。運命の2射目。日大の大前、二的が続けて抜くと、会場にはどよめきが起こる。同中となるが、早大も二的・永山豪朋(文構3=東京・早実)が的中できず。再び1本のリードを奪われる。ここで日大が残る3本を的中させ、日大の優勝が確定。それでも早大の大落・平山副将が留矢を中(あ)てると、会場は拍手に包まれた。こうして9時間に及ぶハイレベルな熱戦は幕を閉じ、早大は6―7で日大に1本及ばず。準優勝で今大会を終えた。

大落としての役割を果たした平山主将

 史上初の優勝には1歩届かなかった早大。それでも強豪校を破っての準優勝は今後に向け弾みとなるはずだ。「しかるべくして出た結果」(遠山雄人主将、スポ4=奈良・橿原)、「ワセダが強くなっている証拠」(平山)と選手たちも成長を感じている。全関東選手権では2本差で準決勝敗退、今大会も1本差で優勝を逃すなどここ一番での精神的な弱さは課題としてあげられるだろう。定期戦、夏合宿などを控える早大弓道部。求められるのは絶対的な強さだ。常勝復活へ、鍛練の夏が始まる。

(記事 市川祐樹、写真 小林真奈美)

結果

▽男子 橋本和久(先理3=東京・早実)、永山、佐々木貴広(基理4=東京・早稲田)、遠山、平山
予選
20射16中
1回戦
○早大10―9立命大
2回戦
 早大9―9法大
同中競射
○早大4―3法大
準決勝
 早大9―9西日本工大
同中競射
○早大4-3西日本工大
決勝
●早大6-7日大

▽男子 橋本和久(先理3=東京・早実)、永山、佐々木貴広(基理4=東京・早稲田)、遠山、
▽女子 森みのり(商2=東京・頌栄女学院)、守田稀実(法3=東京・早実)、村田あすか(創理3=東京・早実)
予選
12射8中
同中競射
2中-2中-2中
1回戦
●早大1―2松山大

コメント

遠山雄人主将(スポ4=奈良・橿原)、平山雄大(創理4=東京・早実)

――まずは準優勝という結果をどう捉えていらっしゃいますか

遠山 いまのワセダの実力では優勝には届かなかったという事で、最後の決勝戦で力尽きてしまった感があったので、そこをしっかり克服していかないといけないなという意味で、インカレ(全日本学生選手権)があるのでそこでしっかり巻き返していきたいなと思っています。
平山 一手の試合で10本詰めれば絶対勝てるというところで決勝で6が出てしまうというのがいまのワセダの弱みだと思いますので、そこをしっかり詰め切れるようになって、インカレで活躍できるように、みんなで頑張っていきたいと思います。

――過去10年を見ても今大会での最高位は3位ですが、今回は準優勝。リーグでは2部に属するワセダですが、強豪校を破っての準優勝ということで、今後に向けて自信になったのでは

遠山 全関(全関東学生選手権)の時にも言ったのですけれど着々とワセダの実力はついてきていますので。今回の結果はしかるべくして出た結果だと思いますので、過去10年でいま一番良い状況に来ていると思います。
平山 強豪校と当たってしっかり良い的中が出せていたのは、いま強くなっている証拠だと思うのですが、同時にやっぱり決勝戦で負けてしまったというのはまだまだだなというところですので、そこをしっかり詰めていければと思います。

――立命大や法大を破っての決勝進出、同中競射も多かった中、気持ちの面で意識していたことはありますか

遠山 練習から普段も10中9中はしっかり出ていたので、普段通りの的中が出ていたので特にこれといって何か注意しようとか気をつけていこうとかいうことは僕自身からは言わなかったですね。
平山 僕はこの大会で初めてこういった大きな大会で大落をやらせていただいたんですけど、抜いてはいけないと思うと同時にみんなが詰めてくれるという安心感があったので、みんなで一丸となって頑張れたかなと思います。

――決勝戦では日大に一本及ばずという結果に終わりました。的中も少し落ちてしまいましたが課題としていたスタミナ面から来たものでしょうか

遠山 スタミナというよりも、気持ち的にも肉体的にもちょっと疲れていて、予選からトーナメントまでの待ち時間が5時間以上とすごく長い時間で。そこで日大との体力の差が出てきてしまったのかなと思います。
平山 僕が入部してから4年間、ワセダが何かにおいて優勝したことがまだ大会において一度もないので。優勝を目指すにあたって気持ちの持ち方とかがまだしっかりしていないのが現状だと思いますので、そこをしっかり埋めていって、インカレで優勝して王座(全日本学生王座決定戦)に出場できればと考えています。

――インカレに向けてまだまだ対抗戦や合宿もあると思います。改善していきたい部分、意気込みを聞かせてください

遠山 意気込みとしてはこの5人、補欠を含めて7人ですけれど、それ以外の他の選手でまだやっぱり実力が追いついてきていない選手がいるので。インカレで勝っていくにはそういう周りの選手のボトムアップをしっかり図っていかないといけないと思っていますので。主力の選手だけではなくて全員の部員と一丸になって練習していかないといけないなと思います。
平山 インカレなどの大きな大会ではトーナメントなどのクジ運も少しはありますが、偶然では絶対に勝てないので。しっかり練習してその結果を大会で残せるように、そして必然的に勝利をつかめるように、みんなで頑張っていけたらなと思っています。