団体戦敗退からわずか1日。第61回全日本学生選手権(インカレ)最終日のきょうは個人決勝が行われた。地区予選を勝ち上がった男女800名余りが日本武道館でしのぎを削る。射詰形式で行われる個人戦では、最後の1人になるまで中て続けなければならない。早大からは男女合わせて12名が決勝の舞台に立った。結果は佐々木貴広(基理4=東京・早稲田)が6位入賞。3年連続の入賞という快挙を成し遂げた。
個人決勝ではまず一手(2射)を引き、2本とも中てた者だけで射詰を行う。射詰4本目以降は通常よりも小さな八寸的を使用し、優勝者が決まるまで続く。入賞者はより的の中心に中てた方の勝利となる遠近競射という方法で順位を決定する。女子部から出場したのは5名。その中で吉田友理子(スポ2=石川・小松)、守田稀実(法3=東京・早実)の2名が最初の一手を詰め、射詰へと進む。しかし、射詰1本目で両者とも抜いてしまい、女子からは入賞者を出すことはできなかった。
行射をする女子選手たち
力強い離れで3年連続の入賞を射止めた。男子からは7名が出場。団体のメンバーもそれぞれが悔しさを胸に秘め、個人戦に臨んだ。一手を通過したのは佐々木、遠山雄人主将(スポ4=奈良・橿原)、平山雄大(創理4=東京・早実)の3名。平山は射詰2本目を抜いてしまい脱落するが、残る2人は2本目、3本目をしっかりと詰め、八寸的へ。遠山は八寸射詰1本目で惜しくも的中できず、ここで敗退。「練習の時から八寸の方は調子が良かった」という佐々木は2本目、3本目と的中させ、入賞を確実なものにする。そして4本目。中てれば優勝も視野に入るところだったが、惜しくもこれを抜いてしまい優勝を逃す。しかし、引き続いて行われた6位から9位の遠近競射で再び強さを見せた。鋭く離れ、ピシッと残心を決めると矢は的心近くへと的中。得意の八寸で遺憾なく実力を発揮した佐々木は昨年の5位、おととしの7位に続き3年連続での入賞となる6位入賞。3年間大学弓道界の上位10人に名を連ねるというのは高い技術力と精神力の証だ。
遠近競射に臨む佐々木副将
「インカレの全日程が終了し、早大は団体で入賞なし、個人も佐々木の6位入賞のみ。日本一を目標としていた早大にとっては悔しさだけが残る結果だろう。佐々木が課題として挙げた「試合への気持ちの持っていき方」の重要さも実感させられる大会となった。個々の実力は十分に高いものを持っているだけに、どんな時でもそれを発揮するための技術力の強化も必要だ。9月からはリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)も控えており、男女ともに新たな目標へと進む。まずは残りの2週間、一射入魂の精神で練習に励んでほしい。
(記事 市川祐樹、写真 伊藤なつ実、市川祐樹)
結果
▽女子個人
森みのり(商2=東京・頌栄女学院) 一手敗退
吉田 射詰1本目で敗退
熊田ゆい(教3=長野・下諏訪向陽) 一手敗退
村田あすか(創理3=東京・早実) 一手敗退
守田 射詰1本目で敗退
▽男子個人
妹尾遼介(スポ3=愛知・瑞陵高校) 一手敗退
橋本和久(先理3=東京・早実) 一手敗退
佐々木 射詰7本目で敗退、遠近競射の結果6位入賞
関根貴広(文構4=東京・早実) 一手敗退
遠山 射詰4本目で敗退
花下哲人(政経4=北海道・札幌一) 一手敗退
平山 射詰2本目で敗退
コメント
佐々木貴広(基理4=東京・早稲田)
――まずは6位入賞おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください
3年連続という事で、やっぱり入賞する確率というのは低いものだとは思うんですけれども、2年、3年の頃で入賞してきていたのでやっぱり目指すのは個人優勝だなと思っていたので。途中で抜いてしまって少し残念なところもあったのですけれど、いまとなってみてはまぁ少しホッとしている部分もあります。ちょっとした後悔があるくらいですね。
――3年連続のインカレ(全日本学生選手権)個人入賞となりましたが
してみるまでは実感がなかったので嬉しいということには変わりはないんですけれど、さっき言ったように少し最後くらいは優勝ないしは3位以内くらいに入っておきたかったなというところはありました。でも3年連続という事は素直に嬉しいですね。
――最初の一手の時から順調に的中されていて、的が八寸になった後も力強い離れというのは衰えていなかったように感じたのですが、的が小さくなることで心境の変化みたいなものはあったのですか
練習の時から八寸の方は調子が良くて、結構中っていたので。八寸に進めれば結構行けるんじゃないかなと思っていて、尺二5本の方がむしろ緊張していた感じですね。で、尺二5本が終わった時にこっからが勝負だなという感じで、楽しみながら引けたと思います。
――試合の直前でもアリーナで選手や介添えの方たちと談笑している場面を見かけたのですが、試合を通して緊張というのはされていたのでしょうか
僕のスタイルとしてはやっぱり直前まで緊張をしないようにしっかりと引けるようにしようというのがあって、直前の1分前とかは緊張するんですけれどそれまでは普通に喋ったりして。眠くなってしまうと逆効果になってしまうので眠くならないように気を引き締めながら直前までは喋ったりとかして楽しくしていて、直前で自分の中で切り替えていこうという気持ちでやっていました。
――佐々木選手自身も最後のインカレだったという事で、前日の団体での悔しさというのももちろんあったと思います。その中でどのような意気込みできょうの個人に臨まれたのですか
そうですね、団体の時は本当に悔しくて。試合中でも、まだ試合が終わっていない段階でも、負けるまではもちろんあきらめてはいなかったんですけれどショックですごい悔しかったんですけれど。終わってすぐは悔しさもあってぼう然とはしたんですけれどまだ個人があるという事で気持ちを切らさずにしようと思って。個人がなかったら気持ち的にもっとへこんでいたのかもしれなかったですけれど、個人があるという事で最後まで気持ちを切らさないようにというイメージできのうはすぐに帰って寝て、寝るのは遅くなってしまったんですけれども、きょうの朝が男子は結構ゆっくりめだったので。しっかり寝て、という感じですね。
――副将としてインカレを振り返って、いまのワセダに足りないものというのはありますか
僕はインカレの個人に関しては結構入賞していると思うんですけれど、実際ワセダには僕よりも実力のある選手というのが結構居て、その中でやっているので足りない部分というのはなくて。ありがちな事になってしまうんですけれど、連続で抜いてしまう、前の人が抜いた時に続けて抜いてしまう展開とか、気持ちの持っていき方というところで少し未熟な選手が居るかなというのはありますね。インカレを落としてしまった状況で、試合への気持ちの持っていき方というところを気にしていくという事が必要なのかなと思いますね。
――秋のリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)に向けて、1部昇格のためには140中程度をコンスタントに出していくことが求められると思います。その中で今後はどんな練習を重点的にやっていく必要がありますか
僕を含めた三役や監督を含めて話し合った結果で、緊張した場面でも的中を出せるようにという事で、以前からも言われていますがしっかりとした伸び合いから角見を利かせた離れを出すという部分で未熟な部分があると思うのでそこを徹底していくという事ですね。それだけではないと思うので緊張した中でパフォーマンスを下げずにやる、そのために練習を各自で工夫してやるということが絶対に必要になってくると思います。個人個人がそういう事を意識して練習メニューをこなしていってくれればいいかなという、それに僕らも努めていくというか乗せていきたいと思います。