準決勝敗退も来季に向け視界良好

弓道

 20年に1度の神宮式年遷宮という特別な年、早大が5年ぶりの王座奪還に挑んだ。大学弓道の王者を決める第37回全日本学生女子王座決定戦(王座)。平成26年度東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)に優勝し、出場権を得た早大は2回戦からの登場となった。2回戦で8月の全日本学生選手権(インカレ)で惜敗を喫した四国大に勝利。見事リベンジを果たす。だが続く愛知大に一手競射の末、敗戦。準決勝敗退となったが、1年の集大成を披露してくれた。

残心を取る村田。来季の活躍にも期待が懸かる

 各地区のリーグ戦優勝校とインカレ王者の計10校という限られた精鋭たちが参加することのできる今大会。伊勢の地で弓を引くことは弓道人の憧れと言っても過言ではない。早大はリーグ戦を4戦全勝で優勝。関東地区の代表として王座への出場権を手にした。この大会は3人立で競われ、1回戦から準決勝までは各自8射の計24射の合計的中で勝敗を決する。早大にとって初戦となる2回戦は四国大と対戦した。1回目を終えたところでの的中は9-9の同中に。1本の的中が命取りとなる2回目。ここで早大は12射皆中と実力を発揮し、21-16で四国大を下す。中でも大前に入った安宅麻貴(スポ3=徳島・池田)は8射皆中。緊張感を味方に着け、素晴らしい射を見せた。

 あと1本及ばなかった。迎えた準決勝の相手は愛知大。1回目で早大は3人それぞれが1本ずつ外し9中。対する愛知大は10中と1本のリードを許す。2回目は両校選手が3射目まで全て的中させ、会場には一層の緊張感が漂う。1本差のまま迎えた最終4射目。早大は中の吉田友理子(スポ2=石川・小松)が的中することができず、差は2本に広がる。万事休すかと思われたが、愛知大の中と落が立て続けに抜き20-20の同中に。一手競射へともつれた勝負だったが、この競射で早大は5中。愛知大は3人全員が的中させ6中とし勝負あり。早大の今シーズンの戦いは幕を閉じた。

1年間主力として活躍してきた吉田

 「やりたいことはできたかな」(村田あすか、創理3=東京・早実)、「ことし1年間やってきたことは出せた」(安宅)と試合後の選手たちは納得の表情を見せる。もちろん悔しさもあるだろう。この経験を来季の躍進へとつなげてほしい。「来季もやはり日本一を目指して頑張りたい」(吉田)。目標は全関東選手権、インカレ、リーグ戦の3つを全て制しての王座奪還だ。1年後、伊勢の地で――。そこにはより強く、より華麗な射で他を魅了する早大の姿があるだろう。

(記事、写真 市川祐樹)

★東西選抜対抗試合に2選手が出場!

 王座の直後に行われた第37回全日本学生女子東西選抜対抗試合(東西)。東軍と西軍に代表チームを分け、各地区のリーグ戦での的中上位者を両軍10名ずつ選抜して行われる。早大からは村田あすか(創理3=東京・早実)と鈴木麻理(文2=東京・早実)の2選手が東軍として戦った。村田は2回目に皆中を出すなど16射13中。鈴木も12射9中と安定した的中を残した。各自20射の計200射で競い合うこの試合。実力のある射手の射を観客、選手たちは食い入るように見つめていた。試合は157-162で西軍が5年連続13回目の優勝を果たした。

リーグ戦的中87.5%と安定した的中で東軍に選抜された鈴木

結果

2回戦
○早大21-16四国大
準決勝
●早大20[5]-20[6]愛知大
※1回戦はシード権を獲得したため勝ち上がり

コメント

安宅麻貴(スポ3=徳島・池田)

――まずは伊勢神宮弓道場で弓を引いてみての感想を聞かせて下さい

私が1年のときに先輩が王座ではなく東西対抗戦(全日本学生女子東西選抜対抗試合)という大会に出場されていて、自分もこの場で弓を引きたいなと思っていて。実際引いてみるといつもとは違った静かな雰囲気の中で自分の力がどれだけのものかというのを試せる場所だなと思って。普段の練習に向けて気持ちを新たに、頑張っていけるなというのを感じました。

――リーグ戦(平成26年度東京都学生連盟リーグ戦)から王座(第37回全日本学生女子王座決定戦)まで期間があったと思うのですが、その期間で重点的に取り組んできたことはありますか

私は波がよくあるので、その波をつぶしてチームのために安定した選手になろうと思って毎日練習していました。

――きょうの大会でご自身の実力というのは出し切れましたか

悔やむところもあったんですけど、自分の中ではことし1年間やってきたことは出せたんじゃないかなと思っています。

――ことしの女子部の戦いを見ていると大会などであと1本、あと1歩で敗退してしまうことが多かったと思うのですが

きょねんからの課題でもあったので。すごく1本の重みを感じる場面あって、自分たちの実力をまじまじと見せつけられるという感じで。悔しい部分もあったのですけれど、自分たちが成長できる部分だなと思って引いていました。

――今季はリーグ戦での優勝がありました。戦いぶりを振り返っていかがですか

1か月という長い戦いで、1か月あるので誰が出るかわからない、どの人の調子が上がるかわからないという中で一人一人が自分のやるべきことをしっかりできた期間だったと思います。

――これでオフに入ると思うのですが、来季の目標を最後に聞かせて下さい

もちろん王座奪還です。

吉田友理子(スポ2=石川・小松)

――まずは伊勢神宮弓道場で弓を引いてみての感想を聞かせて下さい

楽しかったです。ホントそれだけです、幸せでした。

――リーグ戦から王座まで期間があったと思うのですが、その期間で重点的に取り組んできたことはありますか

安定した的中を出すことをいちばん意識しました。

――きょうの大会でご自身の実力というのは出し切れましたか

全然出せなかったです。でも1回勝てたのは本当に嬉しいことですし。またらいねん是非、この場所で引きたいと思います。

――ことしの女子部の戦いを見ていると大会などであと1本、あと1歩で敗退してしまうことが多かったと思うのですが

実はあまり考えていないので、それが負けてしまった原因の一つでもありますし、甘い部分でもあるので。シーズン終わったということでしっかり振り返りをしたいと思います。

――今季はリーグ戦での優勝がありました。戦いぶりを振り返っていかがですか

リーグ戦も私は練習では調子が良かったんですけど、試合になると調子を崩してしまうという本当に部員に申し訳ない感じでいつも引いていて。足を引っ張ってしまっていたんですけど。でも、優勝できたのは本当に嬉しいことです。

――これでオフに入ると思うのですが、来季の目標を最後に聞かせて下さい

来季もやはり日本一を目指して頑張りたいと思います。また、全日(全日本学生選手権)から王座に出るという機会もあるので全日で優勝ということを目指します。

村田あすか(創理3=東京・早実)

――まずは伊勢神宮弓道場で弓を引いてみての感想を聞かせて下さい

意外と引きやすくて。緊張して上がって何もできなかったというよりは、やりたいことはできたかなっていう感じがします。

――リーグ戦から王座まで期間があったと思うのですが、その期間で重点的に取り組んできたことはありますか

私はリーグ戦の最終週で調子を崩していたので、それを戻すことと、あとは技術力がどうこうというよりは自分の中での甘い部分が出る矢が多かったので。そこをなるべく練習から詰めるように意識してきました。

――きょうの大会でご自身の実力というのは出し切れましたか

出せた1本ももちろんあったんですけど、ただ結果がああなったので。それは責任があるかなと思っています。

――ことしの女子部の戦いを見ていると大会などであと1本、あと1歩で敗退してしまうことが多かったと思うのですが

勝負矢だと思って引く矢というか、勝負が決定する瞬間の矢はやっぱり緊張するんですけど、そうじゃない部分で負けてしまったような気がするので、今回は特に。四ツ矢を2回引く中で、最後の立は割と良かったと思うんですけど1回目で9(中)が出てなければ何か変わったのかもしれないので。やっぱりそこはどの矢も勝負矢だと思って引くべきなんだなと思いました。

――今季はリーグ戦での優勝がありました。戦いぶりを振り返っていかがですか

ことしは選手層が割と厚くて、私も試合に出ている中でも、試合に出てないときも私が失敗しても大丈夫と思って引いてこれたので。結果は全勝ということだったんですけどみんなで練習してきたプロセスは大事にしていけたらいいと思います。

――これでオフに入ると思うのですが、来季の目標を最後に聞かせて下さい

らいねんは多分幹部になるので部を背負えるような引き方にもっとできればいいかなと思っています。オフちょっと短くなっちゃったんですけれどその分集中できるという部分もあるので、全員でうまく調整していきたいなと思っています。

鈴木麻理(文2=東京・早実)

――まずは伊勢神宮弓道場で弓を引いてみての感想を聞かせて下さい

何かすごく特別な場所なんですけど、引いてみたらすごく引きやすい感じがしました。あと天気もすごく良かったので、すがすがしい感じで緊張せず引けました。

――東西(第37回全日本学生女子東西選抜対抗試合)ということでリーグ戦の的中率というのがあったと思うのですが、リーグ戦を振り返ってみていかがですか

リーグ戦中は全然調子が良くなくて、週の真ん中に毎回調子を落として、試合では中てるっていう感じだったので。それを修正して王座には向かいたいなと思ったんですけどそれにも失敗しちゃったので。リーグ戦中も結構反省が多かったので、それを生かして来年も頑張りたいですね。リーグ戦は結構苦しかったんですけど周りの人たちすごい助けてくれました。

――きょうの大会でご自身の実力というのは出し切れましたか

もともとすごい調子が悪かったので。やれることはできたかなという感じなんですけど、留め抜きを2回もしたので。そこで毎回同じように自分の苦手なところで抜いているので。緊張しすぎてほかのことが出来なかったというよりは、精いっぱいやっていつも通り抜いたっていう感じでした。

――これでオフに入ると思うのですが、来季の目標を最後に聞かせて下さい

ことしは毎回安定することが出来なかったので、あと今3年生の方とかものすごい調子が良くて、選手の層どんどん厚くなっていると思うので。負けないように、安定した射を引けるようにしたいと思っています。