第3回は馬場恭大(スポ3=神奈川・東海大相模)、渡部倫太郎(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、今井翔悟(基理2=福岡・小倉)にお話を伺った。仲の良さを感じさせながらも、お互いを尊敬している面が対談中で垣間見れた。
※この対談は10月18日に対面で行われました。
「秋の大会に向けてレベルアップする」(馬場)
構える馬場
――他己紹介をお願いします
馬場 今井選手はすごい剣道に対して真面目で剣道のスタイルは体が大きいという強みをしっかり出して試合をしています。理工学部の生徒ということもあって頭を使って剣道をしていて、僕もそういうところは見習いたいなと思ってます。渡部選手は、同じスポーツ科学部で一緒に授業を取っていて、授業の課題を手伝ってくれるので頼もしいです。試合でも授業でも頼れる選手です。
渡部 馬場先輩は、 小学校の道場の時から神奈川県内で一緒でした。私が小学校の時から馬場先輩は神奈川のスーパースターみたいな感じでした。小学校の時から私は知ってて、大学で一緒に剣道をやるようになってやっぱり強いなと思いました。強いだけではなくて剣道に向かう姿勢や考え方も勝つ人の考え方だと思いました。この2年間本当に馬場先輩には色々教えてもらって、面倒見が良くて可愛がってもらいました。今井くんは同期ということもあり部活以外にも プライベートとかでも出かけたり遊んだりする仲です。本当にいいやつで、ただただ真っすぐでいいやつです。面白いし。 剣道に関しても私にはないもので、体の大きさやパワーとか私が欲しいものを彼は持っているので、(試合を)見てて「あ、いいな」と思っています。目指すべき人間でもあるし、吸収しできるところは吸収したいな。やっぱいいライバルでもある存在です。
今井 馬場先輩は剣道の面に関しては技の切れや出しどころ、試合での考え方など全体で目標にしてる選手でもあります。去年1年寮で同じ生活をさせてもらって、テスト期間に2人で夜遅くまで勉強したり、面倒見の良いお兄ちゃんって感じで大好きな先輩です。渡部選手は同期なんですけど、高校時代日本一になっているのですがすごく謙虚で、それでいて日本一になった経験とかは私たちに伝えてくれます。私たちはあまりしないのですが稽古中に何十キロの重りをつけて稽古をしたりとストイックです。彼を一言で表すとストイック。非常に尊敬できる同期です。
――5月に行われた関東学生選手権についてお伺いします。お三方は出場されませんでしたが、全日出場をかけて出場するのが最後になった4年生もいました。試合をご覧になっていていかがでしたか。
馬場 試合を見てて自分だったらこういうところで打ってたとか、やはりどうしても先輩なんですけど、そういうのも考えました。選手先行で負けて、負けた時も悔しかったんですがそれよりも試合を見てる時にそういうことを考えながら見てたらもっと悔しくなってきて。ほんとに悔しかったです。本当はそこで出たかったんですけど、そこから一つレベルアップできたと考えたら、経験としてよかったかなと思います。
渡部 あの舞台に立てていなかったことに悔しさを感じながらも、 出場する先輩たちには、4年生で最後なので本当に頑張ってほしかったです。私が負けた分しっかり勝って欲しかったというその気持ちは誰よりも強かったと思います。先輩たちの戦ってる姿を見て、私はまだ2年生なのですが、4年生になるまではすごい早いと思うので、4年生になった時にその先輩たち以上の試合をできるように、今の4年生の先輩たちを超えてやるという、応援すると同時に(自分も)頑張んなきゃいけないっていう風にエネルギーがみなぎってきました。
今井 私も出れなかったことが悔しかったのですが、それぞれ4年生が悔しい思いをしているところを見て、団体では私がメンバーに入って少しでも力にならないといけない、絶対なってやるんだっていう強い気持ちがそこで出ました。
――全日には、門田選手(門田功成(社2=兵庫・育英))が出場されました。同級生のお二人は見ていていかがでしたか
渡部 全日で勝ち上がってくれたのは本当に嬉しかったです。仲間でもありながら門田選手を超えたいって気持ちもあり、やっぱり仲のいい友達でありながらもいいライバルという風に私は嬉しかったと同時に、置いていかれるわけには行かないな、早く追いつきたいなという気持ちでいっぱいになりました。
今井 同期ということもあり、1番応援していたので勝ったのはとても嬉しかったです。 冬オフ、夏オフと毎日一緒に自主練してて、その成果が出たのはとても嬉しかったです。同時に一緒に練習してるからこそ負けたくないという気持ちは誰よりも強く芽生えたかなと思います。
――8月には夏季合宿が行われました。どのような練習が記憶に残っていますか
馬場 普段がどれって言うわけではないのですがその1日目、2日目に団体の選考があり、それが終わった後に練習がきつくなりました。でもそこでどれが1番印象に残ってるとかではなくて、自分はこの合宿でしっかり出し切って、秋の大会に向けてレベルアップするんだという気持ちがあったため、印象に残ってる練習というのはあまりないです。全部必死にやったという感じです。
渡部 今の主将の門間先輩(門間光児、社4=熊本・九州学院)が、 九州学院という日本一を取り続けている高校の出身の方で、合宿の選手選考の終わった次の日に、九州学院でやってるようなことをメニューで取り入れてくれたのですが、そこの練習が1番燃えました。私自身も中学ではすごく厳しい環境で鍛えられていたので、絶対に練習ではどんな練習をしても乗り切れると思ってました。(その練習を)すごく楽しみにしていて、楽しみながらきつい練習をいかにきつく見せないというか、もうダメだっていうよりまだまだいけるという強い気持ちを持ってできました。選考終わった次の日の練習が私は1番印象に残ってるし1番楽しかった練習です。
今井 小野派一刀流という剣道の流派がありまして、師範から午前中を使って教えていただきました。その稽古は防具を着けずに木刀を持ってやるのですが、剣道のルーツというか剣道の基礎を学べたかなと思います。
――練習以外で合宿の思い出は何かありますか
馬場 何日目か忘れたのですが、夜に学年でミーティングすることがあり、3年生の仲がより良くなりました。次、自分たちの代になるというのをもう1回全員で話し合って、(全員が)同じ方向に向けたミーティングだったと思います。
渡部 私は練習が終わった後に今井くんとか他の同級生と全体練習外での練習を一緒にしたのが印象に残ってます。1週間、山の中にこもって剣道だけに向き合うことがなかなかないので、よりその環境を有意義に活用しようと思って練習をしました。ほんとに、さっきも少し言ったのですが、4年生になるまではほんとに早いと思うので、その時に力負けしないように、今の段階でしっかり自分たちを鍛えておいて、その練習のおかげでまた一つ絆が太くなったのではないかと思います。
今井 私も稽古後の渡部くんとの自主練習はとても印象に残ってます。違うところを挙げるとすれば、選手選考の試合の時に、門間さんや外山さん、馬場さんなどの選手の方から指導、アドバイスをいただけたのが1番印象に残ってますし、試合が終わった後も、反省など色々教えていただいて先輩ってかっこいいなと思いました。
「恩を絶対返したい」(渡部)
相手の技を避ける渡部
――関東学生優勝大会では、ベスト8での全日出場を決めました。振り返っていかがですか
馬場 代が変わってからずっと目標は日本一で、全日(全日本学生優勝大会)で優勝することが目標だったので、 まず、関東(関東学生優勝大会)ではしっかりベスト16に入ることを目標にしていました。結果としてベスト8で負けてはしまったのですが、全日につながる試合だったかなと思っています。
渡部 私は、この1年にはすごく特別な思いがあります。今の主将の門間さんをずっと小学校の時から知っていて、先輩はずっと日本一を小学校、中学校でも取り続けている本当にスーパースターで、そんな人と一緒に試合出れることにまずうれしく思いました。また、門間さんのチーム作りや、上級生としての役割をしっかり学ばせてもらえたと言いますか、試合に出ながらも、 門間さんはどういう風にチームを作っているのか色々学ばせてもらえたと思っています。
今井 私は出場機会を得られなかったんですが、目標が日本一で門間さんのチーム作りで、出てる選手が、門間さんにつなげばなんとかなるという気持ちで必死につないでいたところを1番近くで見ました。全日では、私も出て日本一を目指せれればなと強く思いました。
―― 馬場さんと渡部さんは2試合ずつ出場されました。ご自身の試合を振り返っていかがですか
馬場 自分の力を100パーセント出せていなかった試合だったなと振り返っています。 それをしっかり100パーセント、120パーセントぐらい全日では出せるように(関東での)反省を踏まえて、今必死に練習しています。
渡部 私は途中から出場させてもらったんですけど、試合前のアップ中に、監督からいつでも行ける準備をしとけというように言われてたので、そこで気持ちを作っていました。一番最初のポジションである先峰で出させてもらったのですが、先峰が負けてしまうと、流れが相手に行ってしまい、その流れをこちらに引き戻すのはなかなか難しいことなので、 まずは負けない試合作りからチームの流れを作るということを1番意識しました。後ろには本当に頼れる先輩や同期、後輩もいたので、後ろを信頼して自分の剣道をしようという風に思いながら試合をしました。全日は他の大学も後ろはみんな各校のエース級だったり、強い選手がたくさんいるので、 なるべく1本を取って後ろが少しでも戦いやすいような試合運びをしたいなと思います。
―― 最後は筑波大に敗れましたが、この試合で見えた課題はありましたか
馬場 筑波大や中央大、日体大は、スピード、パワーがあることは分かっていたのですが、そこにまだ対応できてなかったところがあったと思います。相手に対応できるように準備をして、自分が有利な状況で戦えるようにすることを意識するようにと、門間主将からも稽古の中で指導して頂きました。
渡部 今馬場先輩が言ってたのですが、まずスピード とパワーが彼らの方が上で、すごく圧倒されるような試合にはなってしまったのですが、やはりそれに勝たないと日本一にはなれないと思っています。相手のスピード、パワーに勝る何かを持たないといけないですし、彼らの剣道に勝つには何が必要なのかということを、より一層考えさせられるような試合になったと思います。
今井 技のスピードだったり、パワーがあることもそうなんですが、作りの速さやその他の部分の速さもありました。しかしそこを関東で感じられたということは、日本一に向けて良いスタートが切れたのではないかと思います。 普段の稽古から、もっと高い意識を持って日本一を目指していくんだという考え方にもなりましたし、あの一戦でチームワークはさらに深まったかなと思います。
―― ご自身に期待される役割はどのようなものだと思いますか
馬場 個人では出ていないですが、去年から団体にも出ていて、全日を経験しているメンバーが います。去年は自分の力を上手く出せなかったのですが、今年は去年の経験を生かして、しっかりチームを優勝に導きたいです。
渡部 私は出るとしたら前の方で出ると思うので、絶対勝つという強い気持ちを持って、後ろの人たちに少しでも勢いをつけられるような試合をしたいという思いが強いです。また関東とは違った雰囲気など、いろんなことを学べる機会だと思うので、 試合に全力になりながらも、今後の自分にプラスになることを吸収したいという気持ちでいっぱいです。
今井 まず、絶対出るっていう気持ちと私がやるんだという気持ちを持ちながら、 もし私も出るとしたら前なんですが、簡単に勝てる相手はいないと思うので、ワンチャンスを狙って流れを 持ってくるっていうのを第一目標として置いといています。また関西、大阪になってアウェイになると思うので、もし出なかったとしても、チーム一丸となって応援してサポート出来ればと思います。
―― 最後に全日の意気込みをお願いします
馬場 私が1年生で入った頃から門間主将には剣道も、それ以外の面でも、色々と教わることも多くて、本当に最初の頃はついていくので精一杯でした。そんな先輩がもう今年が最後ということになります。去年まで、個人戦でも悔しい思いをされてきたと思いますが、そんな中で私たちの力も必要だと思うので、 ベストを尽くして、4年生の先輩を日本一にして卒業させてあげられるように頑張りたいなと思います。
渡部 私の剣道観が変わったのは門間さんに出会ってからでした。高校までは自己流でやってきたのですが、門間さんに色々教わることによって、ここはこうなんだなと納得することがたくさんありました。外山さん(大地、社4=神奈川・鎌倉学園)とも練習をずっと一緒にやらせてもらって、本当に2人にはすごく感謝の気持ちでいっぱいなので、その恩を絶対返したいという気持ちが強いです。また門間さんと団体で一緒にチームで試合に出れるというのが一つの夢でもあったので、そこに感謝しながら絶対2人と一緒に優勝したいです。
今井 今の2人の意気込みを聞いてて、私もそうなんですけど、今回の4年生2人への感謝は、 今回のチーム全員が思ってることです。色々悔しい思いをされてきたと思うんですが、 私たちが思ってる以上に色々考えてくれて、私たちもご指導いただいたり、私生活でも非常にお世話になった先輩です。必ず私たちが 日本一にさせて、させてあげたいっていうのもこましいんですけど、少しでも力になって笑顔で卒業させてあげたいなと思ってます。
――ありがとうございました!
(取材・編集・写真 小島大典、植村皓大)
◆馬場恭大(ばば・やすひろ ※写真中央)
神奈川県・東海大相模高出身。スポーツ科学部3年。最近料理にハマっているそうで、鳥皮餃子や明太クリーム焼うどんを作ったそうです!
◆渡部倫太郎(わたべ・りんたろう ※写真左)
神奈川県・桐蔭学園出身。スポーツ科学部2年。筋トレにハマっているそうで、胸筋と太ももを特に鍛えているそうです!
◆今井翔悟(いまい・しょうご ※写真右)
福岡県・小倉高出身。基幹理工学部2年。映画鑑賞にハマっている今井選手。最近観た映画は「イエスマン “YES”は人生のパスワード」だそうです!