全日本学生剣道優勝大会(全日)が終わり、はや1週間。関東学生剣道新人戦大会(新人戦)が開催された。早大は2回戦からの登場となり、全日出場メンバー5人と新進気鋭の1、2年生でオーダーを組んだ。2回戦は1勝差の接戦と苦しい展開になったが、3回戦は7戦中6勝を収める快勝。しかし4回戦、対戦相手は昨年の新人戦で敗れた順大。中堅までで2勝2分けで有利な展開を作るも、そこからまさかの3連敗で敗れた。
メンを打つ平山修資(社1=長崎南山)
1回戦をシードで突破した早大の初戦の相手は明学大。今年度の公式戦では初出場の増田諭暉(先理2=城北埼玉)が先鋒を務めた。相手のメンに反応することができず一本目を奪われる。今度は増田が相手のメンの先を取ってコテで一本を取り返した。このまま負けていたら苦しい流れになるところだったが、何とか引き分けに持ち込み先鋒の役割を果たした。次鋒・齋藤裕太(社2=大分国際情報)は遠い間合いからメンを積極的に狙いに行くが、なかなか捉えることができず引き分けとなる。五将・渡部倫太郎(スポ2=神奈川・桐蔭学園)は途中で右足を負傷するアクシデントがあったが、ここも引き分けでつないだ。2戦一本がなく、3戦引き分けで迎えた中堅・横山冬馬(スポ1=宮崎・日章学園)。試合開始から鍔迫り合いでも相手を積極的に崩そうとプレッシャーをかける。引き技はなかなか決まらなかったものの、コテでメンの先を取り一本を遂に先取。さらに相手の反則2回で二本目となり勝利した。その後、三将・副将・大将と引き分けて、横山の1勝で早大は2回戦を突破した。
3回戦の相手は文教大。先鋒には増田に代わって平山が入るが、またしても一本を先制されてしまう。相手がメンを打つそぶりを見せたところで平山は止まってしまい、そこにメンを打ち込まれた。しかし、平山は一刀一足の間合いから大きく踏み込んでメンを放ち一本を取り返す。小手先でかわそうとせず、素直なメンで決めた。さらに二本目も同じようなメンを放ち勝利した。次鋒・齋藤がまたしても引き分けでつなぐと、五将・渡部は二本勝ちを収める。上段の構えの相手に対し、引きメンを多用して一本。しかし、渡部のメンと相手のコテが交錯し副審の旗がそれぞれに1本づつ上がるが、主審が相手のコテに旗を上げ一本を返される。ここで渡部は焦ることなく今度は相手のコテを避けてメンで二本目を決めた。中堅・横山はコテで二本奪いまたしても二本勝ちを収める。三将の今井翔悟(基理2=福岡・小倉)は2回戦は動きが堅く攻め切れていない印象だったが、3回戦は伸び伸びと試合をしている印象だった。一本目は相手のコテに合わせたメンで、二本目は大きく踏み込んだメンで奪った。副将・指本悠稀(スポ1=石川・金沢桜丘)は相手がコテを打って残心を取って振り向きざまにメンを放って一本勝ち。大将・門田功成(社2=兵庫・育英)はコテで二本を奪って勝利した。終わってみれば6勝11本奪う快勝となった。
ツキを決めた横山
4回戦の相手は順大。昨年の新人戦でも対戦して0勝4敗の完敗を喫したが、今年は早大に有利な試合展開となった。ここまで次鋒に入っていた齋藤が先鋒を務める。3回戦までは相手に一本目を許す苦しい立ち上がりだったが、齋藤は相手に一本を許さず引き分けでつないだ。次鋒・平山は相手のコテにメンで打ち勝ち一本を奪い勝利する。五将・渡部は引き分けでつなぐ。ここまで2戦とも二本勝ちをしている好調の横山はこの試合でも素晴らしい試合を見せる。一刀一足の間合いから踏み込んでツキで一本を先取。相手は全く反応することができなかった。さらに、相手のコテからのメンに合わせてコテで二本目を奪った。横山は全戦で二本勝ちを収める結果となった。ここまで2勝2分け、残り3戦となり早大に有利な状況だったがまさかの展開となる。三将・今井はメンで一本を取られ敗戦。さらに副将・指本はコテで一本を取られ敗戦。判定に呆然とする様子が見られた。これで2勝2敗2分けと優勢がなくなってしまった早大。しかし本数では1本上回っているため引き分け以上で早大の勝利となる。しかし、大将・門田はメンを一度打ったところから、さらにかついだメンを打たれて一本の先制を許す。追う展開となったが、その約2分後に門田は良いコテを放つ。一本入ったかと思われたが、門田のコテの後に放たれた相手の引きメンに審判の旗が上がり、二本目を取られ敗戦。あまり納得の行く判定ではなく、審判の旗が上がった後にベンチと観客席は一瞬静寂に包まれた。
コテを打つ門田
まさかの3連敗でベスト16で散った早大。今大会は4回戦で早大が負けた順大が優勝したが、決して惨敗したわけではなく、むしろ試合序盤は優位な展開を作ることができた。決して満足のいく結果ではなかったかもしれないが、1、2年生のみでも素晴らしいチーム力を見せる試合となっただろう。12月には4年生の引退試合となる早慶戦がひかえている。今大会で輝いた1、2年生が、4年生が有終の美を飾れるような試合作りをすることを期待したい。
(記事 小島大典 写真 町田知穂)
結果
▽1回戦シード突破
▽2回戦
〇早大1(3) ー 明学大0(1)
先鋒 増田 コ✕メ 佐藤
次鋒 齋藤 ✕ 渡辺
五将 渡部 ✕ 高村
中堅 横山 コ反ー 関口
三将 今井 ✕ 染谷
副将 指本 ✕ 野成
大将 門田 ✕ 中山
▽3回戦
〇早大6(11) ー 文教大0(1)
先鋒 平山 メメーメ 野中
次鋒 齋藤 ✕ 根岸
五将 渡部 メメーコ 岩崎
中堅 横山 ココー 広瀬
三将 今井 メメー 松尾
副将 指本 メー 佐藤
大将 門田 ココー 竹村
▽4回戦
△早大2(3) ー 順大3(3)
先鋒 齋藤 ✕ 中西
次鋒 平山 メー 若松
五将 渡部 ✕ 小林
中堅 横山 ツコー 中丸
三将 今井 ーメ 益子
副将 指本 ーコ 大澤
大将 門田 ーメメ 池田
コメント
門田功成(社2=兵庫・育英)
――1、2年生で構成されたチームでは初の公式戦でしたが、チームとしての戦い方はいかがでしたか
1回戦から厳しい展開が続いたんですけど、 そこもチーム力で後ろに後ろに(繋ぐ)っていう気持ちで試合できたことが、良かったと思います。
――自身の初戦と2戦目を振り返ってみていかがですか
初戦はリードの状態だったので、1回戦から落ち着いて試合することができました。2回戦は勝負が決まっていたので、自分の試合ができたと思います。
――3回戦は昨年の新人戦と同じ相手でしたが、違いなどはありましたか
(去年)負けたっていうことはあまり考えずに、今年は今年のチームなので、気持ちを新たにというか、リベンジっていう感じよりも、相手に飲まれないようにという感じでした。
――3回戦で最後に取られた一本には納得がいかない様子でしたが
(旗が)上がってしまったのはしょうがないですし、勝負ごとなので審判のジャッジが全てかなと思います。
――今大会を通じての良かった点や課題
私はあんまり良いところはなかったんですけど、チームはもう試合を重ねるごとに成長していって、最後の試合もとても良かったですし、2年後にもっと上を狙えるチームになったかなと思います。
――早慶戦に向けて意気込み
4年生と出るのが最後なので、4年生に有終の美を飾ってもらえるように、一生懸命自分のポジションで自分の役割をしたいと思います。
横山冬馬(スポ1=宮崎・日章学園)
――今日は何を目標に試合に臨みましたか
優勝することを目標に挑みました。
――今日の試合を振り返って
個人としては良かったのですが、チームとしては改善点の残る試合となりました。
――3、4年生がいない試合という中で意識したことはありますか
いつも通りを心がけていました。
――今大会を通じて良かった点
今日は逃げないことを意識して試合をして、それが活きたと思います。
――今大会を通じて見つかった課題
まだ自分勝手に相手のことを考えずに試合をしてしまう点です。
――早慶戦に向けて意気込み
自分が頑張って最後に4年生を勝たせて終わりたいです。